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上場会見:コマースOneホールディングス<4496>の岡本代表、EC担当者を”質”でサポート

26日、コマースOneホールディングス<4496>が東証マザーズに上場した。初値は付かず、公開価格の1600円の約2.3倍となる3680円の買い気配で引けた。中堅・中小企業向けにECサイトの運営支援サービス「futureshop」などをSaaS形式で、消費者が閲覧する店舗部分であるフロント領域から在庫管理などバックまで一貫して展開する。岡本高彰代表取締役が東京証券取引所で上場会見を行った。

岡本代表と田中取締役(左)。岡本代表は祖業を手掛けるTradeSafeno設立の背景について、ネットショップのファイナンスのために、信用の可視化をテーマに考えていたと話した

岡本代表と田中取締役(左)。岡本代表は祖業を手掛けるTradeSafeno設立の背景について、ネットショップのファイナンスのために、信用の可視化をテーマに考えていたと話した

―初値が付かなかった
非常に期待されていると受け止めることができるため、良い意味でのプレッシャーとして、改めて身が引き締まる思いで襟を正して事業を成長させていきたい。

―上場の目的は
futureshopの成り立ちにも関わるが、ECを一通り経験し、売り上げをより伸ばすためにはどのソリューションが有効で、何を選ぼうか迷っている顧客に評価され、導入されてきた。そのような顧客は事業としてECを営んでいるため、例えばクリスマスなどの繁忙期にネット上のショップにアクセスが集中し、つながりにくくなってしまうような場合には許されない。

怒られながらも製品やサービスを日々磨いて、顧客の要望に応えつつレベルアップしてきた経験が重要で、厳しい目に晒されて、いまのSaaS型の固定料金を得られるものに育ってきた。会社も一つのプロダクトと捉えると同じことが言える。株式市場で投資家の厳しい目線に晒されることで、ルールを守りガバナンスを強化して磨いていく。それが製品・サービスとともに会社の強みを作っていく良い機会と捉えた。

今後は、海外から日本市場に進出しようという大きな会社があり、もともと国内でもしのぎを削ってきた。現状ではうまくセグメントが分かれているが、より大きな顧客と取り引きしようとする場合には、信頼性が重視される傾向がある。会社をオープンにすることで、より上の層の顧客にも利用してもらうための安心感を担保したい。

―新型コロナウイルスによる上場延期後の想定価格や株数設定の背景は
新型コロナの影響は誰もこの状況を想像できなかったと思う。まして、3~4月の状況で、現在のように株価が戻ってくることは想定しにくかった。主幹事の大和証券にいろいろな角度から分析、フィードバックしてもらったうえで決めた。それが良かったのか悪かったのか分かりにくいところはあるが、結果として市場が少し戻ってきた良い環境で、このような形でスタートを切れたことは、機会に恵まれたと実感している。

田中耕一取締役:再上場の検討を始めて5月22日に上場承認を得たが、それ以前の主幹事との折衝や東証との話し合いの過程は、緊急事態宣言が出され厳しい状態だった。そのため、最低限許容でき投資家に迷惑が掛からない形で考えた。公募価格は想定価格よりもずいぶん上に評価してもらえたため、結果的に良かった。

―競合が増えるなか、強みとは
岡本代表:ある程度のレベルを超えたソリューション会社であれば大体のことはできる。仮に同じような機能があったとしても、店舗の運営担当者がそれを使いこなせるかが重要になる。その観点からも人とテクノロジーを融合し、いかに人の手を掛けて担当者をサポートし、啓蒙して売り上げを伸ばしてもらうかということにフォーカスしてきた。

それを実現するために電話応答率が90%を超えるカスタマーサポートチームがあり、顧客との接点を多く持っている。さまざまなオプションや売り上げを伸ばす施策を提供して相談に細かく対応し、ともに解決する。例えばリアルとネット店舗が融合するようなオプションなどを顧客の状況に合わせて提供し、うまくコーディネートする。人を支える意味でのソフトの経験値を蓄積している。

顧客が(プロダクトの)機能を使うことがゴールではなく、売り上げを伸ばすために使ってもらう結果、我々の収益として返ってくるサイクルを作る。バランスシートに表れない無形資産を価値の源泉と考えている。いろいろなノウハウの蓄積を多くの顧客に安く使ってもらい、成功する確率が高まることがSaaS型ビジネスの良いところ。それを運用できる経験豊富なスタッフ社員や、長く勤続した開発者・エンジニアといった人に支えられ、無理をしないで質を下げずにサポートすることに今後の成長の重要な鍵がある。

海外から類似のソリューションが入ってきたとしても、日本の商習慣を基に運用担当者に使いこなしてもらえるようになるまでしっかりサポートできるかというと、細かい差が出てくる。それを差別化要因の一つとして強くなっていきたい。

―業績を保守的に予想しているが、新型コロナの具体的な影響は
4月の第1週に計画を作っていた4月の第1週の段階では全く読めない状況だった。6月にこのような状況になっているとは誰も想像できなかったため、保守的に出すほうが投資家や関係者にとっての安心感や信頼感を担保できると考えた。2021年3月期第1四半期は、計画ではfutureshopの顧客数が純減すると見ていたが、純増で推移している。

営業活動も、WEB上のセミナーで全てを行い、意思決定までしてもらうというようにリアルからネットへシフトした。全国の顧客が参加でき、チャットを通じて生の声が飛び交う。足元では昨年対比で何倍かといった件数を獲得できており、堅調に推移している。

―流通総額(GMV)と利用店舗数が業績に直結すると考えられるが、今後の成長イメージは
KPIとして利用店舗の純増件数はあるが、いままでは月10件、年120件を基準としてきた。それを最低ラインとして、より上を狙っていきたい。トップラインを(急激に)増やすと我々の生命線であるカスタマーサポートの質を下げる。あまりにも件数を増やすと電話がつながらないなどのクレームが生じ、よくない評判が立つ。過去にいろいろな同業他社の様子を見ており、ソフトの運用については極めて神経を使って構築している。そのため、トップラインをやみくもに増やさず、クオリティーを下げないレベルで月10~30件ほどの純増を目指していきたい。今後、セミナーのやり方や営業方法も変わっていくが試行錯誤しながら純増件数を徐々に上げていく。

平均単価の上昇も重要で、GMVに応じて決済に関するキックバック手数料が入るが、それは本質的なことではない。顧客が売り上げを伸ばす結果として継続的にオプション料を受け取り、月額5万円の平均単価が年々上がっている。トップラインの成長率よりも利益面の伸び率を高められると考えている。

田中取締役:futureshopがSaaSモデルの定額制であり、顧客の売上高と連動しない。また、顧客が成長するとシステムを内製化して「卒業」する。そうするとGMVが大きく下がるため、定額制を取っているため売り上げに影響はなくとも、(GMVの低下を)投資家に指摘される。そのため、これまでGMVの目標値をKPIとして設定することに重きを置いてこなかった。ただ、1店舗当たりのGMVが伸びると顧客満足度が高まり、LTVが上がる。今後はKPIとしていきたい。

―キックバックの考え方は
岡本代表:メインではなく、製品やサービスを磨いて厳しい顧客に支持してもらう。プロダクトを磨くことが一番の投資になるため、使ってもらえるサービスであることに注力する。顧客の売り上げを伸ばす機能が充実してGMVが増え、多少キックバックが増えるという程度に止めておかなければ、数字が独り歩きして本来のよさが見失われがちになる。

―大株主のオプトホールディングスとの関係は
売り上げを立てていることはほぼない。家賃を払って施設を使わせてもらっている程度。経営陣は元々オプトHDのメンバーだが、第三者認証の事業をするうえでネットの代理店の色が強いことは望ましくないと考え、保有比率を下げてきた。良好な関係にある。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]

 


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