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上場会見:きずなホールディングス<7086>の中道社長、自分らしい見送りニーズに応える

6日、きずなホールディングス<7086>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の2320円を4.31%下回る2220円を付け、1955円で引けた。同社は小規模な家族葬に特化したブランド「ファミーユ」を全国に展開する。中道康彰社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

出店に掛かる初期投資が少なく黒字化までの期間が短いと話す中道社長

出店に掛かる初期投資が少なく黒字化までの期間が短いと話す中道社長

―初値が公開価格を下回った
株価はマーケットが評価することと考えており、厳粛に受け止めている。身の引き締まる思いでしっかりスタートしていきたい。

―参入障壁は
高いとは思わない。やる気さえあれば、家族葬ホールを1店舗出すことは可能だが、複数店舗を出していくのは、マネジメントや資金調達、品質維持の面で難しい。当社の競合はほとんどが零細企業となっている。一方、一般葬を中心に手掛ける大きな会社が家族葬も扱う場合、積極的に展開することは少ない。というのは、マーケットで一般葬が占めるシェアは63%で、自らの商圏では高価格の葬儀を手掛けられる状態にある。そこに当社のような家族葬ホールを出すと一気にデフレが起こってしまうため、そのせめぎ合いがある。

また、オーダーメイド型葬儀については、私自身が現場に入って開発したがとても難しい。葬儀は絶対にやり直しが効かないため、葬祭業に入った人間は誰でも、絶対にミスをしないように決められたことを言われた通り遂行するよう徹底的に教育される。オーダーメイド型葬儀は、葬家と一から話し合いながらオリジナルの葬儀を作っていくため、発想が真逆になる。

家族葬のパイオニアとして今までにない葬儀を広げていく志がある従業員であったためまだ良かったが、1年ぐらいは従業員と私との間にコミュニケーションが成立しない状態が続いた。安易に家族葬に取り組もうとするところもあるが、「あの苦労ができるならやってみてください」という気持ちでいる。

―オーダーメイド型葬儀のイメージは
私の父親はまだ生きているが、海釣りが好きで、今は半分施設に入っているような状態で、もう一度海釣りに行きたいと言う。仮に亡くなったとすると、当社の貸し切りのホールの壁を、好きだった海の写真で埋めて、魚を生きたまま愛用の魚籠に入れるなど海釣りをしているような設えで、大好きだった物に囲まれたなかで見送りたい。そのようなことを1日のオペレーションで実現する。

最初は1件受注すると、支社の人員の3分の2に当たる25人ほどを投入していたが、今は3人で運営できる。3年間の経験を通じ、ここまでであれば、この時間でできるという見積もりが容易になった。例えば家庭菜園や庭を再現することもできる。オペレーションを確立したことで(累計で)1700件を手掛けている。

―オーダーメイド型葬儀の成立背景と、その広がりについて
オーダーメイド葬は、顕在化しているニーズを拾い上げて商品化したというよりも、普遍的な価値として自分らしく見送りたいという価値が絶対にあると考え、どのようなソリューションを提供できるかという形で投入した。社内の情報共有を密にし、葬儀を取り仕切るディレクター間での情報交換によって広がってきた。

―店舗増に伴う人材獲得のノウハウは
ほとんどが業界経験者の中途入社となる。同じ県・市内で葬儀をしていると同業者で情報交換があるなかで、オーダーメイド型の葬儀をやりたいという同業からの転職がある。地域によっては100%が同業からの転職となり、今の店舗数であれば十分な人員が揃う。また、1店しかない場合には人員がフルセットで必要になるが、2~3店舗になると、ドミナント出店かつ小規模店舗であるため掛け持ちが可能となる。店舗が3倍になっても、1.7倍の人員で足り、年間10~20店舗の出店であれば人手が逼迫することはない。

―M&Aの考え方は
M&Aについては、いくつか条件を決めている。一つめは、家業で取り組んでいるところが多く、息子が継がないから建物と従業員数名を引き取って欲しいという案件が非常に多いが、そのような案件は全て断っている。

逆に、30~40代と若い経営者で、自身で創業し2店舗までは出店したが、3店舗ぐらいになると、マネジメントのノウハウが必要になり、資金面でも3店舗を出すことは難しい。これから10年続けてももう1店舗出せるかどうか、成長の可能性に限界を感じている経営者は相当数存在する。買収後も経営者として当社からいろいろ学び、刺激を受けながらともに成長していきたいという場合、一緒にグループとして成長していきたい。3件目に加わった花駒の経営者とはそのような形で進めている。

二つめとして、相手方の規模について特段制限を設けているわけではないが、昔ながらの大きな葬祭ホールを多数保有していると、当社の強みを発揮できない。また、今後大きな葬儀が減ってくるため、資産評価上もマイナスになってくる。できるだけ、成長意欲はあるが小さいところをターゲットに考えたい。

―生前葬などのニーズをどう捉えるか
岡崎仁美取締役:大前提として非常に画一的だった葬儀の業界で、生活者目線で全てを見直し、生活者が欲しているものを短時間で制約条件があるなかで、いかに実現できるかという精神は変わらない。生前葬が拡大していく可能性があれば、葬儀そのものがいわゆるセレモニーではなく、その前後も含めた一つのイベントになる可能性は十分にあると思う。

そういった点に敏感であり続けて、ソリューションを常にどこよりも早く良いものを提供できる企業体でありたい。今、葬儀をしない人が確実に存在して拡大しているとは考えていないため、現状ではメインの事業を全国に展開していく。

中道社長:例えばドライブスルー形式で焼香するタイプの葬儀など、奇抜なことにチャレンジするケースはある。

―新型コロナウイルスの感染拡大の影響をどう見るか
関本彰大取締役:景気に影響されないため、短期的に影響はないが、新型コロナウイルスによって会葬者が減る可能性はあるが、葬儀は最後のお別れに行くものであるため、それほどの影響はないと捉えている。ただ、国が家族葬のような特定少数の会を禁止するような場合には別と考えている。一般葬と異なり、20人前後の会を禁止するとは今のところ予想していない。地域によってスケジュールコントロールは可能だが、現時点で葬儀を延期するケースはない。

―配当政策は
中道社長:今期が終わってもまだ81店舗で成長性が高いため、手持ちの資金を新店舗に投入して、基本的には株価でしっかり報いていきたい。

きずなHD<7086>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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