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上場会見:UPR(7065)の酒田社長、パレットでアジアナンバーワンに

12日、ユーピーアール(7065)が東証2部に上場した。初値は公開価格の3300円を21.21%上回る4000円で、終値は3990円だった。荷物の保管、荷役作業、輸送に用いる薄い箱型の荷台である「パレット」の製造や販売、レンタルなどを手掛ける。酒田義矢社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

物流業界の人手不足を背景にレンタルパレットの需要が伸びていくと話す酒田社長

物流業界の人手不足を背景にレンタルパレットの需要が伸びていくと話す酒田社長

―初値が公開価格を上回った
非常に良い評価を頂き身の引き締まる思いで、期待に応えられるようにしっかりと経営していきたい。

―事業の概要について
パレットのレンタルをコア事業としている。パレットを使うことで一度に多量の荷物をさばけ、保管効率を上げることができ、いまは物流業界でパレットを使うことが主流となっている。手荷役や長時間労働などで働く環境が厳しく敬遠され、物流の現場に人が集まってこない。若手の就労が進まず現場の高齢化が進むなかで、パレット利活用により、一度に効率良く保管したり輸送したりするうえでレンタルパレットがますます重要になってくると考える。

保管用と輸送用のニーズがあり、保管については、夏場に向けてアイスクリームを作るなど、季節波動がある製品を扱う企業に需要がある。輸送は、例えば工場が山口県にあり、消費地が東京や大阪であれば、積み下ろしのそれぞれに近い場所で借りて返す一貫パレチゼーションという使い方に需要がある。

今後は人手不足のなかで国土交通省もパレットの活用を促す方針であり、パレットを使うことで手荷役での積み込みに2時間かかっていたところが15~20分で済む。回収の手間があり、レンタルでコストも安く返却の手間も省けるため、業界ごとに一貫パレチゼーションを行うパレットプールシステムが増えていく。いま流通している2000万枚強のレンタルパレットは流通総数の4%程度で、今後も需要は増えていくと見ている。

物流現場の作業負担を低減するアシストスーツ事業や、医薬品や食品業界で求められる、流通過程の位置情報や温度・湿度管理をリアルタイムで追跡できるサービスも手掛けている。また、東南アジアでも経済発展とともに内需が拡大して物流が重要になり、パレットレンタル需要も増加すると見込まれるため、4ヵ国で日本と同様にレンタル事業を拡大している。

将来的には国内でしっかりレンタルパレットを伸ばし、周辺先進サービスも伸ばし、今後発展する東南アジアをカバーする体制を作り、アジアナンバーワンのレンタル会社になりたいと考えている。

―上場の理由と、達成したときの気持ちは
パレットレンタルは公共性のある事業と考えている。社会の基盤である物流を支えている事業であり、プライベートなカンパニーであるよりはパブリックになった方が良いと考えた。また、山口県であればある程度の知名度はあるかもしれないが、上場によって社会的な信用力を得て事業を拡大するに伴って、優秀な人材も確保したい。上場はゴールではなく、さらに成長を拡大するための手段で、やっとここに来たがここからだという気持ちで、まだまだ発展途上でさらなる成長への思いを強くした。

―取引の多い業種業態は
当社の特徴として、取引先が2500社と非常に多く、一つの業種業態に偏っていない。この20年でリーマンショック時に売り上げが1%ダウンしたのみだった。あえて言えば、山口県宇部市出身の会社であり、宇部興産など石油関係の顧客が最初は多かった。また日立物流など企業の物流を請け負う3PL企業による利用が多いので、倉庫会社の比重が高い。

―レンタル需給が逼迫しているようだが、どう対応したのか
レンタルパレット業界は10連休という特別な要因があり、通常であればGW前に帰ってくるが、連休前にパレットが足りなくなった。当社は幅広いサイズのアイテムを持っているため、代替品を提案でき、高止まりの状況にはあるが顧客に提供できている。

―KPIは
レンタル事業では稼働率を重視する。一般的に80%を超えると非常にタイトになる。逆に7割を切ると余っている状況になり、その中間ぐらいをターゲットにして動向を見て予測し判断基準とする。

―国内市場で、どの業界・分野に拡大余地があるか
手積み手荷役の業界がたくさんある。一つの事例としてティッシュなどの家庭紙の業界でのパレット共同化を開始した。嵩があり単価が安い物は、パレットに載せると積載効率が3割落ち、物流コストを転嫁できず、やむを得ず手作業でカバーしてきたが、作業現場が厳しく人が集まらないのでパレットを使うことになった。

専用のパレットを2種類作り、積載効率のダウンを1割に抑え、大手4社で共同し回収コストや運賃を吸収できる。一部を除き菓子や農作物など使っていない業界がまだある。3年前から東北の玄米をパレットに載せ鉄道で輸送する仕組みもある。これから業界ごとにニーズが発生し、当社で培った回収ノウハウやパレットに関する知見が活きてくると考えている。1社だけでなく仲間が増えることで低コストで提供できるため、チーム作りが重要になってくる。

―パレットの減価償却期間は
木製パレットが5年でプラ製が8年、金属製が10年。

―償却済みのパレットは
高井健介取締役:減価償却累計額は192億円。大まかに言えば250億円分のパレットのうち200億円については消却が終わり、簿価が50億円ぐらいで、8割程度で償却が終わっている。

―今後のパレット資産の増加ペースは
酒田社長:波はあるがレンタル事業で毎期10%程度の売上高の成長を見込んでおり、今期末で415万枚となるが、毎年40万枚程度に加え、紛失・廃棄分の2~3%を補充することになる。

―海外展開の中長期展望は
日本から近く、企業も多く出ている東南アジアに力を入れている。レンタル業は、現地の経済が良くなりGDPが上がって消費が増え、国内物流の需要が伸びてからパレットを使う流れになる。いまは需要が小さいが、投資回収まで5~7年かかるため売り上げ規模は小さくとも基盤を作るという意味で、1人当たりGDPが3000~4000ドルという地域には今後も展開する。

―矢崎エナジーシステムと協業しているタイのビジネスの現状について
電波を出すアクティブ・タグを使うため、免許取得についてタイの電波法の問題があったが、最近免許が取れたので、矢崎エナジーシステムの車載器を使った取り組みの技術サポートを進める。

―アシストスーツは競合が増えているが、差別化は
5年前からパワースーツ系のものを提供してきた。市場はあるが使ってもらえていない。理由は2つあり、値段が高く、重いため利用者に負担がかかる。現場の声を聞き、改善のために、着るだけでアシスト力を高め正しい姿勢で腰にかかる負荷を低減するオリジナルのサポートジャケットが累計1万着以上売れている。パワースーツ系にもニーズがあるため、安くて軽い新商品の開発を進めている。

―コネクテッド事業は
物流とシナジーの高い医薬品業界で、高額な医薬品を運ぶ際の日本版GDP(Good Disutribution Practice)に対応した専用端末で、温度や湿度をリアルタイムに把握する仕組みを、ある医薬品卸事業者が取り入れているようなことが広がっていくと思う。

―調達資金の使途について、有利子負債が多いのでは
パレットのレンタル商品の購入に充てる。最初にレンタル商品を買って5~7年で回収するという、最初にお金が必要なビジネスモデルであり、結果として有利子負債が増える。毎年買うとキャッシュアウトが増える状況にある。

―買掛金が多く資金効率に改善の余地があるのでは
高井取締役:伸びていく過程で先行投資が多くなることは否めないビジネスモデルで、買掛金も増える。目論見書記載の通り、金融機関と、前連結会計年度末で64億円の当座貸し越し契約しており、吸収できていると考えている。

―配当政策は
酒田社長:社歴40年の会社であり、これまでも配当しているが、成長過程であり当面は配当性向10%を目安にし、パレットへの投資がある程度落ち着いてきたら将来的に30%を目指していきたい。レンタルパレットの拡大傾向が今後5~10年ありパレットを購入し、その状況を見ながら検討したい。

ユーピーアール(7065)の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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