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上場会見:パワーソリューションズ<4450>の佐藤社長、金融ノウハウの蓄積に強み

1日、パワーソリューションズ<4450>が東証マザーズに上場した。初値は付かず公開価格の2000円の2.3倍となる4600円の買い気配で引けた。同社は金融機関向け業務コンサルティングとシステムの受託開発・運用保守サービスなどを手掛ける。佐藤成信社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

ビジネスモデルの特徴について話す佐藤社長

ビジネスモデルの特徴について話す佐藤社長

―初値が付かなかった
期待の表れと捉えている。それに対しては、これまで取り組んできたサービスを粛々と成長させていきたい。

―事業内容について
金融機関向けの業務コンサルティングやシステム開発、RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)ライセンスの販売や導入サポートを手掛ける。コンサルティングから開発まで一気通貫で業務効率化を支援する。

証券会社、資産運用会社、信託銀行、銀行向けと取り引きを拡大させてきた。近年では、RPAソフトの「UIpath」のゴールドパートナーとして、金融機関と一般事業会社向けに販売・導入を展開する。金融以外へとサービスを広げている。

金融機関は汎用的なパッケージサービスを導入するが、複数のベンダーが提供するシステム間の相互接続性などに問題がある箇所を「ラストワンマイル」と呼び、専門的にシステムインテグレーションを提供する。大手SIerが守備範囲としていない領域を手掛ける。

―ラストワンマイル案件とは何か
例えば、資産運用会社では、一般投資家から集まってきた資金をファンド単位で運用する。株や債券を売買したり先物取引をする。様々な取り引きの結果、日々時価総額を計算し、口数で割って1口または1万口当たりの基準価格などを算出する。その評価をするためには、どのような売買をしたか、債券価格はいくらかという情報を全部収集しなければいけない。国内株式の売買だけであれば手元で分かる。ただ、海外の株式の運用を現地法人に委託している場合、時間差もあり、どのような商いが成立したか「スウィフト」というサービスを使って把握する。基準価格を算出するシステムは大和総研や野村総合研究所のシステムを使う。債券価格についてはブルームバーグなどの情報端末から取る。複数のサービスがあり、これらの情報の接続のためにフォーマット変換が必要になる。

実際の運用の場面では、複数の格付け機関があり違う表記がされているため、どう評価するかいろいろなシステムから流れてくる情報を利用する企業は、ファンドや投資対象銘柄が増えるたびに手作業で集める。我々は顧客の作業状況とニーズを聞き出し、システムで対応することで人手がかからないようにする。

金融機関の人たちが行っている作業全てに効率化の可能性があり、エンジニアの観点から効率化を断続的に提案する。固有のサービスのなかで使われている機能名などを知らないとできないが、やればやるほど金融のノウハウが蓄積し、顧客と対等に会話ができるようになる。

―強みや特徴は
ニッチなポジションで個別対応をする。通常は収益性が上がらないと思われがちだが、金融業界に特化することで展開し、ノウハウを蓄積する。個別対応中心だが、収益性を確保し、継続的に成長している。大手SIerとは競合せず補完する関係にあり、顧客の紹介を受けることもある。

もう一つは、金融機関との直接取引によるプライム案件を獲得できるポジションにある。金融機関は他社実績を意識する業種で、通常のSIベンダーでは受注が難しい。大手SIerと協力関係にある会社に所属する埋もれたスキルの高い人材を発掘して、顧客と直接会話をするための業務知識や開発ノウハウを提供し、金融機関にリーズナブルな価格で紹介することなどでリピートにつなげ、高い収益性を実現できている。

一気通貫体制を意識している。ラストワンマイル領域の案件を断続的に受注しながら、業務分析による課題の発見から開発まで手掛けている。製造部門とコンサルの販売部門の体制が一緒になっていないと難しい。エンジニア自身がコンサルタントになることで、課題聴取後に、解決可能性や費用の見通しを把握し、即答できることも特徴の一つだ。

系列を問わず幅広く金融機関と取り引きしており、規模が大きい顧客は当社に予算割り当てをしていることもあり、継続取引につながっている。

―RPAについて
これまでラストワンマイル領域を専門に扱ってきたが、RPAは(手作業を自動化する点で)我々の領域と親和性が高い。UIpathはグローバル展開し有力と考えている。どこでどのロボットが動いたか分かるオーケストレーター機能が強く、エンジニアによる作り込みで、かなり難しいこともできることから着目した。大手金融機関が選び始めたため、エンジニアを増やした。販売元のゴールドパートナーとして販売・導入支援に当たっている。金融機関のみならず一般の事業会社での導入も進んでいる。

―人材獲得・教育の仕組みについて
MD(マネージング・ディレクター)制を設けている。広い権限を持つMDを中心に、小規模な独立採算収支制の部署を複数作り、一定の規模になったらのれん分けしながら増殖させて経営する。MDには、提案や案件の可否の判断、コミットメントの権限がある。会社側が収支を計算して出すが、収支連動性のインセンティブがMDや管理職に渡され、意識の高いコアメンバーが多数いる構造になっている。MDの離職率は低い。当社の規模が小さかったころに社長が持っていたレベルの権限があり、社内に小さな会社がたくさんあるイメージだ。

今は20人ほどいる。人員の20%というのは品質面で難しいが、理想を言えば15%で、(現実的には)10%を目標に増やしていくことはできる。

―今後の成長戦略は
主要顧客は金融機関で、資産運用会社のシェアが高い。これらの深耕と新規開拓に加えて、証券会社、信託銀行、その他金融機関にもニーズがあると考える。さらにRPAを通じて金融機関以外の顧客との取り引きが広がっており、将来的にはそちらのシステムインテグレーションのラストワンマイル案件も手掛けていきたい。成長モデルであるMD制で、MDの数を増やしつつサービス提供していきたい。

―新規顧客開拓をどう進めるか
創業して以来、証券会社や資産運用会社を開拓した。それ以降はこちらからアプローチすることなく口コミや、転職者によるリピートで増やしてきた。資産運用会社の間では知名度が高いので、こちらから接近しなくとも自然に増えると考える。加えて、証券・信託やその他金融機関についてはUIpathを通じて導入チャンスが増えている。セミナーが定期的に開かれており、そこに我々が出展することで顧客との接点がある。生命保険会社や食品メーカー、携帯電話会社などと接触でき、販売や導入支援につながっている。

―上場の目的は
社会的信用力を向上させ、資金調達により収支管理をする基幹システムを再構築するためだ。上場により内部管理体制を整備することで業務品質を上げる目的もあった。かつて上場を目指していたが、2008年のリーマンショックの影響で一度取り止め、この3年ほどで改めて上場を準備した。

―人材戦略は
新卒採用は年間採用数の10%を目標とする。年間150人ほどを採用するうち、エンジニアは130人で、その10%程度の増員を検討している。中途採用も一部離職を想定し十数%を目指す。我々は人員の分しかサービスを提供できないため、作っているサービスを営業して売り込むことよりも、良いエンジニア、MDになれる人材をどれだけ育成できるかにかかっている。

―配当政策は
未定だが、適正な利益還元をするために前向きに考えている。

パワーソリューションズ<4450>の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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