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上場会見:ウイングアーク1st<4432>の田中社長、帳票入力もデジタルで

16日、ウイングアーク1stが東証1部に上場した。初値は、公開価格(1590円)のおよそ1.25倍の2000円を付け、1980円で引けた。同社は、帳票管理や、企業の情報活用を促進するBI(ビジネス・インテリジェンス)に関するソフトウェアとクラウドサービスを手掛ける。田中潤社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

事業会社である株主とは全て事業上の提携関係があり協業を進めていると話す田中社長

事業会社である株主とは全て事業上の提携関係があり協業を進めていると話す田中社長

―初値が公開価格を上回った
公開価格の1590円を提示したタイミングで非常に多くの投資家から需要があったと聞いており、それが市場に出た今日、結果として反映された。逆に言えば、当社に対する非常に高い期待値の表れと感じている。期待にしっかり応えて、今後も企業価値を上げられるように頑張りたい。

―8年前にMBOで上場廃止し、昨年、一昨年IPOを果たせなかったが、そのうえでの上場の感想は
2年前に最初にチャレンジした時は株式のマーケット状況が非常に良くなく延期した。昨年度はコロナ禍やロシアやサウジアラビアの原油の問題があって株式市場がおかしくなっていた。いずれもタイミングが良くなかった。3回目もコロナ禍で環境としては非常に厳しい。だが、当社の顧客はほとんど離れずに、新しいビジネスモデルにしっかり付いてきてもらい成長できた。3回目のチャレンジには意味があった。

―この時期に上場する意味や目的は
当社の成長戦略はクラウドサービスで、30%以上伸びたが、このサービスは顧客のデータを預かることがポイント。顧客に大企業や公共関係が多く、しっかり信頼されるために、世の中で信頼のおける会社であるという上場のステージに上がった。今後の成長戦略を進めるうえで、皆さんに安心して使ってもらえるサービスモデルを実現したい。

―過去2回IPOにチャレンジした際の目論見書想定価格が、回を追うごとに下がったことをどう評価するか
その時の環境や投資家の声が価格に反映されると考えており、前回が高いか安いかという議論はあるが、その時々で市場に出せる価格が設定される。今回はこのような環境下であり、投資家に支持されやすい価格だった。

―なぜカーライルを選んだのか。 良かったことは
2016年に上場を目指した。当時はオリックスが大株主だったが、我々が上場を目指すことに、特にモチベーションがなかった。我々は上場をしっかりバックアップしてくれる投資家と一緒でなければならないということで、いろいろ調べた。カーライルによる上場実績が多かったことから、話したところ、上場することにコミットするとのことで選択した。

ファンド案件ではあまり投資ができなくなるという話があった。「上場するために必要なものはしっかりやっていきましょう」という話だったので、クラウドサービスにかなり投資をして成長させることができた。カーライルのバックアップで上場を迎えたため、選択としては間違っていなかった。

―出資に際して入札ではなかったのか
調べてこちらから話をした。普通は反対かもしれないが、逆のパターンだった。

―具体的にクラウドを使ってどうしていきたいのか
1つは、高いシェアを持つ帳票・ドキュメント管理のビジネスについてだが、コロナ禍で、ペーパレスやハンコレスとして紙をなくすことは、政府も旗を振る。当社は元々帳票を出力するソフトウェアを各企業に展開してきたため、顧客は多い。分かりやすいもので言えば、請求書を相手に渡す時に、今までは郵送していたものがデジタルファイルでの送付に変わった。ただ、受け取った人はそれを見ながら入力し、結果的にデジタル化した価値が半減する。

自社の顧客については、最初から相手に渡す帳票からデータを取り出す仕組みが用意され、帳票と一緒にデータを渡すことができる。入力という行為をなくすクラウドサービス展開を予定する。これは最近、伊藤忠商事と共同開発したビジネスモデルだ。

もう1つは、現在目的別のクラウドサービスをいくつも展開している。例えば、小売業向けで、スーパーマーケットなど総菜を取り扱う場所での衛生管理をするための仕組みは法律で義務付けられている。当社のクラウドサービスを使うと効率が上がり、全ての仕組みを実現できる。このため、大手のチェーンストアが導入している。

―帳票の入力はいわゆるOCR (Optical Character Recognition)を使うのか
帳票の入力方法は2つあり、うち1つはAI OCR系の製品ラインアップ。AI OCRは学習しながら精度を上げてデータ化する。そのアプローチよりも、顧客は当社の仕組みで帳票を出力する。製品に帳票データを取り出すことができ、完成した帳票からデータをもう一度出して使う。この時にはOCR技術ではなくオリジナルの技術を使う。大企業を中心に2万6000社の顧客はワンタッチでできる。そうでない人はAI OCRを使ってデータ化する合わせ技になる。

―技術を内製化しているが、提携やM&Aの考え方は
自社開発のみではなく、足りない領域は業務提携する。AI OCRは特殊だが、4つのOCR機能を組み合わせて使う仕組みだ。当社のオリジナルの技術と他社のものを複合して、全てのOCRが正しいと認識すればほぼ100%正しいと判断できるように、複数のOCRで精度を上げる。一見競合する企業のものも一緒に提供する。

最近、東芝デジタルソリューションズが株主に入ったように、データをたくさん扱う会社が株主に多い。彼らのデータを我々のテクノロジーによって、新たなビジネスモデルを作ることに今後も注力する。類似テクノロジーの会社との提携や、データを大量に保有する会社と新規ビジネスモデルを作ることが、帳票・文書管理ソリューションとデータエンパワーメントソリューションそれぞれの戦い方だと思う。

―リカーリングを伸ばすとのことだが、何年後にどのぐらいの売上高比率になるのか
リカーリングビジネスモデルは2つに分類される。1つはソフトウェアの保守メンテナンス。もう1つはクラウドのようなサブスクリプションモデルのものだ。

保守メンテナンスはシステムが続く限りあるが、爆発的に増えるというよりはしっかり成長させていく。今後増えていくのはクラウドビジネスモデルだ。売り上げ構成比として、リカーリングの部分が増える。今は五十数%だが、数年後には6~7割に伸ばしていく。

―どのぐらいの期間で目指すのか
この3年で60%の突破を目指したい。

―のれんの占める割合が高いと指摘されるが、財務的にどう考えるか
藤本泰輔CFO:のれんはPPA(Purchase Price Allocation)を合わせた無形資産で400億円を超える。確かに総資産に占める割合としては大きいが、のれん自体はMBOで発生した自社のれんだ。毎年、第三者機関で評価しており、直近の評価では超過収益力として800億円を超えると評価され、絶対値としては大きいかもしれないが、すぐにリスクになるというものでもない。収益力がのれんとしてビジネスに乗っており、今の計画を大きく棄損することがない限り、影響するものではない。

―株主還元の方針と、2021年2月期の配当が未定である理由は
30%程度が配当性向目標になる。2021年2月期についても30%の配当を想定する。同期の最終的な決算着地は4月13日に公表する予定であり、それに合わせて2021年2月期の配当を発表する。

キャッシュフローが強い会社であり、今後についても株主還元を重要視する。上場時には30%を目標とし、今後強化する。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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