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サーバーワークス(4434)の大石社長、「社会が変わるインパクトがある」

13日、サーバーワークス(4434)が東証マザーズに上場した。初値は付かず、公募価格である4780円の2.3倍となる1万1000円で引けた。企業の基幹業務系システムをAmazon Web Services(AWS)でクラウド環境へ移行するクラウドインテグレーションサービスなどを提供する。大石良社長が東京証券取引所で上場会見を行った。

大石社長によると、今後インテグレーション分野でAIを活用したサービスの導入支援を手掛けていく。

大石社長によると、今後インテグレーション分野でAIを活用したサービスの導入支援を手掛けていく。

―初値が付かなかった
非常に大きな期待があると認識しており、その期待に応える結果を出していきたい。

―業務内容は
アマゾンやマイクロソフト、グーグルなどセキュリティのしっかりした大手ベンダーにデータを預けるパブリッククラウドを利用するために、サーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラをクラウドとして提供するPaaSやIaaSサービスを手掛けている。

クラウドインテグレーションは日本の企業がアマゾンのクラウドサービスであるAWSを使いたいというときのデータ移行など専門スタッフによる導入支援サービス。リセールは、本来クレジットカードを使ってドルで支払う必要があるAWSのサービスを、請求書を使い日本円で支払えるようにする。また、保険も付けている。これは、万一AWSに大事故があった場合、損失を保証する保険サービス。クラウドオートメーターというAWSの運用を自動化するサービスとのバンドルもある。

―強みは
まずはAWSに認定されたプレミアムパートナーであること。パートナー企業には全世界で2万社以上が名乗りを上げている。アマゾンが4段階に格付けし、プレミアムパートナーはその最上位で80社ほどが認定される。毎年更新され落ちる可能性もある厳しい認定で、我々は5年連続で選定され、知名度獲得に貢献している。

二つ目は豊富な実績だ。日本で最初に導入支援サービスを始め、中堅から大企業まで累計700社が導入している。自社サービスのクラウドオートメーターの存在もある。運用を自動化するサービスを自社開発し提供している。総合商社の丸紅では、いまグループの2000台のサーバーにあるデータを全てAWSに移行するプロジェクトを進めている。総合商社は土日に使わないサーバーを保有している。クラウドサービスは従量課金制なので使わないとコストが落ちる。土日深夜にサービス利用を止め、必要な時に使うという操作を自動で行うクラウドオートメーターを使うと、5年間でAWSに払う2億7000万円のコスト削減ができるということでセットでの調達が決まった。

―他社と比較した優位性は
プレミアムパートナーは日本に8社あるが、特にエンタープライズ向けに特化したサービスを提供している。プレミアムパートナーの内訳は大手Sierが5社、ベンチャーが3社。ベンチャー3社のうち企業向けに特化しているのは我々のみだ。大手5社は企業向けにサービスを提供しているが、データセンターを保有し、自社ブランドのサーバーを扱っているので、カニバリゼーションが生じる。ユーザーがAWSを使いたい場合でも構造上100%アマゾンのクラウドを使い切る提案が難しい。我々はカニバリがなく企業に特化しているため、企業の顧客がこれから本格的にクラウドを使いたいというニーズがあるときに、使い切る提案ができ、オートメーターや24時間の保守サービスなど必要な道具が揃っている。

―業績の推移は
クラウドインテグレーションは取引者数よりもプロジェクト数が伸びている。既存の導入企業からのリピートオーダーが増えている。リセールは携帯電話の契約をイメージしてもらうと分かりやすい。ユーザーがアカウントを開設し、そこで仮想ストレージやサーバーを使うことで利用料金が積み上がるモデルになっている。アカウント数がKPIになり、順調に伸びている。テラスカイ設立した運用子会社が実際のオペレーションを担うMSP(マネージドサービスプロバイダー)も売上高が上がっている。

売り上げの構成比率はストックビジネスが85%、フローが15%で、これが現状の適正比率と考える。今後もこの比率を維持して成長したい。

―重視するKPIは何か
特定のKPIに依存しているものではないが、フローのクラウドインテグレーションから、ストックのリセールやMSPにつながるビジネスモデルであるため、インテグレーションの案件獲得数と、ストック領域への移行率を重要と認識している。今後、投資家向けに開示して投資判断に資する準備を整えたい。

―成長戦略は
一つ目は大規模なデータ移行プロジェクトの獲得だ。日本の大企業は部分的にクラウドを利用しているが全面移行している企業はまだ少数にとどまる。大規模な移行プロジェクトが最近増えており、今後さらに獲得することでより一層成長したい。

もう一つはクラウドによる働き方改革支援だ。働き方改革とセキュリティーの両立が企業の課題だが、クラウドを使って解決する。アマゾンのワークスペーシズを使うと機密性の高いデータやアプリケーションをクラウドに置きながら、端末の画面で操作できる。仮に端末を落としても、データやアプリケーションの実体はクラウド側にあり、原理的に情報漏洩しない仕組みになる。リモートワークや介護・育児休暇中であっても柔軟に働けるインフラを提供していきたい。

―成長イメージは
リセールとMSPの成長が決定的に重要と考えている。従来型のシステムインテグレーションでは、ベンダー側が新しい技術の販売を敬遠する性質がある。新技術は人の工数を削減する方向性のものであり、顧客側にはベンダーが新しい技術を提案してくれないという不満があった。我々はストックサービスの部分があるため、新しい技術をどんどん提供し、クラウドや保守サービスを利用することで、win-winの関係になるモデルになっている。3年で売上高100億円を目安に成長していきたい。

―NTT系企業とのパートナーシップ戦略は
NTTデータはシステムインテグレーター最大手の一角であり、メガバンクやパブリッククラウドを利用する流れにある公共機関など大型案件獲得に共に取り組んでいる。NTTコミュニケーションズについては、クラウド利用には回線やネットワークが重要であるため、そのインフラや我々のアマゾンのクラウドをセットにして顧客に提供していく。

―他のパートナーは
現時点で公開できることはないが、パートナー戦略を推進して成長を加速させる。業種業態に偏りはなく、新しいものにチャレンジしたい心意気がある会社が利用するので、特定の分野を攻めようというものはない。

―AWSが廃れた場合には
現状でAWSのビジネス自体はまだまだ伸びていきそうだと考えている。廃れるサービスには兆候がある。エンタープライズの世界では顧客に嫌われ始めるサービスは敬遠される傾向にある。AWSは過去70回近く値下げをしている。ユーザーが、使い続けると値段が下がるというこれまでにない経験をしてその支持を集めている状況で、廃れたり急に利用されなくなるリスクは低いと考えている。

もう一つは、アマゾンがパートナーを切るリスクについて聞かれることがある。パブリッククラウドの市場では、アマゾンとマイクロソフトが2強のような状態になりつつあり、アマゾンが35%でマイクロソフトが16%ほどで追いかけている。マイクロソフトがパートナーを手厚く扱っており、アマゾンがパートナーに不利な制度変更をすると、マイクロソフトにパートナーが流れる可能性を容易に想像できる。アマゾンとしては当面パートナーに対して厚く支援し、追い付かれない施策を取ると見られ、アマゾンリスクは低いと認識している。

何かあった場合にバックアップできる準備はしているが、現状はアマゾンに100%フォーカスすることで成長できると考えている。

―AWSに着目したきっかけは
我々はもともと大学向けに、受験生への合否案内サービスを手掛けていた。学内に掲示せず携帯電話で合否を確認するニーズがあった。大学の合格発表は2月の特定の日の朝の15分程度でサーバー200台にアクセスが集中するが、他の時間は全然使われない。投資対効果を改善するために解決策を探していたらアマゾンが1時間10円で仮想のコンピューターを貸してくれることが分かり、2007年から使い始めた。2008年から本格的なテスト利用を始め、社会が変わってしまうぐらいのインパクトがあると気付き、2009年に専業に舵を切った。

 

サーバーワークス(4434)の情報はこちらでご覧いただけます。

[キャピタルアイ・ニュース 鈴木 洋平]


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