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上場会見:オンデック<7360>の久保社長、ターゲットは全企業

29日、オンデックが東証マザーズに上場した。初値は付かず、公開価格(1550円)の2.3倍となる3565円の買い気配で引けた。同社は中小企業のM&Aアドバイザリーや事業承継を手掛ける。累計成約件数は203件。ほかのM&Aファームと差別化するため、M&Aを検討する企業に有用な情報をWEB上で提供するプラットフォームの構築を進めており、優良案件の獲得やマッチング精度の向上を目指す。久保良介社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

30人ほどのコンサルタントの4割ほどが士業に携わり、コンサルティングの品質を重視すると話す久保社長

30人ほどのコンサルタントの4割ほどが士業の資格を持ち、コンサルティングの品質を重視すると話す久保社長

―初値が付かなかった
マーケットから良い評価を得ていることに対して非常に責任を感じる。投資家の期待に応えるような成長を遂げ、維持しなければならない点では良い意味でプレッシャーを感じている。

―久保社長と舩戸雅夫副社長はJCBでの同期だが、起業の経緯は前職と関係あるのか
前職とは全く関係ない。M&Aが良いというよりも、早い段階から起業ありきで考えた。17年ぐらい前からビジネスモデルのプランを出し合った。ビジネスモデルを選ぶ基準を6つ出した。市場が大きくなることや、全業種に関われる、経営陣とやり取りをするものなどいくつかの選択基準に当てはめて、中小企業向けのM&Aがビジネススキームに合致するとして選んだ。

―同業は日本M&Aセンターやストライクか
タイプは違うと思うが、受託の競争という観点からは、日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、名南M&A、山田コンサルティンググループの5社は定期的にぶつかる。

―差別化要素は
主観的な区分だが、タイプとして大きく2種類ある。マッチングを重視する会社と、コンサルティングから入る会社に分かれる。マッチング型は日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、名南M&Aで、コンサルティングから入るのは山田コンサルティンググループとフロンティアマネジメントだ。我々は後者の区分に該当する。

―最近M&A手数料が高すぎるという意見を聞くが、価格競争になりつつあるのか。あるいは案件が潤沢にあり、どの会社も同じように伸びるのか
少なくとも数年は需要が圧倒的に多い。最大の背景は後継者問題だ。我々がターゲットにする後継者がいないであろう60歳以上の経営者の企業で、黒字法人だけでも23万社が存在する。公表ベースで年間の中小企業同士のM&Aは4000件前後であるため、需給の均衡が取れない。競合は増えるが、需要超過が当面続く。マーケットを食い合うレベルではない。

価格の部分は遠からず影響が出る。もともと、我々は価格を低めに見積もってモデルを組む。同業他社が1件あたりの平均単価を6000~7000万円と見積もるところ、我々は3500万円前後で組む。一定の競争があっても、我々は今まで通りの手数料にするだけで、あまり影響はない。

―全社的に強化するポイントは
コンサルティングのクオリティには自負がある。それでコンペでの勝率が高いなど結果を出せる。加えて、サービスの丁寧さにこだわってきたがゆえに、案件を探してマッチングする営業的な側面が未熟だ。コンサルティングのクオリティは全ての基礎になり、それはでき上がっている。そこに営業的要素や情報開発力を付けることが当面の課題だ。

そのために人材採用や、より大きなネットワークを作らなければならない。M&Aプラットフォーム構想もその一環だ。

―関西以外での事業拡大や人員増強を図ると思うが、具体的な戦略は
全体の戦略はプラットフォームが柱となる。その前に大阪で根付かせたものを東京エリアで横展開することが先行する戦略だ。大阪エリアを中心とした関西圏で営業を15年続け、知名度やネットワークは東京に比べて強い。

銀行や信用金庫のような金融機関や、税理士や公認会計士といった士業のネットワークが強い。一定の知名度があるため、関西ではどこに行っても連係(※連携のほう?)できる。東京はそこまで展開できないが、IPOを皮切りに、そこで得られる信用などを利用して、アライアンスのネットワークを強化する。

―M&Aプラットフォームとはどのようなものか
ポイントを話すと、マーケットでもITを活用したM&Aプラットフォームがいくつか出ており、主流はマッチング型。売りたい企業と買いたい企業をWEB上でマッチングする。掲載された売りたい企業の情報を検索するタイプだ。我々は逆の発想で、買収を希望する側を起点にM&Aのニーズを生み出す動きをするプラットフォームを作る。ローンチの時期は、最低限の機能で先行リリースしたいので、2021年11月期の極力早い時期で検討する。

―プラットフォームはどのような思想に基づき、どのようなメリットがあるか
一言で言えば、アプローチ型のプラットフォームと呼んでいる。マッチング型は基本的に売りたい企業が掲載されたもののなかから検索して選ぶ。我々の場合は自分たちにベストマッチと思う会社にアプローチする。極端を言うと、どの企業も買収対象となる。

―売りたい企業側も登録するが、よりスカウト的な性質を帯びるのか
売りたい企業側の登録はない。国内の全企業がターゲットになるとも言える。売りたいニーズが顕在化しているとは限らず、交渉が不発に終わる可能性はある。とはいえ、我々の実績に基づくと、直接のアプローチで交渉のテーブルに乗る確率は20%前後だ。アナログで手掛けたことをデジタルに置き換えて実現する。

―収益構造は変わらないのか
利用の条件としてバイサイドのニーズをプラットフォームに登録してもらうので、マッチング作業のスピードが上がり効率化する。25%程度の生産性向上を期待する。需要は超過しており、こなせる案件数も25%増える。また、案件のリードタイムが大幅に短縮されて生産性が向上する。

―アナログの頃の平均リードタイムはどの程度か。また、デジタル化後のリードタイムをどう見込むか
昨年や一昨年では10~11ヵ月ほどかかった。25%削減するので2ヵ月ほど短縮できると考える。

―今まで他社はできなかったのか
アナログでは実施するが、デジタルではない。

大西宏樹取締役:手間があり時間がかかり過ぎる。

久保社長:網羅的な企業情報データベースが必要になるため、実現は難しい。我々にとっても課題になるが、株主のタケオホールディングスのグループ会社である帝国データバンクと交渉を重ねながら実現を図っている。

―2020年11月期決算で、第3四半期までが赤字で、通期黒字になったことについて
本来はもう少し早い時点で通期予算に届く予定だった。3月から6月にかけての新型コロナウイルスの感染拡大による自粛の影響が大きかった。未体験の事象でありマーケットが様子見してディールが止まり、第3四半期に達成する予定で組んだものが、1四半期ずれた。

―中長期的な視点での収益目標は
金額よりも営業利益率40%前後を目指す。

―達成のための施策は
競争環境が厳しくなることを見越して、比較的低単価でサービスを提供している。そのうえで高い利益率を実現すると思うと、1人当たりの成約件数を高めなければならない。そのために、飛躍的な生産性向上のためにプラットフォームを構築する。デジタルを使ったオリジネーションの生産性を上げることがカギになるのではないか。

―何年ほどで達成するのか
IPOの準備前は40%台を維持していた。IPOを前提とした間接部門強化や人員の先行整備の影響で、足元で若干落ちた。一時的なものであり、中期では戻してくる。

―PMI(Post Merger Integration)サービスを提供するのか
今はサービスとしては手掛けていない。アフターサービス的に対価を受け取らずに、会社によっては、最初の営業会議に出てほしいとの要望が担当コンサルタントにある時は対応する。

―今後、強化する可能性はあるか
もちろんある。PMIはM&Aの成功に重要な要素で、(顧客の)事業の成功が本質的に実現しなければならない価値であるため、正式なサービスを(※でいいのか?)行いたい。

今の段階でそこまでのリソースを割けないので、買収側が、買収後の事業計画を描けるような対象会社の情報整理を心掛け、クオリティに重きを置く。

―株主のタケオホールディングスとの関係は
帝国データバンクグループの持ち株会社で、提携関係の協議から始まり、資本を持ちたいとの申し出があった。案件が紹介される提携だ。

―株主のAngel Bridge Deal-by-Deal Fund9号との関係は純投資か
対外的な区分ではベンチャーキャピタルであり、そう取れる。一方で、彼らからの出資の申し出を受けた時の要求は資本・業務提携だった。彼らはVCだが外資系のバイアウトファンド出身のメンバーが運営する。投資やM&Aのアドバイザリー周りの高度なノウハウを持つ。コンサルティングのクオリティや難易度の高い案件への対応力を強化したかったため、彼らのノウハウ提供とセットで出資を受け入れた。場合によっては一部はエグジットがあるかもしれないが、一部は継続保有で関係が続く前提だ。

―株主還元は
明確にこの期からというのはない。今期や来期はプラットフォームや人材採用など成長の基盤をしっかり固めるために資金を投じることから、無配になる可能性が高い。中期的には安定配当できる会社を目指す。配当性向20%を目標に還元を目指したい。

オンデック<7360>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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