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新規上場企業のいま(3):プロレドP(7034):広がる完全成果報酬制

ロゴ プロレドP50.50.70.80.90.95jpg成果報酬型の経営コンサルティングをクライアント企業に提供するプロレド・パートナーズが昨年7月に東証マザーズに上場して1年が経過した(上場会見の様子はこちらから)。上場当時を振り返りつつ、事業の現状や今後の展開を、佐谷進代表取締役に聞いた。PDF版はこちらからダウンロードできます。

 

佐谷進代表取締役

佐谷進代表取締役

■上がる経営の自由度
―上場前後でどんな変化があったのか
一番分かりやすく変化があったのは営業のしやすさの部分。売上高10億円程度の独立系コンサルティング会社であれば、「知らない会社」と判断される。上場しても「知らない会社」であることに変わりはないが、上場したこと自体が信用度を底上げする。法人営業の担当者から話を聞くと営業をする際の入り口の反応はすごく良くなった。

大手金融機関とのアライアンスやパートナーシップが非常に増えた。上場前の帝国データバンクの評点は、大手金融機関からすると組む対象として検討できるレベルではなかったと指摘されることもあった。上場した瞬間に評点は10点以上上がったのではないか。上場していること自体が金融機関と組むハードルを下げた。

採用面については、新卒採用は特に変わらないが、説明会に参加する人は増えている。中途採用では、優秀な人を採りやすくなっている実感がある。こういうレベルの人に入社してもらえるんだという感動があり、また、自分より優秀な人が増えてきて嬉しい。新しい人が増え、「すごく仕事のできる人が入ってきた」と周りも僕自身も刺激になっている。

一番良かったのは、会社の経営の自由度が上がったことだ。上場すると企業経営が自由になると実感した。例えば前述のパートナーシップも一つの例で、経営においていろいろなことをしやすくなる。管理が厳しくなり現場としてやりづらいということはあるかもしれないが、それは些末なことだろう。僕たちはグロースするために上場したわけで、その観点では自由になった。東証一部に行ったら行ったで、また次の段階の自由度があるのだろう。当然、地道に仕事し、市場変更への階段を昇っていきたい。より企業経営の自由度を上げて、これまで以上に飛躍させることが今の僕たちにはとても重要なことだ。ただし、今の雰囲気や場を維持することが前提条件となる。

―上場準備でのエピソードは
とにかく大変だった。最初に引いたスケジュールを1ヵ月も伸ばさなかったのは、当時は弊社ぐらいだと言われた。スケジュールをずらさないと決めていたため、きっちりやったという自負もあるが、そのぶんストレスも大きかった。ただ、準備中には、上場後に何をしようかと考えていた。上場したらどういうストーリーで成長させようか、5~10年後にどうしようかと。投資家への成長可能性資料も自分で作成した。役員陣と共有して上場後を見据えながら準備したのは、会社にとっての成功体験にもなり、良かった。

■スタート地点に立つ
―業務の現状は
会社としては順調な状況だが、会社を急成長させるには、連続的な成長と非連続的な成長の両方が必要だ。連続的な成長は既存事業によって実現させることを考えている。そのためには既存事業を日々改善し、クオリティ強化や効率化が重要になる。また、これは上場の有無に関わらずできることで、連続的な成長は今後も既存ビジネスにあると考えている。

今回発表した「SALES GROWTH(売上アップ)」と「BPR(Business Process Re-engineering、業務改善)」は、いままで提供してきた成果報酬型コンサルティングのノウハウを活かし、完全成果報酬のモデルで横展開した点において、連続的成長といえる。守りのコストマネジメントから攻めの売上アップの領域まで、オールラウンドでの案件管理を目指してトライ・アンド・エラーを繰り返し、実現可能になった今回のタイミングでリリースした。成果測定も弊社のノウハウの一つで、SALES GROWTHであれば売り上げの差分を見る。BPRは工数を業務単位で測り、各業務にもともとかかっていた工数をどれだけ減らせたかなどを見る。BPRはバックオフィスや小売の店舗、倉庫、工場など幅広い領域に適用できる。
プロレドP画像②プロレドP:BPR
―なぜできたのか
一つにはノウハウの蓄積がある。または、弊社側でリスクを取るラインの勘どころが明確になってきた。トライ・アンド・エラーの回数が減少したことで、完全成果報酬でのサービス提供が現実的なものになった。

コンサルタントの習熟度が上がらないうちは、固定報酬をもらわないと赤字になってしまうが、そうすると、ほかのコンサルティング会社と何が違うのかという話になってしまう。ただ単価が安いだけの会社となると、なぜ起業したのか、だったらフリーコンサルで良いんじゃないかと思う。人が集まって会社を経営している以上、会社の存在意義は必要だ。

トップファーム以上のクオリティのサービスを、リスクなしで、売上高100~1000億円の中堅企業に提供したいという思いがずっとあった。コストマネジメントだけではなく、「本来そんなことできるわけないじゃん」というSALES GROWTHやBPRを、完全成果報酬でできるようにしたことは、一つの節目だった。ようやく一つ理想に届いたというか、なんとかスタート地点に立てた。やろうとしていたことが実現しつつある。

―PE(Private Equity)ファンドを持つことは
これは連続的な成長の延長線上にあるビジネスの一つで、中長期的にはPEファンドを自分たちで運用し、PMI(Post Merger Integration)として投資先に売上アップとコストマネジメントを提供し、ほかと差別化したファンドを組成したい。着実に一つ一つ進めていければと思う。

一方で、上場した意味は何かということになると、連続的な成長だけではなく非連続的な成長も考えていく必要がある。ビジネスなので、株主にしっかり説明できる範囲内で、ある程度のリスクを取っていかなければならない。これは非連続的な成長の部分。急に表に出てくることではないが、日々いろいろな挑戦を仕掛けている。

■ノンコアビジネスを支援
―今後の目標について
数値目標として時価総額を5年で10倍にする。これは上場時にも、達成できなければ代表を辞職すると言っている。コストマネジメントのコンサルティングにしっかり取り組み、展開を始めたSALES GROWTHとBPRは着実に売り上げを増やしていきたい。SALES GROWTHで売り上げが1.5倍になったというような、インパクトがある記事を出せると思う。その辺りのレベル感にも挑戦している。

また、M&A戦略室を作り、しっかり機能しているので、自分たちの経営戦略に合うBPO(Business Process Outsourcing)の会社などを買収できればいいと考えている。いい企業があれば提携というか、いろいろな形で組めればいいと思っている。

―中長期のサービスメニューの拡大について
BPOの会社を買収すると、サービスメニューを拡大できる。例えばIT企業を買収したらツールやパッケージを作って提供できるようになる。我々が結局何を目指しているかというと、企業にはそれぞれ本来注力すべきコアビジネスがある。中国のファーウェイは売上高10兆円に対して研究開発費が2兆2千億円。コアビジネスへのパワーの傾け方が異常である。この規模でそこまで研究開発に力を入れられるとどのような企業も技術力で勝つのは難しくなる。

世の中の企業はそうなってくると考えている。ベンチャー一つを見ても、Uberはタクシーのみだし、Airbnbもそう、日本ではSansanは名刺だけだし、ラクスルも印刷だけ、と力の傾け方が重要になる。

その中で僕たちは企業のノンコアビジネスをサポートする。企業がコアビジネスに力を傾けた結果、最終的にはノンコアビジネスをうちに全部頼みたい、と思ってもらえる企業になることを目指す。僕たちのコンサルティングも今後進出しようと考えているBPOもクライアントにとってはノンコアビジネスだ。ノンコアビジネスをプロレドのコアビジネスにしていく。実際に、フォーチュントップ100に並ぶ企業の多くは、米国ではアクセンチュアにノンコアビジネスのアウトソーシングを頼んでいる。巨大企業のほとんどがノンコアビジネスをアウトソーシングしている中で、中堅企業や中小企業はアウトソーシングできていない企業の割合が多い。僕らは巨大企業のBPOをアウトソースされる側になりたいのではなくて、中堅企業、あるいは中小企業にとって、必要とされるようなポジションを築きたいと考えている。

―PEファンドの在り方は
会社によっては、宙に浮いている状況の子会社をカーブアウトして、僕たちと一緒に伸ばしていきましょうというパターンもあると思う。一方、本体が売上高100億円程度であれば、ファンドで資本を持って3年後に上場させるというやり方もあり得る。そこは、僕たち自身が完全成果報酬のビジネスモデルを通して実現したい「価値=対価」というビジョンの通り、行ったこと自体が認められ、それが報酬に直結する形を目指したい。

ハードルになるのが、成果の測りづらさ。経営戦略の成果をどのように測り、どのようにお金をもらうのかということを考えると、資本を持つしかない。ファンドでお金を運用したいのではなく、成果報酬のフィーをもらうために、エクイティを持つ。PEファンドは成果報酬のための手段として利用するという発想だ。

―臨機応変な対応を取るのか
ある程度はパターン化しなければいけない。従来のコンサルティングファームの課題は、労働集約型で属人性が高く、効率が悪い点にあった。その原因として、報酬は人件費×単価でパターン化されているのに対し、サービスはパターン化されていなかったことが挙げられる。そこを変えたいと思う。パターン化をして、自分たちのサービスはこれとこれとこれです、どれにしますかとクライアントに言える状態にしたい。選択肢を示すうち、8割はパターン化された状態で企業のニーズに応えられるメニューを揃えている。最初にコストマネジメントから事業を展開した理由は、成果が測りやすく、かつクライアントのニーズが一番高いサービスだったからだ。

■クライアントと一連托生
―上場会見で、ビジネスの質を変えると話していたが
コンサルティングは成果報酬制にしたことで、アドバイザーの立場を超えて関与できているが、自分たちが相手の会社の一部になるのがBPO。さらに、ファンドはエクイティを持つという点で「相手」そのものになる。これらはビジネスの質が違う。企業に対する浸透度合いを高めていきたい。

従来の固定報酬によるコンサルティングは成果を見届けないのが一般的で、クライアントとの距離感は離れている。成果報酬にしてプロジェクト実施後の成果を測り続けることで、距離感は固定報酬よりもクライアントに近づく。BPOは相手の会社の業務を請け負うのでさらに近づく。エクイティを持つと、最終的にはクライアントとの同質化が起こる。この軸は大事で、これが僕のなかでのビジネスの質を変えるということになる。顧客にとってはなくてはならない存在、つまり顧客と一連托生となる。「評論家」でいるのは面白くないと考えている。

―海外展開の方向性は
いますぐ支店を置くことはないが、M&Aした先の会社がBPOでオフショアのチームを持っていたりした場合、自然にそうなる可能性はある。仮に日本でのプロレドの成長が停滞し、アジアなど諸外国での成長スピードの方が見込める場合には、海外に出る必要があるかもしれない。しかし、いまは日本でのプロレドの成長スピードがアジアの成長スピードよりも早い。国内でやるべきことがまだたくさんある。進出するとすれば、比較的成熟している中国、タイ、台湾などが候補になるだろう。発展途上では難しい。

―株式分割を6月に行ったが
(1単元当たりの売買代金が)100万円を超え続けていたので、一旦分割して100万円以下にした。上場して1年間は株価のボラティリティが高かったので継続的に100万円を超えてこないと、とは考えていた。

―最後に、投資家に向けてひとこと
もうすぐ創業して10年近くになる。僕らの会社の特徴は、泥臭いことをしっかりやって、とはいえ取るべきリスクを認識して取っていくということだ。そうすると短期的に見たときには株価や業績も含めて波が上下することもあるかもしれないが、その辺りは分かったうえで、常にベストだと思ってやっていく。僕も(時価総額を10倍にするという期限を)5年で縛っているように、株主においてもできれば5年で縛ってもらって、長期的な目線で保有していただけると非常にありがたい。

世の中にキャッチアップしていくために、個人の成長を重要なテーマと捉え、自分にとって負荷が掛かる選択をするように意識していると話す佐谷代表取締役

世の中にキャッチアップしていくために、個人の成長を重要なテーマと捉え、自分にとって負荷が掛かる選択をするように意識していると話す佐谷代表取締役

信頼関係は5年かけてようやく出てくるものだと思う。例えば3カ月で売買する株は毎日株価を見てしまう。デイトレーダーやスイングトレーダーならそれでいいが、3~5年も株を持っていると、株価はそれほど見ない。多分信頼していたら株価はそれほど気にならないし、僕自身もあまり見ていない。もちろん大きな値動きがあったらIRチームと変動要因を協議し、必要なものであれば対策するが、目の前のことに一喜一憂しすぎても仕方ないというのはある。

とはいえ投資家にいろいろなタイプがあることも分かっているし、短期保有やスイングを否定するつもりはないが、僕たちの銘柄については長期的に持っているお客さんに、やはり持っていて良かったよねと言われるようにしていきたい。

 

画像などの出典:プロレド・パートナーズ

[2019/8/5:キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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