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上場会見:日本インシュレーション<5368>の吉井社長、「環境」を第3の柱に

19日、日本インシュレーション<5368>が東証2部に上場した。初値は公開価格の940円を7.55%下回る869円を付け、759円で引けた。同社はケイ酸カルシウム水和物の一種である「ゾノトライト」を基材とする保温断熱材や耐火材を製造販売する。吉井智彦社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

強みである製造技術力や、原価低減の取り組みについて話す吉井社長

強みである製造技術力や、原価低減の取り組みについて話す吉井社長

―初値が公開価格を下回った
厳しいスタートを切った。現時点での当社への評価として厳粛に受け止めている。IR活動を通じて、より多くの投資家に当社についてさらに知ってもらう。企業価値を向上させ、期待に沿えるよう役職員一同努力していく。

―このタイミングで上場を選んだ理由は
先々代の(代表者の故)柿木克己名誉会長の長年の夢だった。先代の大橋健一会長や私が受け継ぎ、5年ほど前から目指した。上場するに当たって社会的責任は重くなるが、信用度や知名度がアップする。業界全体が人材不足のなか、優秀な人材の確保を期待できる。また、資金調達の自由度が増す。同族経営からの脱皮も一つの動機だった。

―新型コロナウイルスの感染拡大で、設備投資を抑える企業が増えると思うが、見通しについては
今のところ施主などから計画を中止するという話は届いていない。ただ、長期計画の修正は今後出てくるだろう。電力や石油化学関係でも、今動いているものについて中止の話はない。建築分野でも、混乱しているという情報はない。

―旭化成が競合と見られるが他社との違いは
旭化成<3407>は顧客で、(製品が)ヘーベルハウスの部材の一部に使われており競合のイメージはない。トバモライトを使った外壁材を作っている素晴らしい会社だ。

競合は、どちらかといえばニチアス<5393>であり、プラントや建築、自動車、半導体分野で事業を展開している。我々はケイ酸カルシウムの専業メーカーで、「第3の柱」ということで、ケイ酸カルシウムに囚われず新しいものを作っていきたい。開発を進めている。

―「第3の柱」について環境を事業の柱にするというが、もう少し詳しく知りたい
それ以上のことは言えないが、やはり環境を意識している。今あまり役に立っていない素材が役に立つような技術や新しい品物を作る取り組みをしている。

―どのような分野や業界を対象とするのか
素材そのものは、工業やプラント用途に近い分野で、さらにニッチな世界を攻めていく。

―今の製品で省エネルギーにどう貢献しているか
ダイパライトという商品はケイ酸カルシウムのJIS1号-15の規格品だが、従来品のベストライトよりも性能が20%高い。ダイパライトよりもさらに20%高いU-ブリッドもある。これは特定のプラントや熱供給事業(都市部でボイラーによって熱を送る事業)に使われている。配管の熱が逃げやすい部分にサーモカットリングとして取り付け、熱を逃がさず必要なところに送り届ける。

―ベトナムで籾殻を使う事業も省エネルギーの一環か
籾殻が公害の原因になっていた。それを事業に役立てると提案したところ、ベトナムの人民委員会からぜひ来てくれと言われた。化石燃料を使わずにバイオマス燃料にしており、残る灰そのものも粉砕して原料にする。籾殻の入手に困らない場所としてメコンデルタ地域を提案され、ベトナムを選んだ。

―籾殻を砕く装置は自社開発か
我々のプラントは手作りで、注文生産の機械を組み合わせている。

―海外の売り上げをどのぐらい伸ばしていきたいのか
2020年3月期予想は4億円ほどで、その前はベトナム事業が本格稼働しておらず日本の品物を輸出して2億円ほどだった。輸出は2億円ほどで推移している。ベトナム事業では、現在一期工事の段階で、製造ラインが一つの状態。

差し当たり、日本国内事業の売り上げの25%に当たる10億円を早期に目指したい。そのために、同じ敷地に、ラインをあと2本作る。

―オリンピック後にも多くの工事が控えているが、日本の国内市場の先行きは不透明と思う。国内をどう攻めるのか
長期的にはどうなるか予想が難しい。施主の考えが分からないと、ゼネコンや設計事務所との話もできない。不動産デべロッパーや物流会社といった施主の考えを聞きながら、川上から川下までしっかり営業し、状況を判断している。

新型コロナウイルスが問題になる以前の状況では、どこに聞いても、中期的には物流施設が全然足りていないとのことだった。大手のデベロッパーが倉庫を作る状況であるため、どうなっていくのかと思うが、物流関係の建築需要は続くのではないか。オフィスビルは首都圏中心でもう少しゆっくり進めてもらえればと思うほど多くの計画があり、仕事には当分困らない。

―物流費について
2019年3月期は価格転嫁ができなかったため、物流やエネルギーコストが上がった。2020年3月期については価格を転嫁でき始めている。

―具体的な業績目標は
第3の事業が具体的に事業化できたとしても、3年後に業績に貢献する大きな材料になるかというと難しい。製造設備に1年ほどかかるものを相手にしており、長期的には伸ばしていきたい。2~3年でぐんと伸びるとは考えておらず、微増で進めたい。完全に事業が確立した時点で大きく勝負に出る。

―BtoC分野の展開は
教育関係や芸術分野の品物や型材を作っている。需要が伸びており増産を検討している。

―本社移転の計画は
迷っている。今のところは大阪(でと考えているが)、いろいろな形で変化していくと検討しなければならないかもしれない。

―岐阜工場に投ずる調達資金の使途について
基本的に、老朽化に対してのリプレースと、高度なIT技術の導入を検討している。

―株主還元の考え方は
増配を続けていきたい。

日本インシュレーション<5368>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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