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上場会見:アイスコ<7698>の相原社長、フローズンの陳列まで自社で一貫

8日、アイスコが東証ジャスダック・スタンダードに上場した。初値は、公開価格(2000円)の1.45倍となる2900円を付け、2620円で引けた。アイスクリームや冷凍食品などフローズン食品の卸売りを手掛け、自社物流で配送。神奈川県を中心に食品スーパーの「スーパー生鮮館TAIGA」も10店舗運営する。アイスキャンディーの製造・販売を祖業として1948年に横浜市で創業。相原貴久社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

競走優位性のある自社物流を武器にシェアを高めたいと話す相原社長

競走優位性のある自社物流を武器にシェアを高めたいと話す相原社長

―初値の受け止めについて
市場から良い評価を得た。身が引き締まる思いだ。今後も投資家の期待に応えるべく経営課題に全力で取り組みたい。

―この時期に上場した狙いや目的は
まずは資金調達だ。当社はフローズンの卸売りと食品スーパーを運営する。どちらの事業も事業拡大に設備投資が必要になる。フローズンでは専用の配送トラックに、スーパーマーケットでは店舗の設備に費用がかかる。トラックに充てるのがメインだが、市場から得た資金で成長を加速させたい。

加えて、上場することで知名度と信用力の向上を期待する。当社で働く人たちにプライドを持ってもらう側面もあるが、優秀な人材を獲得したい。少子高齢化や人口減少の環境下でもセールスドライバーを自社で全て抱えるので、売り上げを伸ばすためには人の確保が重要だ。

また、上場することで家業から企業に移行し、ガバナンスや牽制を効かせながら経営しなければ、永続的な成長は難しいのではないかと考えて上場を選択した。

―自社物流とフルメンテンナンスサービスの独自性とはどのようなものか
トラックを自社で保有し、運転手を雇用・教育して運営する。他社は物流を下請けの運送事業者に委託する。自社で全てを持ち、教育して接客までできるレベルで仕事をすることとは大きく違う。

フルメンテナンスサービスについては、フローズンに特化するので荷物を客先に置いてくるだけのドロップ納品ではなく、売場への陳列を行う。その際には、“売れる”売場作りや販促提案、発注まで担うこともある。

―発注や需要予測を行う場合、冷凍品が売れるタイミングの提案などは、これまで蓄積したデータに基づくのか
販売データと天候、季節を総合的に勘案しながら、フローズンに特化し熟練したセールスドライバーが各店舗に提案する。仕入れ責任者と話し合いながら特売を計画し、週末の展開を支援する。専門家として教育し、提案まで行うことが他社と異なる。

―優秀な人材の採用を期待するとのことだが、トラックドライバーを育成するノウハウは
毎年30~40人の大卒の新卒学生を採用する。セールスドライバーとして顧客とともに売場を作り、売り上げを上げる喜びがあるので、運ぶだけの運送事業者と仕事の内容が違う。順調に採用できている。少子高齢化や人口減少などによる長期的な経営課題も見越して上場した。

教育はOJTが主だが、最低3ヵ月は独り立ちできず、新卒で入社すると半年ぐらいの時間をかける。時間をかけることがノウハウといえる。入社したらすぐ独り立ちさせるという考え方もあろうが、当社はサービスレベルを重視する。最終的に上長のテストを受けて合格した者のみが独り立ちする。

―テストの詳細を聞きたい
トラックの運送スキルと売場の陳列・マーケティングスキルに分かれる。どれが欠けてもセールスドライバーとして1人で運転して配送できない。現場の長によって卒業検定のようなテストを行う。

―シェアを高めたいとのことだが、現状のシェアと目標は
関東と東海、北陸まで合わせて冷凍食品とアイスクリームの市場が4300億円ほどだ。当社の昨年度の売り上げは300億円ほどで10分の1にも達しない。拡大余地はある。まずは関東から東海でのシェアを上げたい。

―全国展開や、食品以外に薬品などほかの業種まで拡大する考えは
今のところほかの業種は考えていないが、長期的には地域を広げたい。自社だけでなく提携やM&Aなども踏まえて総合的に考える。

―2022年3月期の業績の見方と中長期的な見通しは
今期は、コロナ禍の状況にあるので一概に言えないが予定通りで、現段階では大きな変更はない。中長期的には、フローズン市場自体が拡大する。食品市場全体が堅調に成長するなかフローズンのカテゴリーの伸びが特に大きい。

冷凍食品は技術革新でおいしくなった。また、食卓で簡便性を求めるニーズの拡大やフードロス削減の観点から、小売各社の冷凍食品売場は拡大し、今後もこの傾向は続くと見る。アイスクリームも市場が拡大している。おやつという位置づけからデザートとしての地位を確立したことが最大の要因だろう。今後もフローズン市場は全体的に伸びることが予想される。自社物流の差別化戦略で事業を拡大したい。

―首都圏近辺の冷凍冷蔵倉庫の需給逼迫について、環境の認識と事業への影響は
特にこの2~3年、冷凍倉庫が逼迫している。借りるとしても家賃などが上昇した。当社はこれまで拠点を自前で建てており、あまり気にしなかったが、今後は情報を得ながら進めたい。4月16日に埼玉県岩槻市の大きな倉庫に賃貸で入り(稼働することで)、関東一円をカバーできる構成になった。当社の売り上げが増えるか否か総合的な検討が必要だが、当面は問題ないと見る。

―自己資本比率の低さについて、財務バランスの考え方と対策は
当社は資産を持ち、営業所を自前で建てる。最も大きいのは、土地を買って建物を建てる物流拠点で、3ヵ所保有している。そのような部分に資金を投じており、今後はバランスを取る。拠点については、初期の段階では賃借し、ある程度メドが立てば買うか自前で建てるか判断する。トラックも、これまでは全て買い取りで進めてきたが、リースなども検討し、自己資本比率を改善しなければならない。

―スーパーマーケット事業の展開は
生鮮3品にこだわり、地域密着の運営で他社との差別化を図る。品質やグレードにこだわり、他社との競争に勝つと現場では考えている。中長期的な方針として定期的に出店する計画だ。10年後には今よりもかなり大きく展開する。

―出店は神奈川県が中心か
神奈川県は市場がとても良い。人口密度が高く、高齢化の影響もまだ大きくない。当社が進出する余地が多い。

―スーパーのデジタルトランスフォーメーション(DX)については
コンビニ業態では無人化まで進んでいるが、生鮮食品を主体とするスーパーマーケットでは、現状では人を減らすところまでだ。レジは有人と無人、精算のみがセルフサービスが混在する。会社としてはDXを積極的に取り入れる方針だ。今後に向けては業態の変化も含めて、いろいろなものを取り入れなければならない。

―配当政策は
重要な経営課題だが、内部留保金や社内での設備投資など、成長段階の投資を総合的に勘案して決定せざるを得ない。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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