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再掲)商船三井35NC5債:今年度第1号、11.4倍を積んで出航

(4月21日に配信した記事です。全文読めます)

商船三井大井物流センター(東京・大井 2017/06/17 撮影 kikuchi)

商船三井大井物流センター(東京・大井 2017/06/17 撮影 kikuchi)

21日、商船三井の35NC5劣後債が条件決定した。以下は案件レビュー

回号 1
発行額 500億円
表面利率1.60%
発行価格 100
ローンチ・スプレッド mid swap+160bp
プライシング基準 スワップレート
格付け BBB(JCR)
表面利率 2026年4月27日まで1.60%、翌日以降6ヵ月Libor+260bp。
ブックランナー 野村/大和
主幹事 みずほ/SMBC日興

発行体にとって初めてで、事業会社による今年度初の公募ハイブリッド債だった。手取金は、2016年10月に実行したハイブリッドローン(1000億円)の期限前弁済に充当する。業績が回復していることに加え、利回りの高さが魅力となり、マーケティングレンジの下限であるMS+160bpに仕上げたうえ、500億円の発行額に対して180件ほどの投資家から5700億円の需要を集めた。

3月17日に起債をアナウンス。18~19日にサウンディングの1回目、3月22日~4月2日に2回目、5~6日に3回目を行い、水準を探った。海運セクターの業績はボラティリティが高く、トリプルBフラットという格付けの低さを踏まえ、1回目は手持ちなしで会話し、2回目にMS+100bp台後半~200bp台前半、3回目に+160bp程度~210bp程度というガイダンスを出している。中央の投資家22件を対象にデットIRも実施した。「投資家との対話で一声2%や+200bpの目線があった」(大和)。

先行案件を見ると、NTN30NC5債(BBB-:R&I、500億円、国債++257.1bp程度<C-EYE算出>、ブックランナー:三菱UFJMS/野村)が2.50%で3月12日に条件決定していた。ただ、業態や業績、格付けが異なることで参考にはなりにくく、ガイダンスは投資家の声をベースとした。「ワイドサイドに目線を持つ中央が存在したが、期初のキャリー確保のニーズで地方が前向きに反応し、MS+200bpまでで需要を確保できる」(みずほ)との見立てから、+160~200bpで7日にマーケティングを開始した。

・レンジの推移
4/7~8: MS+160~200bp
4/9~12: +160~190bp
4/13~14:+160~180bp
4/15:+160~170bp
4/16~20:+160bp

商船三井本社(東京・虎ノ門、2020年2月2日)

商船三井本社(東京・虎ノ門、2020年2月2日)

最初のレンジを2日間継続。8日時点の札の積み上がりは成り行きで300億円弱、レンジ内で1000億円程度に達した。検討札を含むポテンシャルは1700億円に膨らんでいる。9~12日にワイドサイドをカットしてMS+160~190bpとすると、下限でのオーダーが1000億円超に進捗した。

13日に200億円程度から300億円程度に増額したうえ、翌14日までMS+160~180bpとした。中央の大口の札がさらに進み、14日までの成り行き札が4100億円ほどに上った。15日の+160~170bpを経て、16日に500億円に固めるとともに、当初の下限である+160bpに集約した。19~20日は配分などに注力し、今日のローンチを迎えた。15日の時点で最終需要(5700億円)と同等のオーダーが+160bpで見えていた。シ団は組成しているもののNILアロットだった。「序盤から地方の札が積み上がり、中央も好調ぶりを見て、早い段階から成り行きで注文した」(野村)。

クーポンは1.60%で、NTN債の2.50%から90bpタイトに仕上がっている。「足元の業績が好調で、これをポジティブに捉える投資家が多かった」(野村)、「昨年度はコロナショックなどで買い遅れていた先が存在したが、今年度は乗り遅れまいと購入意欲が旺盛だった」(みずほ)ことが要因だった。また、「絶対値バイヤーである地方の期初買いニーズを捉えた。引受分に対して実質的に全額を注文する”ガクナリ”も見られた」(SMBC日興)。

今回債を購入した中央投資家は、「当初の目線はMS+200bpで、最低でも+180bpは欲しかったが、劣後債の供給が少ないなかでスプレッドにこだわっていては玉が確保できない。発行額を500億円にとどめたことも人気に拍車をかけた」と話していた。成り行きで注文しても、希望の10分の1ほどしか配分を受けられなかったという。

また、別の中央投資家は「当初はNTN債に近い水準を予想していたが、想定以上の強い買いを背景にタイトなところで決まった」と指摘。「新発債の供給が少ないなどモノ不足のなかで、セカンダリーでシングルA格のNC5債に対して0.7~0.8%が買い目線であるのに対し、倍の利回りが付くことで妙味が見いだされた」ことを要因に挙げていた。

販売先は、生保、損保、都銀等、信託、投信・投資顧問、系統上部・下部、地銀、地方公的、諸法人。中央と地方の比率は6対4程度だった。延べ180件ほどの投資家が参加し、最終需要は500億円のおよそ11.4倍となる5700億円ほどに上った。POT方式で運営。リパッケージローン用の自己ブックがあり、アカウントXはなかった。

[キャピタルアイ・ニュース 趙 睿]


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