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上場会見:東京通信<7359>の古屋CEO、短期間にアプリを量産

24日、東京通信が東証マザーズに新規上場した。公開価格(1250円)の2倍弱となる2484円の初値を付け、2241円で引けた。アプリ事業では、スマートフォン向けの無料カジュアルゲームや、より直観的に遊べるハイパーカジュアルゲームアプリを企画・開発。アプリ内のスペースを広告枠としてクリック数を獲得し、収入を得る。広告代理事業も展開する。古屋佑樹CEOが東京証券取引所で上場会見を行った。

言葉による説明が不要で幅広い年齢層が遊べるハイパーカジュアルゲームの開発速度や投入ペースが加速していると話す古屋CEO

言葉による説明が不要で幅広い年齢層が遊べるハイパーカジュアルゲームの開発速度や投入ペースが加速していると話す古屋CEO

―この時期に上場した狙いは
グローバル展開が本格化しており、プロモーションをより積極的に行いたい。また、創業以来ずっと人材獲得や育成に注力してきたため、そこにメリットがあれば良い。

―アプリを年間何タイトルぐらいリリースするのか、
タイトル数はプロモーション方法や必要があれば月間100本以上手掛けた経験がある。過去に3500タイトル以上リリースした。国内向けに月間20~30本ぐらいで、海外向けには月間10~20本をリリースする。

―開発の強みは
評価されるのは、ダウンロード数ランキングなどだ。子会社の名前でランクインするが、ダウンロード数が好評を得ている。少ない人数で短期間かつ安価に製造することが強み。また、製造してヒットしたアプリの設計や広告設計を、次の作品に転用・流用する。ヒットしたシステムをベースに作るので安価かつ収益性や成功確率が高まる開発方法を取れる。

転用による再現性の担保がヒットを下支えし、ランキングにした時に多くダウンロードしてもらえる基礎としての資産になる。量産でき、かつ再現性の高いフレームを持つことも強みだ。

―ゲームを使った広告はどの程度のコンバージョンが狙えるのか
ユーザーを連れてくる手法は、我々が手掛け始めた時から今までに変わった。現在の状況で(集客)手法そのものは、各メディアや類似アプリにバナー広告や動画広告を表示することで、興味を持ったユーザーが当社のアプリをダウンロードする。

昨今は、動画を見て流入するのが中心だ。コンバージョン率よりは、ユーザーがどのぐらい当社のアプリで遊んで稼いでくれるかをイメージし、それよりも安価にユーザーを獲得する指標で出稿する。それが叶う限りはその単価でユーザーを最大限連れてくることができるように努力する。

―ゲームを遊ぶ層は幅広いと思うが、親和性の高い広告はあるのか
動画広告の手法が中心になる前提だが、カジュアルゲームの特徴として、課金させるゲームやソーシャルゲームでは、世界観に合う層が入ってくるほうが良い。また、課金を意識すれば財政面で有利な層の流入が望まれる。我々のジャンルは、滞在してプレイしてくれることが一番の狙いであり、メインターゲットやこの層にアプローチしたいという思想がない。

タイトルによっては、男女で好みが分かれるものや幅広い年齢層に受け入れられるもの、若年層が好むものなどグラデーションはある。ただ、基本的にオールターゲットでリーチして集客する。いくらで連れてきたいかが守られれば問題ない。

これはカジュアルゲームについての話だ。ハイパーカジュアルゲームについては、若年層よりもさらに下の子どもからお年寄りまでが遊ぶため、より一層全範囲かつセグメントを分けずに出稿するのが実態だ。

親和性の高いメディアについては、類似のアプリや同じジャンルのアプリから流入してくる。

―親和性の高いメディアではなく、どういったセグメントの商材の広告出稿が適するのか
親和性が高いものは、出稿するクライアントの業種や内容を見ると、デジコンと呼ばれるデジタルコンテンツが多い。アプリや著名なソーシャルゲームも多い。それ以外にもVOD(Video On Demand)やマンガアプリといったデジタルコンテンツが多い。

―収益性が落ちたアプリは、広告出稿を行わずに遊んでもらうことでストック収益を得るとのことだが、アプリ1本あたりの“賞味期限” はどのぐらいなのか
まずユーザーがどのくらい遊んでくれるかの意味での賞味期限がある。それはアプリによりけりだ。即日で遊ばれなくなってしまうものもあるのは事実だが、逆に長く遊んでもらえるものもある。

アプリそのものの賞味期限については、最初にヒットし、もしくはプロモーションが叶った時に最も売り上げが高くなる。最初に調子が良いのは事実だ。その後は、1~3ヵ月間に同様の水準で推移するものが多い。一方、当社のヒットアプリやハイパーカジュアルゲームは1年近く、またはそれ以上運用するものもあり、タイトルによって寿命が大きく異なる。

―今期は巣籠もり需要の取り込みはあったのか
コロナ禍の影響はあまりなかった。生活様式の変化やユーザー心理として、時間が少し増えたことでゲームのジャンルについてはプラスの要素が多いことを見聞きした。我々は、より短い隙間時間で遊んでもらうジャンルであるため、「時間が余ったからカジュアルゲームを遊ぼう」というのはない。生活の様式そのものが変わったと思うが、影響はなかった。

一方、マイナスもあまりなく、生活の仕方や隙間時間のタイミングが変わったとしても、移動などの間にプレイされた。収益性やアクティベートにあまり変化はなかった。

―現状、同じことをする上場会社は存在するのか
カジュアルゲームの切り口ではソーシャルゲームを出す会社がいくつかある。だが、カジュアルゲームに特化する類似や競合企業はほとんどない。カジュアルゲームのなかでもハイパーカジュアルのジャンルを昨年から始め、今年実績を作った。上場企業ではカヤックが着手し、IRをリリースした。

―昔は同様の会社がたくさんあったと思うが、この分野の市場は今どうしてこのような状況になったのか
ソーシャルゲームがものすごく華やかで夢に溢れていたタイミングで、マネタイズやプロモーションのバランスがやや崩れた時期があった。我々はソーシャルゲームが最も元気だった頃に最後発ぐらいのタイミングでカジュアルゲームに着手した。私自身経験が長く、どこかのデベロッパーでアプリ製造を経験した初期メンバーでスタートした。

何をどう作れば良いかを経験で担保でき、プロモーションとマネタイズのバランスをどう取るか、ある程度の理解があった。そのため、他社よりも打率や再現性が高い状態で進められた。他社がいなくなった点は、周辺環境を含めて端的にプロモーションとマネタイズの均衡が崩れたタイミングで撤退した会社が非常に多かった。

―マーケットに対する洞察力があったのか
スマートフォンが市場に現れてアプリ市場が黎明期だったところから携わっており、バランスが崩れた時期を経験した。そのなかでもどうすれば収益を上げられるか、情報も実行もそうだが一貫して利益を出せる状態でマーケティングをしてきた。

私にとっては需給のバランスが変わっただけであり、維持できない水準になったわけではない。他社はうまみの度合いや狙った利益率を諦める水準になったのかもしれない。我々が特殊なのではなく、一貫してマーケティング力でカバーできてきた。

―より具体的な成長の方向性は
国内市場について、日本のマーケットは小さくないので引き続き努力・注力する。今まで成功を収めた得意なジャンルの深掘りのほか、未着手のジャンルのカテゴリーが存在する。市場に存在しなかった新しい企画がまだある。それらへの挑戦で国内を成長させられる。

一方で、海外は今年ある程度の実績を収めた。これまでの5年間を顧みると、海外シェアはまだ小さい。市場規模から見ても一層伸ばせる。ハイパーカジュアルゲームは四半期に1本のペースで市場に投下でき、運用も叶った。このようなものを増やし、これまでのものも積み上がる。海外のハイパーカジュアルのヒット・運用可能本数を伸ばして、グローバルでの数字が大きくなり、成長に直結する。

―製造数の増加目標はあるか
採用や人員の強化を考えたい。加えて、今までハイパーカジュアルは今年1年で出稿できる本数やペースが速まっており、ノウハウの蓄積やメンバー育成が進んだ実感がある。引き続き本数もそうだが、ヒット率や利益率の高さを意識してリリースしたい。

―国内での未着手ジャンルやカテゴリーの方向性について
そこは言えないとか考えていないわけではなく、当社はゲームジャンルが多いので、ゲーム以外にも可能性や機会がある。

アプリは時にゲームでありツールであり、メディアでありいろいろな顔を持つ。そういった意味で市場のシェアの面で当社がチャレンジすべきところはある。分かりやすく言えば、アプリストアを見ると、カテゴリーで切り分けられる。当社のアプリが上位にランキングされないものを一つひとつ検討してチャレンジする。カテゴリーだけではなく、よく使われるビッグワードで検索した時に、当社のアプリが上位にないものがあれば、同様に検討してリリースする。

―ランキング上位にないものへ踏み出す判断基準は
マーケティング力だと思う。アプリのストアで、どのぐらい需要があるかの見極めは、今までのリリースやノウハウから想定してデータを出す。また、アプリに限らず需要のあるキーワードやカテゴリーはある程度読めるため、優先順位を付ける。とはいえ、得意不得意もあるので確度に照らして判断する。

―ユーザーが面白いと思うポイントを押さえられるのであれば、課金型ゲームに乗り出す可能性はあるのか
現時点では大型タイトルを意識していない。一方で、広告収益型と課金収益型のハイブリッド型に関しては可能性がある。広告と一部課金はこれまでも検討してきたし、我々のフィールドに近いところにある。

―M&Aのスタンスは
子会社としてベンチャーキャピタルを組成して投資の分野には挑戦する。それはキャピタルゲインを意図したものだ。買収や提携は、事業と直接的なシナジーがあるか、アプリや広告に近い会社を中心に検討するが、今すぐに計画はない。できる限り前向きに検討したい。

―ソリューションセールス事業と既存事業のシナジーはあるか
既存事業とのシナジーは今のところあまりない。ソリューションセールスの意図は、法人営業の人材の行動をもとに新規事業のアイデアを集めて、サービスを作り法人営業が必要になった場合にすぐに動けるように活動している。人数が限られるが、売り上げや利益を作り始めていて、さらなる有効活用を期待している。

今後の新規事業の考え方については、アプリや広告代理事業は大きく括ると広告というマネタイズポイントでの事業であり、それ以外の収益を得る事業ポートフォリオを求めたい。広告が嫌なわけではないが、マーケティング力を活かしながら広告以外の事業の立ち上げを中長期的に模索したい。

―プライム市場への関心は
ある。実態と条件について、市場のルール変更がなされる最中であり、様子見と言わざるを得ない。そういったものを視野に入れて成長を続ける意欲がある。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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