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財務担当に聞く:ヤフー、カード事業拡大で社債発行

コピー ~ IMG_7389昨年2月に社債市場にデビューし、12月には第2弾を起債。定期的な社債調達に乗り出したヤフー。坂上亮介財務本部本部長と山口陽平IR部部長に社債発行の目的や財務戦略を聞いた。

・ヤフーの社債一覧

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 対国債 主幹事
2月22日 1 3 50 0.04 20.5# みずほ/大和/野村
2月22日 2 5 150 0.17 26.4# みずほ/大和/野村
2月22日 3 7 150 0.37 40.2# みずほ/大和/野村
12月1日 4 3 100 0.07 19.4# 大和/みずほ/野村
12月1日 5 5 250 0.20 29.5# 大和/みずほ/野村/SMBC日興/三菱UFJMS
12月1日 6 7 250 0.35 40.7# 大和/三菱UFJMS/野村/みずほ/SMBC日興
12月1日 7 10 100 0.40 36.0# 大和/SMBC日興/みずほ/野村

*発行額:億円/表面利率:%/対国債:bp(#C-EYE算出)

■カード事業の必要資金

–社債発行の目的は

坂上亮介財務本部本部長

坂上亮介財務本部本部長

ヤフーはもともとキャッシュリッチで、手元資金が潤沢。この資金は、戦略的なM&Aや投資といった比較的リスクの高い分野に使おうと思っている。一方で、カードを中心とした事業で多額の資金が必要な局面になっている。先にお店におカネを支払い、利用者の個人から後で回収するので運転資金を持っていないといけない。顧客から資金を回収できるのでそれほど大きなリスクは無いが、カードの取扱高はこれから増加していくので基本的にこの必要資金は外部から調達する。

1回あたりの規模は、500億円を超えると一般的に大型と言われており、500億円前後が基本的なイメージ。昨年12月の起債では強い需要があったので増額した。

–社債に備えたIRをしたと思うが、投資家の反応は。インターネット業界なので波が大きいだろうと。そういうところを懸念する声もあったのではないか

インターネット業界自体をあまり知らないデットの投資家も多かった。ただ、20年間安定したキャッシュフローを創出してきていることなどを丁寧に説明し、業界とヤフーのことを理解してもらうために、事前の個別IR活動を実施した。初回は、20~30社をほぼ2週間かけて訪問している。1回目の社債が終わった後にアフターIRも10社程度で行った。2回目は比較的期間が空いていなかったが、それでも15社ぐらい訪問した。2回目は10年債を予定していたことと地方の投資家も開拓したいということがあったので、地方投資家も訪問した。アフターIRというのは、決算の解説をしたり、昨年2月に発行した時点では、それまで増収増益のイメージがあったが、初めて実質的な減益予想を出していたので、懸念もあるかと思い、減益して投資する意図を伝えたほうがいいと思い、丁寧に説明した。

–社債は銀行借り入れよりも有利か

社債の方が調達コストが安い。2回目に10年債を発行しているが、金利が変動することを考えると長期間の資金を固定金利で調達できるのも社債の魅力だ。年に1~2回のペースで発行していきたい。

–カード債権を証券化するという手段もある

調達の選択肢として考えている。マンスリークリア債権を証券化する。実施時期は未定だが、準備している。銀行借り入れ、社債の発行、債権の証券化の3つの手段をバランスをとって実施する方針だ。

2017年はコマース革命によって決済金融事業を拡大してきた1年だったので、初めて社債へのアクセスをした。2018年も基本的な方針は変わらない。年に1~2回程度、社債を発行し、金融機関とのリレーションも強化していこうと思っている。これまでのヤフーは、もともとキャッシュリッチだったということもあって、デット市場とのアクセスはほとんどなかった。そこのパイプはこの先太くしていこうと思っている。

■大きな池

–EC事業者間の競争について

EC自体、まだまだ市場が伸びると思っている。小売の5%ぐらいしかEC化されていない。海外の状況を鑑みると当面10%程度は行くだろうと予想しており、今の市場が2倍になるのであれば競争相手がいようと、伸びる5%分を取りに行けば優位に立てる。市場の池が大きく、まだまだ成長市場であるので、今からでもECに関しては増やせると考えている。ポイントキャンペーンなど、EC事業のプロモーションに必要な資金は日常の収入のなかで賄う。

–ネットショッピングでは、アマゾンと楽天という競合がいる

キャプチャ1アマゾンと楽天が市場シェアで20%少し。ヤフーは、ショッピング単体では8%強で、オークションも含めると12~13%程度。今は市場全体が伸びているのでそのパイをとっていこうという戦略。ヤフープレミアム会員というのがあって、優良顧客群というかヤフーを好きな顧客がいるので、そこに対してヤフー・ショッピングで買うとポイントが5倍、ソフトバンクユーザーの場合ポイントが10倍付いて実質1割引きで購入できるといったキャンペーンを実施している。こうした施策で毎月の買い物の数を増やしている。

ソフトバンクの利用者でもヤフー・ショッピングを利用したことがない方が大勢いるので取り込んでいく。ターゲットを絞って販促を実施しており、テレビCMなどをあまりやっていないのはこれが理由でもある。ユーザーあたりの購入単価や利用頻度を上げれば上げるほど取扱量がグロスとしては増えていくのでそれを優先している。手堅いというか勝ちやすきに勝つというか。ある程度ターゲット絞ってやろうというのが戦略。それからカードを利用できるし、ジャパンネット銀行を2月に連結子会社化することで、決済金融領域を含めたところで勝っていく。

2020年代初頭に物販系のECでナンバーワンを目指すことを最優先に掲げており、とにかくまずシェアを取りに行く。ヤフーは伝統的に、ユーザーにトップページや「天気」などを使ってもらった結果が広告につながってきたので、ユーザーの信頼を得て使ってもらえる状態にするのが先決だ。

■データで強み

–データ戦略について

スマートフォンは現在、広告の売り上げだと6割近くで、ショッピングの取扱高も6割ぐらいに達している。2012年からスマホ強化と言ってきたのでもう当たり前。スマホでもブラウザでの閲覧とアプリでの利用があって、アプリ側にさらに寄せていこうとしている。アプリの方が簡単にログインしてもらえる。

ログインしてもらって、そのデータを我々は活用したいというのがある。ユーザーがどんなサイトを閲覧して、例えばヤフー・ショッピングで何を購入したのかが分かればより良い提案がこちらからできる。

キャプチャ2グーグルでいう検索サービスは、ヤフーのなかで言えばメディア事業部のなかの一つのサービスにすぎない。アマゾンはどちらかというとECの一部分。これらに対してヤフーが特徴的なのは、EC、メディア、フィンテックの分野にわたって幅広いデータセットを持っている。データの種類、ボリュームが多いので、それを、アプリのログインを軸に、最適なコンテンツの表示、最適なサービスの提供という形で各ユーザーに還元できる。こうしたことをビッグデータと技術を使って推進していく。ヤフーもデータを使って良いサービスを提供していく会社に変わっていく。ここがここ数年ヤフーとしてメッセージングしているキーワードになっている。

–フィンテックというのは具体的にどういうサービスか

山口陽平IR部部長

山口陽平IR部部長

カードと決済が中心。おカネを処理するところと、運用という意味のファイナンスのところはまだこれから。FXはやっている。それからビッグデータに連動したワイジャム(Yjamプラス!)という投資信託を運用している。良好なパフォーマンスを出しており、TOPIXを上回っている。検索結果を見るとユーザーの興味がおおまかに分かるので、敢えて関連する銘柄は買わないとか。というのも、みんなが興味を持ち始めた株というのは買うにはもう遅い。その場合は例えば、売るといった運用をしている。運用を開始してから1年ぐらい経つが、設定以来のパフォーマンスがプラス23.9%。銘柄の選定や売買は全てAIがやるようになっている。

図表等の出典:ヤフー 資料(2017年12月)

[2018/1/15 聞き手:キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]


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