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上場会見:イメージ・マジック <7793>の山川社長、ODPで究極の仕組みを

3日、イメージ・マジックが東証マザーズに上場した。初値は公開価格の1740円を60.92%上回る2800円を付け、2300円で引けた。同社は、顧客がWEBサイトを通じて入稿したデータを印刷・加工して納品するオンデマンドプリント(ODP)サービスを手掛ける。自社販売とパートナー企業からの受注に対応。自社販売では、受注サイト「オリジナルプリント.jp」を2010年に開設した。対応アイテムはTシャツやマグカップなど。山川誠社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

山川社長は、今後の見通しとしてNFTに関するグッズの作成にも商機があるとの見方を示した
山川社長は、今後の見通しとしてNFTに関するグッズの作成にも商機があるとの見方を示した

―初値が公開価格を大幅に上回った後、引けにかけて急速に下がってしまった
期待の表れで上がり、これからが試練だと思っている。公募価格よりは上がったことには、ひとまずは安堵している。

―足元の新興市場の環境が悪く、上場を延期する会社も出ているが、それは検討しなかったのか
資金調達を主としておらず、認知度を上げることが第一だった。それによって、いかに人材の獲得をしやすくするか。求人で見ていると上場企業で働きたい人が多く、今まで人材の獲得に本当に苦労してきた。上場は早い段階のほうがいいだろうという判断だ。

―マーケットの環境を踏まえて、慎重な意見はなかったのか。
例えば、ODPの世界的なトッププレーヤーはAmazonで、日本でも一昨年からTシャツプリントを始めた。プリンターに数百億円を投資することも宣言している。もうパワーゲームだ。資金を投入して機器を揃えるのが彼らの考え方だが、我々は工夫していかに少ない資金で、人材の頭脳を使ってコストを下げるか(に注力する)。

主要なプレイヤーは、とにかく大量の機械を安く買い付けて、広大な敷地にプリンターを並べて量産効果で安くする。本当にパワーだ。我々は、それは決して得策ではないと見ている。いかに(生産にかかる)1秒を短縮するかに関しては、優秀な人材を取るほうが先だろう。そうなった時には、良くなるのを待つよりも今のタイミングで上場してしまったほうが良い。外部からも、もう少し待ったほうがいいのではないかと言われていた。

過去にも、(採用で応募者と)面接すると、上場企業と当社であれば、やはり上場企業に行ってしまう。上場企業のなかでもまだ底辺の部類だとは思うが、認知度を少しでも上げることをいち早く行うことは重要だと思う。

―国内ではパイオニアとして競合がないようだが、海外に競合があるなか、どのように成長を加速させて強みを出してくのか
我々の独自の調査なので正確ではないが、全世界でオンデマンドプリントが加速するなかで、どこが最も安く早く作れるかがキーだと思う。ある米国の類似企業を調べ、実際に海外の展示会で把握してきたものだが、我々のほうが圧倒的に早く安く作れる仕組みだ。いかに早くリードして、究極の仕組みを構築したところが一気に拡大できるのではないか。そこに向かって踏み込んでいきたい。

―究極の仕組みというのは、安さと早さが…
そうだ。無人化までは無理だと考えているが、いかに少人数でできるか、それには、ハードウェアやソフトウェアの改造や、人の改革などがあり、それは日本の得意分野の1つではないか。

―今後、成長していくうえでの課題認識は
やはり人材だ。今まで、開発のエンジニアという部分だけだったが、究極の仕組みを目指すには、ソフトウェアのエンジニアだけでなく、(プリンターなどの)ハードウェアのエンジニアも必要だと思っている。

イメージが分かりにくいかもしれないが、徹底的に安くするには、当社でオンデマンドプリントをする時はプリンターを使うが、我々の理想とするプリンターは存在していない。

プリンターはプリンターメーカーが販売する。彼らの仕様として万人受けするものを販売する。我々の目線からは、プリンターメーカーが作るプリンターは、全ての機能としては不十分だ。オンデマンドプリントに最適なプリンターを彼らが出すかというと、マーケットがまだ小さいこともあり、出さないと思う。幅広い知見を持ち、それぞれに特化したさまざまな人材を獲得することが課題だ。

―KPIとするトランザクション数に関して、現状では天井があるとの認識なのか、今後どのように高めていきたいのか
「オリジナルプリント.jp」のKPIだが、市場が広がっていくので、天井はまだ見えていない。課題については、高速でPDCAを回している。例えば、昔はなかったが、今はSNSが主流になっている。時代背景が変わっていくなかで、いかに早くそちらにシフトしていける開発体制を整えていけるかも必要だろう。

―これまでと異なり、1つひとつの物を素早く安く生産することで、届けるための物流が変わってくると思う。発注側の話かもしれないが、その辺りをどう見ているのか
京田諭取締役:我々自身が、トラックを持つといったように足回りを持つことまでは考えていない。ただ、消費者は安く早く受け取りたい。

直近では、例えば、相当な(種類の)物をメール便で送れる機能を開発しており、アパレルに特化した国内でも独自のものとなる。また、(検討段階だが)我々自身が物流に関する1つのステップを担い、送付先の地域をある程度揃える。そうすることで物流会社の工数を減らす。ユーザーの利便性を高め、物流会社に安く早く届けてもらうような工夫を、ぜひ行っていきたい。

―今後の展開領域として、3Dプリンティングなど立体物の出力に関しては、何か考えがあるのか
山川社長:過去にも検討して、それなりのマーケットは取れると思うが、3Dプリンターは製造する速度が遅過ぎる。人が行っていた部分を自動化することが我々の非常な強みだと思っている。

機械がほとんど動いて人があまり動かずにできあがる(3Dプリンティングの)仕組みは、どこにでもできてしまうのではないか。現時点では静観している状態だ。特に、スニーカーなどができたらいいと検討したことがあった。ただ、理想とする3Dプリンターがまだない。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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