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上場会見:ヤプリ<4168>の庵原CEO、1ヵ月でアプリをリリース

22日、ヤプリが東証マザーズに上場した。公開価格の3160円を65.82%上回る5240円の初値を付け、1270円で引けた。同社はマーケティング向けなどに、スマホアプリの開発・運用・分析をノーコード(プログラミング不要)で提供するアプリプラットフォーム「Yappli」を運営する。庵原保文CEOが東京証券取引所で上場会見を行った。

アプリを簡単に作れることを説明する庵原CEO

アプリを簡単に作れることを説明する庵原CEO

―今日の感想は
創業7~8年、創業までの開発期間2年を含めると創業者にとっては10年近くビジネスをやってきたことになる。2020年という節目を迎えて、ようやく次のより大きな、より真剣な上場企業になり率直に嬉しい。ようやくここまで来た達成感もあるし、さらに拡大するであろう市場や製品にワクワクしている。コロナ禍で皆でお祝いできなかったのは非常に残念だ。次に東証1部などに行ったら盛大に祝いたい。

―海外で資金調達をしたが、海外での評価は
角田耕一CFO:機関投資家については海外比率を高め全体の半分ぐらい販売した。ポジティブに受け取ってもらった。コロナ禍で加速するデジタルトランスフォーメーション(DX)で、ノーコードがバズワードになった。当社はそのど真ん中の銘柄であり、マクロ環境を鑑みても非常に分かりやすい波に乗っていると評価された。数字を含めてうまく伝えわったのではないか。

コロナ禍もあるが、顧客の売り上げやコスト削減に寄与する大きなプロダクトが今までそれほどなかった。業務効率化を超えた価値を提供できるサービスとしても理解してもらえた。

―スクラッチ開発とノーコード開発との間の決定的な違いは何か
庵原CEO:スクラッチの受託会社は、オーダーメイドやテーラーメイドでクライアントが望む形でアプリを作れる。クライアントの要望をそのまま反映できることが最大の強みで、価値があり続ける。予算が豊富なクライアントや、どうしても他社と差別化したい業界1位のクライアントは、自分だけのデザインが欲しかったり、自社システムとより深く連携させる専用的な機能を求める傾向がある。その場合は今でもスクラッチ会社に依頼する。

一方で我々はそこまでのオーダーメイドでは作れないが、大体のクライアントが実現したいニーズの8割をカバーする。残り1~2割は部分的にカバーできないこともあるが、我々の場合、簡単にアプリを管理・運営でき、管理画面を使って施策を素早く実行できる。SaaSならではの利便性がある。それを踏まえて我々のようなプラットフォームを選ぶか、2割の差別化要因が必要であれば、コストがかかってもスクラッチ開発を依頼することになる。

―スクラッチ開発と比べて工数やコストをどのぐらい削減できるのか
顕著に削減でき、10分の1になるケースもある。スクラッチになると最初の仕様確定に数ヵ月かかり、その間に担当者と絶対に喧嘩になる。その後にデザイン工程で1~2ヵ月かかる。さらに実装工程ではiOSとandroid両方の開発が必要になるので、どんなに早くても半年から1年はかかるのがスクラッチ開発では当たり前の世界だ。それだけの人件費がかかるのでコストは数千万円、大きくなると億までかかる。そのため、スクラッチ開発する企業は、例えばユニクロやマクドナルドなど業界トップでないと体力的にしんどい。資金だけではなく苦労するし、疲れるし、辛いことが重なる。

我々の場合は、やろうと決めてから1ヵ月でアプリをリリースできる。素早くリーズナブルにできる。そのぐらいの差がある。

―ノーコードでアプリを開発できるプラットフォームはほかにもあるが、競合状況や優位性は
1つに圧倒的な時間的優位性がある。ノーコードやSaaSという言葉がない2013年に創業した。かつ、これまでにプライベートで累計30~40億円を調達しているため、豊富な資金による開発・マーケティング投資をしてきた。ヤフーでバリバリにWEB開発してきたノウハウやスキルのあるメンバーで創業した。それらの優位性でこの市場を作ってきた自負がある。

その結果として、他社の類似したサービスとの違いとして機能の量が圧倒的に多い。それだけでなく、1つひとつを作り込むため、より深い課題解決ができる。大企業が好む基幹システムと繋ぐとか、複雑なことにも対応できるプラットフォームであることが大きな差別化要因だ。

―IT人材の不足を支えるためにサービスが行われると思うが、トヨタやNECなどIT人材が豊富そうな企業が導入している。ターゲットは大企業か、あるいはIT人材が豊富な企業にはどう売り込むのか
基本的に、IT企業のようにアプリのプログラマーが社内にいない会社。世のなかの90%以上を占める会社がそうだと思うが、非IT企業が我々の顧客ゾーンになる。予算を持つ会社が多い一方で、例えばトヨタの本丸のアプリは自前で作るが、さまざまな部門や子会社などを持つため、全てのビジネスのあらゆる部門や子会社などのアプリを全てインハウスやアウトソースで作ることは非常にコストがかかる。

我々はそういった開発ニーズに対して訴求できる。大きな会社でもアプリを開発すことはそんなに簡単ではない。アウトソースするだけで何千万、規模が大きくなると億単位になる。ただでさえ自社WEBサイトや基幹システム、ECを運営したりとWEBだけでもとても苦労する。さらに専門的な知識が必要になるアプリをアウトソースしたりインハウスで開発するのは、かなりのリスクがあり、チャレンジだ。その場合、まずは我々のSaaSのシステムであるYappliを選び、良好なコストパフォーマンスで進めたい顧客が大企業にも非常に多い。

―ターゲット業界の深耕と拡大について、詳細は
Yappliは1つの業界に特化したものではないので、「for Marketing」と「for Company」以外のものもあり、さまざまな業界の顧客が使う。それらのなかで10、20と利用数が増えてきたら、そのサービスをパッケージ化して、2つのソリューションに次ぐソリューションに仕立てる。具体的にはメディア系のアプリが複数ある。あるテレビ局がニュースの配信に使っている。

学校や塾での利用もある。青山学院大学は、学生課と学生のコミュニケーションを掲示板の代わりにアプリで取る。行政でも、防災用アプリで県民とコミュニケーションを取る。まだ数は少ないが、立ち上がりそうなジャンルがある。一定の規模になったらマーケティングをかける。

―Yappliのサービスを提供できない時に、コードをクライアントに返すなどBCPの観点からの対策はあるのか
アプリに対しアップデートをかけることで、我々の製品をやめた後でも製品を使うことができる。万が一ヤプリがなくなったとか、大きな不具合があってシステムが動かなくなったとしても、アップデートボタンを押すことで、ダウンロードしたユーザーも引き継げて、クライアントのビジネスが完全に止まることを避けられる。

―クライアントにコードを提供するのか
それはやらない。SaaSのプラットフォームなので、コードを渡したら、そのプラットフォームのコード全てを渡すようなものなので、それはビジネスの根幹中の根幹だ。その場合はYappliを渡すようなものだ。

―他のプラットフォームなどとの連携は
基本的には、コアの部分は自社で開発する。現状でコアな機能とは、クーポンやポイントカード機能、どの小売系の顧客も使いたいスタンプカードのような機能だ。

一方、もっと詳しく分析したいとか、より高度にターゲティングしたプッシュ通知をしたい、自社の基幹システムの顧客情報と接続してプッシュ通知を打ちたいという場合、外部に素晴らしいサービスがある。それらと連携したほうが速いし、クライアントも満足する。そのジャンルについては連携を進める。

―分析ツールとの連携について、クライアントの一定のニーズが集まった段階で実装するのか。あるいは面白そうなものであれば先取りしてつなげるのか
基本的にはニーズが増えた段階で実装する。たまにはR&D的に自分たちで企画して実装することもあるが、クライアントの声が大きくなってきた機能を優先して開発するケースが多い。

―海外展開は
2~3年内に海外展開したい。目先では日本の市場を深く拡大できるため国内重視だが、海外も視野に入る。海外を見ていると、より簡易的なツールが多い。大企業でも使える機能性と柔軟性を兼ね備えたアプリ開発のプラットフォームは皆無に近いと分析している。我々がグローバルでもリーダーになれる可能性があるのではないか。

―他社を買収する、あるいはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を作って投資する予定はあるか
角田CFO:ぜひ検討したい。過去に事業譲受をしたこともある。全体的にサービスの適性や今後を鑑みて、今あるAPIやSDKを通じた連携よりさらに深くしたい場合には検討したい。ただ、いきなりCVCを作る予定はない。売上高成長や企業価値向上に大事であれば、積極的に投資したい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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