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上場会見:ボードルア<4413>の冨永社長、技術を絞り大手を狙う

11月30日、ボードルアが東証マザーズに上場した。初値は公開価格(2000円)を37.5%上回る2750円を付け、2250円で引けた。同社は、クラウド導入支援や、ネットワークの仮想化、クラウド・セキュリティ、5G/IoT対応ネットワークインテグレーションなど、ITインフラストラクチャー領域での複雑化したニーズに応える。冨永重寛社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

冨永社長は、領域特化型の実務経験で、業務知識の蓄積が速く、より確実な人材育成につながると話した
冨永社長は、領域特化型の実務経験で、業務知識の蓄積が速く、より確実な人材育成につながると話した

―初値が公開価格を上回ったことについて
公募価格を上回ってスタートできて終われたのは、ほっとしている。

―先端技術分野への注力について、クラウドの売り上げ比率が最も高いが、クラウドがメインなのか
クラウドが売り上げとしては最も多いが、ばらけている。セキュリティやネットワークの仮想化も物凄く売り上げが伸びているので、満遍なく伸びてくる。クラウドはマーケットサイズが大きいので、売り上げが24%ぐらいを占めている。

ただ、注意点があり、重複売り上げを含んでいる。例えば、セキュリティをクラウド上で構築すると、両方の技術を組み合わせており、ダブルカウントされる。重複を完全になくした数値である先端技術分野の売り上げは、40%程度となっている。

―大規模顧客への営業を強化するというが、中堅・中小企業への営業は行っていないのか
そのような営業部隊もあるが、普通の会社に比べて少ない。ルート営業に近いものに4~5人で取り組んでおり、引き続き行っていく。

―あくまで営業のメインは、(IT領域で一般的に大規模顧客を示す)エンタープライズに特化するのか
ソリューション部は、エンタープライズ特化の営業部隊だ。

―何人いるのか
今は2人で、これから3人になる。大所帯ではないが、十分に開拓していける人数ではある。

―今の取引先には大手通信キャリア企業などが多いが、ターゲットとする業種のイメージは
全業種に満遍なく攻めている。我々の手掛けているものが特殊な領域であるので、さらに業種も絞ると市場規模が小さくなる。技術を絞りながら、エンタープライズを攻めていく方針だ。

―そうすると、どの大手企業もITインフラの技術を求めている状況なのか
そうだ。偶然、最初に取引関係に入ったのがキャリア企業だった。

―大企業向けの売り上げをどの程度で伸ばしていきたいのか。数字的なイメージは
マーケットがどの程度を想定していてPERを作って維持していけるのかイメージを持っており、1つの目標としてそこを上回っていけると思う。

―急ぐというよりは手堅く進めたいのか
あまり軟調な利益・売上高成長をしていると時間がかかる。利益基準では数年前に上場できたと思う。ただ、上場後にそれなりのスピードでしっかり伸ばしていける算段が付いてきたので、このタイミングで上場した。

新卒採用も、そのために2~3年前に強化して、あと3年ぐらいで5年生になる。また、先端技術の割合も増えてきたので、ゆっくりというよりは、それなりのスピード感をもって成長させていきたい。

―就業後7~8年目以降に一定の基準を満たした人員が「高度専門人材」となるというが、そのような人材が増えた後の人員配置はどうなるのか。管理ではなくスペシャリストとして働きたいという人もいるのではないか
プロジェクトマネ-ジャーや案件のなかの管理者を含めて管理という位置付けでは、4割ほどが管理者で、6割がスペシャリストのイメージだ。管理者が増えていくと、「専門人材」や「エントリークラス」の人材も一緒に合わせて仕事ができるので、管理者の人数が増えていくことは、当社の売り上げには非常に関係がある。

―2022年2月期第2四半期の営業キャッシュフロー(6571万円)について、1期の間にお金が入ってくるタイミングには、例えば、3月に多いなど偏りがあるのか
キャッシュフローで見ると、下期のほうが偏りがある。利益や割合などは下期のほうが高い。

村上海磯経理財務部長:税金の支払いが1億2300万円と大きく出ており、下期に利益が少し減り、上期が少ない部分と法人税の支払いの部分が一番大きい。あとは賞与などもある。

―この第2四半期の数字を投資家が一目見てどう判断するのか気になったので質問した
四半期(の決算情報)を初めて開示したので、投資家にとっては比較ができず、伸びていくのか少し分かりづらくなってしまう。ただ、同じ傾向の成長が続くと見ている。

―M&Aの青写真について
冨永社長:M&Aを上手に活用して伸ばしているSHIFTやOrchestra Holdingsといった会社があり、そのあたりを勉強しながら考えていきたい。現実的に今決まっているものはない。

―資金使途は
全て人材の採用・教育コスト、採用したメンバーの人件費の半年分ぐらいだ。採用コストは紹介会社に払うフィーで、半年分の教育コストがある。

―新卒採用は百数十人規模で続けているが、加速するかギアを変えるか
新卒1~2年生の人数としては、今はかなり異常値が出ているので、数年はこのぐらいの水準で筋肉を付けながら、同じ程度の水準で採用していく。

―資金が潤沢になったからといって採用を増やすわけではなく、引き続き百数十人のペースで採用するのか
そうだ。

―株主還元について、中長期的にいつ頃から配当するのか
まずは企業成長を中心に考えていければと思う。プライム市場への上場も視野に入れながら進めているので、その利益基準である25億円、1年で12~13億円が基準としてあるので、そのあたりが視野に入り出した段階で検討していきたい。

―利益水準が1年で12億円程度とは
プライム市場の営業利益の基準が2ヵ年で25億円、その半分が12億5000万円なので、そこに到達し始めたらプライム市場が視野に入ってくる。そのあたりから配当を検討したい。

―いつ頃に到達したいか
そんなに遠くはない。

―数年内か
そこまでは遠くないと思う。

―そこまでは、まだ獲得できていない仕事がたくさんあるということか
今のメンバーでできる範囲だと見ている。仮に今採用がストップしたとしても、例えば、今のメンバーが育って、数年すればできる範囲ではないか。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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