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上場会見:SANEI<6230>の西岡社長、コロナで変わる水周り

25日、SANEIが東証2部に上場した。2200円の公募価格を60.23%上回る3525円の初値を付け、2865円で引けた。同社はデザイン性の高い給水栓や給水金具などを製造・販売する。4月に上場承認を受けたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う市況の悪化を受けて中止していた。西岡利明社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

コロナ禍で、住宅の奥に位置していた洗面所などの配置の見直しが進んでいると話す西岡社長

コロナ禍で、住宅の奥に位置していた洗面所などの配置の見直しが進んでいると話す西岡社長

―この時期に上場した理由は
何年か前から準備したが、第三セクターのような大きなプロジェクト案件を獲るような時にガバナンスの効いた企業は有利になる。非上場企業ではハンデになることを感じてきた。個人や民間案件では問題ないが、水を扱うメーカーとしては公明正大さが必要になる。これからもっと羽ばたくには、まずは公開企業になるのが念願だった。ほかのメーカーと同じ土俵に立って競合できる立場が欲しかったのが、この時期になってしまった。

―上場を延期したが、再申請までにどのような工夫や変化があったのか
新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、4月に上場を見送る決断をしなければならず、モチベーションが非常に落ちた。その時点で先行きが非常に不透明で、2020年度はどういったところに着地するのか見えにくかった。通期予想も安全を見た数値で出した。

我々は蛇口といった人が触る商品を扱う。「非接触」という大きなテーマが出て、ドアレバーや蛇口を触りたくないというニーズが生じた。最も大きなファクターとしては、小学校や幼稚園など小さな子どもが通う場所の水の施設についてのものだった。先生は手洗いやうがいを指導するが、蛇口を触らせたくないため、非接触をテーマにした商品の要望がかなり増えた。

通常はあまり売れず、病院や公共施設に納品した製品がかなりの数量で出た。各県の教育委員会も、非接触を推奨したことでSANEIだけでなく全ての水栓メーカーで、そのテーマの商品群を多く供給できた。それを大きな要因として、本来4~6月には非常にしぼむものが、蓋を開けるとコロナ特需的な需要が起きた。下がった部分をカバーし、かつそれ以上になった。

同時に営業スタイルも変わった。従来は現場に訪問して設計者と打ち合わせし、ホームセンターであればバイヤーに面と向かって新製品の営業をした。リモートワークで、営業経費を非常に節減でき、接待交際費が皆無になった。売り上げが強含み、利益が非常に良くなった。2021年第2四半期で営業利益が6億5000万円となり、あと3億円ほどで目標の9億円に到達する。第2四半期以降も、足元が非常に強含みで推移している。

夏ぐらいまでは特需的な需要で売り上げができ、今後どうしようかと悩んでいた。だが、秋ぐらいから水を使う設備を家のどこに配置するかなど、住宅の水周りの在り方がどうあるべきかについてハウスメーカーと打ち合わせを始めた。そうして恒常的に売り上げが上昇する大きなファクターになる話が出てきた。

11月にはホテル向けに、水栓に加えて浴室周りのセットでの供給が始まり、今後の売り上げの大きなインパクトになると見ている。

―調達資金を岐阜工場への投資に充てるが、具体的な使途は
岐阜には工場が2ヵ所ある。大阪に小ロット品を作る工場がある。中国には単機能商品を生産する工場があり、それらを再編するのが大きな目的だ。

昔は、中国で安い人件費で安価に商品を作るために工場を出した。コロナ禍が始まる時に、サプライチェーンが切れるなどチャイナリスクが今後も付きまとうとの見立てが要因だ。大連工場は、中国やその近郊のアジア向けのハブ拠点として生産したい。日本の岐阜工場は高機能品しか扱わなかったが、単機能品も生産できる体制を検討する。他の工場も含めて検討する段階で、資金需要がある。そちらにまず使う。

初期の想定株価の問題で、リモートワークなどIT強化も使途の項目にしたが、調達資金との兼ね合いで自己資金で手当てする。営業の仕方や顧客との関わり合い方が変わるため、充実させたい。

―海外事業の展開は
今までは片手間だった。大連工場は保税区で、生産した物を一旦日本に輸入しなければならない。中国に販売するにしても再び輸出しなければならなかった。保税区を外すと、中国で売れる工場に進化できる。

中国は莫大な人口を抱え、富裕層が年々増えている。日本の商品をコスト面で使えなかったが、日本の製品は品質が良いイメージがある。そのような製品をより多く供給できれば中国の生産拠点となり得る。同時に北米ももう一度戦略を持って攻めたい。

―スマートホームと水道の関係をどう捉えるか
いろいろな可能性があり、スマートホームの考え方で何ができるか商品化している。例えば、家族1人ずつに風呂やシャワーの温度、シャワーの出方に好みがある。IoTでそれを瞬時に見分けてその人に合った適温を瞬時に出せる。

起床時には誰もが顔を洗ったり口をゆすいだりするため、高齢者世帯で蛇口を使ったという信号を、離れて暮らす息子や娘のもとに伝えられる。ポットメーカーも同様のサービスを手掛ける。水道検針は旧態依然の方法を取るが、雇用の問題はあるもののIoTを使えば簡単になる。それらがトータルでスマート住宅になる。水栓メーカ―単体ではできないことで、住宅メーカーが音頭を取って家電メーカーとコラボしながらできあがるのではないか。

―東証の市場区分見直しが控えるが、どこの市場を目指すか
当初は2部上場で1部へのくら替えを視野に入れた。ハードルが上がるため、当面はスタンダードにいるイメージだ。より市場に浸透して増資を行い流通株数を増やし、最終的にはプライム市場に行ければ良い。ここで満足はしていない。

―ESGやSDGsに対する取り組みは
SDGsの2030年の達成目標のなかに、我々が関わるものが6項目ある。例えば、昨今、最大の課題になっているプラスチック製品への対応がある。ビニール袋やちょっとしたセロファンなど副産物のゼロを目指して取り組んでいる。最終的にはゼロエミッション的な形になると良い。それにはサプライチェーンの強化が必要だ。協力企業と話し合って公開企業としてどうあるべきかと日々改善を続ける。

―株主還元の具体的な方針は
株主還元が責務と思っており、満足してもらえるようにしたい。どんなに悪くても2%の利回りを、できれば4%を目標にしたい。そのときの収益によるが、喜んでもらえる形を取りたい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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