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上場会見:AI CROSS<4476>の原田社長、高いシェアとソリューションに強み

8日、AI CROSS<4476>が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の1090円を65.14%上回る1800円を付け、2200円で引けた。同社はSMS(Short Message Service)送受信サービスとビジネスチャット、AIによるデータ分析サービスを開発・提供する。原田典子社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

労働力不足をAIで補う必要があると話す原田社長

労働力不足をAIで補う必要があると話す原田社長

―初値が公開価格を上回った
株価は全て業績の結果と捉えている。業績を伸ばしていくことによって、株主の期待に応えていきたい。

―事業内容について
親会社からの分社化で設立した。親会社がデータフォレンジックというスマホのチャットやデータ解析を主に手掛けており、我々が培ったチャットなどのデータ構造やセキュリティの知見を生かしサービスを提供している。

三つのサービスを手掛けている。一つは社内向けのビジネスチャット活用で生産性を高めるもの。もう一つは、企業がメルマガや電話に代わって、ユーザーに効率的にリーチするためのメッセージングサービス。三つめはAIの分析サービスを今年リリースした。これはチャットで蓄積した短文のデータを解析することで業務効率化を推進する。

―特徴と強みは
メッセージングサービスはSMSでユーザーの反応率を上げる。督促業務に使われている。ビジネスモデルは、プラットフォーム利用料と送信メッセージ数に応じた課金で解約率が低く、収益がストックで積み上がっている。国内マーケットの98%を4社で寡占しており、当社はその2番目にいる。

高い国内シェアが強みの一つ。また、メッセージ送信後、督促であれば、クレジットカードと連携してそのまま決済できる仕組みなどを用意している。業界ごとに必要なプランを用意し、ソリューション力があることも強みだ。

5G端末が普及すると、RCS(Rich Communication Services)という画像や動画、音声を送れるサービスが搭載されることで、さらなる利用拡大を見込んでいる。

ビジネスチャットサービスは、世界的に普及しているが、国内での導入率は4割ほどになっている。当社はIT知識がなくても、現場の人たちが使いやすいことを開発ポリシーにしている。ただ、企業の情報を扱うため、情報漏洩を起こさないセキュリティに強い特徴がある。親会社がデータ解析をしており、データのキャッシュも暗号化している。

クラウドではなく(設備を自社内に置く)オンプレミス版も提供している。セキュリティ意識の高い企業や官公庁などが多く利用している。機密データを扱う会社が業務効率を上げたい場合に相談がある。

月次利用料にライセンス数を乗じるSaaSモデルで、解約率は月次0.4%。利用者は全て有料会員でありアクティブユーザーのみとなっている。

AI分析サービスでは、チャットデータを分析することでさらなる業務効率化を推進していく。特に従業員のやりとりを解析することで、企業へのエンゲージメントを高める「ピープルエンゲージメントクラウド」を展開している。離職リスクの可視化を人材会社と共同開発している。具体的には許諾を得た上で離職者のデータを受領し、過去のチャットのやりとりやコミュニケーション量を見て変化が現れた場合に、離職率を可視化して企業が対応するサービスとなる。

強みは、ビジネスチャットに長年取り組んでおり短文データの分析に強みがある。また、エンジン開発に、東京大学で機械学習の応用研究に従事する杉山将教授が参加している。少ないデータで解析の精度を上げていくことに強みがある。杉山教授の仮説を基にエンジンの精度向上を図っている。また、特許を積極的に取得し技術を保護していく。

―成長戦略
ビジネスチャットやメッセージングサービスという言葉がなかった2015年の設立以来、サービスの啓蒙から始めて、顧客基盤を作ってきた。これからは内部に蓄積されるデータ分析でサービスを拡大させる。

サービスのコンセプトはスマートエンゲージメント。メッセージングサービスであれば、ユーザーの企業に対するエンゲージメントを高める。ビジネスチャットであれば、従業員の企業に対するエンゲージメントを高める。離職率を下げるものや、定着率を高めるHR領域のサービスからリリースする。今後は、従業員が配属後にどのようなパフォーマンスを発揮し、モチベーションにどのような変化があるかなど、チームのマッチング精度を上げるサービスや、ハイパフォーマー分析などをリリースしたい。チャットの利用者にオプションとして展開していく。

―成長イメージは
一つはデータ解析サービスの付加価値オプションでどんどん伸ばしていきたい。二つめは既存のビジネスチャットの拡大余地が6割残っており、強みのセキュリティとシンプルさを生かしていく。また、データ分析をきっかけに入ってくるライセンス数を増やしたい。メッセージング事業は動画やRCSの登場による利用用途拡大でビジネスを広げていく。

―競合が参入するリスクについて
両サービス自体の知名度が上がってきたため競合状況は変わってきた。ただ、先行者メリットとして優良な顧客基盤があり、そのニーズを基にソリューション化できる強みがある。また、両方の強みを持っており、チャットやチャットボットとメッセージング機能を組み合わせて全体的な業務効率を上げる。既にコールセンターの現場でコール数を下げる事例がある。電話が入ると自動応答でメッセージを送り、ユーザーをチャットボットとのやり取りに誘導することで、一定数の受電をボットに対応させる。両方持っている当社ならではの組み合わせソリューションを強化していきたい。

―データポリシーと安全対策について
取り組みとしては、固有の従業員名はフィルタリングして全てIDに置き換えた上でデータを受け取る。性別や宗教などプライバシー情報についてはAIフィルターでマスキングし分析に利用できないようにしてある。そもそも会社が配るサービスであるため、利用規約が見える。第三者の分析に供することに承諾してもらうことを徹底している。

―業績の推移は
会社設立以来、年平均9割ほどで成長している。2019年12月期は13億円の着地を見込んでいる。導入社数は4年間で2000社を突破している。今は2500社を超えており、さらに増やしていきたい。

―KPIはなにか
サービスごとの売り上げを重要視している。上場会社として増収増益が求められるため、全体の売り上げと営業利益をこれまで以上に意識したい。多くの人に知ってもらい利用されることで(データの蓄積により精度が上がる)AIアナリティクスサービスなどで付加価値を高めていくため、取引社数も重要なKPIと考える。

―ビジネスチャットを広げるためには
広がらない理由としては情報漏洩が怖いというものが多い。そこは当社の強みで情報漏洩をなるべく起こさない設計にしており、企業のデータを守りつつ業務効率を上げられることを理解してもらっている。また、現場でどのような使われ方をしたら、どういう業務がなくなり便利になるかという提案まで行っており、利用シーンをイメージしてもらうことで、少人数のトライアルからでもスタートしてもらい、広げていく。

―画像や動画を送れるRCSの用途は
いま携帯端末にデフォルトで搭載されているものはテキストのやり取りをするSMSだが、5G端末になるとRCSというアプリが本格的に使われる。例えばオンラインの旅行会社では、予約を受けた場合にはテキストで確認のメッセ―ジを送っている。画像や動画を送ることができるようになると、QRコードを利用者の端末に送り、そのままホテルにチェックインでき、チャットボット機能の併用で自動応答をして人を介さずにキャンセルもできる。業界ごとにニーズが変わるため、いろいろな使い方を想定している。

―寡占状態のSMS配信事業者の競争関係の変化は
メッセージングサービスでは、認証のためのパスコード送信領域など一部で価格競争が起こっている。ただ、当社のようにチャットボットを使って双方向サービスを提供したり、決済までカバーするソリューションの分野については価格競争になっていない。RCSについては、それによって何をしたいかによる。オンラインの旅行業者であれば、画像を送るだけでなく、顧客のニーズに即応して、例えば20代の女性向けに個別に旅行のプロモーション動画を送る機能を先んじて付加することなどで、他社との価格競争にはならないと考えている。

―メッセージングサービスとAIアナリティクスの関係について
例えば、ユーザーに対してどのようなメッセージを送ると反応が良いは、会社がどのような会員組織を持っているかによって異なる。今のSMSのデータは、ほぼ定型文が送られており、解析してもまだ有効なサービスにはならない。

RCSの導入でパーソナライズされた動画を送れるようになり用途が広がると、ユーザーにどのようなものを送ればよりファンになってもらえるか、というコンセプトで考えている。ただ、まだ着手できる段階ではないため、今後、RCSの用途を広げ、やり取りが活発になった後のサービスと考えている。メッセージングもRCSも開封率の高さが特徴なので業務利用が多い。必ずしもマーケティング用途には限定していない。

 

AI CROSS<4476>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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