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上場会見:フリー<4478>の佐々木社長、SaaS業界を盛り上げる

17日、フリーが東証マザーズに上場した。初値は、公開価格の2000円を25.00%上回る2500円を付け、2700円で引けた。同社は会計や人事労務を自動化してスモールビジネス(SMB)を支援するクラウド型ERPシステムをSaaSで提供する。佐々木大輔社長と東後澄人CFOが東京都内で上場および戦略に関する会見を行った。

メディアからの質問に答える佐々木社長(左)と東後CFO(右)

メディアからの質問に答える佐々木社長(左)と東後CFO(右)

―午前の終値が2664円で公募価格を上回ったが
東後CFO:投資家から期待に沿えるよう引き続き事業を推進し企業価値の向上に努めていく。

佐々木社長:市場で決めることなので、感想を持ちづらいが、今後、業績に合わせて評価されていくことが大事であるため、安定的に値動きしていくのであればそれで良い。

―グローバルオファリングの狙いと海外投資家の評価や関心などを含めて
東後CFO:昨年末ぐらいから、北米を中心にSaaS事業をよく理解している機関投資家と直接話す機会を得ており、対話を深めるなかで、当社の成長にとって良いフィードバックをもらえ、良好なパートナーシップを築けると考え、海外機関投資家の比率を高めるため、グローバルIPOとした。日本のSaaS企業として初めてのグローバルIPOということもあり、今後の日本のSaaS業界を盛り上げる、または参考にしてもらうために意義が大きかった。

佐々木社長:SaaS銘柄を詳しく分析している投資家は、海外に多く存在し、マーケティングのプロセスで27倍の需要が生まれた。今後、日本でSaaS企業についての評価尺度や知見が共有されることで、日本のマーケットにSaaS企業が参入するきっかけになると捉えている。それによって日本のSaaS業界はもっとビジネスがしやすくなっていくだろうし、業界全体が盛り上がることで、我々のビジネスにもベネフィットが返ってくる。SaaS業界全体を盛り上げる動きを積極的に続けたい。

―副業の広がりが追い風になるのか
副業をする人が増え、会社でも就業規則を見直す動きがある。副業をすると確定申告が必要になるため、個人事業主として登録してもらって、確定申告をする人が増え、個人事業主用のfreeeを利用するユーザーがこの2~3年で増えている。そのまま副業で続けていく場合もあれば、独立するケースも多いと認識している。今まで大企業依存型であった日本の社会が、個人に焦点を当て、どのような生き方をしたいのか、という自由な生き方を実現する環境となる第一歩として、副業の動きは面白いと考えている。

―収益化目標の時期、もしくは投資から収益化フェーズに移行する際の達成基準は
顧客1社当たりの収益性、顧客獲得コストに対する生涯価値(LTV)がどの程度期待できるかを社内で徹底的に(議論し)、規律を以て投資している。そこで収益性が担保されるのであれば積極的に投資をしていく方針を取っている。これを続けていくことで結果として顧客からの売り上げが積み上がってくると、自然に期間損益で見た収益性も改善される。

―顧客の企業規模がSMBの規模を超えた場合の対応は
企業規模が大きくなったときに我々のサービスでは対応しきれないケースも、今後出てくるかもしれない。1000人規模の会社にも使われているサービスではあるが、あまりにもそこから外れてくると、その可能性はある。一方で、新規導入は難しいかもしれないが、想定規模を超えている会社であっても、徐々に成長していく分には、一部はうまく使い続けられると考えている。

大企業向けのERPの会社と競合する製品を展開する意図はなく、スモールビジネスや中堅企業のセグメントで価値を提供することにフォーカスしたい。

―クラウドの基礎にあるAWSのトラブルへの備えは
今年に大規模なAWSの障害が発生し、我々のサービスも一時つながりにくくなった。ただし、AWS内で冗長化を進めていくことで防ぐことができ、既に対策を行っている。また、AWSに対する信頼という点でも、自分たちでサーバーを管理する方式などに比べて、障害の頻度がより少ないことを評価しており、引き続き活用しつつ、打てる対策を続けていく。

―機能の一部をプロフェッショナル版に移行し、実質的な値上げではないかという情報があるが、ユーザーのケアなどを含め、今後のSaaSのビジネスモデルとしてどう考えているか
サブスクリプションはいつでも解約できるため、対価に対しての価値を提供できなければ解約の原因となっていく。それが起きないように、プロダクトがどのように活用されているのか日々分析している。重要なのは、業務を自動化できているのか、作業を減らし、リアルタイムで経営を可視化できているのかという点に尽きる。これらを指標としながら製品や案内の仕方を改善する。それができる環境に対して投資をしていかなければならない。

ネット上で「10倍の値上げ」と指摘された件については、一部の料金プランを見直して機能を追加し、また一部の機能を上位のプランでなければ使えなくなったことから、誤解のある表現が広がってしまった。これに関しては、誤解がないように理解してもらいながら、利用できるよう、コミュニケーションを心掛けていきたい。

―スタンダートプランに使いたい機能があったが、それがプロフェッショナルのプランに移行してしまうと、ユーザーの利用継続性への配慮は
小規模企業向けの機能という点では、その規模の会社の業務の効率化や可視化が安定的に進むことにコミットしており、このコンセプトのコアとなるものは、プランのなかにある。

また、プロフェッショナルプランや大きな規模で必要なものは、別の機能になると認識しているため、実際の使用例を想定して改善しているため、良い機能であれば上位プランに移動してしまうというものではなく、想定使用例に影響があるか否かで判断している。結果的に多くのユーザーにとってプロダクトの改善が進むと考えている。

―プラットフォーム戦略について足元で見えているものは
既存の会計や人事労務のソフトウェアを、より継続的に価値を届けられるための製品として改善し進化させていく。また、顧客基盤を拡大させるものへ投資したい。次世代の金融サービスやプラットフォーム分野に対しても少しずつ投資を増やしていき、よりイノベーティブなサービスを実現していく会社としてのスタンスを示していきたい。

―M&Aの考え方は
プラットフォームとしていろいろな機能を拡充したい。パートナーとその価値を提供していくのが理想だが、その(隙間が)埋まらない場合に、M&Aを利用して、領域をより広げていくことを積極的に考えていく。

―海外展開について
当面、予定はなく、日本のマーケットに価値を届ける点にフォーカスしていくが、ある程度進捗した段階で世界を見ていくことも考えられる。

―具体的な調達資金の使途は
開発や営業・マーケティングへの投資が中心になる。当面はコアプロダクトのクラウド型ERPの開発と、それをプラットフォームとして多くの人に使ってもらうためのマーケティング活動が投資のポイントになる。

―株主還元について
成長フェーズであり、事業の成長と企業価値の向上で株主にしっかり還元できることが重要な視点となる。

フリー(4478)の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木洋平]


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