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上場会見:表示灯<7368>の上田社長、リアル媒体とデジタルを融合

7日、表示灯が東証2部に上場した。初値は、公開価格(2000円)の1.33倍となる2672円を付け、3175円で引けた。駅周辺案内図「ステーションナビタ」や自治体情報案内図「シティナビタ」など、各種の「ナビタ」と、そこに掲出する広告の設置や運営、交通広告、屋外広告などを扱う。上田正剛社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

「ナビタ」の新たなマーケットを広げて売り上げを伸ばしてきたと話す上田社長

「ナビタ」の新たなマーケットを広げて売り上げを伸ばしてきたと話す上田社長

―初値が公開価格を上回った
非常に嬉しかった。今日の価格が今後乱高下することで投資家や株主を裏切ることのないように、長期的に保有して喜んでもらえる形で事業を推進したい。

―目論見書価格の1610円に対して仮条件を1800~2000円と下限を切り上げたが、当初の値段をどう見たか
主幹事証券に対してクレームを付けなかったとは言わない。ただ、その評価をそのまま伝えるわけにもいかない。野村証券が苦労したのは、広告会社は多いが、我々と同じような類似会社がないことだった。PERを付ける際に、どの会社を基準にするか保守的に考えたことは間違いない。

バランスシートを見てもらえれば分かるように、無借金で50億円ほどのキャッシュがあり、さらに土地や建物を過去から保有している。企業価値としてPERだけを見られても困るという気持ちはあった。野村に依頼はしたが、IPO市場ではPERに依拠するためなかなか折り合いが付かなかった。ロードショーで企業価値や、全国2500ヵ所の駅に既に展開した商圏などを評価してほしいと話した。

―「ナビタ」にデジタルサイネージを取り込むとのことだが、屋外広告物の周辺を通行する人に関するデータを集めてマーケティングの媒体として使う構想はあるのか
そのような提案を受けるし、我々も検討した。駅や市役所に設置して通行人や我々の媒体を見る人を調べることは、広告筐体の設置場所を提供するオーナーに強い抵抗がある。逆にそれを行ったがために、広告の前に行くとカメラで撮られるという話になると一般ユーザーが離れる恐れがある。未来永劫やらないものではないが、現状は日本の人たちはプライバシーに神経質になることが多いため、現時点では考えていない。

ただ、それ以上に、これからネットの世界に入りたい。スマートフォンがこれだけ日本で普及し、消費者が自分でデバイスを見る。広告や情報発信で活用しないほうがおかしい。我々の残念なところはリアルの媒体を駅やいろいろな場所に設置して、安心していたことだ。今後はネットを活用して、リアルとネットの相乗効果や新しいビジネス展開に取り組みたい。

―デジタルサイネージを強化することで生じるメリットは
オリンピック(・パラリンピック)がキーワードだった。今回、1年延びた後で外国の人が来られないことになったが、インバウンドを含めて、日本はこれから外国人を受け入れなければならない。(そのために)多言語化が必要になる。フィルムの背後から光で照らす電照式の地図に、複数の言語を同時に表記することは不可能だ。デジタルサイネージで発信する多言語表記を外国の人に活用してもらうことが一番の動機だった。

電照式の地図では固定された情報しか表示できない。デジタルサイネージを活用すると情報を多層化し、より掘り下げることができる。クライアントの店だけでなく、その商品の紹介もできる。広告スポンサーにも評価してもらえるのではないかと考えた。

デジタル化したデータを持つとネットの世界でも活用できる。今日、明日にというわけではないが、大急ぎでデジタルサイネージ化やネットとの融合に取り組み、ユーザーに満足してもらたい。

「シティナビタ」では特にそうだが、市役所では、庁舎案内など広報として使いたいという話もある。情報を多層化することで、自治体が来庁者に情報を伝える手伝いをしてユーザーに満足してもらえるのではないか。

―動画などリッチコンテンツを作り込むのか
動画対応には既に取り組んでいる。コミュニティバスの車内モニターの広告でも動画に対応する。最近の若い人はTikTokなどを普通に利用するため、動画を全然使わないということはあり得ない。

これからは動画を安い制作費で作る。テンプレート形式で安い製作費で動画を作る技術を開発中だ。このようなことを推進すれば、地元の小さな商店も動画広告の出稿が可能になる。ゲーム性を持たせるなど楽しめるものも作る。東武日光線や江ノ島電鉄が既に導入した。イラストマップに電車やバス、大仏が描かれており、触ると(絵が)動くため、子ども連れに喜んでもらえる。江ノ電では地元の幼稚園児が来て遊ぶため、駅長からも良い反応がある。ゲーム感覚で楽しめるものは、動画が可能な媒体でなければ対応できない。設備投資費が高いため辛いところもあるが、頑張りたい。

―中長期的な売上高や利益の成長率は
当社はデジタルトランスフォーメーション(DX)を怠っていた。設置場所のオーナーやクライアントのニーズを取り入れて媒体に反映するため、機械的にできない。手作りで労働集約的に制作してきた。動画のテンプレート化もそうだが、労働集約的な部分を少しでも削る。最も高いのは人件費だ。地図の数を増やすほど制作担当者が増える。DXでテンプレート化やOCRを使う開発による制作コスト圧縮で、利益率はかなり高くなると見込む。

ナビタのマーケットについて、全国の駅への展開をやり遂げた際に、これ以上の成長余地はないと思った。ところが、市役所や病院に広げてみるとニーズがあった。アンケートではバス停に小さな媒体を設置してほしいなどいろいろなニーズが来る。遅れている部分に観光案内所がある。今はインバウンドが途絶えて抑えているが、将来的に観光客が来日した場合に案内する情報を発信したい。

マーケットを個別に開発すると売り上げに反映され、ますます成長の可能性がある。そこにネットだ。駅や交通関係のネット関連事業を手掛ける会社とクライアント、設置場所のオーナーを融合して新しい複合的なビジネスにトライしようと思う。

―中長期的な成長目標は
今年度から来年度にかけてはインバウンドの低迷やコロナ禍の問題で踊り場の局面に差し掛かっているのは間違いない。売上高を10%程度は当たり前に伸ばしたい。ただ、10%では物足りない。今までは一次曲線で伸びてきたが、DXやネットで指数関数的に伸ばす。10%をはるかに超える成長率を目指す。

デジタルサイネージ化は通常の「ナビタ」と比べてコストが少し高い。コストを広告の価格に反映されるかといえば、それは難しい。我々の顧客はマス媒体に出向する大手ではない。広告料を街の事業者が支払える範囲内に抑えなければならない。価格を極端に上げたくない。価格を上げる代わりに病院や神社など新しいマーケットを増やすことで、個別のクライアントの負担を増やすことなく会社全体の売り上げが増えることが理想形だ。

―売上高成長率10%を目指すが、利益面は先行投資で下がるか
パラレルには上がらないが、DXで生産効率を上げれば、追いつくと思う。

―ネットとの融合は自社だけでは難しいと思う。M&Aや事業提携で他社と連携するのか
当然のことだ。私も含めてコンピューター言語の読み書きができないため、この2年で、大手電機会社が人員を整理した際に、人に来てもらい充実させている。M&Aをするにしても、相手の技術力や人員の親和性の有無をチェックして判断可能な技術者が必要になる。

当社独自の媒体かアライアンスにするのか、M&Aになるのかはそれぞれの採算性を見て決める。今までできなかった部分の成長を加速させるためには、自分たちで開発するよりもある程度でき上がったところに、リアル媒体の知恵とクライアントを融合させるためには、M&Aのほうが成長スピードは速くなるのではないか。

―社内では大手出身のエンジニア採用を強化した
今もやっているし増やす。NTTとNTTコミュニケーションズ、NTTドコモから1人ずつ参画してもらい、ネット系の事業をどう進めるか戦略を作ってもらっている。その下にシステムエンジニアを7~8人採用して連携プレーで進める。

―NTTグループから3人を引き抜いたのは経営戦略上の話か
富山整執行役員:NTTに仁義を切って移ってもらった。

―7~8人のシステムエンジニアについては
NTTグループではなく、サイネージ関係で電機メーカーからメンバーに入ってもらった。マルチのサイネージを全国で最も運用する会社でもあるので、運用体制の構築を含めて取り組みたい。

―NTT グループとの協業は
上田社長:我々は前向きに取り組みたいが、巨像と蟻のような差があるため、相手をしてもらえるかどうかというところだ。ただ、NTTだけではなくいろいろな会社が、当社の広告モデルに興味を持っていることは間違いない。Googleなどには結果として広告モデルが入るが、NTTを含む他社はサービスで課金するモデルが主流だと思う。当社の広告モデルをどうドッキングさせるのかに興味はあるのではないか。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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