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上場会見:KIYOラーニング<7353>の綾部社長、オンライン教育でリーダーシップ確保

15日、KIYOラーニングが東証マザーズに上場した。公開価格の2300円の2.3倍となる5360円の初値を付け、4370円で引けた。同社は国家資格や公的資格のオンライン講座「スタディング」や法人向け人材教育サービス「エアコース」を運営する。綾部貴淑社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

AIや受講者のデータを活用して最適な学習を提案できるようにサービスを強化していくと話す綾部社長

AIや受講者のデータを活用して最適な学習を提案できるようにサービスを強化していくと話す綾部社長

―初値が公開価格を上回った
評価してもらって高い値が付いたことはありがたい。それだけ期待が大きい一方で責任も実感している。これから企業価値を伸ばしていけるかが問われているため、しっかり取り組んでいきたい。

―終値4370円をどう受け止めるか
秦野元秀取締役:この1~2日のことで一喜一憂して株価を見るのではなく、半年~1年後の株主が我々の株価を見て、「あの時買って良かった」と言われる数字を作っていくために、長期的に株主に貢献できる株価形成を狙いたい。下落については大きな思いは特になく、終値でも公募価格を大きく上回る水準で見てもらえたということに感謝し、責任も感じている。

綾部社長:ベンチャーキャピタル(VC)に投資してもらっており、VCがキャピタルゲインを獲得することは、我々にとっても良い機会だと思う。各VCの方針次第ではあるが、保有している株式を売却してもらい、流動性の上昇が進んでいくのではないか。

―新型コロナウイルス感染症拡大後のIPOということで、資金調達の感触は
秦野取締役:株主から預かった資金を成長に振り向けることができるかが重要で、過剰な資金を集めるのではなく、必要な資金がどのぐらいかということから議論を始めた。

今後2~3年ほどを見ると、資金があるに越したことはないが、調達のうえで公開価格は適正と考えており、今回預かった6億円、オーバーアロットメントによる第三者割当を含めて7億円近い資金を、しっかりと成長に振り向け、株主にどのような形で返せるか問われている。これが14億円だったら良いかというと、そのような考えはない。一旦は必要十分な資金を獲得できた。

―目論見書のリスク要因の部分に、引受証券会社の1社が関係資料を紛失したとの記載があるが、影響はあったか
驚いた人は多かったし、我々もびっくりした。主幹事証券に問い合わせがあったが、実際のセールスには特段の影響はなかったと聞いている。由々しきことではあったが、そうしたことを公開できたことでリスクを極小化できたのではないか。

綾部社長:リスク要因があることを示して、投資家に判断を仰ぐことが、社内の決断だったため開示した。

―公開価格決定に当たって参考にした類似企業は
秦野取締役:我々はすららネットなどeラーニング系の事業を手掛ける企業の株価を気にしていた。比較というよりもどういう値動きをしていたかを都度チェックしていた。

綾部社長:完全な競合は非常に少なかったため、投資家の目線に立つとオンライン教育の企業と比較するだろうと考えていた。SMBC日興にはすららネットやEduLab、レアジョブなど対面でない形の教育やエドテック銘柄を網羅的に見てもらった。

―どうやって法人向けサービスの収益性を上げていくのか
テレワークに取り組む企業ではオンライン教育の需要が高まり、引き合いが増えている。しっかりしたプロダクトを作って顧客を増やしていく。エアコースはサブスクリプション・サービスであるため、一度契約すると継続して利用される積み上げモデルになっている。売り上げの基礎となる顧客数を増やしていく。並行して関連サービスを販売して顧客単価を高める。今好調なものに、社員教育用の動画コンテンツを作成するサービスがある。自社のスタジオを使って分かりやすい講座を作る。

スタディングでは、例えば宅建の資格取得講座を不動産会社にまとめて提供できるため、コンテンツ販売の顧客単価を高める。

現状ではほとんどが直販だが、第三者による販売チャネルを増やす。代理店もそうだが、OEM提供を始めている。eラーニングのコンテンツを販売したい会社があり、販売のプラットフォームとしてエアコースを使ってもらう。パートナーのコンテンツが売れるたびにエアコースについてのライセンス料が入る。

―個人向けサービスでも類似企業の参入が見込まれるが、優位性をどう保つか
競合は3タイプで、その一つに大手スクールがある。大手はオンライン化を進め、数年前からオンライン講座が存在する。ただ、資格講座は通学と通信、オンラインが併存しており、価格が通学講座に合わせて比較的高止まりしている。事業モデルの面からWEB講座の料金だけを安くしにくい。この数年間、我々の価格優位性は変わっていない。

サービス内容としても、他社は教室の様子を動画で撮るものが中心である一方、当社は動画の講座を分かりやすく作っており、スマホで見る時の分かりやすさでは優位性がある。さらに今、AIでサービスを強化している。AI学習プランやコーチングのサービスを始めている。データを分析することで、個別に最適な学習プランを提供しアドバイスすることで差別化する。

秦野取締役:後発も来ると思うが、それに負けないサービスを開拓していく。

―講師の質をどう担保しているのか
綾部社長:スタディングでは、難関資格の講師は経験者の採用が必須だ。主任クラスには大手の資格スクールで長年教えていた講師を迎えている。今はオンライン講座が伸びており、教室講座に人が来なくなっている状況で、業界内では講師から見ても我々の知名度が上昇しており、良い講師を採用しやすい。

一方、誰でもできるわけではなく、オンライン講座に向いた素養のある講師や、経験者をオーディションしながら採用する。動画には登場せず教材や問題を作る講師も、役割に合わせながら採用し、育成している。

―コロナ禍で大学の授業などのオンライン化が始まっているが、そこに商機はあるのか
長期的には可能性があると考える。ただ、今は法人の需要が増えているため、それをしっかり取り込んでいく。一方で、パートナーシップの観点からは、法人に教育を提供する研修会社と組み始めている。研修会社は対面の研修を実施しにくいため、エアコースを経由してオンライン研修を提供している。4月の新人研修のようなものができなくなったため、当社のスタジオで製作するといった、研修会社向けのサービスもある。その延長で考えれば、学校での利用も可能ではないか。徐々に足掛かりを作って進めていきたい。

―海外展開による成長は
法人向けの社員教育クラウドサービスであるエアコースを成長させる戦略があり、英語版に翻訳して、グローバルに販売していく。今は海外に展開している日本企業の現地法人に提供している。プロダクトをブラッシュアップし、海外販売の仕組みを作りつつ徐々に海外に販路を広げる。最終的には英語以外の多言語に対応し、グローバルに販売していくことを想定している。

―オウンドメディアの役割は
BtoCの「資格取得エクスプレス」と法人の社員教育向けのオウンドメディアのほか、FacebookやYouTubeもある。顧客との接点を増やす目的があり、資格取得に関する記事を投稿し、どのような勉強をしたら合格するか、必要な講座について興味から関心を高め、当社のサービスを知ってもらい、売り上げの増加につなげる。

当社の集客は、リスティング広告やメディア系のもの、SNS、動画広告など複数のマーケティングチャネルがあり、それぞれの面を広げ、資格取得や法人教育に関心のある人との接点を増やしていく。

―事業会社である株主は継続的に株式を保有するのか
秦野取締役:上場前に相談したが、事業シナジーを強く求めているため、当面保有すると聞いている。

―配当政策について
数年間は成長に向けて資金を使いたい。しかるべきタイミングで株主還元の手段として、検討する。

綾部社長:当社の成長のポテンシャルは大きいと見ており、市場のなかでリーダーシップを取れるか否かで企業価値が大きく変わってくる。リーダーシップの確保を最優先したい。資金を成長に振り向けるが、ある程度リーダーシップを取り、利益が出てきたら還元の施策を検討する。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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