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上場会見:Sun Asterisk<4053>の小林CEO、顧客と創るDX

31日、Sun Asteriskが東証マザーズに上場した。公開価格の700円を72.71%上回る1209円の初値を付け、1509円で引けた。同社は、日本とベトナムで顧客の事業のデジタル化を構想段階から継続的に支援する「クリエイティブ&エンジニアリング事業」と、保有する開発ノウハウをベースにIT人材を教育・紹介する「タレントプラットフォーム事業」を合わせた「デジタル・クリエイティブスタジオ事業」を手掛ける。小林泰平代表取締役CEOが東京証券取引所で上場会見を行った。

価値創造型のデジタル化支援とその知見の応用に強みがあると説明する小林CEO

価値創造型のデジタル化支援とその知見の応用に強みがあると説明する小林CEO

―初値が公開価格を上回った
市場の人たちに期待してもらえて嬉しい。株価形成には外部的な要因があるため、しばらくはその上下に振り回されないように、本質的な価値を高めることに注力したい。

―競合他社との差別化要素は
ビジネスを作る段階ではコンサルティングファームと重複する面がある。UI/UXの部分はデザインファームと、本格的な開発では多くの開発企業と事業が重なる。ただ、コンサルティングの部分は(専業の)会社が担当し、それ以降の部分を我々が手掛ける、あるいは、デザインの部分だけを切り出して他の会社が行うことがあるため、全体でぶつかるというものはあまりない。テクノロジーを使う事業を作る領域では、明確な競合はないのではないか。

服部裕輔取締役:特徴として、柔軟性やスピード、ブティック型企業にはない拡張性がある。

小林CEO:当社のようなことをする会社は、スタートアップ(業界)のなかに存在している。スタートアップを経験し、スタートアップ的な新規事業の開発に特化した人材が、次のステップとして当社(への参画)を選び、事業創造に関与している関係になっていることはユニークなところだ。

―大企業向け事業を拡充していくとのことだが、増強する営業・マーケティング担当者の陣容は
今までは専属で1~2人が営業・マーケティングに当たっている状態。具体的な数字というより、然るべきバランスにしていく。

―部門がなかったということか
部門にしていたが、部門とは言えない状態だった。我々の場合、顧客に用件を伺いに行くより、最初のフェーズから顧客の役に立てることがないかと提案をし、当初からコンサルティングとして関与することもある。このため、セールスだけでなく窓口としての役割を担うことができる人員を増やしたい。

―スタートアップ向け事業とはいろいろな点で異なるが、大企業向け事業強化の勝算について、競合にどう対抗していくのか
取引のある大企業のほとんどは、彼らの従来のやり方での新規事業創出に限界を感じ、我々の主催するスタートアップセミナーに参加する。最近の事業開発手法に関心があると見ている。彼らが我々に望むのは「今までのやり方を壊してくれ」ということだ。

当社らしいアプローチや、培ったノウハウを生かして「一緒に新規事業を作ろう」と取り組む企業が多い。オープンイノベーション的な流れや、大企業が本体とは別に出島のような組織を作り、小規模で柔軟に対応する動きが増えている。

このような顧客とともに、新規事業をうまく運営できる成功体験を積み上げ、たくさんの大企業に見てもらえるようになりたい。このスピードをどのぐらい速められるか、また、我々のような会社が国内にもっと出てこられるかが、主にデジタル事業に強い国になっていけるかという意味での、日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の成否にかなり大きく関係してくる。

―価格戦略については
需給のバランスを見ながら(決めよう)と考えており、サービスの質を高めることで単価を上げていきたい。重要なKPIは顧客数と月額顧客平均単価(ARPU)であり、顧客の事業が成長しプロジェクトが増えることでARPUが上昇するため、顧客の事業成長を強く意識する。

―新型コロナウイルスの感染拡大を受けてデジタル化が加速すると言われているが、事業に与える影響と業績目標は
今期については開示しており、クリエイティブ&エンジニアリング事業で悪影響は受けていない。この環境下で、企業側でデジタル化に進まざるを得ないスイッチが入った部分もあり、肌感覚としてニーズの高まりがある。

一方、タレントプラットフォーム事業のうち、IT未経験人材紹介の部分は、緊急事態宣言の前後から企業側の採用窓口が閉じ、あるいは様子見になったため、多少影響を受けた。この7月から8月にかけて需要が戻るのか不透明であるため、同事業の一部分は、年末まで現状が継続するという保守的な読みをしながら業績予想を開示している。

―何年後にこうなりたいという業績目標は
具体的な数値の開示は控えたいが、今回の上場市場がマザーズという成長市場であり、クリエイティブ&エンジニアスタジオ事業の、2019年12月期から2020年12月期(予想)にかけての売上高成長率は26.3%。この前後の数値での成長を、成長企業らしく実現したい。

―新型コロナウイルスの影響で各国間の往来が難しくなっている影響と、ベトナム人材の来日に関する見通しは
ベトナムの拠点との関係では、業績や業務に影響はない。1~2月に新型コロナウイルスの話が出た頃から、クライアントや社員にアンケートやモニタリングを実施してきたが、定量的な数値としてのパフォーマンスは下がっていない。

今後どうなるかという点はあるものの、今はタレントプラットフォーム事業の、大学で教育を受けている学生が来日するタイミングではない。渡航できない場合には、受け入れ側企業もオンライン(面談)などで対応する動きが出てきているため、現状で大きな変化はないだろう。

―法人税負担率が他社よりも低いが、その背景は
服部取締役:当社は現在、ベトナムに1社、日本国内2社の連結グループとなっており、ベトナムでのIT事業が税制優遇を受けており、2027年まで継続する予定。直近ではベトナムの税率が低い分が、連結で見た時の税率の低さに表れている。

中長期的に見てもベトナムの税率が相対的に低い。ベトナムで1000人規模の事業を展開しており、現時点では同国で上がる利益が日本国内のものよりも多い。日本側の人材も増えているため、グループ全体での税金は納めるべきところでしっかり収めて、社会的責任を果たしていきたい。

―共同創業者である藤本一成執行役員の組織戦略上の役割は、フットワーク重視の位置付けなのか
小林CEO:役員構成は、組織を再構築するなかで、取締役会で役員同士で話し合いながら選任している。藤本執行役員が行っていることは、各国に赴き大学関係者と話しながら教育事業のきっかけを伸ばしていくことで、彼が力を最も発揮できる。経営そのものに関与するというよりは、フットワークを軽くしていたほうが会社の価値が向上することから、このポジションに就いてもらっている。

―藤本執行役員は、昨年に南米の人材にも目を向けるべきと情報発信していたが、今後ベトナム以外の国で事業を展開する構想はあるのか
今年、インドネシアとマレーシアで事業を始めたのもそうだが、日本語はとても難しく、また日本独特の文化があるなかで、まだ日本で日本語を覚えて働きたいと言ってくれている各国の大学のトップの学生たちがいる。これは日本にとってとても大きなチャンスであり、できる限り世界中に展開したいと考え、そのように動いている。行政機関との取り組みで、しかも教育の期間が長いため、具体的な数字は読みにくい。ただ、現状の成長カーブを描けるようにしたい。

服部取締役:藤本執行役員は、現在産学連携を担当している。適材適所で強みを活かした経営チームで、教育に力を入れている。国際協力機構の事業を我々が継承し、ハノイ工科大学のプログラムを担当して評価されたため、南米などとの接点の紹介を受けている。

―大株主である平井誠人取締役の経営への関与は
小林CEO:彼自身がアトラエの共同創業者で、ゼロイチ(の事業開発)に強みを持っているため、グローバルでスタートアップ顧客の発掘を担当してもらっている。

―同じく大株主のソニーネットワークコミュニケーションズや、リバネスキャピタル、15th Rock Ventures Fund 1 L.P.との関係は
増資に際し、上場したタイミングで成長シナジーがある企業を中心に選定した。各社にも当社との事業シナジーの狙いがある。リバネスキャピタルについては、既に連携を発表している。彼らは東南アジアのスタートアップ・アクセラレーターとしてのネットワークを持ち、リアルテックやバイオテックなどに強い。彼らが発掘したスタートアップの成長をソフトウェアの面から支援する。今後、連携を深めて、株主というよりもパートナーとして進めたい。ソニーネットワークコミュニケーションズも同様の関係にある。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

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