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上場会見:Speee<4499>の大塚代表、DXでオンライン化進める

10日、Speeeが東証ジャスダックスタンダードに上場した。初値は公開価格の2880円を78.82%上回る5150円を付け、5720円で引けた。同社はデータ資産を利用したマーケティング活動を支援する「MarTech事業」や、中古不動産売却と外壁リフォーム領域で消費者と事業者を繋ぐプラットフォームサービスを提供する「X-Tech事業」などを手掛ける。大塚英樹代表が東京証券取引所で上場会見を行った。

X-Tech事業は収穫逓増型のビジネスで、売り上げとともに利益が伸びると話す大塚代表

X-Tech事業は収穫逓増型のビジネスで、売り上げとともに利益が伸びると話す大塚代表

―初値が公開価格を上回った
今年3月に東証マザーズへの上場承認を得ていた。当社の業績に影響はなかったが、新型コロナウイルス感染症拡大による景況感の悪化を受けてディールサイズを下げる目的でジャスダックに変更し、想定価格を上げた背景があった。だいぶ高い数字が付いて、市場の期待を肌で感じている。そのプロセスを経たうえでこれだけ評価されたことは、感慨深いとともに改めて身が引き締まる。

―ディールサイズを変更してIPOを優先した狙いは
当初の調達金額で回していかないと事業を伸ばせないビジネスモデルではなく、自分たちでまかなうことができる。マザーズに上場する際には株式の25%の流通が必要で、約85億円のディールサイズだった。調達資金をそのまま事業に使う計画ではなく、最小でそのサイズになってしまった。

顧客に大手企業が多く、X-Tech事業が普及して一般消費者にサービスを提供しており、我々がパブリックであるかどうかという点で選ばれる率が上がってくることが、上場によるプラスの部分と考えている。また、採用にも好影響があると嬉しいため上場を優先した。

―新型コロナウイルス感染拡大の影響と、3月よりも業績予想を上方修正した要因は
新型コロナウイルスの影響はほとんどない。MarTech事業はBtoBで、新規顧客を集めているが、移動自粛があった4~5月は顧客の決済フローが滞り、契約の締結が後ろにずれ込むケースがあった。この面で一時遅れがあったが6月からは回復している。

中長期的に見たMarTech事業の今後については、「ウィズコロナ」の環境下でインターネット利用者が増えており、データが溜まっている。顧客のなかにも、いままであまり見たことのないログデータが溜まっていて、それを分析し直すニーズも出てきている。

X-Tech事業は計画通りだった。4~5月に消費者が不動産会社に行けず、不動産会社側でも新たな見込み客を獲得できないことで、我々のサービスに対すニーズが高まり、分かりやすくEC化率が上昇した。

西田正孝取締役:MarTech事業の短期的なマイナス影響を、X-Tech事業の大きな上振れが補い、業績予想は前回よりも上方修正することとなった。

―MarTech事業とX-Tech事業各々の収益化の仕方は
大塚代表:MarTech事業は、顧客に対しマーケティングのDX(デジタルトランスフォーメーション)活動を行い、月額単価100万円ほどで受注する。基本的に年間契約で、プロジェクトが続くほど課金が続くモデルとなっている。一部、取り扱うデータ量の増加と顧客ニーズに応じ追加料金が発生する。

X-Tech事業で対象とする市場は、オンラインでの中古不動産の2次流通と、リフォーム業者のDX活動。我々がオンライン上で家の売却やリフォームを検討する見込み客を集め、全国の不動産会社やリフォーム業者に紹介して、成果報酬を得る。

―MarTech事業では月額100万円が基本か
顧客のニーズや課題に合わせて、保有しているデータだけで処理できそうか、または外から導入して抜本的に見直す必要があるのかによって月額料金が変わる。大きく二つのメニューがあり、取り扱うデータ量で料金が異なる。

顧客が保有するオンライン化したデータを中心にコンサルする場合は60万円ほど。加えて、プレミアム版のようなものがある。顧客の持つデータだけでなく、外部からデータを持ちこみ、つなぎ合わせて新しく仮説を作ってプロジェクトを回すもので、150~200万円の価格帯となる。

―X-Tech事業で、新しく進出する分野は
オンライン化比率が低い領域をターゲットにしている。不動産の2次流通やリフォームは、同じ不動産でも賃貸に比べてオンライン化率が一段階低い。昨今強まっているDXの潮流に任せて勝手にオンライン化が上がるほど甘くはなく、進まない理由がそれなりにある。二つの領域に取り組むことで、我々が保有する組織能力でどう突破していくか、だいぶ見えてきた。

同じ組織能力で、現在は低いがEC化率を上げていける領域に今後入っていくが、具体的な名称は控えたい。既に展開している2領域に伸びしろがあり、まずはここをしっかり開拓していく優先度が高い。

―不動産売却とリフォーム領域のEC化率の低さの理由は
田口政実取締役:業者とエンドユーザーをマッチングさせるビジネスで、両面に顧客がいる。BtoCのC側には消費者としての体験が非常に少ないという特徴がある。物品の売買と異なり、住宅の売買や大規模修繕は、多くの人にとって人生に1~2回と理解しており、知見がC側に蓄積しない。

同様のことはB側にもいえ、不動産会社やリフォーム関係業者は数十万という単位で存在し、分散した市場となっている。商圏や顧客接点がリアルな場所に限定されていたため、閉鎖的な状態だった。この二つの問題が組み合わさるとDXが進みづらい。

当社は、インターネットを使うことを前提とするビジネスの流れをデザインして、積極的に顧客に実装していく。個社ごとにというより業界をまとめて支援できる形で進めている。衣食住の住をターゲットにしているため、具体的に言うことは控えるが、その前後左右に新しいマーケットがたくさんあり、新規事業やサービスを作ってビジネスを展開したい。

B側が分散したビジネスは個社ごとに大きなDX投資をすることは難しい。複数の会社をサポートして、規模を活かしながらDXを進めていきたい。業者からの依頼に応えるだけではなく、能動的に事業・サービスを開発し新しいビジネスフローにトライするスタンスであり、連続的に事業開発を進めたい。

―トレジャーデータとの提携による業績や事業へのインパクトは
大塚代表:計画に対して、業績を大きく上振れさせるという盛り込み方はしていない。トレジャーデータはCDP(カスタマーデータプラットフォーム)事業を行っていて、当社が行うマーケティングのバリュー・チェーンを再定義していくDXのなかで大いに活用している。トレジャーデータと我々の顧客を相互補完できる関係にあり、改めて膝を突き合わせてマーケティングDXを進めようということで提携した。一緒に提案したり、大きなイベントを開くなど協業している。

―ブロックチェーン開発事業の今後と展望は
ブロックチェーンは、DXを進めるうえでの今後の基幹技術となるという仮説がある。ブロックチェーンのための何かではなく、DXをしていくために、いままで流通しえなかったデータがブロックチェーンの特性に合わせて流通可能なものがあるかもしれない。我々がブロックチェーン技術に長けていれば、他社でできないDXの促進ができるかもしれないという組み合わせを想定している。

具体的にはトヨタ自動車と実証実験を行っている。車の2次流通時の価格に大きく反映される因子は、走行データや整備履歴などだが、これらが改ざんされずに正しく2次流通に回って価格が形成されているか、ブロックチェーンに当てはめる実験を行う。様々なプレーヤーが集まりコンペで我々のチームが呼ばれた。中長期的には、あくまでもDXのパワーを促進する基幹テクノロジーであり、それは実証のなかで磨いていくしかない。トヨタを手伝うなかで技術を向上させていく。

―調達資金の使途に変化はあるか
西田取締役:3月時点同様、広告費と採用・人件費で、金額が下がっている。調達資金でさらに支出するというよりは、事業計画で組んでいるものに含まれているもので、金額が下がったことによる影響はない。

―来期以降、業績面の成長イメージは
具体的な数字は控えるが、MarTech、X-Techそれぞれ売り上げと利益ともに伸ばしていきたい。

―年率何%ぐらいか
いまはX-Tech事業の売り上げがより伸びるフェーズで、営業利益率も上がっており、引き続き高成長を続けていきたい。

―配当政策の考え方は
大塚代表:非常に高成長する事業を抱えている状況で、基本的には事業に再投資していく局面と捉えている。今後は状況に鑑みながら、適切に株主に配当を含めて還元できるよう適宜考えていく。

―ベンチャーキャピタルから資金を調達しなかった理由は
基本的には1期目から黒字を出せていた。祖業をうまく展開できたことが理由の一つ。もう一つは、2007年の終わりから2008年にかけては現在のような資金調達環境ではなかった。同時期に創業した会社を見ても、そんなにアグレッシブに調達していたという記憶がなく、調達を成長のてこにしていく考えもなかった。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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