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上場会見:セルソース<4880>の裙本社長、再生医療事業のノウハウを確立

28日、セルソース<4880>が東証マザーズに上場した。初値は付かず公開価格の2280円の約2.3倍となる5250円の買い気配で引けた。同社は再生医療関連事業で、医療機関から脂肪・血液由来の組織・細胞の加工業務を受託するほか、医療機関に法規対応サポートを提供し、医療機器を販売する。裙本理人社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

受託件数や提携機関数の伸びについて話す裙本社長

受託件数や提携機関数の伸びについて話す裙本社長

―初値が付かなかった
多くの投資家の期待を強く感じる。感謝しているし、期待に応えるべく社員一同、一丸となって、誠心誠意、経営を進め事業を拡大することで、投資家と一緒に良い会社を作りたい。

―投資家から何が求められているか
株価に一喜一憂することなく、足元の事業を堅実に拡大させていくこと、コンプライアンスを重視した透明性の高い経営を通じて業績を拡大させていくことに尽きる。

―会社の成り立ちについて
私と山川雅之医師が、2009年頃からプライべ―トで同じチームに所属しトライアスロンをしていた。2014年の再生医療等安全性確保法(再生医療法)の施行を受け、医師としての知見と、ビジネスを拡大する経験が融合することでビジネスができるのではないか、と自己資本による出資で創業した。拡大のなかでベンチャーキャピタル(VC)による出資の話が多数あったが、キャッシュフローに非常にこだわって事業を拡大してきた。結果的に上場が初のエクイティファイナンスとなった。VCの出資を拒否し続けたわけではなく、営業キャッシュフローで運営してきた。

―提携医療機関の目標数や達成時期は
明確な上限はなく、可能な限り多くの患者に届けるために、可能な限り多くの医療機関と提携していきたい。明確な時期や件数については公表していないが、日々の営業活動のなかで多くの問い合わせがあるため、迅速に伸ばしていく。2019年10月期第1~2四半期のような大きな伸びを維持していく。

―収益性向上の進め方について
4期目での上場で、急ピッチで組織の拡大を進めてきた。上場に関するコストもかかる。確固たる組織を作るための販管費の伸びのスピードは鈍化すると考えており、売り上げを延ばし、販管費率を抑え営業利益率を高めるフェーズに入っていきたい。

市場の拡大余地からすると飽和状態にはなく、売り上げの目標を現時点で設けるべきではない。迅速な市場の拡大により結果が付いてくると考える。営業利益率に関しては、現状の率を落とすことなく高めていきたい。明確な数字を言うことはできないが、効率的な製造を心掛けることで限界利益率に近付けていくことが最大の目標だ。

―セグメントごとの業績イメージは
再生医療事業は、サービスが整い拡大フェーズに突入している。営業利益率を高める方向でしっかり売り上げを拡大していく。コンシューマー事業は、WEBでの販売が多くを占めていたが、2019年10月期の途中からドラッグストアのトモズの全店舗で取り扱いを開始した。販売チャネルのウェイトが変わりつつある局面で、営業利益率が変わる。広告宣伝費を圧縮しての利益率向上を模索してきた。知名度や信用力向上で、最適な広告宣伝費のバランスを見ながら、WEBと実店舗販売を伸ばしていく。

雨宮猛CFO:再生医療事業は、加工受託でコスト構成の選択の余地がない。コンシューマー事業はEC中心で進めてきたため、例えば赤字覚悟で広告宣伝費を投入すれば、売り上げは伸びる。我々としては再生医療の受託加工がコアでコンシューマーは付随的なものと捉えているため、ECに100%集中する会社とは異なり、利益にこだわって我々のブランドを活かせる分野に特化したいと考えている。

再生医療の利益を削るようなことをコンシューマー事業ですることはない。投資家からよく聞かれるが、会社全体での売り上げや利益については、コンシューマーは売り上げと利益のいずれを重視するかでバランスが変わってくるため、新しい期も走りながら検討していく。

―展開エリアは偏重しているのか
裙本社長:エリアは偏重しておらず、北海道から沖縄までまんべんなく契約を締結している。人口に比例して、都道府県によって医療機関のばらつきがある。首都圏が多く、次いで大阪が多いが、膝関節に痛みを抱える患者に地域差はなく、人口分布通りに広がっている印象があり、全国で契約を進めている。

―次に狙える対象領域は
肝硬変や不妊治療に血液由来の幹細胞、成長因子が使われようとしており、このような領域のエビデンスや治療の効果を見ながらフラットな目線で、マーケットがあるところに展開していきたい。

―グローバル展開で、興味を持っている国は
国単位でのさまざまな動きをウォッチしている。米国や韓国、 ベトナムが日本の再生医療を国としてチェックしていると聞いている。セルソースは再生医療法の下でビジネスモデルを確立したプレーヤーの一つであり、当社に対しても話を聞きたいというアプローチはある。今後、具体的に名指しで事業の提携が出てくるかどうかというところ。今は、具体的な企業というよりも、国からヒアリングという形でさまざまなアレンジがある。

雨宮CFO:再生医療法という法律そのもので日本が先行している。今後、他国でも再生医療が法整備を含めて進む状況と考える。治療レベルの事柄や法体系をどうするかということも幅広く聞かれている。

裙本社長:エリアは特に決めていないが、膝が痛い患者は高齢者に多く、日本の高齢化人口の分布と同じようになる国が多いため、そのような国に目を付けていく。具体的な時期はないが、我々はノウハウを確立している点に強みがあり、提携するに値する企業の登場により可能な限り速やかに進められる状態にある。

―膝関節変形症に保険が適用される場合、業績に影響があるのか
保険収載がなされれば単価が下がり、多くの患者に治療を届けやすくなる。一方で我々は国の財政に着目している。この日本の素晴らしい皆保険制度を未来永劫成り立たせるためには、何でも保険でカバーしていく時代は終わったと我々は考えている。全ての良い医療が保険に入ることで、結果的に保険診療制度が財政的に破綻しかねないと考えている。むしろ米国のように企業努力でコストを下げて患者に届けやすい価格を実現し、患者と医療機関、当社のような提供する会社が、それぞれの努力によって医療を進めていく正しい自由診療の在り方によって、国への財源のサポートになる。また、当社のような企業が利益を上げることによって法人税を払うことで非常に良い循環ができる。保険診療については並行してチェックするものの、保険診療を目指して投資を進める考えは現状ではない。

―広告戦略について
当社は(プロランナーの)神野大地選手を抱えているが、当社の再生医療はスポーツアスリートとのシナジーが非常に大きい。既に多くのアスリートから治療面で助けてほしいという話がある。神野選手はスポーツ選手を代表する選手であり、そのようなシナジーはこれまでもあったし、今後も期待したい。また、アスリートから一般の人に治療が広がっていく性質がある。きっかけになったのは、ニューヨークヤンキースの田中将大投手や、大谷翔平投手が肘にPRP(多血小板血漿)を打ったところから再生医療の一般への認知が高まった。アスリートも一般の人も悩みは同じであるし、スポーツ選手をサポートすることは広告宣伝として理に適っていると思う。

上場会見の冒頭で、裙本社長は事業の現況を以下の通り説明した。

セルソースは、医療機関が採取した脂肪や血液の細胞を再生医療に使えるように自社設備で加工して治療用に送付する「再生医療関連事業」と、細胞研究の成果物として、肌のシワやたるみの改善効果が期待できる化粧品などを開発・販売する「コンシューマー事業」を展開する。

再生医療関連事業は、2014年の再生医療等安全性確保法の施行により可能となったビジネスモデルで、大きな先行投資が不要。臨床に応用しながらデータを蓄積する。ターゲットは変形性膝関節症で、潜在的な患者数は2530万人。日本の総人口が減る環境でも、60歳人口が拡大することで広がり続ける市場に対応する。

提携医療機関は1万8000院の整形外科のうち237院で、今後増やしていく方針。乳がん治療後の乳房再建にも対応可能で、横浜市立大学の附属病院での取り組みを中心に、100件を超える治療例がある。

渋谷区の中心で細胞などの加工を行う「再生医療センター」から、迅速な配送が可能である点や、必要最小限の設備と高い稼働率による固定費の圧縮、製品の製造や検査が自社内で完結し、外注せずに品質をコントロールできる点に強みがある。

業績は1期目から黒字を実現しており、今後はグローバル展開も視野に入れている。
セルソース<4880>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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