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上場会見:Sharing Innovations<4178>の飯田社長、データ活用にフォーカス

24日、Sharing Innovationsが東証マザーズに上場した。初値は、公開価格(2850円)の約1.63倍の4650円を付け、3950円で引けた。システム受託開発のシステムソリューション(SS)と、salesforce.com製品の導入支援であるクラウドインテグレーション(CI)などを手掛ける。事業に関する情報を可視化するビジネスインテリジェンス(BI)ツールの「Tableau(タブロー)」を運営するTABLEAU SOFTWAREと、2020年7月にパートナー契約を締結した。ベトナムに開発拠点を持つ。飯田啓之社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

飯田社長は、データの取得と蓄積、解析、可視化の4要件でデータ・マネジメントを定義付けると話した

飯田社長は、データの取得と蓄積、解析、可視化の4要件でデータ・マネジメントを定義付けると話した

―初値が公開価格を上回った
しっかりと評価してもらった。

―上場の目的は
知名度・信頼度の向上だ。顧客に対する知名度の向上も期待するが、どちらかといえば採用マーケットでの知名度向上を期待する。採用市場で、Sharing Innovationsが「最近上場したクラウドベースで面白いことをやる、今後やろうとしている会社」として、転職を検討するエンジニアに名前を憶えてほしい。会社を知ってほしい。

―経験の浅い人でも教育できる体制を備えるが、採用は難しいのか
足りていないという認識はないが、もっと多くの人員が在籍していれば、もっと多く受注できる気がする。この1~2年は、一定以上の人数を確保したい。

―経営層やマーケティング・事業部門が発注元になるケースが多い点に、どのようなメリットがあるのか
顧客のニーズを直に汲み取れる。現場で何が必要で、どのようなシステムを作らなければいけないのか直接聞けることが最も大きい。IT部門とやり取りをすると、担当者が必要な機能を取りまとめてくれるが、その通りに作って展開すると、リリースしてから現場の人たちと話して修正するケースがある。現場と直接やり取りできるとスムーズで、我々自身にとっても、直に役に立つ実感がある。

―AI(人工知能)と、BIの組み合わせについて、最近上場したウイングアーク1stのBIツールは、顧客の現場での業務に強いそうだが、Tableauを使う場合の展開の方向性は
TABLEAU SOFTWAREはsalesforce.comが2年前に2兆円ほどで買収した100%子会社だ。
昨年10月に、salesforce.comがNYダウの構成銘柄へ組み入れられた際、「今後TableauをSalesforce製品に統合し、より継ぎ目なく一体化させる」という発表があった。我々はSalesforceをフックにしつつ、情報の可視化ではTableauを(システムの)フロント部分に据える方向で進める。

―Tableauを使うことで、顧客にはどのようなメリットがあるのか
Salesforce製品との相性が良い。BIツールはウイングアーク1stの製品も含めて複数検討したが、Tableauのシェアが世界的に高い。高いだけあって、気の利いた製品で、強いと判断した。BIは、簡単に言えばいろいろな数字をデータベースに入力して、さまざまなグラフとして表示しやすくするツールだ。Tableauはグラフのパターンが多い。

例えば、製造業の生産管理で、サービス業の営業担当者であれば、この数字がよく求められるといったパターン化されたグラフのテンプレートが、ユーザー・コミュニティに豊富に存在する。それらを活用しやすい。

やや専門的だが、可視化する時にネックになるのはデータの収集だ。営業と財務、生産管理のそれぞれの担当取締役が知りたいデータはバラバラだ。それらをデータベースに入力する際に使うETL(Extract Transform Load)ツール類も充実している。Tableauがシェアナンバーワンであるため、ほかの会社がサードパーティーとして便利なツールを作るが、それも大きい。データを格納するのは本当に面倒で、そこで皆心が折れる。

―AIやBIを、手始めにどのような業界や業種に導入して、どう活用するのか
自社で製品を企画して作り、多店舗展開する洋服の会社で、売行情報を分析するプロジェクトが始まった。アパレル業界は季節性があるため、過去に売れた色やパターン、価格帯のデータを入力する。例えば、前年に1980円の白い衣料品が売れたのであれば、値段を据え置くか、2500円に上げて色を変えたらどうなるかというような分析が始まっている。商品点数や店舗数が多い業種に適している。

もう1件は、年収数十億~数百億円ぐらいのメーカーの生産管理系のプロジェクトだ。部品の点数がとても多く、どのタイミングでどこまで受発注するのかという案件が複数寄せられている。

―Salesforce製品に依存するビジネスモデルのリスクをどう捉えるか
まず、Salesforceは、今後5年ぐらいは大丈夫だろう。我々はSalesforceを起点に事業を行うが、顧客のデータのマネジメントに着目する。データを入れる箱に偶然Salesforceを使っている。仮にSalesforceの事業が失速した場合には、別の製品群が登場するため、そこに移し替えれば良い。データをどう利活用するかにフォーカスを当てる。

―5年間 はSalesforceに集中するのか
この分野はSalesforceが勝つと考える。

―SSの売り上げの計画が前期と比較してマイナスだが、その理由は
新卒・中途採用はするが、ベテラン・エンジニアをSSからCIに移す。CIが順調に伸びており、人材の数の確保が命題だ。それでSSの売上高が減る予算を組んだ。今期は、会社の全てのリソースをCIに投入するため、他の事業にリソースを割くつもりはない。

―2020年12月期の売上高は、SSが29億円で、CIが4億円だが、両者の数字はいつ頃に逆転するのか
2021年の計画ではそうなっていないが、2022年後半には並ぶだろう。通年で逆転するかは分からないが、単月や第3四半期や第4四半期辺りで並ぶのではないか。

―中長期的に、何年後にはどのぐらいの規模になりたいか
具体的には2021年の計画までしか考えていない。ただ、売上高の伸びについては、パブリック・クラウド(業界全体)の成長率を18.7%と見ており、2022年以降はそれを超える伸び率で牽引したい。

―親会社であるOrchestra Holdingsの持ち株比率について、連結は維持されるのか。それとも、昨年来上場が多いOrchestra Investmentの投資先と同様に比率が下がるのか
中長期は分からないが、当面は連結対象と考えてもらって良い。Orchestra Investmentは、いわゆるコーポレート・ベンチャーキャピタルの形式で出資するが、その投資先とは立ち位置が違う。

―Orchestraグループの売上高に占める比率は
小川恭平CFO:30~40%程度の実績だが、今後については、親会社やほかの子会社の事業もあるため、把握していない。

―海外展開は
飯田社長:ベトナムに100%子会社があり、現在は開発子会社の位置付けで営業(活動)はしていない。日本で獲得した案件の開発時に、日本のリソースだけでは足りない場合、発注する開発拠点の位置付けだ。

将来的にはアジア圏での展開はあり得るが、具体的には考えておらず、当面は日本で採用を増やさなければならない。仮に採用が難しい場合にはベトナム拠点の人材を拡充する。

―株主還元の方針は
正確に決めていないが、当面は成長投資に回したい。

―利益が出ているが、還元を考える基準はあるのか
基準は考えていないが、将来的にはしっかり還元したい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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