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インタビュー:西日本高速道路、2年ゾーンで初走行

西日本高速道路は2018年度、公募債で過去最大となる総額3000億円程度を調達する予定。昨年度は新たな年限である5年ゾーンで起債し、5回で2600億円を発行した。今年度は初となる2年債を加え、2本立てで起債する。財務部財務課の坂部広一郎課長代理と築山良平氏に話を聞いた。

近畿道・第二京阪(読者提供、2017年12月30日)

近畿道・第二京阪(読者提供、2017年12月30日)

■2017年度は初の私募債発行
–昨年度を振り返ると
それまでの10年債から5年債と新たな年限に変更し、公募債で2600億円を発行した。内訳は5月が600億円で、8月と10月、12月、2月が各500億円。道路会社債の発行が集中する年限で、これまでの道路会社債が掴んでいた投資家を我々も取り込むことができたし、西日本高速ならではの投資家層があった。IRに注力した成果も出た。一時は需給が緩むことがあったものの、投資家や証券会社としっかりコミュニケーションを取り、年度を通じて過去最大の2600億円を調達することができた。

<2017年度の公募債>

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 対国債 主幹事
5月16日 35 5 600 0.070% +17.4bp 野村/みずほ/三菱/大和
8月23日 36 5 500 0.090% +17.7bp みずほ/野村/三菱/日興
10月12日 37 5 500 0.090% +17.0bp 三菱/野村/みずほ/大和
12月8日 38 5 500 0.090% +19.8bp 野村/みずほ/三菱/日興
2月8日 39 5 500 0.090% +16.7bp みずほ/大和/野村/日興

※発行額:億円、対国債はキャピタルアイ・ニュース算出

1回の起債で500~600億円を発行したが、大きなロットでの購入を希望する投資家がいたため、同じ5年物の私募債も発行した。安定的に調達するために、9月に100億円、3月に200億円と、2回発行した。需給バランスを見ながら取り組み、公募債と合わせて2900億円を調達した。

昨年度を総括すると、年限変更と過去最大規模の発行、初の私募債発行を行い、この3つの取り組みが奏功した。公募債では、事業債を含めて我々が年度最大の5年債の発行体となり、大きな節目の年となった。5年債にシフトしたことで、地方公的の需要が増えて、投資家層の拡大につながった。

新名神高速道路城陽~八幡京田辺間開通式典(2017年4月30日)

新名神高速道路城陽~八幡京田辺間開通式典(2017年4月30日)

■4月に20件個別訪問
–今年度の発行計画について
年度で3000億円程度の調達を予定している。新名神高速道路の開通を昨年度に控えて資金需要が最大になるとの見通しだったが、今年度についても新たな追加事業のほかに大規模な維持・修繕工事があるため、多額の調達が必要になる。そうしたなかで、5年債だけでなく複数年限とすることで、安定的に調達するという狙いがある。短い年限であれば、その分低利を追求し、メリットを享受できる。日本高速道路保有・債務返済機構に引き渡せる債務とのバランスがあり、今年度については短期ゾーンで発行しても債務のサイクルがしっかり回るとの判断から、2年債の発行を決めた。

総額3000億円程度の内訳は2年債が1500億円程度で、5年債が1500億円程度。これをベースに資金需要を見ながら増額・減額を判断する。まずは3000億円程度を目指していく。年度第一弾は5月中旬に起債する。

具体的にどの工事があるからというよりは、今年度はどういう路線が完成するかというのを見ながら決めている。新名神(大津JCT~城陽JCT・IC:25.1km/八幡JCT・IC~高槻第一JCT:10.7km)の工事がこれから先もあり、資金需要的には大きくなる。また、高松自動車道(鳴門IC~高松市境、51.8km、債務引受限度額835億円)の4車線化が50kmほどあり、それなりの資産を機構に引き渡す。大規模更新などの修繕工事も資産を形成するような抜本的な修繕を実施しているため、短期での引き渡しに対応する債務が発生する。

ほかには道路公社からの買い取りがある。これまで大阪府道路公社の管轄だった南阪奈有料道路や堺泉北有料道路を4月1日から我々が管理しており、これを買い取って機構に引き渡す。来年度は第二阪奈有料道路を大阪府道路公社と奈良県道路公社から買い取る予定。

–2年債発行に向けた取り組みについて
これまで5年債で投資家と会話をするなかで、年限変更については伝えてきたが、再度説明する。引き渡しの順番的には10年債や5年債が劣後することを証券会社経由や、我々が個別訪問で直接伝える。そこで2年債を優先的に引き渡せることをアピールし、投資家にはメリットを見いだして購入してもらいたい。個別訪問は4月中に20件程度を予定している。基本的に中央の既存先を訪問し、一部新規とも面談する。

2年・5年債の両方を購入したり、2年債を選好する投資家、5年債を選ぶ向きと、様々なケースが考えられる。できれば2年・5年債ともに買ってもらえるとありがたい。2年債はキャッシュ潰しに適しており、少しでも益を出したい投資家は5年債ということになるだろう。2年債は東日本高速道路が昨年度起債した年限のため、同じ道路会社債である我々の債券も十分に検討してもらえると見ている。

水準は東日本高速が1月に起債(AA+:R&I/AAA:JCR/A1:ムーディーズ、600億円、国債+10.3bp<CEYE算出>、主幹事:野村/三菱UFJMS/大和/みずほ)した時の0.005%がベースになるほか、4月20日の1年債(同、750億円、+14.1bp<同>、同:みずほ/野村/大和/SMBC日興)の0.001%との距離を踏まえながら探ることになるだろう。初めての年限だけに、しっかり発行できるよう取り組みたい。

–5年債について
5月に400億円を発行する。早めに多く取っておくという観点からこの額。昨年度は0.09%が続いたが、20日の東日本高速債(250億円、国債+16.9bp<CEYE算出>、主幹事:みずほ/野村/三菱UFJMS)で0.08%へとタイトニングしており、これを起点に財投機関債・地方債の状況も踏まえながら着地点を探すことになる。これまでと同様に投資家との対話を重視する。

今の事業とのバランスを考えると、以前までの10年債ではなく5年債が適切。しばらくはこれをメインにしながら短い年限も発行したい。5年債は昨年度に総額2600億円を発行したが、この年限はほかの道路会社も登場する混み合う年限。2年債を発行することで5年債のボリュームを抑えられ、需給面でのメリットが享受できる。

–今後の社債発行について
昨年度末に新たな事業が追加された。2023年度の新名神の完成で新設は終わり、大規模修繕・更新がメインになる方向だったが、2032年度までの事業が加わって、資金調達もそれなりの規模が続く見通し。当然ながら社債も定例的に発行しなければならず、投資家との対話を続けながらフェアバリューを追求していきたい。

大分自動車道山田SA(下り線)

大分自動車道山田SA(下り線)

■新名神開通で渋滞解消
–最近のトピックについて
昨年度は新名神の高槻~神戸間(40.5km、債務引受限度額8271億円)が開通するということで、関西でスモールミーティングを開催し、説明する機会を持たせてもらった。開通で関心が高まっていたため、効果的にアピールできた。これからも各地で事業があるので、スモールミーティングなどのIRを続けていきたい。

セミナーでは開通の効果や役割的な部分への投資家の関心が高い。新名神の効果で名神高速道路・中国自動車道の宝塚での渋滞が大幅に改善されることを伝えると、「あの宝塚の渋滞が解消されるのか」という声があったほど。関東で言うと、東名高速道路の大和トンネルの渋滞が解消されるぐらいのインパクトがある。

高槻~神戸間は3月18日に全面開通した。これによって、交通が名神・中国道から分散し、渋滞回数がおよそ7割減少した。一日の交通量は名神・中国道が約8万台で、新名神が約4万台。

話題のスポットとしては、新名神に民営化後初めて作ったサービスエリアで宝塚北SAがあり、建物は「宝塚モダン」をコンセプトとしたもの。女性用トイレは円形状になっていて、どこが空いているかすぐに分かるのが特徴。高速道路の外からも入れるようになっており、多くのみなさんに利用してもらっている。利用者が多く、そのために山道が渋滞するほどの人気。名神・中国道は西宮名塩SAから桂川PAの区間で60kmぐらいSA・PAがない。新名神という選択肢ができたことで、渋滞時はトイレなど休憩施設として利用してもらう観点からも非常に有意義なSAができた。

[聞き手:キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]


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