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上場会見:ビーイングホールディングス<9145>の喜多社長、競争力の源泉は情報

15日、ビーイングホールディングスが東証2部に新規上場した。公開価格の1000円を47.90%上回る1479円の初値を付け、1239円で引けた。同社は3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業を手掛ける。自社や顧客の物流センターの輸送や保管、包装、荷役、流通加工、情報システムの構築を一貫して引き受け、物流コンサルティングも行う。生活物資に特化して景気や流行りに左右されにくい安定したニーズを確保する。また、本社所在地の石川県内では旅客事業などを営む。 喜多甚一社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

顧客と物流センターの問題認識を共有することから、センターの課題解決が始まると話す喜多社長

顧客と物流センターの問題認識を共有することから、センターの課題解決が始まると話す喜多社長

―初値が公開価格を上回った
投資家からの期待が強い。その期待を背負いながらますます事業を発展させたい。

―創業34年目の上場だが、この時期に上場した理由や目的は
まず信用力を補完することが目的。昨今、物流が高度化するに従って様々なコンペティションが行われるが、競争相手に見劣りしない信用を付けたい。2点目は人材の確保だ。当社は北陸で長い間営業してきたが、全国に少しずつ展開する過程で人材獲得に苦労があった。人員をスムーズに補強したい。

また、財務バランスを強化する。私自身は34年前に1人で、トラック1台で立ち上げて、何の信用もないなか借り入れと実績で事業を回してきた。今の成長スピードでは財務的に負担が大きい。今の物流環境は装置産業化しており、成長に投資力や資金調達力が必須だった。

―競合はどこか。どう勝っていくのか
名だたる大手の3PL事業者とぶつかるケースが多い。差別化としては、システムが強みとなり競争材料でもある。一般的に物流センターのなかで使われるシステムは、どの会社も高度なものを構築する。ただ、それはセンター運営の効率化や自社に必要な情報を得る視点のシステム開発。当社の各システムは、情報をいかに共有するかに重点を置く。情報共有のメリットは、スピーディーな対応ができ、改善に必要な課題の共通認識を形成できることだ。取引先にクラウド上でシステムを利用してもらっている。

4PLの事業もある。全国に小規模の3PL事業者がたくさん登場しており、我々が3PL事業をプロデュースし、ノウハウを提供する。手取り足取り教えるものではなく、我々のシステムをクラウド上で利用してもらい、当社と同じ品質でサービスを提供できるようにマネジメントする。それらが大手企業との違いになるのではないか。

―次の進出エリアは
今は、顧客からの引き合いによるケースが多く、まずは引き合い先に出向く。顧客の商談よりも相談に乗るスタイルであるため、コストや品質で顧客が困る場面で呼ばれる。そうした場所を軸に空白地帯を埋める。その沿線上で繋がったほうが良い戦略的なエリアがあれば、要衝として拠点を置くことになる。

―情報共有やクラウドなどを重視して設備投資するのか
既存設備のリニューアルも必要だが、システムから得られる競争力の源泉である情報を共有し、クライアントのサプライチェーンにどう活かすかが最も重要になる。

―システムや、フォークリフトと組み合わせて使うカゴ台車など合理化のために工夫するアイデアの起点は、トップダウンかボトムアップか
どちらかといえばボトムアップだ。タスク共有ツールを活用し、様々な意見が毎日のように現場から集まる。現行システムを変更要求に応じてアップグレードする。今後もボトムアップ型で現場に必要なものを作りたい。

―クラウドのデータネットワークセンターを構築したいとのことだが、スケジュール感は
AIやIoTを活用した物流ビジネスの展開は、開始時期を明確に定めていないが、既にWMS(Warehouse Management System=倉庫管理システム)やTMS(Transportaion Management System=輸配送管理システム)、PMS(Production Monitoring System=生産監視システム)を社内で開発し、3ヵ月に1回アップグレードしている。

また、物流センターで効率を高めるために、現場ですぐに使えるロボットをメーカーと共同開発している。スムーズに進めば来年にローンチが可能だろう。このほかにも例えば、研究段階のSigfox通信網を活用した温度管理などを社内で用い、できれば業界内で活用したい。

―D2C領域へ進出したいそうだが、生活物資とD2Cは直結しないイメージがある
現在、生活物資とD2Cは直接的に結び付かないと思われるが、産直品がネット上で売買され、コロナ禍の影響で特にクローズアップされている。成功事例がメディアの力で全国に周知されたため、問い合わせが寄せられ始めた。メーカーのD2C物流を手伝う。大変な状況下だが、消費や流通の在り方を良くする流れが加速するのではないか。

また、既存のドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニエンスストアといった店舗を持つ顧客も、ネット上での販売に注力しないと厳しいと考えている。このため、D2Cやオムニチャネルに対応した物流システム設計に取り組みたい。

―ラストワンマイルの実配送ではなく、そのためのシステムの部分を手掛けるのか
そうだ。日本の物流の問題点を解決するには、生産拠点から消費拠点に在庫ボリュームを移すことが重要。消費財は地域ごとに必要量が変わらずほとんど予測できる。AIを使えばトレンドと合わせて、「この1ヵ月でどんな商品をどの程度備蓄すべきか」といった在庫モデルを作れる。そうすると在庫ポイントを地方にシフトし、ラストワンマイルが短くなる。それによってD2Cに拍車がかかる。オムニチャネルで対応するための物流センターを分散し、消費地にできるだけ近い場所への在庫シフトを手伝いたい。

―イメージとしては、東京都内の人口密集地域にあるAmazonの小規模拠点を多数配置する類のものか
Amazonは分かって進めていると思う。消費が多いエリアにストックポイントを分散させて、ラストワンマイルを本当の意味でのラストワンマイルに縮めるべく取り組んでいる。日本の流通全体でも、本当はストックポイントを分けて、売れるであろう物を消費者のできるだけ近くにストックするほうが良い。これは生活物資だからより効率的にできる。

例えば、名刺入れが来月いくつ売れるかはAIでも予測できない。だが、ペットボトルの飲料水は来月どのエリアでどのぐらい売れるかはおおよそ分析できる。今はネットで何でも買えるが、それが製品価格に反映され消費者の物流負担が増える。その負担を減らすために、生活物資物流の改善が重要な課題だろう。

―旅客事業の展望は
金沢市と白山市(石川県)を中心に展開している。当社がBtoB企業であることから、手広く展開するよりは、地元にこのような企業があることを知ってもらう。同じ石川県の会社として接点を増やす目的がある。現在は旅客分野を拡大する考えはない。

―配当政策は
配当性向は30%を基本とする。

ビーイングHD<9145>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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