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上場会見:i-plug<4177>の中野CEO、学生と企業の新しい出会い

18日、i-plugが東証マザーズに上場した。初値は付かず、公開価格(2620円)の約2.3倍となる6030円の買い気配で引けた。同社は、企業が、サイト上でマッチングした新卒予定者にオファーを送る逆求人型就活サイト「Offer Box」などを手掛ける。中野智哉CEOが東京証券取引で上場会見を行った。

中野CEOは、企業のニーズによって「早期定額型」と「成果報酬型」の2つの料金体系の利用シーンが明確に分かれる点についても触れた

中野CEOは、企業のニーズによって「早期定額型」と「成果報酬型」の2つの料金体系の利用シーンが明確に分かれる点についても触れた

―初値が付かなかった
期待に応えられるように事業を成長させて、株主に利益を還元したい。

―上場の目的は
ミッションをしっかり実現する通過点として、上場を選んだ。ファイナンスの幅が広がる。顧客の重要な個人情報を預かる事業であるため、社内統制の強化を実現することで信用力が生じる。資金調達で社内に追加投資し、より強固にする。

―上場についての率直な気持ちは
非常に嬉しい気持ちもあるが、ここからがスタートラインだと心底思っており、やっと社会から一定程度認められる会社になれた。ここから伸ばさないとミッションやビジョンを達成できないので、気を引き締めて頑張りたい。

―ミッションやビジョンの達成を通じてどのような社会を実現したいか
例えば、新卒の社会人が3年で30%以上離職する。活躍度合いでも、4人に1人しか活躍していないというデータが多い。それでは日本の生産性が上がらない。ミスマッチを1件でも減らすことで、社会に貢献できる。また、定性的な話だが、就職活動は未来への第一歩なのに暗い顔でするのはおかしいと思っており、次の世代に使ってもらえるサービスにしたい。

―知名度が低いベンチャー企業や、周辺に学生が少ない企業がサービスを使うメリットを挙げるが、定量・定性を問わずにどのような効果があるのか
エンジニアやデータサイエンティスト、建築などターゲット層が少ないということと、知名度がない会社については分かりやすいパターンだ。

実は、会社の業界イメージの先入観と本当に採用したい人材にズレがある。大手企業ほどターゲット層の応募を集めたいニーズがある。例えば、安定志向の学生が集中して、新規事業に適したイノベーション人材を採用しにくい。また、女性に人気があるアパレルや旅行の企業は、女性のエントリー数が多すぎて男性が少ない。企業と採用のブランドイメージのズレがある。

今までの(就職ナビや合同説明会形式の採用活動での)企業と学生の出会いでは、学生側に会社に対する認知や興味があるものの企業が採用しない学生が含まれていた。だが、当社のサービスでは学生の認知や興味がなくとも企業が採用したい学生との新たな出会いがある。

―今の話では、どちらかといえば元々エントリーが多かった企業が、よりターゲットを絞って採用するメリットがあり、そもそも採用活動が難しい企業が利用してもそれほど効果がないということか
そんなことはない。当社はビッグデータを解析しており、中小企業やベンチャー企業に行きたい学生はたくさんいることが分かる。プロフィールに記載しない学生も、潜在的な意識で、そのような企業からオファーがあると承認する。そうした行動がログに記録される。それを学習して検索結果に反映する。

企業も学生も本質的に気づいていない部分がある。今まで見えなかったことを、オファーという出会い方とビッグデータを使って可視化する。

―マッチング精度を上げるうえで気をつけることは
就職活動生が自分で気づかないが、興味を持ちそうな領域をしっかり可視化し、察知することだ。もう1つは、就職活動が長期化していると言われるが、データ上では、1人当たり半年程度しか活動しない。早く始める学生は早めに終わり、遅く始める学生は普通に終わるように、就活の時期の問題がある。データで傾向を察知して、より適切な出会いを提供し、これまで無駄だった出会いが減る。

これまで、ほとんどのサービスは企業側のデータを保有するが、学生のデータを持たなかった。

―競合サ-ビスの認識は
合同説明会と就職ナビ、人材紹介、ダイレクトリクルーティングの4つのセグメントがある。ダイレクトリクルーティングでは、グローアップというベンチャー企業が「キミスカ」というサービスを提供する。エン・ジャパンの「iroots」、ベネッセホールディングスとパーソルキャリアの合弁会社であるベネッセi-キャリアの「dodaキャンパス」がある。我々が事業を展開する際にバッティングするのは、リクナビやマイナビなどの就職ナビが多い。本質的な競争相手はマイナビとリクナビだ。

―大手企業もスカウト型サービスを強化するが、どのように差別化するのか
プラットフォームビジネスの最大の差別化要因はどんなデータベースを持つかになる。我々はいち早く参入し、先行者利益を保有するが、データベース上の利益も大きい。過去にいろいろな学生が、いろいろな行動を取って企業と結びついてきた行動ログが残る。学生は年が変わると入れ替わるが、行動はそれほど変わらない。過去のデータは翌年もロジックとしては使える。その差はとても大きい。

具体的には、学生がサービスを利用する際の体感が変わる。「Offer Boxであれば会いたい企業と出会えるが、ほかのサービスではなかなか出会えない」となると、学生の口コミに影響する。Offer Boxが相対的に良いと評価されるとポジティブな口コミが集まり、(他社の)新規サービスにとって見えない参入障壁になる。そのような構造が継続し、ほとんどの大手企業が参入して現在のシェアになった。矢野経済研究所のデータから推測するとシェアは7割近くで、それを維持する。

―少子化で就職活動人口が減少するが、新卒採用にとどまらずHRテック全般に取り組むのか
直近10~20年のスパンでは、大学への入学率が上がるので、少子化が起こっても大学生の数はそこまで減少しない。そのなかでシェアを取って拡大する。新卒領域以外の事業も実現したいが、すぐに実行する計画はない。両軸で事業を伸ばしたい。

―(蓄積された)学生のデータを使えば様々なビジネスを展開できると思うが、具体的な計画はないのか
学生の情報は重要な個人情報だ。単にビジネスでお金が儲かることに取り組むのではなく、ミッションに掲げた「つながりで世界をワクワクさせる」とか、若者自身の成長を加速する事業に投資したい。方向性としてはHR領域に特化する。

―グロービス経営大学院が株主である会社の上場は初めてか
初めてだ。当社はグロービス経営大学院の卒業生で作った。創業の3人が大阪校の同期で、会社を辞めて起業して、初めての上場という事例だ。

―卒業生に投資する枠組みがあるのか
グロービス・ベンチャーキャピタルは卒業生への投資実績はあまりない。経営大学院が出資するスキームがあり、出資を受けた。

―(グロービス経営大学院は保有株式を)売却するのか
そうであれば次のグロービス生に投資するためではないか。次の起業家が生まれるほうが日本が盛り上がりそうなので、そのほうが嬉しい。

―長期的な業績目標は
2020年12月末に3441人の就職が決まっており、2021年3月期の売り上げを算出する根拠でKGI(Key Goal Indicator)だ。今のシェアは0.8%で、中期的には5%になると2万人の決定人数になる。人数が増えるに従い売り上げが上がるイメージを持ってもらえば、成長戦略の規模感が分かる。

就職ナビやイベントセミナーでの採用が、人材紹介やダイレクトリクルーティングに変わりつつある。海外では、近々半分以上を占めるようになると考えており、シェアを取ると売り上げが上がる。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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