CAPITAL EYE

株式・債券の発行市場にフォーカスしたニュースサイトです。

上場会見:NexTone<7094>の阿南社長、演奏権の”元栓”処理目指す

30日、NexTone<7094>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の1700円を2.35%下回る1660円を付け、2060円で引けた。同社は著作権者からの委任に基づき、複数種ある権利のうち演奏権以外について、利用者への許諾と利用料の徴収を行う。阿南雅浩社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

管理だけでなく作品の利用を促進する取り組みにも特徴があると話す阿南社長 

管理だけでなく作品の利用を促進する取り組みにも特徴があると話す阿南社長

―初値が公開価格を下回り、高値で引けた。株価をどう受け止めているか
この市況なのでほっとしている。株価は我々が決めるものではないが、この地合のなかで投資家から一定の評価があったことは身の引き締まる思いであり、その期待に応えていかなければならないと決意を新たにした。

―新型コロナウイルスの感染拡大の事業への影響は
今、アーティストがコンサートを開けない、カラオケに行けないといった憂慮すべき自体ではあるが、幸か不幸か演奏権(の領域)に参入していないため、そこについてのダメージはない。東日本大震災の時にもそうだったのだが、皆が家に”巣ごもり”をして、ホームエンターテインメントに走ると、放送を見るかネットを触るかしかない。不謹慎ではあるが、我々の管理領域であるため、足元だけで見ると業績は伸びるのではないか。アーティストに元気がなくなると、中長期的に我々のビジネスには何もいいことはない。

仮に影響があるとすると、刀剣乱舞の(ミュージカルの)ライブビューイングなどキャスティング事業に波及する可能性はある。ただ、今のところ2021年3月期第1四半期には大きなコンテンツがない。(感染拡大が)6月以降にずれ込むといろいろなライブのライブビューイングに影響があると思うが、現時点では影響は非常に限定的と考えている。

―エイベックス・ミュージック・パブリッシングやアミューズなど株主各社との取引や関係について
エイベックスもアミューズも、JASRACの独占市場への対抗軸として当社を作ることを応援してくれた。我々からすると一定の企業の色が付くのも痛し痒しであって、広く皆さんの支持を集めるために株式を公開してパブリックカンパニーだという意識を宣伝することも(上場の)目的の一つだった。

今後も株主というより、有力なコンテンツホルダーということでしっかり付き合っていきたい。だが、今までのような関係ではなく、あくまでも公開会社であって、(各社は)one of themとして距離を取っていく。これまでの4年間で、エイベックスやアミューズ、フェイスから人事や経営方針などに干渉されたことは一度もなかった。

―楽曲利用データのマーケティングへの活用とは
例えば北海道だけ、あるいは群馬県だけで異常にかかっている曲があり、それはなぜなのか調べる。少し前の話だが、(シンガーソングライターの)平井堅さんがヒットする前に、「なぜか北海道で死ぬほどかかっている」というマーケティングデータがあった。そうすると北海道でキャンペーンをしよう、あるいは現地の企業に売り込んでCMとタイアップする、北海道の放送局でパワープレイ、ヘビーローテーションを取っていこうというローカル発のヒットが組める。

また、全国津々浦々を巡回できないアーティストについては、どこを中心に回っていこうとか、放送やインターネットの属性によってプロモーションの効率化を図ることができる。

―管理対象となる新曲の年間のリリース数とシェアはどのぐらいか
8万曲ほどが世の中に出ていき、そのうち3万5000曲ほどを当社が管理する。ただ、難しいのは、当社やJASRACが発表する曲数について、一曲の(各種の権利のうち)演奏権は絶対にJASRACが管理しなければならないことになっている。当社は演奏権以外の権利を管理するため、両社でそれぞれ1曲とカウントする。我々の3万5000曲という数字について言えば、5万数千曲はJASRACに全部預けたいという権利者が存在することを示している。

―JASRACからの移管も増えているが、JASRACの管理曲数は
420~430万曲と言われている。1935年から80年以上の蓄積がある。我々は生きている16万曲を管理しているが、(JASRACでは)おそらく死蔵しているものもあるため、曲数は有効な指数になり得ない。結局いくらの徴収をしているかというところで、JASRACは1100億円で我々が45億円で96対4というのが現実だ。ただ、シンギュラリティーと一緒で10%を超えると急速に伸びると楽観視している。

―海外での利用料徴収に対する著作権者の反応は
喜ばしいことであるとされているが、海外で徴収できるというメニューを見せて初めてJASRACから当社に権利を移してくる、あるいは次の新曲からという話になり、明日からいきなり徴収できるわけではない。2015年に放送の分野に参入したが、まだ我々の管理楽曲の半分ぐらいの放送権しか管理できていない。

演奏権に参入した、海外徴収を始めたとしても、時間軸では徐々に増えていくため、(飛躍的な業績向上の)踏み切り板にはなり得ない。

JASRACは、海外160ヵ国のJASRACのような団体から5億円しか徴収できていない。これは1950億円の5%に満たない金額でしかない。クールジャパンだとかインターネットで世界の垣根がないと言いながら、5億円という額に権利者は不満があり、「NexToneが何とかせんか」となっている。直接的な徴収への期待は多いが、「NexToneに全て任せよう」という流れになるには若干時間がかかる。大変ではあるが、演奏権の分野に参入するとインパクトが大きい。

―時間軸で見ると、演奏権分野での収益化のほうが早いのか
取り組む時間軸としては、海外での徴収が早いが、収益化の面では演奏権分野が220億円の事業であるため、インパクトは大きい。

―エクシングや第一興商との契約に向けた取り組みは順調に進んでいるのか
それだけではなく、そもそも(演奏権に関する)17万軒との契約を、JASRACが巻き直してくれないといけない。今は個別に徴収しているところ、当社も請求すると(二重払いの問題が生じるため)、JASRACもNexToneと同様に、第一興商やエクシングの”元栓”で徴収して後から分配するスキームに乗らないと話にならない。お店も含めて説得する相手が多い。

―そう簡単にはいかないのか
JASRACは非営利団体で、本来は音楽文化の発展に資することなら何でもするスタンスであるため、一般企業のようにライバルに塩を送るようなことをなぜするのかという論理は本来ないはずだ。これをすればJASRACの新卒職員が集金や契約のために訪問しなくても、元栓で徴収することでコストも下がるし働き方改革に沿うことになるため、気長に説得していくしかない。

パチンコや有線放送のBGM、コンサートでも元栓で処理しており、NHKのように各戸で契約しているのはカラオケが最後の領域で、簡単に参入できない痛みがある。ここは壁が厚く時間がかかる。ただ、入れるとメリットは大きい。

市場に入れるだけでなく、権利者が「まだJASRACがいいな」と思っているのは、登録する際に作品届を提出するが、当社と付き合うには必ず2ヵ所に出さなければならず、現場からすると面倒だからだ。NexToneで全て登録できるようになれば、権利を全部預けたいという声は非常に多い。市場参入以上に、フルラインでサービス提供できるインパクトは大きい。

今でも既存事業の伸長で年平均30%ほど成長しているため、この3~5年の中期計画では既存事業を伸ばす。成長可能性として、いずれかの段階に海外で演奏権を実現すれば、130~140%といった水準以上のジャンプアップができる。

―今後3~5年間での業績の規模は
桃枝宏之執行役員:演奏権への参入などは織り込んでおらず、既存の著作権管理やデジタルコンテンツディストリビューション、キャスティング事業で、売上高や営業利益について年率30%の増加を見込んでいる。

―株主還元の考え方について
阿南社長:まだ成長段階にあり、本則に市場変更して1部へ行く規模になれば、配当性向20~30%を目標に還元していきたい。今はシステム投資に使い、業績を伸ばすことが先と考えている。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


CAPITAL EYE © 2016
本情報の正確性には万全を期しておりますが、情報は変更になる場合があります。 また、第三者による人為的改ざん、機器の誤作動などの理由により本情報に誤りが生じる可能性があります。 本情報は、情報の提供のみを目的としており、金融商品の販売又は勧誘を目的としたものではありません。 投資にあたっての最終決定は利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 本情報に基づいて行われる判断について、株式会社キャピタル・アイは一切の責任を負いません。 なお、本情報の著作権は、株式会社キャピタル・アイ及び情報提供者に帰属します。本情報の転用、複製、販売等の一切を固く禁じております。