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キャピタル・アイ Awards2016特集 野村證券インタビュー

最も優れた案件は何か、最も優れた発行体は誰か。 

キャピタル・アイ Awards “BEST DEALS OF 2016”

特集 「野村證券に聞く ~ 2016年度の市場特性と、今後の資本市場の発展に向けて」

 

キャピタル・アイ編集部はキャピタル・アイ Awards ”BEST DEALS OF 2016″の発表に伴い、野村證券のデット・キャピタル・マーケット部長石田輝彦氏とエクイティ・キャピタル・マーケット部長角野光彦氏に2016年度と今後の資本市場動向や取り組みについて聞いた。

 

– 2016 年度の債券資本市場の特性、発行体や投資家の動向、前年度からの変化について

デット・キャピタル・マーケット部長石田輝彦氏(左)とエクイティ・キャピタル・マーケット部長角野光彦氏(右)

デット・キャピタル・マーケット部長石田輝彦氏(左)とエクイティ・キャピタル・マーケット部長角野光彦氏(右)

2016 年は超低金利で始まり、7 月の英国国民投票でEU 離脱が決まると一時20年ゾーンまでマイナス金利に突入。企業の調達意欲が高まり普通社債の発行は18年ぶりの高水準となった。サムライ債市場は海外発行体に安定的な調達機会を提供し1.7兆円の発行規模に達した。TLAC 適格債の登場や中国発行体の16年ぶりの起債等が見られ、投資家に新たな投資機会を提供するような起債が目立った。

–       2016 年度の債券部門の受賞案件、注力案件について
パナソニック債は、国債利回りのマイナス幅が急速に縮小した難しい環境での起債となったが、適切な発行額の設定とすることにより総額の円滑な消化を達成。当社はこの案件の事務主幹事としてデットIR を含めた起債運営全般を主導。2016年度を代表するにふさわしい案件を成功に導いた。

東京電力パワーグリッド債は、旧東京電力の起債以来6年ぶりの起債再開に向けて、入念な準備を行って起債運営に臨んだ。当社としても継続的な発行を見据えた施策に注力した。マーケティングにおいてもできる限り多くの投資家に参加してもらうよう件数にもこだわって販売に注力した。

日本政策投資銀行は米国大統領選後の金利上昇局面での起債となったが適切な発行条件の設定により円滑な消化となった。日本政策投資銀行 は、常にフェアプライスを追求するスタンスの発行体であり、当社としても市場環境や投資家動向を精緻に分析した上で発行体と協議し、後続案件にとってのベンチマークとなるプライスの実現に努めた。

地方債では、投資家動向の変化を受けて新たな年限、起債運営方法の導入に注力した。埼玉県は、マイナス金利政策導入後の投資ニーズ変化を機敏に捉え、満期一括償還債で初となる25年債の起債となった。また、北九州市は、スプレッドだけでは適正水準を見極めることが困難となっていた地方債で初めて国債スプレッドと絶対値の併用方式を採用し、後続案件に道筋をつけた運営を行った。

サムライ債市場では、HSBCホールディングスのデビュー債において、当社はジョイントブックランナーを務めた。幅広い投資家層への販売を実現したことでサムライ債としてはリーマンショック後の最大発行額となった。TLAC/MREL適格の債券への理解の浸透を確認するとともに、Brexit 以後も英国金融機関に対する需要が堅調であることを証明することができた。

CITIC債(10 月;計1,000 億円)は、中国の発行体としては16 年ぶりのサムライ債であり、同国発行体のサムライ債として過去最大の発行額となった。当社はジョイントブックランナーを務め、事前にロードショーをアレンジするなど同発行体に対する理解向上に努めた。本案件の成功により日本市場を活用するメリットをアピールし、魅力的な運用資産を求める投資家に新しい商品を提供したことでも意義深い案件になった。

受賞案件以外では、国内市場における初の円建てグリーンボンドとなった野村総合研究所10 年債について、当社は単独主幹事を務めている。また、日本初となるソーシャルボンドとなった国際協力機構債についても事務主幹事を務めた。当社は良質かつ多様な投資機会の提供と言う観点から、グリーンボンドやソーシャルボンドの発行に向けて、発行体へのプロモーションを継続的に行っている。

–       2017 年度に予想される資本市場の動きと野村の取り組みについて
現在は、マイナス金利の導入から1 年以上が経過し、黒田総裁の任期満了まで1 年を切った段階にある。日銀総裁の交代によって、金融政策が激変するとまでは考えにくいが債券相場が大きく変動する可能性はあると考えられる。当社としては債券市場の持続的な拡大に努め、本邦市場が発行体にとって安定的な資金調達の場であり、投資家にとって良質な運用機会を得られる場であることを目指している。

引受証券会社としては市場環境が変化したとしても環境に応じた適切なマーケティング/プライシングを行っていくことが必要である。当社はこれまでも様々な環境変化に直面する中で適切な手法で起債を成功させることにより、資本市場の復活、発展に貢献してきたと自負している。資本市場の発展に向けた揺るがない信念を持って、さらなる市場の拡大に努めていく。

– 2016年度の株式資本市場を振り返って

昨年度は、英国のEU離脱決定や米国大統領選の結果を受けて、マクロ環境が大きく変動した1年で、市場もそれにより大きく動き、決して簡単な環境ではなかった。そうした環境下、当社としては、発行会社、売り手、投資家にそれぞれ向き合い、変動する市場に柔軟に対応しながら多くの案件を手掛け、それぞれのステークホルダーの要望に応え、納得性の高いプロセス、結果を目指して、案件に取り組んだ。

- 株式資本市場での個別案件について

◎ リクルートホールディングス
昨年度の株式市場ではコーポレートガバナンス・コードの導入や資本効率に対する意識の高まりから保有株の売却が進んだ。リクルートホールディングスは、市場が既存株主からの売却を懸念している中で、株主の潜在的売却ニーズに対応するために、事業パートナーでもある多数の株主をまとめて売出しを実施した。自己株式の取得や広範囲なロックアップの設定など市場にも十分に配慮した案件だった。投資家に対しては、2012年に買収したIndeedの成長ポテンシャルなどを中心とした成長ストーリーを訴求。ロードショーではグローバルに多数の投資家をアレンジ、旺盛な需要を獲得し株主層の拡大も実現した。ディール後の株価も堅調だった。

◎ JR九州
2016年度を象徴する大型民営化案件。借入金返済や固定資産の減損処理等を一気に進めてIPOに臨み、投資家から高く評価された。鉄道事業の採算改善、非鉄道事業の成長戦略に加え、株主還元策も好感され、国内リテールのみならず内外機関投資家からも旺盛な需要を創出した。

◎ LINE
メッセンジャーアプリ「LINE」の強固なプラットフォームを活用した成長戦略への期待から国内外で広く需要を獲得しIPO市場の活性化に貢献、2016年度IPOで最大の時価総額となった。仮条件レンジ修正や募集期間短縮など日米の制度等を調整し、初の東証/NYSE 同時上場を成功させた。

◎ スズキ2本立てユーロ円CB
野村はCBという自由度の高いプロダクトを発行会社のニーズに応じて設計し、発行会社にも投資家にもフェアな価格でマーケットに送り出してきた。スズキのユーロ円CBでは新型の希薄化抑制スキームを導入し海外投資家に販売した。これにより発行会社はVWから買い取った自己株をCB発行と消却の目的に充てながら希薄化の限度を明確にマーケットに打ち出し既存株主からも高い評価を受けた。当社は多くのCB 発行に関与し、常にフェアなプライシングを心がけていることによる投資家からの信頼の結果、スズキなどの難易度の高い新スキームであっても投資家は試みに快く応じて積極的にディールに参加、1兆円規模の需要が創出された。

◎ 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
三井不動産としては4本目の上場リート。Brexit直後の不安定な環境下でローンチしたものの、ポートフォリオのクオリティへの評価や、豊富なパイプラインを有する三井不動産の物流事業に対する期待も大きく、投資家から高い評価を得た。仮条件レンジの上限27 万円でクオリティの高い需要を集めプライシング。上場後の投資口価格も安定して推移している。

– 今後の抱負について

業者間の競争も年々厳しくなる中、それぞれのニーズに応えて、挑戦していくとともに、引き続きしっかりと市場に向き合いながら、それぞれのステークホルダーの要望に応え、案件に取り組んでいきたい。

 

【聞き手:キャピタル・アイ編集部】

 

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