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上場会見:GC企画<4073>の矢ヶ部社長、接続先切り替えでストック増

28日、GC企画が東証マザーズに上場した。初値は公開価格(1890円)を35.4%上回る2560円を付け、3060円で引けた。同社は、カード決済システムパッケージ「CARD CREW PLUS」を販売する。このほか、キャッシュレス決済サービス事業としてカード会社加盟店や企業への導入、クラウドによる決済ASPサービスと導入後の保守・運用に関するサポートサービスはストック収益になっている。上場承認を6月に受けたが、延期した。東京証券取引所で矢ヶ部啓一社長が上場会見を行った。

クレジットカードを利用する際の信用照会にかかるコストをできるだけ低減したいと話す矢ヶ部社長
クレジットカードを利用する際の信用照会にかかるコストをできるだけ低減したいと話す矢ヶ部社長

-初値が公開価格を35%上回りストップ高となった。上昇をどう見たか
投資家に注目してもらっていることに、非常に責任を感じる。計画しているものをしっかり実行していかなければならないという強い気持ちになったし、決済市場は市場そのものに将来性があると思うが、いろいろな業者が参入してきている。我々が始めた20年ほど前には競合は少なくなったが、増えてきた。国際ブランド決済ネットワークなど特色あるサービスを始めて、事業をしっかり伸ばしていかなければという思いを、株価を見ながらさらに強くした。

―1~2年単位で株価を維持するためにどのような努力をするか
当社は非常にコンパクトな会社で、モノを作ることについては長い時間取り組んでいるので、それなりに力があると思うが、営業だ。その力をアライアンスも含めて今後どう増やし、仕事を獲得していくのかが課題だと思っている。

また、開発のリソースをもっと増やしていく必要がある。今後の人の採用をしっかりやっていかないと、仕事があってもこなせないことも出てくる。会社にとっての大きな課題と捉えてしっかり取り組んでいく必要がある。

―当初、大手ベンダーが、決済周りが特殊だから手掛けなかったとのことだが、どのような特殊性があり、どうブレイクスルーをしたのか
今は、世の中がキャッシュレスということになっており、大手ベンダーもなるべく自分で取り組む流れになっている。我々は二十数年間このような商売をしている。元々POSベンダーは、例えば、今はパソコンをベースにしたサーバーが主流だが、二十数年前にはオフコンや汎用機で決済の中継システムが作られていた。値段が非常に高く、たくさん売れるわけではないのでメーカーとしても自社で抱えて販売するには足かせになっていた。

当時、Windowsサーバー内に我々が決済システムを作り上げた時には、コストメリットが高かった。Windowsサーバーはそのような業務に使うものではないのではないと言われたが、うまく動くとPOSベンダーも自社で重い仕組みを持つのではなく、協業して当社の製品を扱ってくれ、会社ができてから4~5年目ぐらいにはそのようなオーダーが結構あり、うまく決済業界に参入した。

―小回りの利く技術を開発したことがポイントだったのか
そうだ。

―参入障壁や1番の強みは
1つは、参入する時に決済業界の中でいろいろな慣習があり、それを理解しないと、全く違う業種がいきなりやっていくのは難しいところがある。ただ、以前はクレジットカード中心の決済だったが、今はQRコードや電子マネーなどがあるので、その分野を中心に参入するメーカーやベンダーは随分増えてきた。

―対処や強みは
取り立てて当社が強いのかといえばそうでもないが、クレジットの場合であれば、国内はCAFISやCARDNETに各カード会社がぶら下がっている。そのようなことをしているネットワーク会社がある。我々はそれを品揃えと割り切って、電子マネーやQRコードではそのようなネットワークでつながっている業者を選び、品揃えを増やして対応する。競合として戦っていく戦略は採っていない。加盟店にとって品揃えを増やして利用してもらう。

―今後の解約率は
一定の解約はある。数字で出しにくいが数%ほどはある。我々の決済ASPサービスの領域体系は、例えば、クレジットカード決済だけを使う場合には、POS1台当たり月額500円で、電子マネーも扱うと数百円を足すといったように決済手段を増やすごとに料金を上乗せしている。顧客はオールインワンで使うわけではないので、しばらくは決済手段を増やすことに対してストック売り上げを伸ばしていくことができるだろう。

また、国際ブランド決済ネットワークへの切り替えは、POSや端末1台当たりという料金体系ではなく、乗ってもらえるカード会社と、発生するトランザクションデータ量、例えば、信用照会1件当たり2~3円(を当社が受け取る)という話を詰めている。これはストック売り上げに入ってくる。データ量が増えればストック売り上げが増えるため、そういったものを加えながらストック売り上げを伸ばしていきたい。

―ストック収益の顧客数が今後楽しみな感じだが
顧客をどんどん増やすことは難しいが、国際ブランド決済ネットワークで考えているのは、今我々がつなげている顧客はCAFISやCARDNETを使っているが、切り替えることでトランザクションごとのフィーを受け取ることになる。既存のユーザーを切り替える。勝手に切り替えることはできないので、話をしてメリットを感じてもらって切り替えてもらうことがストック売り上げの成長につながると計画している。

―国際ブランドネットワークへの接続で、これまでできなかったことをできたらとのことだが、コスト削減による関係者への利益の還元以外にもできることがあるのか
これからもっと調べなければいけないこともある。例えば、サービスを行っている会社もあるが、ダイナミック・カレンシーコンバージョン(BCC)というサービスがある。外国人が日本に来ると円建てで買い物をする。米国人であればドル建てで直接決済する仕組みが国際ブランドのなかで標準的にサポートされている。当社でサービスを開発して加盟店に展開することが考えられる。それに準ずる国際ブランドが持っている仕組みがあるので、まだ研究の余地があるが、うまく展開できないかと考えている。

―来期の業績の計画の数字は
当社のなかでは中期計画を持っており、ここではオープンにできないが、ストック売り上げを厚くしていきたい。

―上場延期の具体的な理由は
特許権侵害ということで訴訟が起こった。顧問弁護士や弁理士と協議し、特許権侵害はないという結論に至った。ファイナンスを中止するタイミングで訴訟が起こっているので、我々の上場を邪魔して和解金などで事を収めようという捉え方をしている。東京証券取引所にしっかり説明したことで、今回の再度の上場承認が出たと理解している。

裁判の行方に関しては、今具体的に進めているが業績に影響はない。ただ、提訴されたタイミングが6月25日に届いて、前回のファイナンスの肝になる条件決定日だったので、このまま進めると株主にきちんと説明しないと不信感を持たれると考えて、上場承認を取り下げることで1回見送った。

―係争中だが和解の方向か
全く特許を侵害するものではないと考えているので、和解の方向ではない。技術的に特許侵害していれば和解をどうするか考えていかなければならないが、全く考えられない事象であったので、上場が延期になったことにかかった費用や名誉棄損的なものに関して別訴をしている。

―配当金は未定だが、今後の配当性向は
これまで25%を目安にしてきた。そこはあまり大きくぶらすつもりはない。今期は30%近くになっているが、25~30%が最適ではないかと考えている。

―来期以降も同じ水準か
計画としてはそうだ。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]