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上場会見:インバウンドテック<7031>の東間社長、セールスと多言語をセットで

18日、インバウンドテックが東証マザーズに上場した。公開価格の5700円を28.07%上回る7300円の初値を付け、7520円で引けた。同社はコールセンター運営を手掛ける。東京電力グループの営業代行が、全体の売上高の半分を占める。インバウンドのサポート事業は、12ヵ国語・24時間・365日体制でサービスを提供。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在留外国人にもサポートの対象を広げている。東間大社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

東間社長はビジネスの底堅さについて説明した

東間社長はビジネスの底堅さについて説明した

―初値が公開価格を上回ったが、どこが評価されたのか
ロードショーの時もそうだったが、コロナ禍でインバウンド銘柄というかブランドで市場に出る点で将来性をどう見るか、我々に対する評価が真っ2つに分かれた。3年ぐらいの長期で見ると明らかに市場が伸びることには概ね賛成だが、短期で見ると各社各様だった。ただ、底堅い数字を出すビジネスモデルを持つことは理解してもらえた。それを理解した投資家が買い、公募価格を上回る評価につながったと考えている。底堅さと将来性が勝ったのではないか。

―過去に行った社名変更(2017年9月、旧社名:ブレインプレス)は成功したか
事業ドメインが明確になったので理解は早くなった。ただ、ロードショーでは多言語センターがメインであるのに、コロナ禍で影響を受けたインバウンドのビジネスを(主に)しているのではないかという誤解が最初にあり、マイナスの部分はあった。初値が公募価格を大きく上回ったことから、我々のビジネスモデルを含めて業績の底堅さを理解してもらったのではないか。

―上場の目的は
ビジネスのターゲットは大きな会社や官公庁が多い。上場することで知名度やポジション確立を目指している。また、オリンピックを前に上場したかった。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、潮目はあるし、現在は感染者が増えていることから、どう評価されるかは理解している。今後を考えれば悪い方向になってはいけない状況であり、悪い方向にはいかないだとうと考えている。そのため、このタイミングで上場して、市場に対するアピールをきちんとして来る時を待ちたい。

―マルチリンガル以外の競合環境の認識は
セールス面で、光通信は一部競合に近い。我々はセールスから入って受付であるコールセンターで受けて、さらに多言語化してマルチリンガルにつなげる。ワンセットのビジネスモデルを持つ会社は市場にはない。

―新型コロナウイルス感染症の拡大による利益への影響がないとのことだが具体的には
生活インフラ産業のセールスから参入し、日本人相手のコールセンターの受付も行っている。そこから入り、多言語コールセンターでアンカーを打つ。しかも、ターゲットは在留外国人がほとんどで、彼らはずっと日本にいて人数が減っていない。特定技能の部分は観光よりもビザを早く解禁している。在留外国人は増えており、そこが強い。

―インバウンド需要が急減しているが 外国人対応窓口の同時通訳サービスへの影響は
一部で民泊やタクシーの受付を手掛けているため、その部分の問い合わせは減っている。

―業績への影響は
あまり大きくない。そもそも固定で長い契約になっている。また、民泊などで我々のサービスを使うクライアントは、非常に複雑なオペレーションを要求する。例えば、居酒屋を運営するクライアントは、メニューの説明に我々のサービスを使うわけではない。具体的には、海外の人が来店した際に、「この10%の料金は何なのか」、「お通しとは何なのか」となる。日本語表記のレシートを読めないことから、内容が複雑かつクレーム対応に近いサービスを提供する。そのようなサービスは保険に近いので、年間契約をすることが多い。外国人の出入りが多くても少なくても一定の金額が収益となる。これが大きく影響しないポイントの1つだ。

―今後、インバウンド需要が落ち込み続けると影響が出てくる可能性がある
可能性はゼロではない。だが、マルチリンガルの売り上げ規模は10億円で、そのうち観光などを含めたインバウンドの部分は年間5000万円程度にしかならない。

―その5000万円のうち年間契約がほとんどなのか
(売上高が)1000万円になるかゼロになるかと言えば、そのような状況ではない。

―コロナ禍で在留外国人が外出せずコールセンターを使う機会は増えたのか
増えている。いくつかインフラに近い企業、いわゆるキャリアで同じモデルの業務を受託している。引っ越しの問い合わせはそれほど増えていないが、コロナ禍で契約の形態を問い合わせる電話は明らかに増えている。

―AI通訳は技術部分を内製化しているのか
テクノロジーそのものは、AI通訳のAPIをいくつか使っている。Googleを使っている場合もマイクロソフトを使っている場合もある。表面上のシステム開発は自社で行う。

―いくつかのAPIを、この言語ならこのシステムといった基準で使うのか
時期によってはGoogleを使うことが良いことも、マイクロソフトを使ったほうが良いこともある。中国語であればAlibabaが良い場合もあり、組み合わせになる。バージョンアップすればAmazonのほうが良いなど通訳APIは性能向上がいたちごっこになっている。自社開発は苦しいため、その時々でAPIを入れ替えて使う。

―入れ替えで常に使いやすい状態にしているのか
当社にはネイティブスピーカーがいるのでシステムの良し悪しが分かる。英語や中国語は分かる人は多いかもしれないが、スペイン語やベトナム語、インドネシア語まで我々には分かる。

―対応言語を12ヵ国語から増やすのか
インバウンドと在留外国人向けで違いがある。インバウンドではニーズが多いのは英語と中国語、韓国語の3言語だ。それらの多言語センターを運営している会社はいくつかある。

生活密着型の話題や問診などはネイティブの言葉で話したいため、12言語を提供している。今後13、14と増やしたい。ロシア語など人材を採用しにくい稀少言語については海外に人材を求めることも検討している。

―東京電力グループへの売り上げ依存度の高さをどうするか
2016年の設立直後はインターネット回線販売が非常に多かった。2017~2018年はモバイル通信機器、2019年から電力販売というようにポートフォリオを入れ替えてきた。今は東京電力との関係は非常に良好で販売で提携しているが、そこだけではない。販売ノウハウがあるので、実際に既にいくつか新電力向けに、営業してコールセンターで受けて多言語化する全く同じビジネスモデルでサービスを提供している。携帯電話でも同様のモデルで進めている。東京電力に一極集中ではなく、手は打っている。

―顧客基盤は既にあるのか
既にあり、基盤によって変えることができる営業部隊を持っている

―具体的には何を売っていくのか
電気とガスのセット販売だ。新電力の参入で電気のプランが変わっているので、プラン変更を提案する。モバイルでは、各社が5Gの普及を進めており、やり方が変わってきている。5Gに加えてIoT機器をBtoBでセット販売してくれないかといった話になる。インターネット回線では、NTTの光回線だけでなく、テレワーク用のシンクライアント・ソリューションのセット販売の営業を進めている。

―KPIは
少し前は売り上げ至上主義だったが、2018年から利益重視になった。利益率を出すようなビジネスモデルにしている。2018年の段階でビジネスモデルを変えた。

―利益率を上げるために何をしているのか
コロナ禍で採用が有利になっているので、コールセンターでは人員の派遣ではなく自社雇用をできるだけ増やした。CRMやRPAも導入して工夫している。

セールスでも利益率を上げるために、いくつか手を打った。以前は販売代理店網を作って代理店に委託していた。会計基準の変更で純額計上になってしまうことが2年前ぐらいに分かっていたのでそれを止め、自社の設備を用意した。

テレワークもあるが、代理店の人に毎日自社に出勤してもらって、朝礼やコンプライアンスの指導をして、業務終了後には報告してもらう。自社社員と同様に組織化した。これで結果的に効率が上がった。適材適所の入れ換えもやりやすくなり、マネジメントを自社でしっかりするノウハウを得た。

―総額計上から純額計上で売上高全体に占める比率は
来期からだ。去年の前半だけで、今期はもう代理店ビジネスをやっていない。

―今は総額計上なので関係ないのか
今期はもう代理店ビジネスを全くやっていないので、売り上げとしては今がボトムになると考えてほしい。

―株主還元について
直近では還元よりは成長投資に回していく、この後大きく市場が伸びる部分が期待できる。言い方を恐れずに言えば、勝負資金のために内部留保したい。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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