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上場会見:オキサイド<6521>の古川社長、研究を社会に還元

5日、オキサイドが東証マザーズに上場した。初値は、公開価格(2800円)の約2.33倍となる6540円を付け、6740円で引けた。酸化物単結晶や光部品、レーザ光源、計測装置などを開発・製造・販売する。光学分野の単一セグメントは、「光計測・新領域事業」と、「半導体事業」、「ヘルスケア事業」に分かれる。独立行政法人物質・材料研究機構が開発した結晶育成技術を実用化するために、2000年に設立。古川保典社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

―初値の受け止めは
非常に高く評価してもらえて嬉しい。想定よりも高い値段が付いた。

大学発ベンチャーの成功モデルの1つとして後に続く企業が夢や希望を持てると良いと話す古川社長

大学発ベンチャーの成功モデルの1つとして後に続く企業が夢や希望を持てると良いと話す古川社長

―この時期に上場した意義や目的は
大学発ベンチャーとして研究成果を社会に還元するために事業を始めた。研究成果が社会の役に立つことができて1つの目標を達成できた。事業会社やベンチャーキャピタル(VC)などいろいろな株主から支援を受けた。設立間もないころから上場を意識していた。

上場企業は全企業の0.1%で、大学発ベンチャーは2566社中2.5%の65社が上場した。もう少し早い時期に上場すべきではないかとVCからも言われたが、売上高10億円、利益1億円を確保する企業は大学発ベンチャーでは2社しかなく、0.1%だ。私たちは地味な製造業であるため、事業を確立してから上場したいと伝えて、株主のVCにも理解してもらった。

3年ほど前から準備を始め、今日を迎えた。上場が最終ゴールではなく、そこで調達した資金を新しい工場や設備、技術開発に振り分けたい。事業の成長とタイミングが合い、今になった。

―半導体検査装置向けの単結晶には、どのような役割があるのか
半導体の性能が上がり、例えば(回路線幅が)7ナノメートル(nm=百万分の1ミリメートル)や5 nm、2 nmといったものを検査する時に、波長が短い紫外線のレーザを使う。波長が短いほど、検査する半導体の細かい部分が見える。

ただ、紫外線レーザを出せるものがなく、赤外線をグリーンの可視光にして、それを紫外線にする。それには結晶を2~3回使っている。世界中の紫外線のレーザを出す装置の90%以上に、私たちの結晶が使われている。

―本社を山梨県に構えるメリットとデメリットは
縁やゆかりがあったわけではなく、「山梨でやらないか」と誘いがあった。つくばや米国などいくつか候補があったが、山梨県は水晶の地場産業があり、私たちの結晶に近いため、いろいろな面でメリットがあると考え、実際に非常に大きなメリットがあった。山梨県にはベンチャー企業が少なく、県からすいぶん支援を受けた。非常にありがたかった。会社を設立してまだ決算が出ない時に、1億円近く融資してもらった。1年目は赤字だったが、ワラント債で運転資金を出してもらった。

経営にはいろいろなノウハウが必要だが、コンサルティングも受けられた。つくばで始めていたら埋もれてここまで来られなかったかもしれない。デメリットは、優秀な人材をなかなか採用できなかったことだが、最近ようやく採用できるようになった。

―地場産業とのシナジーはあるのか
山梨県は元々水晶が得意で、結晶の加工メーカーと協業する。また、装置メーカーの東京エレクトロンがある。ものをつくるには装置が必要でありタイアップした。山梨県の支援以外に、周囲に非常に良い会社が存在する。

―半導体需給の逼迫は、業績に影響するのか
ユーザーや顧客からいろいろな情報がもたらされ、それを事業計画に落とし込む。半導体の需給がかなり逼迫しており、今期や来期についても強含みの予想が寄せられた。

―どの程度の成長率を見込むか
地味な製造業のベンチャーであり、これまで売上高が年率20%ぐらい、5年で倍ぐらいになることを目指してきた。そのペースを維持したい。利益率は10%を指標にしており、創業以来念頭に置いている。小さい企業としては珍しく、大手企業の事業を買収し、提携してきた。今後はその経験をうまく活かしながら、オーガニックな成長だけでなくインオーガニックな成長で、企業価値をさらに高めたい。

―販売先5社の売上高が総売上高の75%超を占めるが、今後どう変わるのか
今までは、リスクとは捉えておらず、成長するために顧客を幅広く増やすよりも、特定の顧客への実績を増やすことに集中し、結果的にそうなった。5社に認定されたので、ほかのユーザーや顧客に展開したい。

―具体的にメドは立っているのか
いくつかの企業にはコンタクトしている。

―そうすると1社の比率は下がるのか
下がると思っている。現在も140~160社と取引があり、そのなかでもポテンシャルがある企業が存在する。

―M&Aで成長してきたが、PMI(Post Merger Integration)で気を付けることは
今までは、会社ではなく事業や技術の買収だったので、PMIをそれほど気にする必要はなかった。ただ、例えば、2010年にソニーからレーザ事業を譲り受けた時には、ソニーの技術者が3人来てくれた。大手企業と当時20人ほどだった当社とは、カルチャーが違うので、従業員の気持ちや、仕事のしやすさに気を付けた。

大手企業の技術者をスカウトして成長してきた。ベンチャー企業への転職は、最近でこそ増えたが、2000~2010年頃にはそれほどなかった。ともにイカダに乗って太平洋に出た、大海原に飛び込んできたという感じの従業員と、一生懸命に頑張ろうという気持ちや一体感があった。

―上場で人材が獲得しやすくなると見込まれるが、どのような人材を望むのか
優秀な人材で、現経営陣や幹部が、この人になら託せるという人材を採用したい

―具体的にはどのような分野の人か
ほとんどの分野で人材が必要だ。技術者も、経営・管理の人員も必要だ。今まで何とか既存のメンバーで底上げしてきた。

―かなりの人数を採用するのか
最近は毎週採用している。上場間近になってから、非常に優秀な人が応募しており。良い方向に回転しつつある。

―「光計測・新領域事業」の成長戦略や展望は
光計測・新領域事業に研究開発投資を行っている。これまでの事業計画では、新領域にかなり投資してきた。今もパイプラインが15件ほどある。いずれも魅力がある製品やテーマで、強化したい。

医療用ボタン電池や放射能汚染モニタなどは、世界で100億円以下ぐらいの規模で、グローバルニッチだが、私たちが得意とする戦略で参入できそうな領域だ。レーザ照明やパワー半導体などは1000億円以上の市場規模で、競合が存在する。私たちの技術で食い込みたい。

―シリコンフォトニクスも絡んでくるのか
シリコンそのものを扱ってはいないが、シリコンフォトニクス全体は様々なネットワークで非常に注目されている。特に、NTTグループが(構想する)「IOWN(アイオン)」に取り組んでおり、私たちは関連する研究開発を行う。

―株主還元の考え方は
将来は配当して株主に還元したい。まずは自己資本比率を50%以上にして、フリーキャッシュフローを安定させたい。それまでは成長投資に使う。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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