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上場会見:yutori<5892>の片石社長、偏愛や熱狂を集める

27日、yutoriが東証グロースに上場した。初値は公開価格の2520円を12.26%上回る2829円を付け、2599円で引けた。Z世代(1990年代半ば~2010年代初期生まれ)を対象に、「9090」や「centimeter」などストリートファッションを中心とした22ブランドを展開する。InstagramやTikTokなどのSNSを利用したマーケティングで集客し、ECサイトで販売する。アカツキ出身の片石貴展社長が2018年に創業し、ZOZO<3092>が2020年7月に資本参加した。片石社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

片石社長は、SNSを活用したヒットブランド創出と他ブランドの買収の2軸で拡大を目指すと話した

片石社長は、SNSを活用したヒットブランド創出と他ブランドの買収の2軸で拡大を目指すと話した

―初値が公開価格を上回った
投資家から評価を得て、喜ばしい気持ちと身が引き締まる思いが両方ある。業績を伸ばして、市場から評価されるように努力していきたい。

―社名の由来と込めた思いは
前職の時に、“かたぴー”と呼ばれていた。「“かたぴー”ってゆとり世代っぽいね」と良い意味でも、皮肉の意味でも言われていた。ゆとりがある状態というように、ゆとりは本来良い言葉だろう。

1個の側面から見たらネガティブだが、違う側面から見たらポジティブというのは、目線を変えれば世界が広がることだと思う。また、“ハグレモノをツワモノに”(というミッション)にも、「こちらから見たらそうだけど違う視点から見ればもう既にそれがある種の強さじゃん」というニュアンスがあるので、両方を持ち合わせている部分が良いと思った。

ネガティブなことが悪いかと言われると、そうではないという考え方なので、それも含めてありのままでいたい。また、自分が起業したのが24歳だったので、いろいろことに対して全くゆとりがなかったので、ゆとりが欲しいなと思ってできた。

―新規上場に対しての率直な感想を
気持ちは、「やったな」というか「やったぜ」ということで、東証の鐘を鳴らすところに皆がいたが、これだけ若い会社で上場も珍しいと思うし、自分は洋服もそうだが、yutoriでやっていることが好きで、働いているメンバーのことも凄く好きなので、好きな事を好きな人とやって、しかも上場という資本主義のど真ん中みたいなところにもチャレンジできたのは本当に幸運なことだと思う。だからこそ、もっと伸ばしていかないと。「やってやるぞ」という感じだ。

―上場に際してZOZOが筆頭株主でなくなるが、ZOZOの人から寄せられた言葉やエピソードは
大前提としてZOZOにはもの凄く感謝をしている。僕らがZOZOにハーフジョインした2020年の4月も、自分の身なりもこういう感じなんで、本当に洋服が好きで真摯に商売と向き合っていても、どうしても「サークル的だよね」とか「遊びでやってるよね」みたいな感じの印象を持たれていた。ただ、ZOZOのフックアップがあって、yutoriという会社が本当に伸びるのではないかという期待感や、ファッションはコミュニティ性がある程度強い業界だと思うので、いろいろな人に知ってもらえた。

ZOZOの経営陣に関しても、独立性を持った経営を考えてもらえて、自分たちがZOZOの信用を借りて独立した会社として大きくなっていくことを強く応援してもらえたおかげで、yutoriの上場があった。

今回の上場に関しても、澤田宏太郎社長や栁澤孝旨副社長、廣瀬文慎取締役といった取締役陣からとても温かいコメントをもらった。「上場おめでとう」と。「ZOZOのように」と直接言われたわけではないが、「これからスタートラインなので大きくなってください」と言われた。

僕もZOZOという会社は、もの凄く好きでリスペクトしている会社なので、ビジネスモデルは違う部分もあるが、次のファッションを代表する企業になっていきたい。

―今後のZOZOとの関係は。ZOZOTOWNでの販売が中心だろうが、新しいことをやっていきたいといった展望は
これまでもZOZOTOWNに出店している事業者と同じフェアな条件で取引をしてきて、それを維持していくというか、基本的には変わらない。

―現時点での課題は
Z世代をターゲットに、IPOまでは自分たちが完全に理解できるマーケットで当事者意識を持って、「走り切る!」みたいな意識だった。年齢を重ねていくなかで、マーケットを自分たちと同世代で、20代後半から30代前半のゆとり世代にも広げていこうというなか、顧客の購買行動も違うと思う。

ストリートからサブカル寄りのレディースのような新領域ではあるので、(ブランドの1つである?)PAMMの成功事例と、それを通して得た顧客のインサイトと、その周辺にいるまだ見ぬ仲間、一緒にやっていけるメンバーをどれぐらい巻き込めるかというところが課題ではあるが、yutoriがまた新しくなる部分があって楽しみだ。

―サブカル系のファッションをどうマスに広げていくか、バランスは
1ブランドで100億円を目指すようなブランドは作らない。1ブランドのトップラインが大体数十億円のイメージを考えている。大きいアパレルの会社に比べたら規模が小さいだろうが、そういった集合体が積み重なってyutori全体が大きくなっていくイメージなので、定性的に言うと難しい部分ではあるが、数字的に考えるとそういう感じだ。

―キャッチーな商品開発についてもう少し具体的に
インスタの画面は小さい。例えば、お店に行って洋服を手に取って触ってという情報量と、インスタでは皆凄い速さでスクロールするので、そのなかで目に留まりやすい商品は、性質が違う。主にはカットソーでグラフィックを中心とした商材というイメージだ。

―出店エリアの考え方について。どういったところに出していきたいのか
基本的には東名阪で、今展開しているのも東名阪のエリアだ。なかでもインバウンドの需要が上がっているので、観光地化しているところに展開していくイメージだ。

―ブランドがある程度育った後に店舗を出すが、店舗に関する具体的な目標は
基本的にはYリーグに乗せて、収益がある程度立ってから、店舗を拡大していく。最近の新しい取り組みでは、9090の原宿の店舗が、これまでは小型店が中心だったが、原宿のかなり分かりやすい場所で、内装もしっかりと投資をして、9090を知らない顧客も「何なんだこのブランド、入ってみよう」と思えるようなフラッグシップ店を作った。海外の人も含めて、店舗としての手応えがあるので、ファンの目的来店を中心とした店舗を、東名阪中心に展開してからは、そのブランドらしい場所にフラッグシップも展開して、それをさらに海外展開の足がかりとしてつなげていきたい。

―海外展開も目指している
アジアを中心にやっていきたい。

―直近の話か
頑張る。

―店舗を出していくとともに、OMO(Online Merges with Offline)の考え方も取り入れていくそうだが、店舗に人が来ることによって集まるリアルのデータの使い方は
土地のなかでも売れる商品の特性などは分類でき、傾向はあるので、それを生かして例えば、店舗限定の商品開発や、ブランド本体のオンラインのブランディングを引き継いだまま、御当地的なアイテムも展開していけると良い。

―DX的な観点からアパレルをどうにかしようという話もあるが、例えば、店舗内でのヒートマップの作製といった技術の取り込みなどは
活用できる技術があれば活用していきたい。

―ターゲットとしているZ世代では、中国系のSHEINなど(が競合となるがそれら)との付き合い方は
もの凄く安く買う商品と、二極化していく部分は強いのではないか。高いか低いかというより、ブランド価値がある商品だ。ブランド価値があるというのは、リセールバリューがつく商品だと思う。我々も、自分たちの商品が中古のマーケットでどう流通しているのかはチェックしている。買ってくれた顧客が、売った時に、ほかにも中古でも欲しい顧客が付く熱狂度の高いブランドを運営していきたい。

―買収が今後の成長戦略とあるが、現段階でどんなブランドを買収したいか
具体的なことは言いにくいが、基本的にはZ世代かこれから拡大していくゆとり世代という30代以下をターゲットとしたブランドで、確固とした熱狂がある、荒削りだが熱狂度が高いブランドを仲間に入れて、自分たちがこれまで磨いてきた経営の技術を載せて、その熱狂をさらに広げていきたい。

―目標とするブランド数や規模は
日本で1番ブランドを持つ会社になりたい。トップが60ブランドだと思うが、今自分たちが20ブランドぐらいあって、1年で10ブランドずつ増えていけば、5年後に70ブランドになるので、結構な規模だ。ブランド数があるというよりは、それだけ多面的な誰かの熱量を会社のなかで、いろいろなカオスはあると思うが内包できていることが大事だと思う。誰かの偏愛や熱狂を日本中から集める会社になりたい。

―10年後に、どんな会社を目指しているのか。大きさを秤にしているのか、株式の価値か。そんなものは全然気にしていないのか
アパレルのなかで時価総額トップ5に入っていきたい。エモい話としては、5年後に日本一のブランド数と言ってので、数字的なところでは、10年後には少なくともそこは目指していかなければという気持ちだ。

―世界の誰もが知っているようなブランドになることは考えているのか
世界中誰もが知っているブランドを作るということはあまり考えていない。ブランドを楽しんでいる顧客がyutoriという会社を別に知らなくても良い。知っている顧客は少ないと思うが、興味を持ってくれた人は知ってくれて、当社で働く人も増えれば良い。

最初はメディアから始まったが、展開している事業と会社名を一致させたことはない。普通だったら9090ができたら株式会社9090というように一致させると思うが、自分たちはyutoriをもう少し概念的な広いイメージで捉えている。

―アパレルでは、海外で生産して国内に持ってくるイメージがある。サプライチェーン戦略について、今後どういう感じで、地政学的リスクも含めて、どんなところで作ってもらおうかという話は
中長期的には分散していきたい部分はありつつ、自分たちの規模が小さいので、ひとまずは今の路線のまま、トップラインや顧客の数、自分たちの会社の規模を大きくしていきたい。

―もっと広く、いわゆるSDGsで仕入先の人権の問題や児童労働、環境の問題は、成長していくうえで意識するか。そういうものはあまり気にせずにビジネスをやっていくのか
意識をして、経営を向上させていきたい。分かりやすいところで言うと在庫だ。服の消費量は一定だが、供給量は増え続けてゴミが増えるという点に関しても、商売として最も良いのは、作った分が作った分だけ売れることだ。短期的には、自分たちのスマートな経営の形を追求していくことが間接的に、今の話にもつながってくる部分があるのではないか

―アパレル以外の商材に手を広げていくそうだが、具体的に想定するものは
あまり開示できていないので、今は言いづらいところだが、Z世代がファッション的な感覚で、買うこと自体が楽しいという商材を定義して展開していきたい。具体的なジャンルまでは言いにくいが、「やってくぞ!」という感じだ。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


Updated: 2023年12月27日 — 19:25
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