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上場会見:フォースタートアップス<7089>の志水社長、スタートアップが勝ち切る支援を

13日、フォースタートアップス<7089>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の1770円を8.02%下回る1628円を付け、2000円で引けた。同社は成長産業支援事業で、スタートアップ企業向けの人材支援と、大手企業がスタートアップ企業と提携する際の支援などを行う「アクセラレーションサービス」を手掛ける。志水雄一郎社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

志水社長は、成長支援のために自社の規模を拡大したいと話した

志水社長は、成長支援のために自社の規模を拡大したいと話した

―初値が公開価格を下回り、(公開価格を上回る)2000円で引けた。市場の評価について
直近までの株価形成では公開価格より高めになると思ったが、昨日、海外の状況が良くなかったこともあり、株価に大きな影響をもたらしたのではないか。評価されなかった可能性もゼロではない。ただ、この状況で、後場に戻したため期待も多分にあり、しっかりとスタートが切れた。

―新型コロナウイルスの感染拡大によるスタートアップの資金繰り悪化に伴う影響は
必ず影響があると思っている。ただ、調達環境はM&Aも含め4000~5000億円までマーケットが拡張してきた。今期に少し減っても、ファンド側は、2019年に大きくファンドを形成した。特にバリュエーションが低く投資できる2020年は、ベンチャーキャピタル(VC)はどこにでも投資するわけではなく、しっかり選別しながら強いチームに出資している。この流れは今後も継続する。

聞いたところでは、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)は出資を手控えている。ただ、純投資のVCは、ビジネスチャンスであるため出資している。我々の営業隊がヒアリングしているが、この瞬間に圧倒的な勝負に出る本当に強いスタートアップが多く出ている。また、2019年にSmartHRが大型調達をした際に60億円のうち30億円を、直近ではベルフェイスが52億円を調達した際には26億円を人材採用に使うと話していた。この流れは今も同じで、強いチームはこのタイミングだからこそ勝負をかけるとして、数百人単位の採用の依頼を多数受けている。そういう企業への支援体制を作っている。

―2020年の春以降、VCが投資のために選別する際の基準はどのようなものになるのか
VCと連携している側でいえば、二つの方向性がある思う。一つはIPOの確率を高めたい。今まで投資をしていた会社群から、確率の高い1社にかぶせて投資するケースが増えるとみている。

逆にアーリーステージの会社への投資も増える可能性がある。当然ながらバリュエーションが低いため、より広く投資する。完全にシード期の会社に張ると宣言するファンドもある。二極化すると思う。

―大きな会社から優秀な人材が流出しているのか
二つあり、ほかのスタートアップが採用できない優秀な人材を採れる可能性がある。大企業もライバルになり得るため、このタイミングで差を縮められる可能性がある。キャッシュが潤沢で損益計算書が回りそうな会社であれば、3ケタ採用にアクセルを思い切り踏むスタートアップが多い。

―幹部人材と現場人材の採用の動きに違いはあるのか
企業による。幹部人材の採用は、前回のリーマンショック時にもあまり煽りを受けていない。最も影響を受けたのはプレーヤーレベルの採用だった。かつ成長産業セクターはあまり煽りを受けず、影響を受けたのは景気ぬ連動する上場企業だった。我々が相手にしている顧客は調達連動であり、少し遅れて影響がある可能性はゼロではないが、今のところはそこまで大きな影響を受けていない。

―新型コロナの影響のメリットとデメリットはいずれが大きいのか
日本にとって株価が落ちることは良くないことではあると思う。ただ、半年か1年後かは分からないが、一旦終息する可能はある。そこからは上げる一方で、どのような方法で上げていくかが重要と考えている。成長産業支援事業は景気が良かろうが悪かろうがやらなければいけない。なぜならば日本は成長したいし、日本人はもっと成功したいはずなので、それを支えたい。

我々はVCではないため、今が仕込み時という発想ではない。ヒューマンキャピタルを中心とした成長産業支援事業者であるため、人の無限の可能性を使った事業創造というテーマからすると、今の時代だからこそ起業して勝負をかけようとする人が増えると思っている。優秀層ほどそう考えるだろうし、一人でも多くサポートしたい。本当に強いスタートアップが選別される時代でもあり、そのような企業に人的資源を集中し、それ以上のサポートをしてその企業がしっかりと、少しでも勝ち切る支援を全面的に提供していきたい。

―新型コロナの自社イベントへの短期的な影響は
自社イベントで集客やマネタイズするわけではなく、場を作らないスタイルであり大きな影響はない。

―大企業が手控えているというオープンイノベーションサービス分野での需要に変化はあるのか
市場のなかでまだ小さいのでニーズを捉えている。我々のSTARTUP DBとその裏側にある企業のアルゴリズム、どのスタートアップが伸びそうかということに関心のある大企業は非常に多い。それに合わせたリサーチや、場合によっては強固に組むアライアンスなども含めていろいろなことが起きるのではないかという話が多い。そのあたりをしっかりクロージングしながら進めたい。預かろうとしている案件は多い。

―案件が今後減っていく懸念はないのか
むしろ、ニーズとしては大きなものが多いため、組織化して人員を増やしオープンイノベーションを仕掛ける。

―それはなぜか。本業がうまくいっていない大企業が多いのか
菊池烈取締役:大企業のオープンイノベーションに掛ける資金がゼロになるとすれば厳しいが、本当に組むべき相手としっかり組むという流れができつつあり、我々のSTARTUP DBを活かしたほうがオープンイノベーションの成功率が高まるのではないかと考える企業が増えつつあるという背景がある。今のところ新型コロナウイルスの影響でオープンイノベーションの売り上げが下がることはない。

―オープンイノベーション事業のチーム化のイメージについて
志水社長:可能性があるのではないかとヒューマンキャピタリスト出身者を一人アサインして伸びた。社内の異動や外部からの採用で数人単位での組織化がなされる。

―スタートアップが求める人材と登録する人材にはどのような人が多いのか
前者は業界ごとに全く違う。SaaSのマーケットはバブルであり、数十億円単位の大型調達でレバレッジを効かせて成長することが当たり前だ。エンジニアとカスタマーサクセスが必要で、その採用をともに進めようという大型案件が非常に多い。クラウドAIの会社も選別されてきており、そのような話が非常に多い。

また、労働力が少なくなった時代のなかで、「キツイ」、「汚い」、「危険」といった領域にドローンを使うため、サービスドローン分野に大型採用ニーズがある。これまで重要な顧客と捉えていたBtoCビジネスを展開する会社よりも、BtoBサイドのニーズがさらに大きくなったイメージがある。

人材の登録については、ハンティング型のモデルであり転職希望者の登録を待つモデルではない。顧客が必要と想定する人材を、データベースやコミュニティ、紹介などいろいろな方法で狙う。最近は上場するに当たり個人からの問い合わせも多い。ペルソナは平均29~30歳で、平均年収は700~800万円。成長産業セクターで活躍できるであろう人材を月に1000人以上ハンティングして相談に乗っている。特定の業種に偏っていることはない。エンジニアやCXO(CEOやCFOなどを指す)タイプもいる。特に集中している領域はなくマーケットニーズに合わせる。

―ビジョン達成の状況をどう捉えるか。3~5年後にKPI的な観点で見ることは可能か
菊池取締役:世界を席巻する会社が、我々の支援先企業からどれだけ生まれるかを重視する。今中心的に支援している企業から世界で戦える企業が増えればビジョン達成に近づいたと言える。現状では近い将来には訪れず長い戦いになるが、厳密には何かを達成したから達成とは言えない。

志水社長:2018年時点であれば(支援先としては)メルカリがトップだった。今のタイミングではSaaSやクラウドAIの企業に、年間数十人単位で採用を支援している。メルカリが上場して世界で勝っているかといえば、まだその状況ではない。

むしろ今はスマートニュースが米国で評価され、まだ数十人単位でしか支援できていないが、もう少し大きく昇華していくようなストーリーをたくさん作る必要がある。そのためには我々も組織や事業を大きくする必要があり、時間がかかる。定点観測できるリリースを出していけるようにしたい。

―調達資金での人材採用イメージは
事業を伸ばすために重要であるため、ヒューマンキャピタリストを増やす。次に重要なのはエンジニア。今も自社で多数抱えているが、さらに増やすことでタレントエージェンシーの自動化や、STARTUP DBの信頼性向上などを各種仕掛けることができる。当然ながら上場企業として継続成長できるためのコーポレート体制を拡充する。今までの流れよりも人材採用はより大きくなる。併せて2年前に作ったオフィスが手狭になったため、増床・移転費用を一部含む。

―人材事業・データベースのベンチマークは
人材紹介会社はたくさんある。個社ごとにみると、ロイヤルカスタマーは圧倒的に我々のシェアが高い。重要なことは調達環境がこれだけ大きくなり、マーケットが少し収縮しても採用フィーが使われている。我々はブルーオーシャンのホワイトスペースをどれだけ埋められるかという活動をしていると捉えている。HR分野で圧倒的なライバルを特定することは難しいが、個社ごとにはあり得る。

データベースについては、ユーザベースのINITIALか我々のSTART DBのいずれかと見てもらっているが、マネタイズの有無など機能に違いがある。相互にライバルでありながら、切磋琢磨しながら良質な情報サービスを提供できるようにしつつ両方伸びるのではないか。

―海外展開の青写真について
ミッションは、日本や日本人のプライドを取り戻すことで、そのために成長企業が国際競争力を持つための成長ができる事業体をプロデュースすることがベースであるため、拠点は日本に置く。それを一定にやり切れた時に、将来的にあるかないかと言えば、ある。現状では計画していない。

―ウィルグループとの今後の関係は
そもそもセグメントを分けている。ウィルグループは「人材派遣×大企業」で通信・流通・製造を顧客とする。我々は「スタートアップ×正社員」であり、独立性を担保しやすい。カニバリゼーションを起こす可能性は今のところなく、今後もきっとない。

―配当政策について
今のタイミングでは自社に投資をし、早いタイミングで還元できる仕組みにしていきたい。

フォースタートアップス<7089>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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