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サンケイリアル(2972)の太田社長、リートを資本市場への玄関に

「イリアッド・ジャパン」(東京大手町・東京サンケイビル)

東京サンケイビルの「イリアッド・ジャパン」(東京・大手町)

サンケイリアルエステート投資法人が12日に新規上場する。三大都市のオフィスビルを主な投資対象とし、上場時の資産規模は8物件・434億円。公募価格の10万円をベースとした分配金利回りは4.43%となる。スポンサーはフジ・メディア・ホールディングスの完全子会社であるサンケイビル。資産運用会社のサンケイビル・アセットマネジメントの太田裕一社長に今後の運用方針を聞いた。

――リートの特徴は
投資家にはポートフォリオの質の高さと内部成長余力、スタートは小規模だが外部成長の拡張性があることの3点を丁寧に説明した。

投資方針はオフィスビルが80%で、残りがサブアセット。東京圏と大阪市、名古屋市の比率を70%以上とする。地域分散の観点でもこの3ヵ所で十分。修繕・改修に費用をかけるとしても、成長余地が限定的な地方よりも大都市にお金をかけるほうが理に適っている。

目論見書に記載のオフィス21棟(取得予定分含む)は全てパイプラインと見なしている。金額は時価概算で3400~3500億円。スポンサーは賃貸マンションやヘルスケア施設もたくさん保有しており、パイプラインは相当な数になる。優先交渉権の有無にかかわらず、リートは優先的に情報提供を受けることになっている。

内部成長については、グループ会社にプロパティマネジメント業務を委託している物件があり、フィーを安く抑えられる。ポートフォリオの賃料ギャップは平均8.3%に達する。平均築年数は15.3年とオフィスリートのなかで最も若い。

サブアセットの用途は特定しておらず、ポートフォリオ収益の安定性に資することが条件。オフィスビルは景気感応度が高いため、ヘッジまたは補完する意味合いがある。上場時は新築ホテルを1棟組み入れる。20年契約の固定賃料で、グループ会社のグランビスタホテル&リゾートを賃借人兼オペレーターにしている。

――リート組成の背景とフジ・メディアHDとの関係は
フジ・メディアHDは2012年にサンケイビルを非上場化した。フジ・メディアHDの2018年度の連結営業利益の53%をサンケイビルが占めており、グループの成長を牽引する存在になっている。

サンケイビルは非上場ゆえに、開発資金を借り入れで賄っており、新規の投資には限界がある。資金を確保するために相当数の保有物件を外部に売却してきたが、管理ビジネスを同時に失い、収益機会を逸失していた。資金調達の多様化にはキャピタルマーケットへのアクセスが必要と考え、2~3年前に上場リート組成の検討に入った。ポートフォリオを作り込む過程で、投資家へのヒアリング結果を元にオフィス系リートに仕立てた。

スポンサーは資金調達のために一定程度の物件を売却し、リートはそれを利用して資産規模を拡大するという相互貢献型のモデルが完成している。リートが成長しなければ、サンケイビルもフジ・メディアHDも大きくならないので、外部成長の継続性は担保されている。

――物件の取得方針は
中規模オフィスの「S-GATE」と宿泊特化型の「インターゲートホテルズ」という築浅のブランディング物件を主軸アセットとする。いずれもスポンサーが2015年に立ち上げ、目下注力している案件。外部に売却すると名称が変わる恐れもあるため、ブランドの承継を含めてリートが引き受ける。S-GATEは竣工済みの6物件全てで「DBJグリーンビルディング認証」の4つ星を取得している。IPOでこのうち2物件を組み入れる。

「東京サンケイビル」(東京・大手町)と「ブリーゼタワー」(大阪市・梅田)というスポンサーの東西の旗艦物件を共有の形で取得する。スポンサーのコミットメントの証であり、ポートフォリオの資産額の4分の1を占める。リートがスポンサーの旗艦物件を保有するのは珍しい。ブリーゼタワーは複合ビルだが、最も収益力のあるオフィス部分のみを切り出して、スポンサー持ち分のうち30%をリートが取得する。NOI利回りは4.7%と、梅田の物件にしてはかなり割安だ。

今後の取得目標については、純粋なポートフォリオの利回りであるスタート時の4.1%から下げたくないと思う反面、セカンダリーの評価次第とも考えている。上位のオフィスリートのように、時価総額ベースのインプライドキャップレートの期待利回りが低ければ、早期の外部成長に向けて目線を変えるかもしれない。バランスを考えて臨みたい。

――東京サンケイビルの組み入れ比率が2%と低い。
ポートフォリオの利回りと分配金を下げないため。NOI利回りは2.8%と一見低く感じるかもしれないが、償却後でも2.5%にとどまる。

ポートフォリオの利回りを4%台に仕上げたかったほか、IPOならではのディスカウントを求める投資家が存在することも重視した。サンケイビルの比率が低い分、ブリーゼタワーの持ち分を高めた。新規取得の「ホテルインターゲート東京京橋」の利回りは3.9%と、京橋の平均的なオフィスの3%台半ばよりも高い水準が確保できた。リートはポートフォリオ運用なのでスターはほどほどで十分。優等生で固めてクラス全体を良い姿にするほうがよい。

――DPUの成長目標は。
最低でも年間3%ずつは引き上げていきたい。外部成長で資産規模が拡大すれば数値目標は変わるかもしれないが、当面はポートフォリオの内部成長余力を活用するので、年間3%増は超える見通しだ。

LTVは45.8%とオフィスビル系リート平均の40%台前半よりやや高い。ガイドライン上は40~50%で実務上は45~50%とするが、金利の低位安定は当面続くと考えており、LTVを多少上げても分配金を高めたい。

ロードショー後の投資家のコメントを見ると、「規模が小さい」が懸念点に挙げられたものの、ポートフォリオの質と分配金利回りのバランスは全員一致で評価された。ポートフォリオの構成が、スポンサーのポートフォリオの相似形を成していることもプラスの要素だった。サンケイビルへの投資ニーズは強いが、同社の再上場は考えにくい。リートへの出資を通じて投資機会を提供できる。

――「メディア系リート」の具体的な意味は。
財閥系や電鉄系と同じようにスポンサーグループの属性を示している。メディア系ならではの特徴という期待に応えるとすれば、ブリーゼタワーには劇場が入居しており、来年に開業予定の複合商業施設「ハレザ(Hareza) 池袋」も8つの劇場を備える。ランチタイムのキッチンカーはサンケイビルが発祥だ。メディアは人と人をつなぐ。不動産も「メディア」と考える。

――上場後の目標は。
遅くとも上場後3年以内に1000億円、5年以内に2000~3000億円の資産規模を目指す。投資口価格はマーケットが決めることだが、我々が望むような価格で推移すれば早い段階でPOを実行したい。

サンケイリアルエステート投資法人(2972)の上場会見の様子はこちら

[キャピタルアイ・ニュース 池部 渚]


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