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上場会見:ファンペップ<4881>の三好社長、対象は皮膚潰瘍全般

25日、ファンペップが東証マザーズに新規上場した。公開価格(650円)を10%上回る715円の初値を付け、780円で引けた。同社は機能性ペプチドを扱う大阪大学発の創薬ベンチャー。パイプラインは4品目で、皮膚潰瘍治療薬のSR-0379は、塩野義製薬とライセンス契約を締結しており、臨床試験のフェーズ3の準備段階まで進捗している。新型コロナウイルス感染症の予防ワクチンもアンジェスと共同で研究する。2019年11月に上場承認を受けたが、「市場環境と諸般の事情」を理由に中止した。三好稔美社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

抗体誘導ペプチドの優位性を説明する三好社長

抗体誘導ペプチドの優位性を説明する三好社長

―上場にかける意気込みについて
上場することで信用度を上げ、それによって資金調達の機会を多くしたい。先行投資型なので、セカンダリーで資金を調達する可能性が非常に高い。パイプラインが増え、研究活動を進めなければならず、研究員やビジネスデベロッパーなど優秀な人材を得なければならない。研究開発事業を進捗させる。

結果を出すことで、提携する製薬会社数を増やして収益を安定して確保したい。SR-0379については社会に有益な医薬品になると伝えることができた。同時に、抗体誘導ペプチドについては説明が難しい部分があり、うまく伝えることが難しかった。社会のためにあることを知って支援をしてもらうために上場した。

―公開価格が想定仮条件を下回ったが
ロードショーで約40社の機関投資家に説明した。感触としては一生懸命伝えきったが、どれだけの価格で入るかという点については機関投資家と主幹事の判断が入って価格が提示された。

―前回の上場申請時に、臨床の最終段階で患者への具体的なメリットを説明できなかったとのことだが、上場の再申請に当たって、主幹事の交代などのスキーム変更や前回と違う準備をしたのか
三好社長:1月に社長交代があり役職員の勧めで引き受けた。開発をできるだけ進捗させるうえでもう1度申請した。上場の目的は、我々の技術を世界に広げたいことと、信用力を上げて資金調達の機会を得ること、また、人材を獲得したい。

研究開発を進めて開発マイルストーンを得るために製薬会社との提携も必要になる。今年1年にやらなければいけないことを、1月に社員の皆に私の思いや方向性を知らしめた。その1つが、SR-0379について、「次の試験はどうなるのか」をきちんと説明することだった。我々が勝手にフェーズ3を実施すると言っても、誰にも信用してもらえない可能性があるので、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から「最終試験に入っていいよ。主要評価項目はこのようにしなさい」とお墨付きを得ることが重要だった。

もう1つは抗体誘導ペプチドに関して。日本は皆保険制度のため、価格意識がそれほど高くないかもしれないが、米国では医療費に関して基本的にシビアで、個人負担が大きい。富裕層しか投与できない医薬品のままで良いのか、我々の薬はそこを改善できるのではないかという思いがあり、その点を評価してもらいたかった。開発を進捗させなければならなかった。

もう1度、主幹事証券の評価を含めて大手証券会社と面談したし、SBI証券とも面談した。その間開発を進めるために私募で資金調達もしなければならなかった。「今年の目標を達成するからしっかり上場させてください」といった流れだった。これに賛同して「一緒に頑張りましょう」と言ってもらえたのがSBI証券だった。役職員が頑張ってしっかりした結果を出せたことと、SBI証券の支援のおかげで今回の上場に至っている。

―SR-0379を使うことで、褥瘡(じょくそう)の治療期間をどの程度短縮できるのか
冨岡英樹CSO:慢性創傷と呼ばれる1ヵ月を超えても治らない傷が対象疾患だ。臨床試験の前なので具体的に何日とは答えられないが、1ヵ月治らない患者は既存の療法では3週間を目標に治療を受ける。しっかり保険適用で治る薬剤に仕上げたい。

―SR-0379の治療にかかる期間を比較する際に、対照となる慢性創傷の治療期間である3週間は標準化されたものなのか
冨岡CSO:非常に難しいところだ。慢性創傷の場合、例えば被覆材が保険償還される期間が3週間だ。それを超える場合には4週間までできるのが今の保険医療の制度だ。医師は常に3週間を目標に傷の改善を図る。残念ながら3週間努力しても傷が全然治らない患者が存在する。そこに我々の薬が早期に介入することで治療を短くできれば良い。

―その場合、要観察期間は治療期間に入るのか
現状の創傷治療のベースとなる治療法の上に我々の薬剤を入れて効果が出るかを臨床試験で検証するのが目標だ。3週間というのは既存の良性肉芽を作る湿潤療法での期間を指す。その療法に移行する前の期間(要観察期間)が長引いてしまうので、その部分をアンメットメディカルニーズとして薬剤で介入することが可能になるよう臨床試験を行う。

―標準療法にSR-0379を上乗せした場合を標準療法と比較で治療を短縮できるということか
そうだ。

―フェーズ3では、4センチ以上の潰瘍の患者が対照群か
PMDAと相談したことはあるがエントリー基準の傷のサイズは非公表だ。

―理論的に言えばすぐ治る人よりは適切か
三好社長:そちらの方がデータが出やすいということにはなる。
冨岡CSO:単純に傷のサイズだけでは規定できない。深さなどいろいろなエントリー基準があり、一言では表せない。深さやサイズを総合的に見て、この薬剤が必要な人が対象となってくる。

―SR-0379の対象患者数や市場規模は
三好社長:現状、褥瘡への適用のみで、国内だけで20万人。糖尿病潰瘍の患者数は80万人いる。PMDAから、皮膚潰瘍については傷の種類の区別はしないでくれと言われている。皮膚潰瘍全般を対象としており、既存の薬よりも患者数が多くなる。

小さい傷であれば使ってはいけないことになるのではないかとの質問があったが、フェーズ3のプロトコールについては塩野義製薬との関係もあり、単独で話して良いものではないが、考え方について伝える。

冨岡CSO:慢性創傷で傷のサイズなど制限があるかと思うが、基本的に医薬品で何センチ以上でなければ使えないのか、傷が治ってきたら適用除外なるのかということは現状では考えていない。これまでの薬剤や医療機器の認可と同様にサイズによる制限がない形で進めたい。当局とのやりとりについてはそれ以上は差し控えたい。

三好社長:傷が大きいかどうかなどは市場の評価という点では考える必要がないと見る。

―事業展開のおおよそのスケジュール感は
資金調達の機会を得られたため、研究開発を進めたい。それによって製薬会社の提携数を増やし、開発マイルストーンを獲得したい。現状でマイルストーンを得られるところは塩野義製薬や大日本住友製薬だ。塩野義製薬についてはかなり近いところでできるのではないか。大日本住友製薬についても計画通りであれば入るだろう。そのほかについても、基礎研究段階にある抗体誘導ペプチドの動物実験などの結果を出しながら提携数を増やしたい。

恒常的な収益確保は、先頭を走るSR-0379の承認を得て販売が確定する頃になる。最後の臨床試験であり、何千人を治験にエントリーするような大規模な試験ではないので、それほどの期間はかからないと予想する。数年内には恒常的な収益の確保につながるのではないか。

―大学発スタートアップを取り巻く環境について、制度的な支援に関して希望はあるか
阪大にはかなりの支援を受けている。企業と提携しての寄付講座という面もあるかもしれないが、ウェットのラボを持たない状況で阪大のハードを使って基礎研究できた。今後も阪大との共同研究を通じて大学の施設や、大学の先生たちの知識を利用させてもらいたい。

ニュースを見ても、安定した生活ができない研究者が数多くいる。阪大発のベンチャーとして、良い研究員であればファンペップが採用できれば良いと思う。将来的なことではあるが。

―制度や支援について求めることはないのか
今のところはない。阪大と一緒に進めながらPMDAやAMED(日本医療研究開発機構)などの助成金を受け取れる。

冨岡CSO:まずは公的資金で、いろいろな大学と企業が一緒に新しいシーズを育てる仕組みはできている。当社も公的資金を使いながら専門をよく知る大学教授と研究活動をする。我々も活動しながら先生たちに資金が入ることが非常に大事かと思う。

―新型コロナウイルス向けワクチンの現状は
三好社長:アンジェスや阪大からの協力要請があった。抗体誘導ペプチドは、ペプチドのみで抗体ができ、高分子を使ったワクチンなどに比べてアナフィラキシーなど副作用の懸念がない。また、目的とした抗体のみができるだろうことから、可能性としては有効性が高いワクチンができるのではないかと1~2月に話があった。

会社として、「またアンジェスか」みたいなことを言われると心外であるため、説明が必要と考える。社内では、アンジェスは株主でもあるので利益相反と見られるのではないかと議論された。やってはいけないのではないのか、あるいは説明するのは面倒だという意見もあった。我々の抗体誘導ペプチドが、新型コロナウイルスに対して有効かもしれない、可能性がある時に、利益相反がありそうとほかの人にそう見られるかもしれないということで開発参加をやめて良いのかとなった時に、面倒でも皆で説明ようと、役職員のみならず取締役会や監査役も含めて議論し、抗体誘導ペプチドを使ったワクチン研究に参画した。

現状、アンジェスが進めるプログラムなので、我々のデータを使うかどうかは先方の判断になる。我々は独自で新型コロナウイルスに対する良い抗体誘導ペプチドを作り上げるための基礎研究を続ける。

もともと免疫学を専門にしていないところから抗体誘導ペプチドが出てきたが、プロジェクトへの参加で感染症や免疫学が専門の人と研究することから、社内の研究の幅が広がっている。ほかの会社が良い薬を出すのは喜ばしいが、より良いワクチンを作るために研究を続けている。

冨岡CSO:抗体誘導ペプチドの研究では、例えば将来的にウイルスに変異が生じた時に、できてほしい抗体が影響を受けるか否かが分かるので、どういった患者でどんなエピトープや抗体が有意義なのかが分かれば、より選択的な抗体を作らせるワクチンができるという発想で研究を進められる。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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