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上場会見:サイバーセキュリティクラウド<4493>の大野社長、人に代わりハッカーから守る

26日、サイバーセキュリティクラウド<4493>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の4500円を104.67%上回る9210円を付け、1万710円で引けた。同社はAIを利用するSaaS型のセキュリティソフト「攻撃遮断くん」などを提供する。大野暉社長が東京証券取引所で正午に上場会見を行った。

大野社長は技術面での協業についても積極的に考えていると話した。

大野社長は技術面での協業についても積極的に考えていると話した

―前場で初値が付かなかった
この会社がどのように伸びていくのか、どのような規模になっていくのかという投資家の期待値と思っている。事業をしっかり成長させることで返していかなければならない。

―株式の売り出しをしない理由は
我々の求めている企業規模に向けて一歩を踏み出したばかりで、株を売らずにもっと伸ばしていきたい。公募に関してもサイズが小さいという声があるが、黒字で安定成長しており、現在予定しているのは、人材投資がメイン。一部はインフラへ投資する。多くの投資をしなくても順調に伸びていく。

グローバル展開でも、(米国の)シアトルの拠点に置く社員数はゼロ。それでも700社ほどと取引があり、効率的に顧客を獲得できるスキームができあがっている。ビジネスモデルの美しさにも自信がある。限られた資金のなかで大きく伸ばしていきたい。

―シアトルの社員がゼロとは
拠点は置いているが、営業社員が常駐せず、開発もしていない。出張で対応する。

―新型コロナウイルス感染拡大のビジネスへの影響について
非常に良くない社会状況に向かっているが、ビジネス環境上はプラスに働いている。2020年12月期第1四半期が締まるところだが、受注も堅調に伸びており、遅れも発生しておらず、悪影響は一切ない。

まだ、データで実証できていないが、会社に来ないで働くスタイルが確立し、働き方改革が進むことで、社内がもぬけの空になるケースがある。ハッカーからすると狙いやすくなり、攻撃されてから気付くまでのスピードが遅くなることで、被害がより甚大になりやすいと予測している。人の手で防ぐことができなくなるため、我々のような製品をしっかり使いこなすことで、セキュリティ環境をより安全にできる。顧客にとって手に取りやすくなるのではないか。

―企業側のサイバーセキュリティへの投資意欲の減退はないのか
現状ではない。

―月間350件ほどの引き合いが実際にどのぐらいの受注につながるのか
公開はしていないが、350件の問い合わせのなかで、40%ほどは製品に対するしっかりした興味がある。ホットリードと呼ぶこれらの顧客に順次提案しながら、期間を掛けて受注していく。

―2021年12月期以降のボトムラインの方向感について
成長戦略に付け加えると、今年のテーマは「仕込み」と位置付けている。上場の大きな目的は信用力の獲得で、大手のパートナーを仲間にしていく。顧客として、日本を代表する大企業や公官庁、金融機関と多くの取引があるが、間接よりも直接販売の割合が多い。

間接販売は、大手SIerやクラウドベンダー、ディストリビューターであるネットワールドや大塚商会など多くのジャンルの企業がパートナーとなっている。大手SIerが一番需要を持っているなか、現在のパートナーは富士通グループと丸紅情報システムズのみで、多くの大手SIerと取引することで伸ばす仕込みをしたい。

契約を結んだからすぐ売り上げが立つものではなく、セキュリティ製品としての検証を重ね、ビジネススキームを確立するために半年以上の時間が掛かると思う。そちらにリソースを割き、今期の受注は横ばいで成長率もそこまで上げない堅い予算となっている。2021年12月期以降はそこを花開かせる。マイクロソフトのAzureなどの提供も含めた仕込みをして、トップラインの伸びをもう一段階上げていきたい。

―来期のボトムについて、繰延税金資産のインパクトは解消されるのか
倉田雅史取締役:税金関連では大きなインパクトはなくなる。

―経営陣が2016年に参画する際に、プロダクト開発を含めてどのようなことを変えたのか
大野社長:根幹の部分は渡辺洋司CTOが、既存の「攻撃遮断くん」をよりハイクオリティなものに作り変えていった。

渡辺CTO:参画した当初、課題となっていたサービスの安定性と、プラットフォームの整備に第一に取り組んだ。その後、セキュリティのクオリティを改善し、いち早く脆弱性に対するルールを提供することを目標に、社内チームを立て直した。安定したサービスの提供と質を、利用者目線で認知してもらう改善を施した。

―IoT関連も手掛けていきたいとのことだが、どのようなイメージか
今年からR&Dの強化に入る。顧客が持つシステム資産の実現の仕方が、この1年から3~5年の間に大きく変わっていく。具体的には、クラウドの利用でサーバーを使わなくなってくるため、サーバーがない世界、開発が少なくなる世界でどのようにプロダクトを作っていくかを研究・開発する。

また、5GやIoTでは、ローカルに密集したネットワークのセキュリティが非常に重要な課題になってくるため、その技術的な基礎研究を通じてプロダクトにつなげていく戦略を考えている。

―研究開発費の増加と利益成長のバランスは
大野社長:会社としてトップラインだけを追い求めていくことは策定しておらず、単年度ごとに戦略を切り替えていきたい。今年は仕込みの年で、来年はトップライン拡大に向けてアクセルを踏む。R&Dも含めて販促費がしっかり必要なマーケットになってくる、あるいは需要拡大に向けて踏んだほうが良いというタイミングが明確に見えた場合には、しっかり踏み、利益をコントロールしたい。基本スタンスとしては赤字を出さずに黒字をしっかり出すことを定めているものの、利益額については中期経営計画を策定するなかで決めていきたい。

―大株主のVector Group International(ベクトル香港)とオークファン、GMCM Venture Capital Partners Iとの今後の関係は
ベクトルとオークファンにおいては中長期保有のなかで、会社の環境を踏まえて大きく伸ばしていくことにコミットしてもらっている。GMCMは投資会社で、当社の大きな戦略を見込んで投資してもらっている。もっと大きくなるところまでしっかり見届けたいという思いを持ってもらっている。

―配当政策について
現状では予定しておらず、しばらく内部留保を投資に回していく。

サイバーセキュリティクラウド<4493>の情報はこちらでご覧いただけます

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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