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上場会見:リベロ<9245>の鹿島社長、不動産と引っ越しをDX化

28日、リベロが東証マザーズに上場した。初値は公開価格(1400円)を38.5%上回る1940円を付け、1572円で引けた。同社は、転居に伴う引っ越しやライフラインの手配をサポートする。不動産事業者向けの「新生活ラクっとNAVI」と法人向けの「転勤ラクっとNAVI」が主力。独自のシステムで最適な業者をマッチングする。サービス提供者である電力とガス、インターネット回線事業者、引越業者から成果報酬型の手数料を受け取り、不動産会社には仲介料を支払う。東京証券取引所で鹿島秀俊社長が上場会見を行った。

利用する法人企業と不動産、引っ越し会社、個人の4方よしのプラットフォームになっていることが強みと話す鹿島社長
利用する法人企業と不動産、引っ越し会社、個人の4方よしのプラットフォームになっていることが強みと話す鹿島社長

―初値が公開価格を上回ったことに対する受け止めは
公開価格を上回って一安心というところと、どうなるか分からないので半年~1年後に、本当の会社の価値が出てくると思っている。その時に今の株主や信用してくれた人が良かったなと思う取り組みで業績を上げていくことしかできない。半年~1年後に喜んでもらえる事業展開をしたい。

―コロナ禍の影響で、昨年は大手引っ越し会社が減収だったなか、売り上げが2ケタ増加しているが、何か秘訣があるのか
まず、(引っ越し会社の売り上げが)なくなったという影響よりも、(引っ越し時期が)ずれた。引っ越し会社は、3月末と4月末の引っ越し代金が全然違う。総件数は微減だが、分散することで利益が一気に下がった。我々の扱う総数が変わっていないところが大きな要因と思う。

―コロナ禍の悪影響はなかったということか
「影響があった」というほどではなく、それ以上に法人の転勤ラクっとNAVIが伸びており、法人向けの転勤需要を伸ばせた。また、引っ越し件数が微減で分散した点だ。

―引っ越し安心サービスは東京電力も提供しているが、大手に対しての強みや参入障壁は
デジタル庁で、新生活にまつわる手続きが煩雑だから(それを解決するサービスを提供する)ということで我々も選定されており、特設サイトで公開されている。

顧客がアクセスして自分で使うものだが、まだDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいない2つの業界であることと、知識があればネットで自ら選べるが、引っ越しは数年に1回のことなので、そもそも知識がない。地域ごとの礼金や更新料の有無や、未知の用語がたくさんある。そこで、一括してリベロに任せたほうがいい。

リベロ側では、顧客が使う携帯端末の機種から、(各種サービスを)どういった用途で使うのかなどコンサルティングを行ったうえで提案する。外から見ると何が違うかと思われるが、継続率に差がある。1回使うとずっと使ってもらえるぐらい違うサービスだ。

横川尚佳常務:他社のサービスとあまり個別に比較はしないつもりだが、他社では基本的に情報を伝達する。1回登録すれば情報が一方通行になっている。どこに送るかというのは、自分で選択するか提携先の会社のなかからしか選べない。

我々はコンサルティングを行い、ユーザーにぴったりな電力やインターネット、希望に沿う引っ越し会社を紹介できるアドバイスである点が全く違う。最終的に我々を選ばず、顧客が自身で手配することもある。我々としては顧客に満足してもらえれば大丈夫という形でサービスを実行している。

デジタル庁の取り組みにも参画しているが、(デジタル庁は)情報伝達のフォーマットを統一しようとしている。例えば、銀行や証券、電力、ガス会社に情報伝達する際の項目や、必要な情報の持ち方を1つのフォーマットにすることを主導している。そこに我々がアドバイザーとして入っている。

―BtoC領域(法人向けの福利厚生サービスの「ヘヤワリ」を個人向けに展開すること)で伸ばしていくのか
時間はかかるが、取り組みや方向性に関しては伝えることができる。随時、準備の進捗や、リリースの見通し、収益性に関しては株主になるべく早めに出したい。

―いつ頃までにサービスを開始したいのか
早めたい部分ではあるが、現在でも一部やっている。我々の名義で保有している物件は3500戸ほどある。サービスを提供するうえで、(不動産)会社とエリアで違いが多過ぎて業務負担が大きい。逆に言えばDX化することで、ものすごく簡易化できる面もある。どちらが先かとなった場合に、今公開してその分人員が多くなってしまう。

社内で何をシステム・AI化したらどの程度の時間と人員を削減できるか見えているので、まずそれをする。不動産会社との連携を電子契約でスムーズにするためにDX化を進めることで、業務負担のコストが下がるので、どんどん公開したい。

公開することはできるが、月に5000人だけと(限定するよりも)、しっかりした受け入れ体制と簡易化ができた状態で効率よく進めたい。いつからというよりは進捗も含めて状況を説明したい。

―無借金経営とのことだが、上場後は株式での資金調達が可能となる。資本調達コストに関する考え方は
横川常務:当社のビジネスモデルからは、現時点ではそれほどキャッシュが必要ではないため、今は目論見書などに書いてある資金使途はあるが、資本コストに関しては極力低下させていき、あるべき姿を目指していきたい。

―低下させるということになると、借り入れも活用しながらということか
そうだ。必要であれば考えている。

―資金使途は
鹿島社長:ヘヤワリや転勤ラクっとNAVIのPRや広告と、上場して知名度が上がった状態での採用に使いたい。
横川常務:システムにも使いたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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