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上場会見:紀文食品<2933>の堤社長、カニ風味かまぼこで海外伸ばす

13日、紀文食品が東証1部に上場した。初値は、公開価格(1160円)を9.57%上回る1271円を付け、1377円で引けた。おでんの具材やかまぼこなど水産練り製品で国内トップシェアで、自社製品の製造割合は7割ほど。ロジスティクス事業も手掛ける。海外ではカニ風味かまぼこの製造・販売などに注力する。堤裕社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

堤社長は、持続的な海洋資源利用の観点から、漁業に問題のあるエリアとはなるべく取り引きをしないようにしていると話した

堤社長は、持続的な海洋資源利用の観点から、漁業に問題のあるエリアとはなるべく取り引きをしないようにしていると話した

―あえてこの時期に上場した理由は
当社は84年目を迎えたが、3年前に80周年の記念事業を実施した。その段階で、当社の100年目のあるべき姿を皆で描いた。創業者がグローバル企業を目指す展開を創業以来考えてきたことから、100年目にもっとしっかりした形で実現できるように事業構成を見ながら展開していこう(となった)。そのためには、財務基盤の強化を図りながら、よりスピーディーに事業のPDCAを回すことで目標を達成したい。あえて上場という形を取った。

―海外事業の売上高構成比率が1割だが、将来どのぐらいの構成比にしたいのか
海外事業を紀文グループの成長ドライバーに位置付けている。それ以外の事業も業績を拡大したいので、海外食品事業のウェイトを一気に高めるということはできないが、近い将来に15%に向けて、成長を加速させたい。

―海外事業の販路の状態は
業務用が90%で、外食向けだ。

―和食などの料理店が主か
料理店は主なものだが、それ以外にも展開したい。

―販路を広げることは可能か
海外の収益率が高いため、エリアを拡大して、海外事業の売り上げ構成比を上げることができる。今の売り方で販路を広げたい。

―カニ風味かまぼこの売れ行きはなぜ好調なのか
カニ風味かまぼこは全世界で受けている。米国ではカリフォルニアロールという巻き寿司の芯として、欧州ではサラダのトッピングとして使われる。食感が日本人だけでなく欧米やアジア、アフリカの人にも好まれる。今、日本で販売される練り製品で、唯一グローバルに普及できるのはカニ風味かまぼこと見ており、拡販したい。

―調達資金の一部を、タイでのカニ風味かまぼこの生産力増強に使うようだが、需給状況は
世界では、欧州や米国、アジア、中国で現地企業が生産する。タイから米国やアジア、欧州に輸出しており、その生産能力は8割まで稼働している。今後、売り上げ構成比を15%に高めるためには、現在のタイの生産能力では足りない。増資で得る資金をタイのカニ風味かまぼこの生産ラインの増設にも使いたい。

―タイのラインの増設以外の資金使途を教えてほしい。また、調達総額は
38億円のうち、6億円弱を増設に使い、それ以外は国内の生産設備の新設や入れ替えに投じたい。

―物流とITの高度な連携を強化するとは具体的にどのようなことか
入荷と出荷時間の差を短くすることを実施できるのではないか。ピッキング時間の短縮や、入出荷時間の可視化で便の仕立てを早くすることが十分でないため、その方向で進めたい。

―チルド物流でもトラックドライバーや庫内作業員の不足は深刻とされるが、どう手当てしているのか
まだ自社便を持っていない。全て運送業者に頼って運送するため、今は「ホワイト物流」に主眼に置きながら、次に環境に配慮した施策を実施したい。

―ロジスティクス事業全体で長期的に目指す姿はあるのか。また、海外展開の考えは
海外展開は考えていない。まだ首都圏のエリアで、既に幹線便のセンターが準備できていたため、そこから支線便のセンターを作ることで密度を高めたい。首都圏については、今は船橋と川崎にセンターがあるだけで、北関東や埼玉エリアは手薄になっている。人口が多い場所にセンターを追加してビジネスを展開したい。

―ロジスティクス関係の効率化でSDGsに取り組むとのことだが、ほかの取り組みは
チルド食品をメインに展開し、商品の賞味期限が短い。鮮度がある分だけ廃棄ロスが発生する欠点を持つ。賞味期限を延ばす施策で、店頭や消費者の冷蔵庫でのロスをなくすことに主に取り組んでいる。

―取り組みを具体的に製品に反映しているのか
昨年に製品の展開を始めた。例えば、さつま揚げのトレイの商品は、これまで賞味期限が9日だったものを15日に延長した。

―賞味期限を伸ばす具体的な工夫は
賞味期限を延ばすには、(商品に)菌が付いていない状況で商品を包装する。これまで以上にラインを清潔な状況で生産することが必要になる。古い生産設備では、期限を延長する商品生産ができない。クリーンな状況の設備に入れ替えて生産設備を増強して実施する。

―無菌ルームのようなものか
無菌ルームもあるが、洗浄しやすい、汚れをきちんと取ることができる簡単な今風の生産ラインに切り替える。より洗浄しやすく菌が付きにくい状況を準備することで賞味期限を延長できる。酸素を入れないなどパッケージについても工夫があるが、いろいろな食品で使われており、それだけの問題ではない。前工程で大きく生産ラインを入れ替えなければならなかった。

―今後、設備を入れ替えることで、いろいろな商品で賞味期限を延ばすのか
国内に6つの工場がある。その近くに商品を供給することから、1つの商品の賞味期限を切り替えるということは、6ヵ所のラインを全て切り替えることになる。1つのラインの切り替えで賞味期限を延長できるものではない。

―自己資本比率が8.6%だが、今後どのぐらいまで高めたいのか
確かに大変厳しい自己資本の状況であり、財務基盤の強化を図りたいという目的から上場という選択肢を取った。数字については正確にこの場で言うことはできないが、少なくとも世の中の平均並みまで、中期計画を策定しながら近づけたい。

―世の中の平均並みというと3割程度か
それを目指して頑張りたい。

―株主還元について、配当性向は10%程度だが、財務状況を考えると上げる余地はあるのか。また、株主優待については
重要な経営の考え方だと十分に理解し、食品セクターで他社の状況を見ると株主優待を厚くしていることも分かっている。上場で一般株主が大きく増えたため、慎重に議論したい。配当性向も、他社と比べてまだ見劣りするが、財務基盤の整備と事業展開の進捗を図り、株主に納得してもらえる方向に持っていきたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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