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上場会見:Sansan(4443)の寺田社長、出会いからイノベーションを生み出す

19日、Sansan(4443)が東証マザーズに上場した。初値は公開価格の4500円を5.78%上回る4760円で、終値は5460円だった。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」事業と、SNSの仕組みを取り入れ、名刺をビジネスのつながりに変えるビジネス特化型名刺アプリの「Eight」事業を手掛ける。寺田親弘社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

寺田社長は、名刺交換の文化が根付いているアジアでの事業展開についても言及した。

寺田社長は、名刺交換の文化が根付いているアジアでの事業展開についても言及した。

―初値が公開価格を上回った
高い評価をもらった。一般の株主を迎えたことに対しては身が引き締まる思いがある。ビジネスを12年かけて積み上げてきたことに対する今日の評価だと思うため、今後も顧客価値をどんどん積み上げたうえで、それに応じた評価をもらえればありがたい。

―事業の概要は
一つはSansan事業で、名刺管理からビジネスが始まるということをコンセプトにしている。企業の全社員が使える法人向け名刺管理サービスとして5700社以上が利用している。月次解約率も低く保っており、シェアナンバーワンのサービスになっている。スキャナーやスマートフォンアプリで読み取ると99.9%の精度でデータ化される。人事異動や企業の情報の連携を始めとして社内の情報を有効活用するために相手先企業の組織図が自動的に形成されたり、自分に関係ありそうな人脈について通知が届いたりと多様な機能がある。

付加機能の追加でアップセルの機会を捉えようとしている。最近は社内の従業員の連絡先の管理や、その人が持つ名刺の分析を通じ、その人の強みを把握するナレッジマネジメントとしての側面も生み出している。データを統合してセールスフォースなどで有効活用する機能も提供している。

ビジネスプラットフォームというとFacebookが想像されるが、Salesforceに近い。直近は営業系のチームの補充を考えており、5年後ぐらいに1000人体制にしたい。Sansanサービスをコアにして付加サービスやアップセルの商材を投入し、パートナーのサービスや、場合によってはM&Aによって、ビジネスプラットフォームとしての進化を遂げていきたい。

もう一つはEight事業。名刺でつながるビジネスのためのSNSをコンセプトにしている。キャリアを越えて使える個人向け名刺アプリで2月末時点で230万人を超えるユーザーを獲得している。二つのサービスは領域が違うが、いずれもビジネスコンタクトを資産として活用できるプラットフォームとして捉えている。

Eight上で取引先の相手の人事情報や昇進を知る機会も増えていると思う。直近ではマネタイズに注力し始めており、順調に進んできている。個人向けに直接課金するプレミアムや、広告サービス、キャリアデザインというダイレクトリクルーティングのプラットフォームとして収益化していく。

両サービスとも人脈や名刺管理という極めて基本的なビジネスニーズに応えるもので、業種・職種問わない。さらに情報が自律的に蓄積されていくため、他のサービスとの連携も含めビジネスプラットフォームとしてエコシステムの中心になっていけると思う。今後は強固なものにしていきたい。出会いからイノベーションを生み出すという本質からブレずに進んでいきたい。

―名刺管理市場の伸び代は
100倍ある。現在カバーできているのは1%程度。今やれていることはほんの一部だろう。100倍は言い過ぎとしても10~20倍は肌感覚としてあり実現していきたい。働き方改革関連投資やデジタルトランスフォーメーションの流れも追い風になると考えている。顧客情報のデータ化を1丁目1番地としてサービスを広げていきたい。

―事業の強みは
名刺管理市場は我々自身がゼロから作り上げてきた。80%超のシェアがあるが、名刺を管理する文化を広め、市場を拡大させていきたい。現状の顧客は規模・業種を問わず、数名の会社から何万人の会社まで、牧場のようなところから銀行まで幅広い層に使ってもらっている。インフラとして活かしていけるかを課題としたい。

―Linked inと重複しないのか
Linked inに対応するものがEightだが、日本でLinked inは世界に比べれば浸透していない。あえて比較すると、名刺を管理するビジネスパーソンの基本ニーズから入ったことでより多くのユーザーに使われて育ってきた。Linked inは、言わば履歴書のネットワークで、Eightは名刺のネットワークであり、名刺交換や活用する文化のあるアジアでは、名刺ネットワークのほうが付加価値を感じてもらえると考えている。

―SansanとEightの具体的なシナジーは
Eightはユーザー数が非常に多いため、名刺をデータ化することを一般化した。我々は裏側で名刺を正しくデータ化することがコアになっているため、テクノロジーの面で両事業からシナジーが創出されていると考えている。

―KPIは
Sansan事業については毎月の受注の積み上がりを、どれだけの顧客にSansanを使ってもらえたかを最重視している。純粋な新規顧客もあるし、顧客の一部門で利用していたところ、全社に広がった場合にも新規顧客として認識している。

―Eightの売上高をどこまで上げたいのか
両方並び立つ事業として育てていきたい。Eighは直近でマネタイズがようやく始まって力強い伸びを示しており、二つとも我々の柱と言えるようにしたい。

―トップラインの伸びはこのペースで続くか
分母が大きくなると同様の達成率を、と言える段階ではなくなってきているが、マーケットのポテンシャルは非常に大きいと捉えており、変数を間違えずに経営していけば高い成長ができると考えている。

―売り上げと利益のバランスについて
重視すべきは売り上げの成長率と思っている。他方で先行投資が必要な状況下ではプライベートとして運営するほうが良いという判断もあり、上場のタイミングを計ってきたなかで、必要な投資をしつつ利益が一部残っていく状況が見えてきたことを前提としての上場となった。利益そのものを最大化すること自体の重要度は必ずしも高くないが、トップラインの伸びを最大化しながらも利益が出る体制を早期に作っていきたい。

―解約率を下げる余地があるのか
致し方ない解約もあるので、劇的に下がることは考えにくい。1%以下の水準を維持したい。

―資金使途は営業人材増強と開発費用か
概ねそうだが、Sansan事業はセグメントとして黒字化しており、強い資金ニーズがあるわけではない。今回調達した資金は今後の成長機会に、場合によってはM&Aに投じていきたい。プロダクト・ポートフォリオとして顧客に提供できるものがあれば内部に取り込んでいきたい。

―今後の資金需要について
主たるコストは人件費と広告宣伝費なので、調達資金はそこに充当していく。上場企業としてアクセスできる調達資金についても成長機会に投じていきたい。

―営業人員数の現状は
橋本宗之CFO:営業人員と言ってもいくつか種類があり、セールスに関わる人員は150人ほどだ。

―臨時雇用の従業員が多いのはなぜか
寺田社長:名刺のデータ化のためにいろいろなリソースを組み合わせており、オペレーターというアルバイトの立場で雇用している人がいるため、大きく見えているのではないか。

―地方拠点の機能は
営業拠点と開発者がいる拠点がある。徳島や京都、長岡や札幌には開発者が数名常駐している。大阪や名古屋は営業拠点と開発拠点を兼ねている。

―M&Aの考え方について
具体的に何かということではないが、成長機会として国内に限らず海外でもと考えている。あくまでもプロダクト・ポートフォリオによって付加価値を充実させるためのものと捉えている。

―ESGの取り組みは
名刺をスキャンするとその分量に応じた木を植える「Scan for Trees」に三年前から取り組んでおり、4800本の植樹実績がある。

―株主還元は
橋本CFO:中長期的には配当も重視したいが、一方で実現する成長率や市場機会を考えると、しっかりと投資をして株価を上げて株主に評価してもらうことが、現時点では最大の株主還元と考えている。
Sansan(4443)の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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