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上場会見:セルム<7367>の加島社長、“ビジネス to リーダー”の市場を作る

6日、セルムが東証ジャスダック・スタンダードに上場した。初値は、公開価格(1280円)の1.17倍となる1502円を付け、1381円で引けた。次世代リーダーを発掘・育成する企業内大学プログラムである「経営塾」を軸に、人材開発コンサルティングを展開。経営や戦略ファームでの経験を持つ独立した1200人超の「プロフェッショナルタレント」を講師・コンサルタントとして、解決策を企画・提供する。加島禎二社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

アニメのセル画のセルに皆で「夢」を描くという趣旨で社名を定めたと話す加島社長

アニメのセル画のセルに皆で「夢」を描くという趣旨で社名を定めたと話す加島社長

―初値が公開価格を上回った
ロードショーを含め、機関投資家にかなり評価されたことが嬉しかった。我々は、上場を目指して起業した会社ではないので、長年やってきたことが評価されたという気持ちもあり、非常にありがたい。

―今後注力する市場や対象企業の規模は
まずコロナ禍からの回復に取り組まなければならない。(昨年の)主要顧客150社の平均売上高は年間2700万円だった。一昨年は3000万円に到達したものがコロナ禍で傷んでいるだけなので、これを超える。

また、コーポレートガバナンスで組織能力が足りないのは準大手企業で、売上高2000~5000億円の会社が日本に約500社あり、3年前に着手した。大手で養った知見がそのまま活き、単価も落ちない。5000億円以上の企業の7~8割と取引ができそうで、参入3年目で5億円ほどの売り上げが立った。数年以内には倍増できると見る。

カギになるのは、サービスのデジタライゼーションだ。成長するために欠かせない領域となる。一昨年まではオンラインのサービス提供をしたことがなかった。コロナ禍で、サービス提供の8割強がオンライン化し、図らずもデジタル化した。今後はデジタル環境を前提とした付加価値創造のためのデータ解析や、SNSなどデジタルツールを使いこなす。さらに、全ての研修がデジタル化するとは思えないため、対面・集合とオンライン・サイバーのベストミックスが求められる。

もう1つ顕著に伸びそうなのは、1on1のオンライン・メンタリングだ。エグゼクティブ・コーチングは、従来から市場ができつつあった。コーチングは、質問しながら、その人の頭の中を整理することがメインであり、一定程度進めると手応えがなくなってしまう問題がある。我々は、経験や実績が上回る「師匠」との1on1を提供することで、エグゼクティブ・コーチングでは達成されないニーズを満たすことができ、期待している。

―テーラーメイドのサービス提供で、データ解析はどのような効果があるのか
人にまつわるデータは非常に集めにくい。その人の人事・人事評価や、異動、目標管理データといったものはある。だが、人間的な能力や、リーダーとしての資質に関するものは、取ろうと思ってすぐに取れるものではない。(当社では)受講生にとって意味のあるフィードバックをすることが前提になるため、データを集めやすい。

経営塾では、「5年後に自分が社長になった時にどんな就任演説をしますか」というような、職場では問われない頭の使い方をさせる。そこで出てくるアウトプットで、「特定の言葉遣いをする人は研究・開発(R&D)の人に多い」、「ある経験をすると視野が広いロジック構造を作ることできる」というような判断に使うことができると考える。リーダーのアセスメントや、教育の効果測定に使える。効果測定は永遠の課題で、全て見えるわけではないが、意味のあるデータ活用として有効ではないか。

―調達資金の使途は
デジタライゼーションが最重要だ。また、プロフェッショナルタレントを起用するため、パソコンの前で顔だけを見て研修を受けるのでは、とりあえずオンライン化したにとどまる。よりプロフェッショナルなサービスを提供しなければならない。テレビ局とまではいかないが、スタジオを用意したい。立ち姿で発信する、途中で動画を挟む、先方の社長とコンサルタントのパネルディスカッションなどを行う。幸い、社員の出社率が低く、部屋が余っているため、スタジオ化したい。

また、大手企業の人事部には非常に有名だが、ビジネスのリーダーや役員陣は、我々のことを全然知らないので、マーケティング施策を打ちたい。

―人事領域以外のサービスを展開するのか
経営塾を年間200コース開講しているが、将来のR&Dや海外事業のトップなどキーポストの次世代リーダーが塾生としてたくさん集まってくる。年間1500人ほどと出会えるが、あくまでも研修の受講生としてしか出会えない。彼らが属する部門が抱える課題解決の引き合いを、先方が主導する形で受託することはあった。今後はニーズを先取りして進めたい。

サービス提供の領域については、人事部は中長期を見据えた必要な人材インフラを作ることが主なミッションだ。各事業部は、それぞれ必要な能力開発や組織風土改革が異なる。我々はテーラーメイドできる強みがあるため、個別に取り組む。

大手企業にはコングロマリットが多い。1つの部門で成功すると、その噂を聞きつけて、他部門でも相談したいというように横展開ができ、信頼が積み重なる。そうすると1つの企業内に、我々のことをよく知り、何かあれば声をかけようと思う人が何十~百人になる。BtoBを超えて「ビジネスtoリーダー」の市場を作りたい。

彼らは他社の次の幹部を育成するメンターになれる。企業の経営層専門の副業ネットワークの開発に着手した。

―クロスセルやアップセルを狙うだけでなく、プロフェッショナルタレントのネットワークを増やすのか
プロフェッショナルと、セミプロのネットワークも増やす。プロフェッショナルなビジネスパーソンが使いやすいプラットフォームを考えている。

―これまでの受講生が既にプロフェッショナルタレントとして活動する実績はあるのか
他社の現役リーダーが別の会社の経営塾に来て、出前講義をすることは当たり前になっている。

―他社と連携して事業をする構想があるようだが
例えば、外資の人事系コンサルファームが何年かに1度、顧客に呼ばれて人事制度改定の相談を受ける。制度改定は不具合があるからだけではなく、必要な人材が変わるからだ。制度変更後に当社が関わる。人事ファームと当社が川上・川下で組むことがうまくいっている。

ほかに、当社はHRテックベンチャー数社に投資してきた。その商材を大企業向けにカスタマイズして届けて、喜ばれている。テックベンチャーは大手企業に対して営業力がないため、当社の顧客基盤を活用して連携する。

―経営塾同士の連携は
数社と臨機応変に取り組んでいる。コーポレート・ユニバーシティー・アライアンスと呼んでいる。経営塾は各々高いレベルのプログラムを持つが、自社の社員だけで受ける。効果をより高めるためには、他産業のリーダーと切磋琢磨することがすぐできるはずだ。ただし、いきなりオープンの講座にすると、レベルにばらつきが生じるため、数社の異業種との連携でするべきとして進める。例えば、将来役員になってほしい理事達を自社で教育することが難しい場合に、異業種で進めることで刺激となったという事例も現れ始めた。

これから立ち上げるのはシニアだ。シニアは教育しにくく出口がないため、「シニア副業ハブ」という研究会を十数社の顧客と立ち上げた。シニア向けカレッジを構想している。

―ASEANや中国展開のターゲットは日系か現地企業か。メンター制度は米国が先行すると思うが、米国とアジアの違いはあるか
ほぼ全てが日本企業だ。中国企業もあるが、日本企業からスカウトされた人からの紹介で提供している。米国とアジアの市場の違いは、アジアの人たちは日本に似ている部分がある。人と会う、密着することを求める。日本はかなりオンライン化できたが、ASEANや中国は遅れた。ASEANは国が分かれており、集まることに意味がある。集合できない以上オンラインでの実施に難色を示す企業が大半で、回復が遅れた。(売上高のうち)相対的に小さな割合を占めており、1on1のようなサービスがどこまで伸びるのかは読み切れない。

―2021年3月期は減収減益予想だが、コロナ禍の影響か
特に航空産業や鉄道、電力などいくつか厳しいところがあり、引っ張られた。

―オンラインシフトで回復に努めるが、いつ頃コロナ禍前の水準を回復するなど、売上高や成長率の目標はあるか
昨年度については、2020年9月頃から顧客の雰囲気が変わった。11月からは前年度を超える実績を挙げ続け、だいぶ回復しかけている。ただ、特定業種がどこまで戻ってくるか、また、4月頃の新入社員の研修がどこまで戻るかというと、フルには戻らないと思う。

今年度は1年をかけてコロナ禍の手前ぐらいまで戻す。もう1年かけてコロナ禍前を上回るよう進めたい。その後は、売上高成長率で少なくとも10%、営業利益成長率で15%以上を着実に出せるように事業を運営したい。

―配当政策は
コロナ禍からの回復を成し遂げた年に始めたい。基本姿勢としては、堅実なビジネスであり、企業の価値向上を支援する意味では、あらゆる投資家や株主と目線は同じだと思うので、株主と一緒になって盛り立てる意味を込めて、配当をしっかり出していく。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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