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上場会見:メドレー<4480>の豊田代表、ITで患者を医療の中心に

12日、メドレー<4480>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の1300円を2.81%下回る1270円を付け、1255円で引けた。同社は完全成功報酬型の医療人材採用サービス「ジョブメドレー」を展開する人材プラットフォーム事業と、遠隔診療アプリやクラウド型電子カルテなどを開発する医療プラットフォーム事業を手掛ける。豊田剛一郎代表が東京証券取引所で上場会見を行った。

情報の共有で患者にシームレスな医療体験を提供したいと話す豊田代表

情報の共有で患者にシームレスな医療体験を提供したいと話す豊田代表

―初値が公開価格を下回った
投資家の評価として受け止めるとともに、引き続き業績や企業価値を向上させ、投資家とのコミュニケーションやIR活動をより積極的に行いながら、企業価値向上と理解の両方を高める努力を続ける。

―共同代表の瀧口浩平社長との役割分担について
原則として社長業は滝口が行っており、対外的なコミュニケーションや戦力は私が担っている。重要な意志決定は議論の上で会社の戦略を決めている。

―豊田代表の対外的な役割とは
例えば、オンライン診療をどのような患者に使うかなどを世の中や医療界、行政に対して的確に発信しなければ、広がらない。思っていたものとは違う方向に広がり本当に必要な患者に届かない、市場が形成されないことが実際に起きている。我々が何をしたいのか外部へ積極的に発信し伝える業務を担っている。

―競合環境の認識は
人材プラットフォーム事業では紹介業が多く、インターネットテクノロジーをフル活用している企業はほかに見られない。とはいえ、エリアや職種などに強みを持ちセグメントごとに競合となる会社はある。ただ、40種以上の職種を扱い、全国にインターネットでサービスを展開しており、同じようなことをしている会社はないため、競合を意識するよりも全体を伸ばすことに集中している。

医療プラットフォーム事業については、オンライン診療の規制が厳しいため、市場をこれから作る状況と捉えている。

電子カルテは、開業医の37%が導入しているにとどまり、成長の余地がある。ミクロな面に着目すると、20年近く電子カルテを開発している企業もあるなか、当社は新興ベンダーという位置付けにあるため、現場の先生が使いやすく、かつクラウド診療カルテの特徴が活きるプロダクトを作っていく。

今までの電子カルテとは概念が大きく変わる部分もあるため、既存の電子カルテを使ってきた先生にも不満がないように質を上げる。ネットにつながることで患者に情報提供するという今までにない価値を生み出せるため、それを特徴として伸ばしていく。

患者を真ん中にした世界を作るために、電子カルテはもっと患者とつながるべきだし、オンライン診療で医療機関と患者をつながりやすくなると考えている。

―データの使い道について
オンライン診療アプリには診療データは蓄積されず、電子カルテを経由して医療機関に帰属する。電子カルテのサーバー上にある情報は要配慮個人情報に当たり、利用には医療機関や患者の同意が必要になる。クラウドサービスだからといってデータを使える状況にはなく、データを集積して何かをするということを現時点では考えていない。

―オンライン診療アプリを患者が使う際に必要なITリテラシーはどの程度か
医療IT領域で考えなければいけない課題の一つ。オンライン診療を使う患者のボリュームゾーンは30~50歳代だが、年齢よりもITリテラシーによるため、スマホを触ったことない、インターネットを使わない患者に積極的にオンライン診療を使ってもらうにはいろいろな壁を越えなければならず、正直なところ難しい。

オンライン診療は、何らかの事情で医療へのアプローチが困難で治療が難しい患者にも少しでも良い人生を送ってもらうツールと考えているため、オンラインが苦手な人には、いろいろな方法で医療が届く環境を作っていければよいと考えている。必ずしも高齢者にオンライン診療を広めるというわけではなく、潜在的に必要としている若い人にしっかり広めていくことが重要と考えている。

―被災地向けの遠隔診療支援はビジネスに寄与するか
自治体との連携がビジネスの主軸となることはないが、一方で、課題を解決したい人や自治体に対して医療で貢献できることについては、例えば被災地支援は、オンライン診療の新しい在り方を気付かせてくれた事例であるため、話があれば、積極的に貢献できる範囲で取り組んでいきたい。

地方に行けば行くほど高齢者が多くなり、オンライン診療が難しく、どのように活用してもらうか考えていた。南相馬市(福島県)から、当時一人しかいなかった医師と高齢者の間に看護師が介在し、タブレットを持って高齢者宅を訪問することでオンライン診療を実施する提案があり、取り組んだところ、医師にも高齢者にも好評だった。規制の壁があって、まだ一般的に広がる状況ではないが、今後の地方医療や在宅医療のツールの一つになり得るのではないか。

―2018年12月期の医療プラットフォーム事業の売上高が、前期に比べ落ちていて、その後また伸びている理由は
SaaS型のビジネスモデルで医療機関数に従い売り上げが伸びていく前提で、2018年3月の診療報酬改定で、オンライン診療の規制が強めにかかった。我々が医療機関に対して値下げをしたため、売り上げが下がっている。

回復の要因は、オンライン診療をどう使えるのか明確になり、利用する医療機関が安定して増え始めたことが一つ。また電子カルテの販売開始による広義のアップセルによって、医療プラットフォーム全体で回復基調に入ったという背景がある。

―医療機関で、今後効率化できる領域は
たくさんある。診療所という観点で見ても、診療報酬の点数請求の打ち込みがアナログで属人的であり、電子カルテから自動で算定したいニーズがいたるところにある。患者とつながることで患者の情報を得やすくなるため、そのような部分は改善するのではないか。現時点でこれを変えたいということをここで伝えることは難しい。

ただ、昨年12月に厚生労働省から、薬局や医院での処方箋の電子化の実証実験を受託し、紙の運用を電子化しても良いと考えており、常にそういったことを検討し、効率化と低コスト化を進めていく。

―医療従事者の働き方改革に寄与することは
オンライン診療を手掛ける医療機関は、点数請求がシンプルな仕組みになっていることもあり、医師が会計まで済ますことができ、一人で運営できる。在宅医療のドクターにとっては移動など時間的コストを抑制できるメリットもある。

―資金使途と増員の計画は
開発の人員や体制を強化したい。医療ヘルスケア業界向けに新しいインターネットサービスを次々と提供していくことが重要と考えている。業界を変えたり新しい価値を創出することは一つのプロダクトでは難しい。新しいプロダクトを生み出すところに投資していく。

正確な計画の公表は難しいが、売り上げの成長と人員の増加は、規模の成長に従うため、爆発的にというわけではなく順調に増やしていくことが重要と考えている。

―NaClメディカルの子会社化について
日本医師会の標準レセプトソフト「ORCA」を作っている会社で、長年医療の業務システム開発に携わってきたメンバーがいる会社と一緒になることで、医療業界の深い知見と開発力を新しいサービス開発に活かしたい。

―M&Aの考え方と海外進出について
ジョブメドレーが高い成長率で伸び、医療プラットフォームにもかなり伸びしろがある状況で、そちらに注力しながらも、M&Aも戦略の一つと考えている。

医療ヘルスケア領域では、インターネット化に課題のあるシステム企業が多数存在していることが特徴であり、「MEDLEY DRIVE」というプロジェクトで何かしらの連携や協業を通じ、業界のインターネット化や技術のアップデートに取り組んでいきたい。

オンライン診療のようなシステムを海外でそのまま用いるのは現実的ではないと考えている。一方、人材紹介業は海外にも存在するため、人材プラットフォームを足掛かりに進出することは視野に入っているが、現段階では具体的なプランはない。

皆保険制度や長寿の国であることなど、日本全体の医療システムは海外から注目されており、医療プラットフォーム事業の観点では、一つのプロダクトを輸出するよりも、途上国や今後日本が直面してきた問題が生じる国を、日本という国全体でサポートすることに関わるポジションにいられたらよいと考える。

―海外の事例を取り入れることはあるのか
米国などはオンライン診療が進んでおり、患者が病院に来なくなるぐらいなら積極的に使うという文化があり、規制やルールづくりが進んでいる。オンライン診療を使うと病気の治癒率はどう変わるかといった論文を見ながら、どの領域に活かせるかベンチマークしている。また、中国の平安保険の子会社が手掛ける「平安グッドドクター」というアプリは、オンライン診療だけでなくネットの力を使ったより良い医療体験を実現するサービスとして参考にしている。

―今後の株主構成について
株主構成が社内と社外で半分ずつだったが、社外の株主に9割近くを売り出してもらい、流動性を確保する財務戦略を取った。海外の機関投資家も含めて、長期的な視点や業績のインパクト、社会的インパクト、株主価値に着目する必要があり、長期的に保有してもらえる投資家が参加できるオファリングサイズを実現するスキームを採用した。

河原亮CFO:加えて上場後のオーバーハングへの懸念を早期に払拭することも目的の一つだった。

―株主還元について
豊田代表:当面は黒字基調を保ちながら、成長に向けてできる限り新規プロダクトへ投資し、長期的にはフリーキャッシュフローの最大化を目指す。

メドレー<4480>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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