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上場会見:HENNGE<4475>の小椋社長、強固な基盤と低い解約率

8日、HENNGE<4475>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の1400円を42.93%上回る2001円を付け、1904円で引けた。同社は企業内のID統合やアクセス制限などの機能をSaaS形式で提供する「HENNGE One」を主力サービスとする。小椋一宏社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

クラウド利用の拡大について話す小椋社長

クラウド利用の拡大について話す小椋社長

―初値が公開価格を上回った
投資家からの非常に強い期待を実感している。今後も期待に応えるために、さらに高い成長を果たせるよう気を引き締めていきたい。

―事業の内容は
企業が複数のSaaSサービスを利用している場合、各従業員のIDを作ったり削除しなければいけなくなり、業務が煩雑になる。HENNGE Oneを使うことで、様々なサービスを横断して使うことができる。顧客は一つのIDを使うことでユーザーを管理できる。従業員も単一のIDでアクセスでき、パスワードなどを覚える手間が減る。

もう一つの機能はアクセスコントロールだ。サービスごとにアクセスポリシーを設けたい場合に使う。例えば、カオナビのような人事情報を扱うSaaSサービスでは、人事担当者が社内でのみ閲覧可能にしたいのに対し、ビジネスチャットアプリであれば、自宅やスマートフォンから誰でもアクセスできるようにしたいというニーズに応える。誰がいつどの端末から、どのサービスにアクセスするかコントロールできる。この二つの機能を使い、企業はSaaSサービスを使うワークスタイルに移行できる。

契約社数は1200社弱で、ユーザー数は137万人。2011年に起きた東日本大震災後にクラウドの導入が活発化し、年々ユーザー数が伸びている。

―事業の強みは
サブスクリプション型の収益モデルで解約率が非常に低い。2019年7月時点で月次の解約率が0.13%。理論上の平均契約年数は64年となり、長いスパンで使ってもらえるサービスを提供している。毎年売り上げが少しずつ積み上がっている。

2018年9月末で、契約社数が前年比で26.7%増、契約ユーザー数は33.5%増、年間契約金額(ARR)は34.4%増加している。安定的に収益を伸ばしている。

二つめは強固な顧客基盤があること。セキュリティとITの世界で、法人営業を22年間積み上げてきた実績から、東京にある企業に関しては、トップ企業が導入している。業種をを問わず使ってもらえるサービスだ。平均契約ユーザー数1170人ほどの中堅以上の企業がよく利用している。

ダイバーシティの推進にも強みがある。IT事業が優秀な人材確保という課題に直面するなか、我々は世界中から優秀な人材を募ることで克服を試みている。2012年に受け入れ制度を構築し、技術チームを増強。特に技術チームについては世界で戦えると自負している。2017年に英語を社内公用語にし、2018年9月期には海外メンバーが21%弱となった。

こうした人材はサービス改善を担うところ、原価が下がり、売上総利益率が毎年数%ずつ向上していくトレンドにある。2018年9月期には77.8%となり利益率の高い状態になっている。

また、年間一括前払いモデルを採り、比較的キャッシュリッチなビジネスを展開している。

―成長戦略は
年間の総契約金額(ARR)の最大化を目指す。契約社数と平均ユーザー数の最大化、ユーザー当たりの単価(ARPU)向上を、三つ同時に実現できれば、三次元的な成長を遂げられ、それが我々のビジネスの魅力と考えている。

直近は契約社数を増やす。日本ではクラウドの利用が始まったばかりであり、契約社数をどんどん取っていくことが成長戦略の要となる。1件の契約を受注すると、仮想的に64年分の収益を得られるため、単年度の利益水準に囚われ過ぎず先行投資を行い、ARRを最大化する。

さらに、SaaSサービスのプラットフォーム化を推進する。我々のビジネスはSaaSサービス間をつなぐハブのような特色があり、情報を仲介する機能を充実させることで、ARPUの向上を目指す。

―三次元的な成長の内実は
3年前まではARPUが漸減する傾向にあったが、現在は新機能の追加などで横ばいか微増となっている。平均ユーザー数については、大手企業へのアプローチができていなかったが、パートナーを通じた販売で、この3年間は拡大傾向にある。契約社数については、年平均200~250社の新規契約を獲得できる営業力がある。当面は契約社数の増加を目指して地方営業を強化したい。そのうえで中期的にARPUの向上が必要となるため、継続的に新機能を投下していきたい。

―継続して使ってもらえる新機能とは
我々のビジネスモデルがSaaS間のハブ的な位置付けにあることを利用できる。現行のHENNGE Oneを強化していくのみならず、新機能を提供したい。例えば 2019年2月から提供している「HENNGE workstyle」がある。ビジネスチャットとクラウドカレンダーを結びつける。会議室を予約しているが誰も使っていない場合に、センサーがそれを感知し、チャットボットが予約をキャンセルしても良いか通知する。ほかにも利用状況を可視化するという機能がある。このように我々が接続するサービスとサービスをつないで顧客に新しい価値を提供するチャレンジを続けていきたい。

―上場の理由は
東京を中心にビジネスを展開してきたため、地方での営業体制が足りていない。知名度がまだなく、営業人員の8割が東京地域に集中している。地方展開を強めれば契約社数を増やすことができると考え、知名度や信用力の獲得が採用・販売面で必要として上場を選んだ。

―減益予想については
天野治夫CFO:今年2月の商号変更に伴う広告宣伝費用と上場費用、オフィス増床という定常でない3種類の費用が発生した。

―中長期的な収益目標は
小椋社長:定量化したものは開示していないが、市場に関する認識として、我々の顧客である137万ユーザーは日本で働く人たちの2.6%に過ぎず、マーケットのアップサイドは20~30倍ほどと考えている。今の単価を上げてさらなる成長を遂げたい。

―国内の開拓余地と海外展開は
平均1200人が属する中堅企業をスイートスポットと話したが、数十~数百人規模の顧客もある。今後日本で働く人たち皆がSaaSを使うようになると考え、クラウドの利用が大企業と中小企業に広がり、まだまだ開拓の余地はある。上場企業での浸透度合いは多く見積もって10%ほどで、中堅・大企業についても、まだアップサイドがあると捉えている。

海外では、台湾に子会社を設け、日本と同様のビジネスを手掛けている。日本に比べるとアジア地域はクラウドの利用が進んでいない。将来の市場としては良いものの、直近では注力する状況ではない。いざ市場が立ち上がる段階では、多様な人材の強みを生かしつつ、アジアや欧州といった、この分野で白地図になっている領域に進入していけるのではないか。

HENNGE<4475>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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