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上場会見:東和ハイシステム<4172>の石井社長、人材増強なくして拠点展開なし

25日、東和ハイシステムが東証ジャスダックスタンダードに上場した。公開価格(2300円)を130.43%上回る5300円を付け、4300円で引けた。同社は電子カルテやレセプト、各種アプリケーションなど歯科医院向けの電子カルテ統合システムを開発・販売する。システムの規模が大きく、専任担当者によるサポートが特徴で、営業拠点進出地域でのみ製品を販売する。石井滋久社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

開発した電子カルテシステムは既に償却済みで粗利が100%の状態と話す石井社長

開発した電子カルテシステムは既に償却済みで粗利が100%の状態と話す石井社長

―公開価格2300円に対して終値が4300円だった。手応えと受け止めは
期待が大き過ぎて怖い。偽らざる本音だ。

―どのような経営や事業展開をするのか
人生もロマンで、経営もロマンだ。無限の可能性に挑戦して株主の期待に応えたい。できないことはない。しかし、経営の原点は絶対に崩さない。顔が見えて心が触れ合う、顧客に愛され親しまれ、信頼される社員であり会社であることだ。

歯科医である当社の3100のユーザーに100株でも買ってもらえば最も嬉しい。歯科医療に夢と未来を与えるようなソフトを開発して提供する。それを売りっぱなしにせず、コールセンター(対応)ではなく、顔が見え心が触れ合うサポートをしながら歯科医の皆さんとともに成長する。それが地域の歯科医療の発展につながる。歯科医を通じて地域の歯科医療の発展に尽力したい。株価で責任の重さを感じた。何としても頑張りたい。

山﨑武恆CFO:石井が言うように、いかに投資家の期待に応えるのか私自身気持ちが引き締まる。ただ、今回の上場に当たり、ネットなどではいろいろな風聞のようなものが流れると思うが、株価について一喜一憂するよりは足元を見据えて業務に取り組みたい。

■世に問う三無主義
―このタイミングで上場した狙いは
石井社長:リクルート対策が一番だ。当社は営業サポート社員の増員なくして拠点展開できない。東京を攻めようとしたら、都内の何ヵ所にも拠点を出さなければならない。当社の戦略は点ではなく面作戦だ。都を、23区を、その周辺都市をどう攻めるか。今は横浜に拠点を置くが、神奈川を完全に落とそうとすれば拠点はあと2ヵ所必要だ。都内を全て落とそうとすればあと5ヵ所は要る。

では、千葉や埼玉はどうするか、千葉も埼玉も販売禁止だ。やはり顔が見えて「即行く即やる体制」を取らないと電子カルテのサポートはできない。人材増強なくして拠点展開できない。岡山県に本社があるのでどんな方法でリクルートしてもなかなか集まらない。IPOで会社の信頼を高め、当社の内容を各大学の教員に分かってもらい広く優秀な人材を集める。3~4ヵ月間徹底して、歯科医以上に歯科医や保険の知識、ITスキルを高めて顧客の下に届けたい。これなくして当社は成長発展できない。

また、「三無主義」を世に問いたい。保守は無料。今は(業界全体が)課金志向だ。勝手に収益が入ってくるシステムを考えるばかりだ。当社は違う。ソフトとバージョンアップ、システムサポートが無償。9割以上がリースでの購入だが、1つのシステムを買ってもらえば、2年に1回の薬価改正など国の制度改定以外は、歯科医は当社と無償で付き合える。

こんな会社はない。他社は販売したらコールセンターに任せる。我々は地域で即行く即やるなので、1人の営業サポート社員が34件ほどを受け持つ。それ以上は持てない。ただ、オンライン資格確認制度の開始でネット環境が整えばバージョンアップなどはネットを通じて流せる。

今は訪問して改訂やバージョンアップ作業をする。オンライン資格確認は歯科医をITに目覚めさせ、当社も強みを活かせる。今は東海地区や千葉県、埼玉県では経営理念が違うので販売しない。

山﨑CFO:12月の上場は当社にとって非常に良いタイミングだった。語弊があるかもしれないが、コロナ禍で、歯科医のITに対する姿勢が非常に変わった。これに加えて、厚生労働省が取り組むオンライン資格確認システム事業が来年3月から始まる。

これまでの歯科医にはネット環境がない場所も多数存在し、あっても歯科医が個人的に検索するために使うことがメインだった。コロナ禍と制度導入で歯科医のITに対する動きが加速すると見る。3月の前に上場できたことは喜ばしい。

■ターゲットは6割
―今後、東日本に進出するにあたり、未導入地域の歯科医師が統合型電子カルテを使うメリットは
当社のシステムの最大の特徴は、統合あるいはデータの一元化だ。現在、歯科医院向けのシステムは、ある程度パッケージ化されたものもあるかもしれないが、基本的には複数のシステムをバラバラに使う。特に、窓口業務と言われる予約管理や電話受付などの情報共有は重要な課題だ。

当社のシステムはそれらを統合して電子カルテをデータベースで運営する。簡単に言えば、受付の人が予約を受ける時にはこのパソコン、電話では別のパソコンや別のソフト、紙の台帳で管理しなければならない業務から解放される。これがデータ一元化の最大のメリットだ。患者が多い歯科医院ほど事務処理の簡素化を喜んでもらえる。

―患者が多い歯科医院ほど導入メリットが高いようだが、顧客ターゲットのボリュームゾーンはあるのか。歯科医院であればどこでも使ってもらえるのか
石井社長:問題は、今、コンビニの数以上に歯科医院が多いことだ。6万8600件ほどだが、そのうちの1割の7000件弱はレセプトを手書きする。そういった歯科医は当社の製品を導入しない。患者が5~6人しかいないところも同様だ。

夢と希望を持ってこの歯科医療で私はこうしたいと前向きに考える歯科医は、年齢に関係なく導入する。勤務医も雇う。そういう歯科医院は一元管理しないと手が回らない。当社のターゲットは6割だ。

■3年で5拠点
―首都圏の目標拠点や採用人数の目標は
今、90人のサポート社員がおり、2023年9月期に140人に高めたい。50人純増させるためには、毎年最低20人以上採用する必要がある。現在20人が内定した。140人体制だと、売り上げが1.5倍、純利益は倍ほどになる。

―拠点数は
3年以内に全体で5拠点増やしたい。関東は2~3拠点だ。それ以上は増やせない。関西はまだ無限の需要がある。大阪府の北や南をどうするか。九州は宮崎県だけが販売禁止なので、宮崎をどうするか。そのようことを考えると5拠点増やしたい。50人増やすと5拠点できる。1拠点で4~5人までだ。それ以上に増やすと組織ができない。

東京を制覇しようとすれば東京よりも千葉が面白い。地方都市の方が歯科者同士のまとまりが高い。千葉市は新宿に出すより良い。歯科医の友達は歯科医だ。同志的結合を有効に活用するならば埼玉や千葉だ。新宿に出すより価値がある。

保険診療の収入はどこでも同じで固定費は10倍違う。そうすると都内では審美歯科やインプラントなど自由診療主体になる。どちらが良いかは別だが、個性的な歯科医院は都内に多い。都内の歯科医は多店舗を展開する勝ち組が多く、当社のシステムが欲しい。

140人体制にすることで、23拠点が28拠点になるのではないか。5拠点をどう配置するかは市場調査しながら検討したい。

―新型コロナウイルスの感染が再拡大中だがコロナ禍の影響は
山﨑CFO:最も影響が大きかったのは4~5月だ。売り上げは1億2000万円程度減少したと分析した。しかし、その後の取り組みが功を奏し、現在では当社が標準と捉える水準まで売り上げに関する問題を克服した。今後どこまで新型コロナウイルスが拡大するか、政府その他が我々の予想を超えた対応を取る可能性があり、断定できない。4~5月を教訓に新たな対策を取りたい。

―歯科受診者は減っているのか
石井社長:確実に減っている。(歯科医院が)真剣に経営を考え始めた。それで6月に来館分析というシステムをリリースした。予約した患者がどの地域から来るか、あるいは性別や年齢、傷病などを分析できる。非常に売れている。今は電話が入るとCTI(Computer Telephony Integration)と電子カルテが連動し来館予定者の情報がすぐに分かる。相手を考えるようになった。

4~5月で経営者が真剣になり、それに対応したシステムを提案すると、6月には完全にコロナを克服した。なぜそうできたかと言うと、顔が見え、心が触れ合うからだ。これが一番だ。歯科医は困っており来てほしい。患者が減り、勤務医や歯科衛生士、受付担当者を減らしたが伸ばしたい、患者にどういうメッセージを出したらいいのかという声に対していろいろな提案をすることで顧客が応えてくれる。本物だけが生き残る。

■電子カルテを分析
―AIを活用した新商品を検討するようだが、システムでどう活用するか
山﨑CFO:前置きを私が説明する。現状ではビッグデータによる解析だ。当社は3000件の顧客の電子カルテのデータを保有する。カルテのデータなので十分慎重な対応を取ったうえで、歯科医の協力を得られればカルテを分析したい。分析によって何かが見え、顧客に新しい価値を提供できるのではないか。今話せるのはこのレベルのものだ。

石井社長:国もレセプトの分析しかできない。電子カルテのデータがないので診療内容の分析ができない。当社は3100件のデータを歯科医が持っている。HGMという歯科医の互助会もある。そこで集まってもらって(データを利用させてもらい)、AIで分析して結果を返す。国の保険制度にインパクトがあるのではないか。我々も歯科医療に携わる以上、地域の歯科医院を通じて地域の歯科医療に貢献したい。歯科医側の要望もある。

―可能性として、オンライン診療で患者の口腔内の画像データを処理して分析する発想はあるか
あり得る。現在、医科のオンライン診療をするのはメドレーで、歯科にも進出し全国244院に販売していると言われる。当社はオンライン診療と電子カルテが結合する。あとは歯科医が、どう加工し、使い勝手の良いように分析してオンライン診療にどう活かしたいかだ。歯科医とともに作りたい。今は検討中だ。

―市場再編の影響は
山﨑CFO:現在のところ特段の影響はない。

―株主還元は
石井社長:大枠では配当性向50%を目指したい。

山﨑CFO:今回新たに加わった株主に最初に配当できるのは、期末配当であれば来年12月になる。上場記念の意味合いを込めて1株55円を予想としてリリースした。

それ以降については、調達資金の活用でクラウド型サービスのラインアップ拡充を進める。それが一巡するのが3年後と考えており、その果実として配当性向50%を目指す。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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