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上場会見:セレンディップHD<7318>の髙村会長・竹内社長、完全ハンズオンで短期に改善

24日、セレンディップ・ホールディングスが東証マザーズに上場した。初値は、公開価格(1130円)を46.5%上回る1656円を付け、1376円で引けた。同社は、モノづくり企業に対して、セレンディップHDが長期で、子会社のセレンディップ・フィナンシャルサービスが中短期で投資を行い、製造業3社とエンジニア派遣1社を傘下に置く。髙村徳康会長と竹内在社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

投資対象の表面の業績だけでなく、成長の奥行きも見極めると話す竹内社長

投資対象の表面の業績だけでなく、成長の奥行きも見極めると話す竹内社長

―初日の株価が公開価格を上回った
竹内社長:上場の1番の目的は信用力の強化で、今後、全国展開するが、まずは投資先のステークホルダー、オーナーはもとより従業員や取引先の信用を得るという意味では大きなメリットだった。投資先の企業価値、牽いては我々の企業価値を向上すべく継続して努力し続ける。より慎重に投資を行い、高い成長を目指す意味ではこの体制をいかに維持できるかというのが、我々の1番の目標となる。

―買収や投資先の条件は
業種・業態で基準値が少しずつ異なる。例えば、セレンディップHDが行う100%子会社化する投資の基準は、自動部品業は売上高50億円以上が前提となる。スマートファクトリー分野では20億円以上が1つの基準値となる。経営支援分野では5億円以上となる。

一方、子会社のセレンディップ・インベストメントは純投資になるので、より高いROIが得られるのであれば、そこに大きな基準値を設けていない。目安としては、自動部品業で売上高50億円以下、スマートファクトリー分野では20億円以下のサイズ感となる。

■成長の奥行きを見る
―買収先の損益面の条件はあるか
当然こだわっている。表面上良いに越したことはない。我々は表面だけでなく、奥行きや伸びしろ、改善幅をデューデリジェンスで見立てる。どれぐらいの成長余地があるかの見立てが我々のノウハウでありマジックの部分だ。その時のPLが表面上悪かったとしても買収するケースは、伸びしろを見ているためだ。

髙村会長は、事業に関して経営×金融でありいろいろな側面からの見方があり得ると話した

髙村会長は、事業に関して経営×金融でありいろいろな側面からの見方があり得ると話した

髙村会長:パイプラインのなかに赤字企業が増えているのも事実だ。我々がすぐに株を取得するわけにはいかないが、もし経営に関与すれば良い会社になるのではという提案をした会社が、成功報酬型企業再生の案件につながっている。

当社のプロフェッショナルチームが半常駐で入っただけで、数ヵ月で黒字化した会社が複数出てきている。PMIで培ったノウハウを、株式の保有なく外部で活用する動きが再生支援ビジネスにつながっている。

―損益改善だが、リストラはするのか
竹内社長:やらないことを標榜するわけではなく、必要に応じてやるが今までにやったことがない。基本的にトップラインを伸ばすことが全てであり、頭数で減らせるものは たかが知れている。例えば、在庫や取引先をリストラすることはあっても、人件費云々でどうこうなるレベルでは大した金額にならない。トップラインを伸ばすためにいかに組織をシフトさせていくかという話と、原材料や部材の調達も含めた物流のコスト削減は当然行う。

―セレンディップ・フィナンシャルサービスが手掛ける投資のエグジットはどんなものか
髙村会長:ホールディングスで株式を取得する場合には、100%で長期保有が前提となる。それ以外は全てセレンディップ・フィナンシャルサービスが取得する。PEファンドや事業会社と共同で取得する場合は、最終的に事業会社に売却することが前提となる場合があり、100%にこだわらない投資と呼んでいる。

竹内社長:これまでアントキャピタルというPEファンドと共同で2社に投資した。1社はエグジット済み、1社は保有中だ。

髙村会長:特徴的なのは、どちらの会社で投資をする場合でも、当社のプロ経営者がいわゆるPMIをしっかり行い、通常よりも短期で会社を良くする。通常よりもさらに利益率を高くする動きをしたうえで投資する。そこがほかの会社と若干異なる。

竹内社長:完全ハンズオン型の投資が我々の前提となる。
髙村会長:選定基準の定性要因に関しては2つある。セレンディップのPMI様式を導入できそうなモノづくり企業、導入したら業務改善が非常に進みやすく凄く良くなりそうなモノづくり企業という目線がある。2つめは、同業の2番手や3番手のM&Aが可能な業態。その業態で複数社が存在している会社が対象になりやすい。

■社長と番頭をセットで
―1人のプロ経営者は複数社を担当するのか
今までは、1社当たり2~3人のプロ経営者をアサインしている。基本的には一定期間は専属になる。社長を担う人や社長の右腕であるCFOやCOO、CTOの2種類に分けられる、社長人材はヘッドハンティングで招く。一方、CFOやCOO人材は社内で育成する。

3年で1回しになり、巡行高度まで一気に引き上げた後にバトンタッチを内部で検討する。例えば、子会社の三井屋工業はプロパー社員を社長に昇格させた。そういうケースが今後は徐々に出てくる。ただ、巡行高度をある程度上げないことには話にならないので、まずは我々が信頼を置くプロ経営者をなかに入れて、徐々にトランジションを掛けると考えてもらえれば良い。
髙村会長:基本形は社長と番頭がセットで常駐する。

―企業規模がプロ経営者の人数に依存すると考えられるが、人材戦略は
竹内社長:社長人材はニーズがとてもピンポイントだ。サブインダストリーのサブインダスリーというか、製造業の経験だけでなく、さらに損益管理の責任を負ったことがあるという経験を持つ人材は市場に多い。早期退職制度は、これまで一部の金融機関にしかなかったが、最近は製造業でも当たり前になってきて、50歳代半ばの人たちが転職市場に多い。

大手製造業で良い経験を持ち、中小企業で手腕を振るってみたいと思っている人はたくさんいる。また、我々は会計士や経営コンサルタント経営者を社員として多く抱えているが、全く一緒で、監査業務やコンサルティング業務にずっと従事している人間も、事業会社で自分の腕を試したい、実践で磨きたいという人間が増えている。人がネックになって我々の成長が阻害されることはないというか、採用には苦労していない。

髙村会長:年間で、グループ化する長期投資が2件ほどと、フィナンシャルサービスで4件程度の中短期投資に取り組む計画で、合計6社程度だ。そうすると社長と番頭が各6人必要となる。数万人いる社長から6人程度を招き、当社で番頭を年間6人程度育成できれば巡行速度でいける。

―ROEやROIの考え方は
小谷和央CFO:企業を買収していくので、非常に読みにくいところはあるが、ROEは製造業で25%と言われているところを見ておくと安定するのではないか。25%超を1つの目線と認識している。

竹内社長:ROIは、売却の観点であまり見ていない。フィナンシャルサービスと長期保有のホールディングスでの買収とは全く違うので、ホールディングスは投資という言語を使うなら長期回収だ。セレンディップ・フィナンシャルサービスという子会社は投資会社なので短期回収を前提に組み上げており、それぞれKPIが異なる。

髙村会長:モノづくりセグメントとプロフェッショナル、インベストメントの3つは利益率が全く異なる。モノづくりで自動車系は3%が標準値だと思う。プロフェッショナルでは10%、インベストメントでは30%と利益率の違いが出る。当社全体では売上高利益率は10%を目指すグループ体であることをいつも念頭に置いている。

―調達資金の使途は
竹内社長:プロ経営者の人材など優秀な人材をいかに今後採用していけるかが大きな観点だ。採用活動に大きく注力したい。製造業を中心としていることもあり、製造業が成長するための研究開発投資や設備投資、とりわけDXやIoTでの投資を積極的に行いたい。この2点が最も大きい

―M&A資金に充てるわけではないのか
グループ全体で大きくキャッシュマネジメントを行っており、グループで投資に必要な資金は潤沢とは言い切れないが、ある。今回の資金調達ではモノづくりや人への投資が1番大きい。

髙村会長:パイプラインで言うと、昨年は150件程度、今年は200件ほどで、その程度の売り上げの会社が多くなっており、なかには100億円を超えるところも出てきている。

■コロナで事業承継が加速
―短期投資のパイプラインのことか
長期と短期を合わせてだ。
竹内社長:コロナ禍によって事業承継が加速してきた。先行きへの不安もあれば業績が落ち込んでいる企業もある。市場に出回る件数が爆発的に増えている。
髙村会長:製造業に特化していることが知れ渡ってきたこともあり、製造業関係の案件を持ち込む人が増えている。なかにはオーナーから直接連絡があり、「当社を買ってほしい」というのも最近凄く増えている。

―コロナ禍で事業承継のパイプラインとして増えるロジックは
将来性に不安を覚えている会社も多いし、今実際にPLが傷んでいる会社もある。母数が増えている。この半年~1年で増えてきたのは、そのようなものが多い。
髙村会長:コロナ禍でPLが一旦悪くなっているので、70歳以上の経営者は「俺の会社がこんなに悪い時に売りたくない」というケースが多い。50歳代の人が将来に不安を覚えて、「自分がやるよりもセレンディップに会社を託したほうが会社が成長できるのではないか」という売り込みが増えている。

上場の副次的効果かもしれないが、知名度が徐々に高まっていることから、オーナー自ら「セレンディップは今どういう形でやっているんだ」とか「オーナーとはどういう関係性にあるんだ」と問い合わせを受けることも多い。事業承継は、売ったら売りっぱなしという話にはならない。本来は子供がいて引き継いでくれたら良いし、従業員でも「ぜひ俺にやらせてくれ」という人がいればそれに越したことはない。

残念ながらそんなに簡単にいかないのが現状だが、値段次第では誰に売っても良い話ではない。会社の所有者は株主だが、価値を共有しているのは従業員や取引先であるステークホルダーで、そこに配慮するオーナーは非常に多い。やはり信頼足り得るところに託したいと考えるオーナーから直接指名されるケースが徐々に増えている。

―業態では投資会社、収益面ではメーカーという印象だが、投資家はどう捉えているのか
竹内社長:もともといろいろな業種・業態を手掛けてきた。サービス業や商社、食品やアパレルを手掛けたこともある。さまざまな業種に投資してきた。いくつかの学びや気付きがあり、食品やアパレルなどボラティリティが高い業種・業態もあれば、自動車部品業のように低い業態もある。長期で保有する前提ではよりボラティリティが低い業態に注力する。中短期の投資では、よりボラティリティの高いものが今後出てくると思う。

ハンズオンでPMIを行うことから、確かなナレッジが蓄積したらそこに注力し、新たな知見を重ねるために新たな業種に手を伸ばす。今後は徐々に変遷する可能性が十二分にある。中長期で考えると産業分野はシフトするかもしれない。

国際競争力が高くサプライチェーンが強固な量産企業が軸だ。成長の奥行きがありボラティリティが低いところを中心に狙い、建設機械や医療機器、工作機械、光学系が注力インダストリーなので、輸送機器だけに関与するものではない。
髙村会長:経営×金融が我々のビジネスモデルなので、いずれから見るかで見方が違う。

―強いて言えば類似企業は
竹内社長:大きいモデルという意味でヨシムラ・フード・ホールディングスが類似している。証券会社出身者が経営しており、食品業の複合体企業を作っている。強いて言えば近い。プロ経営者派遣という側面ではフロンティアマネジメントが近い。その2社が近しいと機関投資家から言われていた。
髙村会長:投資で言えばベンチャー投資を行うドリームインキュベータ―も出てくることがあるが、我々は事業承継投資だ。いろいろな要素がある。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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