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上場会見:グッドパッチ<7351>の土屋社長、デザイン会社未踏の領域に

30日、グッドパッチ<7351>が東証マザーズに上場した。初値は付かず、公開価格の690円の2.3倍となる1587円の買い気配で引けた。同社は企業のデジタルプロダクトのUI/UXデザイン開発を支援する。土屋尚史社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

受託請負ではなく準委任形式のビジネスモデルを採り、不採算プロジェクトが出にくいと話す土屋社長

受託請負ではなく準委任契約に基づくビジネスモデルを採用し、不採算プロジェクトが出にくいと話す土屋社長

―初値が付かず買い気配で引けた
緊急事態宣言の解除後、久々にIPOが出てきたことで、当社の実力や適正な株価以上に需要が寄せられている。会社経営者として嬉しい一方、過熱気味な部分がある。今後は株価に一喜一憂せずに、粛々と事業を進めていきたい。

―起業の経緯は
2011年9月に起業したが、もともと27歳まで日本のWEBデザイン会社でディレクターとして働いていた。会社を辞めて2011年にサンフランシスコに渡り、デザイン会社で働いていた。その年はUberやInstagramなど多くの新興企業が生まれ、毎日のようにスタートアップ関連のイベントが行われていた。

イベントでいろいろなスタートアップのデジタルプロダクトを見ると、日本とはUIが明らかに大きく違った。β版の段階から、日本の企業が作るアプリケーションやソフトウェアと比べて圧倒的に優れており、衝撃的だった。聞いてみると創立者に必ずデザイナーがいる。デザインを重要な差別化要素とみなし、ユーザー体験を起点にすると話していた。

当時の日本には、デザインに投資する会社はなく、(ソフトには)いろいろな機能を盛りに盛って作る。機能がたくさんあることが素晴らしいという価値観で開発していた。ユーザーが求めるものや、使い勝手に注目して投資する流れが間違いなく来るだろうと日本に帰って会社を立ち上げた。

―新型コロナウイルスの短期的または中長期的な案件への影響は
短期では甚大な影響は出ていない。ただ、日本よりも海外で経済的な影響が出ている。海外の支店がリスク要因で不透明だ。

中長期的には、新型コロナウイルスはデジタルへの投資が加速する出来事だったため、緊急事態宣言明けの需要は非常に根強い。当社への引き合いを見ても、「デジタルに対応しなければ生き残っていけない」と多くの企業が感じている。

―体系化された知見の蓄積を基にデザインを自動化して、パッケージにすることはあり得るのか
デザインの自動化に挑戦する会社は出てくると思うし、我々が挑戦しないかというと、それは分からない。

デザインは単純化すると、企業やユーザーの根源的な課題やコアの価値を見つける局面と、見つけてきた価値を最大化する局面に分かれる。価値を見つけたり、ユーザーへのインタビューの奥にある本質的な課題を発見することは、AIでの処理や自動化が難しい領域で、ソフトウェアに頼り切れない。

また、バナーやLP(ランディングページ)を自動化してコンバージョンにつなげることは増えていく可能性がある。一方、ユーザーが使い続けるサービスのUIデザインや、全体の体験に関するデザインの設計は、自動化やAIで代替しづらく、自動化される部分は限られる。

―成長戦略にある、これまで取れなかった大型案件とは
例えば、行政の作るシステムだ。今回の特別定額給付金や、昨年の東京オリンピック・パラリンピックの特設サイト、マイナンバーなど、触れ合うポイントが多いが、非常に使い勝手が悪い。明らかにユーザー体験を損なうことで利用率が上がらない。人々の生活で負荷を高めてしまっている。その領域には未上場よりも上場して信用を得た後のほうが参入しやすい。今回の給付金でも、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーや電通が入札していたが、他社は入札していない。そういった分野にしっかり切り込んでいくことはあり得る。

また、大きな基幹システムや業務システムに入り込めるデザイン会社はない。一般的にデザイン会社の多くは数人から数十人で運営し、100人以上の会社は日本に5~6社しかない。体系化して再現性が高い形で大きな需要に耐え得るデザイン会社はない。当社はそれを実現できる能力を持っている。

―IPOの次の中長期的な目標は
企業価値を高める。定量的な目標としては、デザイン領域で売上高100億円を超え、1000人のデザイナーを抱えて運営できるようにする。それだけでは面白くないため、今までデザイン会社が手掛けていない領域に踏み込んでいく。例えば、戦略コンサルティングファームがデザイン会社や開発会社を買うことはよくある。逆にデザイン会社が経営コンサルティングファームやSIerを買収することは、過去に起こっていない。

一般的にビジネスが主でデザインが副次的な部分と考えられてしまうため、これらを並べる、またはユーザーのことを考えたデザインが上にある状態で、その下にいろいろなビジネスのケイパビリティ―をつなげていく。そんなコングロマリットを作ることができたら唯一無二だろう。

―実現の時期はいつごろか
なるべく早くしたい。売上高成長率20~30%を目指しており、そう遠くはない未来に売上高100億円を達成すると考えている。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

 


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