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上場会見:クリーマ<4017>の丸林社長、クリエーター応援を最優先

27日、クリーマが東証マザーズに新規上場した。公開価格の3570円を35.85%上回る4850円の初値を付け、5300円で引けた。同社はハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を運営するほか、クリエイターの活動を支援する「エンパワーメント事業」としてクラウドファンディングなど複数のサービスを提供する。丸林耕太郎社長が東京都内で上場記者説明会を行った。

丸林社長は、クリエーターとユーザーを基盤とするCreema経済圏で各事業を伸ばしながら複層化し、リスクを下げると話した。

丸林社長は、クリエーターとユーザーを基盤とするCreema経済圏で各事業を伸ばしながら複層化し、リスクを下げると話した。

―初値が公開価格を上回った
1.3~1.4倍の値が付き非常にありがたい。一方で、株価に右往左往して感情的になると本質を見失う。本質を大切にして良い事業を粛々と作り、事業の成長や企業価値の向上に取り組むことが自分たちの本分で、冷静に平常心で見ている。

■コミュニティ作りを丁寧に
―優位性としてのプロ、セミプロ中心のクリエーター基盤確立は、他社も考えていたと見られるが、そのなかで成長できた理由は
まず、他社はプロやセミプロのクリエーターとの取り引きを当初は想定していなかったのではないか。我々はサービスを始めたときから、「才能がある、頑張っているクリエイター」が正当に評価される世界を創ることをテーマにしてきた。前提としての思想があり、それに基づいた戦略があり、行動があった。

最初に、日本全国や海外も含めて「この人は素敵なのに何で有名ではないのだろう」という何千人ものクリエイターにCreemaへ参加してもらった。ここにいる大橋優輝取締役も丁寧なコミュニティ作りを徹底的に続けた。

決して驕った話ではなく自分たちのスタンスを伝えると、例えば、ヤフオク!とCreema、あるいはメルカリとCreemaを「主婦のプチ稼ぎ」のような文脈でテレビで特集したい旨の要望を受けたが、クリエイターに対して失礼だと判断して全て断ってきた。

クリエイターに集まってもらい、彼らに必要な機能やサービスを提供して食べていけるようにすることが我々の願いだった。良い悪いの話ではないが、同業他社は立ち上げの頃から芸能人を起用して大規模なテレビCMを展開していた。芸術大学で芸術を学んでいる人がそういったCMを見て(他社のマーケットプレイスに)参加するとは思っていなかった。マスで広くユーザーとクリエイターを獲得する方法と、我々のようにプロ、セミプロの人を集めて丁寧にコミュニティを作った違いが結果として表れたのではないか。

―クリエイター支援企業でありマーケットプレイスではないのが一番の差異化のポイントになり、歩留まりの高さはコミュニティの強さに起因するようだ。では、規模が拡大した後もその熱の高さを維持できるのか
重要なポイントだが全く問題なくできる。今は20万人のクリエイターが登録しているが、日本で本気でものづくりをしている人数からするとまだ少ない。

上場説明会では、レザークリエイターのSKLOが制作を実演した

上場説明会では、レザークリエイターのSKLOが制作を実演した

また、利用するユーザーの目線もある。情熱を持ってものづくりをしているクリエーターはCreemaで高い評価を得る。評価が上がるほど我々はAIなどの活用でそうした作品の情報を(Creema内で)ユーザーに提供するため、質の高いクリエーターが必然的に増える。

■選んで使える支援サービス
―商品の発案から素材調達、制作、配送代行、クラウドファンディングまでを一気通貫でサポートする新サービスは、パッケージとして提供するのか、個別に利用できるのか
連携したパッケージになっておらず別々のサービスだ。ただ、Creemaの会員基盤で一本化している。クラウドファンディングを例にすると、クリエイターやユーザーが同じIDで、プロジェクトの起案者にも支援者にもなれる前提で進めている。自由に選んで使ってもらえると良い。

―具体的に伸びている部分はどこか
クリエイターが自分の活動分野を広げるマーケティングのためにCreemaで商品を紹介するプラットフォーム事業の「内部広告」や、商品配送を代行するフルフィルメントサービス、クリエイターの自己実現を後押しするクラウドファンディング事業はポテンシャルが高い。

素材の調達については、Creemaで仕入れることでき、規模は大きい。制作の分野はまだ(具体的なサービスが)存在しない。

―テイクレートは2019年2月期で14.6%、2020年2月期は16.9%と上昇傾向にあるが、「居心地の良いテイクレート」はどの辺りか
直近では17%ほどだが、ここまで上げたいからこうするという発想で事業を行っていない。そのため、明確に何%と答えるのは難しい。まず、始まって間もないプラットフォーム事業の成長力は、ほかの事業に比べて圧倒的に高い。プラットフォーム事業が伸びるとテイクレートが上昇する。

また、マーケットプレイス事業も、まだ少しテイクレートが上がる仕組みになっており、20%を超えると見込んでいる。そこからは、クラウドファンディング事業やフルフィルメントサービスで自分たちが市場を創れるかによってテイクレートが変わる。

■メンズは課題
―Creemaにはクリエーターやユーザーに関する夥しいデータが蓄積すると思うが、将来的に非連続的な成長を実現するために、そのデータを活かした事業展開はあり得るか
全く違う事業の局面ではあり得る。ただ、短中期では基本的にクリエーターの応援を最優先にするため、具体的にカウントしていない。ただ、自分たちが持つデータが、対女性の側面では相当程度に価値があることに自信が持てる規模であれば検討に値する。

―Creemaでは「メンズ」の商品カテゴリがあるが、男性についてはセグメントが細分化されていないのか
メンズは課題と思っている。1000万点の作品のうち3割ほどはメンズもしくはユニセックスで、女性向けの作品が圧倒的に多い。そのため単一のUIでは男性にアプローチが難しい。ポテンシャルが全く活かせておらず成長領域だろう。

―女性と男性ではマーケティングの手法が違うのか
マーケティングの前提にあるプロダクトの作り込みで、メンズだけを分離すれば見やすくなる。女性誌で男性用商品を紹介したい話と同じで、その部分の抜本的な解決が成長戦略になるだろう。

■作品の背景を伝える
―Creemaには読み物コンテンツがあるが、メディアとしての位置付けは今後どうなるのか
クリエイターの作品を紹介している。我々もユーザーの多くも、その作品の背景やストーリーを知りたい。基本的に今のメディアの形を大幅に変えることは考えていない。クリエイターや作品の世界観を丁寧に伝える場として継続したい。トラフィックがかなり増えており、読み物として育てたい。

―音楽がビジネスの原点にあるとの話だが、パフォーマーや演劇など無形のクリエイティブ領域への広がりは
本質的には違わないのであり得る。

―ハンドメイド以外の、音楽などのクリエイターへ支援を広げていく場合、メディアとしてのCreema

上場説明会では、画家であるyui.stephanie氏のライブペインティングも行われた

説明会では、画家であるyui.stephanie氏のライブペインティングも行われた

とのシナジーはあるのか
メディアにはそのような要素がある。また、クラウドファンディング事業では、ものづくりだけではなく現代美術家や音楽家向けのプロジェクトも進んでいる。ものづくり系のクリエーターではない人たちに横断的に使ってもらえるサービスを作っているため、一定の布石となるかもしれない。

―無形のクリエイターの活動は、動画配信をするような形式になるのか
時代とタイミングによって、今だったらこのような事業ができるというものがある。例えば、今から5~10年前に当社が現在の経営体力を持つ構造であれば、Spotifyのような音楽配信サービスを考えた。音楽プラットフォームを作ってCreemaユーザーに使ってもらうことはできたと思う。今ではいろいろな配信プラットフォームがあるため完全に機を逸した。ただ、10年ひと昔で、次のサービスの仕組みは絶対に来る。音楽か芸術か、舞台かもしれないしお笑いや漫画かもしれない。必ず次の流れが来るので確実に獲りに行きたい。

―創業当初に住生活関連を手掛けていたとの話だが、大きな考え方として将来的に住生活分野への進出はあり得るのか
可能性としてはあり得る。人や世の中に対してポジティブなエネルギーを与えられる愛のある事業であれば全てターゲットになる。あくまでも例えばの話だが、女性向けのリノベーション物件があったとする。ユーザー基盤があるため、創業当初よりも今のクリーマがその分野を手掛けたほうが圧倒的に強い。クリエイター作品に興味がある人は間違いなくリノベーションや音楽が好きであるため、その分野のサービスは今なら提供できる。

戦略として私が考える、あるいは社内の新規事業コンテストで出てくることもあり得る。住宅や暮らしは市場が大きいので良いアイデアがあれば面白い。ただ、実行するかどうか全く決めていない。可能性についてはゼロベースで考えており、いろいろ取り組んでいきたい。

■調達に機動力
―上場で調達した資金の使途は
既存事業で利益が出る基盤ができ、上場で得た資金を注入しなければ事業を回せない状況ではない。いろいろなところにお金をかけるが、新規サービスの開発に充てる割合が大きい。もちろん、会社として絶対的に必要なオフィス移転やセキュリティの強化などもするし、既存事業にも一部投資している。総合的に活用しつつ新事業に注力する。

今後、機動的に経営を進めていくために資金調達の選択肢を多様化できたのは非常に心強い。これまでに25~30億円ほどの資金調達をしてきたが、その8割程度では自分の足を動かし、物凄い時間とパワーが掛かった。機動的な資金調達で成長力や競争力が高い状態を実現できる。

―新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、影響をどう捉えるか
引き続き(イベントやストアなど)リアル事業の状況は厳しい。ただ、オンラインは巣籠もりが進みマクロ的な意味でプラスに働く。ユーザーが増え、あるいは逆回転がかかり、一時的に減るなどいろいろな事態を想定できる。その場で100%のべストを尽くし続けるしかない。

コロナ禍でさらに状況が悪化したら、世のなかの人たちやクリエイターが求めるものが(新たに)出てくるだろう。我々は誰よりも早く、深く、正確にそのニーズに応えていく。そうすることで必然的に成長し、競争力を担保できる。自分たちがやるべき事柄を淡々と、粛々と進めたい。

―現時点での他社との連携や提携の考え方は
シナジーが強いところであれば検討するべきだろう。例えば、クリエイター応援事業で当社がまだやっていない領域を担う会社などは対象たり得る。

―配当政策は
まずは事業成長への投資を優先したい。一方で、株主還元は極めて重要な課題であるため、期の移り変わるタイミングで検討する。ただ、直近でいきなりすることはない。

クリーマ<4017>の情報はこちらでご覧いただけます。
[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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