CAPITAL EYE

株式・債券の発行市場にフォーカスしたニュースサイトです。

エヌ・シー・エヌ(7057)の田鎖社長、「地震で壊れない建物を設計する」

14日、エヌ・シー・エヌ(7057)が東証ジャスダックスタンダードに新規上場した。初値は公開価格の800円を51.75%上回る1214円で、終値は1100円だった。耐震性が高いSE構法による木造建築関連事業を手掛ける。田鎖郁男社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

田鎖社長によると、SE構法の家は高断熱・高気密の設計になっている。また、デザインの自由度も高い。

田鎖社長によると、SE構法の家は高断熱・高気密の設計になっている。また、デザインの自由度も高い。

―初値の評価は
非常に多くの人が株式を欲していると知り、この機会に多くの投資家にニーズがあったと理解している。

―事業の特徴や目的は
SE構法という木造建築の構法システムを販売している。構造設計を施し現場を管理し、20年の性能保証を行ってきた。日本に安心・安全な木構造を普及させる。日本の建築基準法上、鉄骨やRC造の建物には構造計算の義務があるが、ほとんどの木造建築物は特例で構造計算の義務がなく、地震で建物が壊れても原因が分からない。

もう一つは、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくる。日本の木造住宅は20年経過すると評価されないのがこの業界の通例で、中古住宅には値段が付かない。価値の目減りだけではなく、裏側には住宅ローンにおける自殺者の問題がある。アメリカではノンリコースローンの仕組みがあり担保となる住宅を返せば良いが、日本では生命保険を担保に自殺するという問題がある。社会全体で解決するためにこの会社を作った。社名は、既存の問題を打ち破る企業の集合体という趣旨でNew Constructor’s Networkとした。

住宅分野では工務店514社をネットワーク化し、構造計算や構造材を供給する。木造の構造設計技術をまだ保有していない大手ハウスメーカーにOEM供給も行っている。国立競技場の木造化など、コンクリートから木造へという流れのなかで、大規模木造建築を手掛ける部署を2015年に立ち上げた。設計や図面読み取り技術を活用するZEROエネルギーの温熱計算、ノンリコース実現のために住宅ローン事業などを手掛けている。

地震で壊れない建物を設計し、経年変化に耐えるデザインや劣化しないテクノロジー、自由に間取りを変えられる住宅システムを開発し、保証をして、中古住宅を買い上げ再販する仕組みづくりをゴールとしている。

―市場環境について
国の政策と社会の流れが追い風になる。2000年以降、3つの法改正で住宅政策が量から質を重視する方向へ転換し、マーケットが変化した。

―成長戦略は
まず、この数年間で高付加価値商品へのシフトが起き、大手ハウスメーカーの平均受注単価や利益率が大きく伸張している。我々もデザインや施工能力に長けた63社をピックアップし、重量木骨の家というブランドを立ち上げた。ハウスメーカーに劣らない、それに勝るデザインの住宅を供給している。

次に、大規模木造建築分野の拡大だ。2010年に政策転換があったが、構造計算が可能な木造の技術者が足りない。我々には追い風となっており、年率80%以上で伸びている。

三つ目はZEROエネルギー住宅への取り組み。木造の構造計算ノウハウの蓄積で、1年間に冷暖房費がどの程度かかるのか計算し、それを再生可能エネルギーで補うものだが、構造計算をしないとZEROエネルギーになるかは算出できない。我々は建てる前から計算可能で、戸数は2015年3月期の317戸から4000戸に迫る勢いになっている。スピーディに成長しているのは、500社超のネットワークによるところが大きい。

さらに、良品計画(7453)との合弁会社であるMUJI HOUSEの事業も大きな成長戦略の一つ。異業種参入が難しい業界で棟数が順調に伸びている。海外からの引き合いも多く、日本の技術やデザインを輸出していく。

―いつから上場を考えてきたのか
2015年に準備をスタートした。我々は1996年に日商岩井(現双日、2768)とセブン工業(7896)の合弁で設立した時点で、単独の会社の営利のみにせず公開して多くの関係者と事業を進めていくべきと義務付けた。設立当時から太陽監査法人の監査を受けていた。

―このタイミングでの上場は
きちんと安定的な配当ができる収益を確保できる状態でなければ上場すべきでないという方針だった。我々は無借金経営で、現金への還元率であるキャッシュ・コンバージョン・サイクルがマイナスになり、売り上げが入れば入るほど現金が増える仕組みを確立できるようになったのが2015年だった。

成長をしっかり描ける状態でなければ投資家に還元できないので、社会の流れを汲んだ大規模建築への取り組みや、温熱計算ソフトの開発終了を、公開してよいタイミングと考えた。

―来期の業績予想は
売上高に対して、来期は7%と今期程度の成長を見込んでいる。利益は大規模建築や環境設計の需要が急激に伸びているので、利益率は今期よりも大きく成長すると見ている。

―重視するKPIは
販売する棟数を最重視する。出荷されることで安心・安全な家が増えるためだ。数年以内に3000棟を目指す。例えばツー・バイ・フォーなどの新しい工法が業界標準になる潮目となるのは3000棟と言われている。年間約7%で棟数が増えており、公開による認知度と信用力の向上でスピードアップすることを織り込んでいる。当社のみならず義務化されなくとも構造計算をする世の中になっていけば良いと思う。

―将来は
くら替えで1部に行くことも考えている一方で、やみくもに株式の規模を大きくするために経営理念を損ねるM&Aをするつもりはない。多くの人に還元していきたい。

―調達資金の使途は
基幹システムやデータベース、構造設計システム構築に充当する。データ管理は、今後中古住宅流通に資するデータを提供するためだ。社外取締役で良品計画の元会長である松井忠三氏が提唱するように「仕組みが9割」であり、仕組みを支えるデータベースを構築する。

―MUJI HOUSEの海外展開は
上海の空港の無印良品の店舗などに使われ、海外からの引き合いが多い。良品計画と、現地に合ったデザインや仕組みを検討している。現在、いつ頃何棟をと発表できる状況ではない。

SE構法自体の輸出実績は、現地からの引き合いに応え、実験的に年間3棟ほど。SE構法のデビューはイタリアの建築雑誌で、ヨーロッパでは木造建築の受けが良い。

―配当政策について
今期は23円を配当する。基本的に事業に賛同する投資家になるべく多く配当したい。連結ベースでの配当性向は約4割を考えている。

エヌ・シー・エヌ(7057)の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


CAPITAL EYE © 2016
本情報の正確性には万全を期しておりますが、情報は変更になる場合があります。 また、第三者による人為的改ざん、機器の誤作動などの理由により本情報に誤りが生じる可能性があります。 本情報は、情報の提供のみを目的としており、金融商品の販売又は勧誘を目的としたものではありません。 投資にあたっての最終決定は利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 本情報に基づいて行われる判断について、株式会社キャピタルアイは一切の責任を負いません。 なお、本情報の著作権は、株式会社キャピタルアイ及び情報提供者に帰属します。本情報の転用、複製、販売等の一切を固く禁じております。