CAPITAL EYE

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キャピタル・アイ Awards “BEST DEALS OF 2016″特集

 最も優れた案件は何か、最も優れた発行体は誰か。 

 キャピタル・アイ Awards

 ”BEST DEALS OF 2016″

 

2016年度の資本市場でなされたファイナンスで最も優れた案件は何か、最も優れた発行体は誰か。債権・株式の各部門にわたって引受証券 会社と機関投資家へアンケートを実施。回答をもとに市場に円滑に受け入れられたか、市場にとって意義があったか、市場の発展や活性化に資するかなどの観点でキャピタル・アイ編集部が選出し、表彰しました。

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特集記事「2016年度と今後の市場動向」 特集記事「2016年の市場特性と今後の資本市場の発展に向けて」

 

普通社債部門
  BEST DEALS OF 2016 第15~17回 パナソニック債
  特別賞 第1~2回 東京電力パワーグリッド債
  特別賞 第5~6回 第一三共債
 
  BEST ISSUER OF 2016 三菱商事
   
財投機関債等部門
  BEST DEALS OF 2016 第73~75回 日本政策投資銀行債
   
  BEST ISSUER OF 2016 東日本高速道路
   
地方債等部門
  BEST DEAL OF 2016 第1回 埼玉県債
  BEST DEAL OF 2016 平成28年度第1回 北九州市債
  BEST DEAL OF 2016 平成28年度第16回 愛知県債
   
  BEST ISSUER OF 2016 埼玉県
   
サムライ債部門
  BEST DEALS OF 2016 第1~3回 HSBCホールディングス債
  特別賞 第4、5、1、2回 フランス電力債
  特別賞 第 9~12回 CITICグループ債
   
  BEST ISSUER OF 2016 BPCE
   
証券化部門
  BEST DEAL OF 2016 該当なし
   
  BEST ISSUER OF 2016 住宅金融支援機構
   
外債部門
  BEST DEAL OF 2016 第一生命保険 グローバルドル劣後債
  特別賞 三菱UFJフィナンシャル・グループ

グローバルドル債 5、7、10、変動5年

  特別賞 日本たばこ産業 ユーロドル債5、10年
   
  BEST ISSUER OF 2016 国際協力銀行
   
新規公開株式 公募・売出部門
  BEST DEAL OF 2016 JR九州
  BEST DEAL OF 2016 LINE
   
既公開株式 公募・売出部門
  BEST DEAL OF 2016 リクルートホールディングス
 
不動産投資信託証券部門
  BEST DEAL OF 2016 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
  BEST ISSUER OF 2016 オリックス不動産投資法人
   
転換社債型新株予約権付社債部門
  BEST DEALS OF 2016 スズキ ユーロ円CB 5、7年
   
  EQUITY特別部門
  BEST DEAL OF 2016 タカラレーベン・インフラ投資法人

 

 

 普通社債部門

普通社債部門 BEST DEALS OF 2016

第15~17回パナソニック債

主幹事: 野村/SMBC日興/大和/みずほ/三菱UFJモルガン・スタンレー/

     ゴールドマン・サックス/メリルリンチ日本

「対話重視で4000億円」

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 国債対比 格付け
9月1日 15  5 2000億円 0.190% +34.6bp* A(R&I)/ A-(S&P)
16  7 700億円 0.300% +47.1bp*
17 10 1300億円 0.470% +52.4bp*

*キャピタルアイ・ニュース算出

4000億円という機関投資家向けのコーポレート物で当年度最大の発行額を円滑に消化した。需要に応じて各年限の発行額を振り分け、規模に沿ったプライシングで大型案件における起債運営の見本を示した。

パナソニックは2018年度までの中期経営計画のなかで、2016年度を成長への足場固めの年と位置付け、戦略的に1兆円を先行して投じるとしており、これに向けた資金を前倒しで確保するための起債だった。

投資家層が最も厚い5年債は、信託や投信・投資顧問といった中央勢の需要が強く、1トランシェで2800億円というサイズを集めながら、表面利率は0.19%と、目線だった0.2%を下回ることに成功。7年債は、5年からこの年限にかけてのイールドカーブがフラット化していたことを考慮し、マジックナンバーの0.3%を確保することで利回り面での魅力を訴え、最終的に1000億円に迫る需要を獲得した。10年債は3トランシェのなかで最も高いクーポンが取れる点が絶対値バイヤーに訴求し、大台を3bp下回る0.47%という水準を実現した。

金融政策の不透明感によって金利変動が大きいなかだったが、起債運営の工夫によって、全員参加のディールとなり、最終需要は5500億円近くに上った。

[キャピタルアイ・ニュース 足立 祥子]

 

普通社債部門 特別賞

第1~2回東京電力パワーグリッド債

主幹事:

  (第1回)みずほ/三菱UFJモルガン・スタンレー/野村/SMBC日興/大和/しんきん

  (第2回)SMBC日興/野村/三菱UFJモルガン・スタンレー/大和/しんきん/みずほ

「復活果たす」 

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 国債対比 格付け
3月3日 1 3 400億円 0.380% +57.7bp* BBB(R&I)/ A(JCR)
2 5 500億円 0.580% +70.5bp*

*キャピタルアイ・ニュース算出

 6年半ぶりに社債市場に復帰。2011年3月の東日本大震災によって起きた原子力発電所事故後では初で、この起債で電力関連11銘柄全てが揃った。一般送配電を担い、グループのなかでも収益力が高く、安定している東電PGが起債することで投資家の参加を促した。

新・総合特別事業計画の改定前のタイミングで投資判断が難しい状況だったことに配慮して、IRではグループの事業構造や分社化に伴うキャッシュフローの変化、原発リスクの所在などを丁寧に説明。ばらつきのあった投資家の目線を時間をかけて集約したうえで、マーケティングに臨み、0.38%と0.58%に仕上げた。

本邦最大の発行体だった東電グループの復活は、クレジット投資における選択肢の拡大にも貢献した。900億円に対して倍近い需要を集め、今後見込まれる定期発行に向けた礎を築いた。

[キャピタルアイ・ニュース 足立 祥子]

 

普通社債部門 特別賞

56回第一三共債

主幹事:大和/みずほ/ゴールドマン・サックス

「リキャップSBの先陣切る」 

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 国債対比 格付け
7月15日 5 20 750億円 0.810% +69.9bp* AA(R&I)/ A1(ムーディーズ)
6 30 250億円 1.200% +103.7bp*

*キャピタルアイ・ニュース算出

 社債発行で調達した資金を活用して自社株買いを実施する「リキャップSB」の実質的な本邦第1号案件。リキャップCBとは異なり、株式を希薄化せずに自己資本利益率を高める効果が期待できる、新たなファイナンス手法の先陣を切り、大型案件を成功裏に終えた。

20年・30年という超長期債のみで、コーポレート物では過去最大となる1000億円の調達を達成。超長期の国債利回りが低位で推移していた状況下で、利回り確保を求める投資家の需要を取り込んだ。

同債の後、アイシン精機債(10/20年、9月、総額300億円、主幹事:野村/SMBC日興/みずほ/大和/三菱UFJMS)とプロボンドの日本取引所グループ債(10年、3月、200億円、ブックランナー:大和/野村/ゴールドマン・サックス)が続き、資本市場の裾野拡大に寄与した。

[キャピタルアイ・ニュース 足立 祥子]債部門

 

 

普通社債部門 BEST ISSUER OF 2016

三菱商事

「ハイブリッド躍進の立役者」

本邦初の事業会社による公募でのハイブリッド債を2015年6月に起債し、この商品を浸透させた立役者。この意義は当年度においても大きく、公募型は総額1兆円超が供給されただけでなく、ノンバンクセクターやトリプルBクラスの信用力の銘柄に裾野が広がった。

自身は前年度に続く2回目のハイブリッド債を9月に起債。6月にS&P(A+→A、アウトルック:ネガティブ)とムーディーズ(A1→A2、見通し:ネガティブ)が格下げしてから初の発行だった。ハイブリッド債は片足トリプルBクラスとなったが、購入層の拡大のため、1社のみだった主幹事を3社に増やすなどの工夫で乗り切った。

トランシェの組み合わせは初回と同じで、先行銘柄でのタイト化の進行が三菱商事債にも波及し、前回のMS/3ヵ月Libor+100bpを25bp下回る+75bpで条件決定。最終的に前回と同額となる2000億円のディールを実現し、最終需要は4200億円超に膨らんだ。

劣後ローン市場に流れる企業が多いなか、運用難に悩む社債投資家に利回りが確保できる商品の投資機会を提供し続けている。本格的なPOT方式による透明性の高いプライシング手法を定着させ、市場との対話を重視する姿勢も評価を得た。

 

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 MS対比 格付け
9月7日 劣後4 60NC5変動 400億円 3ml+75bp*2 A(R&I)/Baa1(ムーディーズ)/BBB+(S&P)
劣後5 60NC5固定 1300億円 0.69%*1 +75bp
劣後6 60NC10 300億円 0.85%*2 +75bp

主幹事:三菱UFJモルガン・スタンレー/みずほ/SMBC日興

*1:当初5年、*2:当初10年

[キャピタルアイ・ニュース 足立 祥子]

 

 財投機関債等部門 

財投機関債等部門 BEST DEALS OF 2016

7375回日本政策投資銀行債

主幹事:三菱UFJモルガン・スタンレー/野村/SMBC日興

 

「先駆けて調整」

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 格付け
1月12日 73 3 200億円 0.001% AA(R&I)/ AAA(JCR)/A1(ムーディーズ)/ A(S&P)
74 5 200億円 0.030%
75 10 200億円 0.200%

トランプ相場後の金利上昇を受け、年明け後すぐのタイミングに、需給が軟化した5年・10年の公共債セクターの水準調整を先駆けて行った。これが地方債のワイド化にもつながり、公共債マーケットの立て直しに大きく貢献した。

5年ゾーンは、11~12月のオーバーパー(利率0.001%、価格100.001、利回り0.0008%程度)から調整が求められ、同年限の地方債がマーケティングに入る前の段階で、0.02~0.04%とワイド化を担保したレンジを提示。政投銀債が0.03%に絞ると、地方債もそれまでの水準(利率0.001%・価格100.002・利回り0.0006%程度)から0.02%にシフトした。

10年債では国債カーブ+14.5bpと10月から12月にかけての+12.5bpから2bp広げ、住宅金融支援機構債などが同じ水準で続いた。これが呼び水となって2月のこのカテゴリーの10年物は+15.5bpと、さらに1bpワイド化。公共セクターでの調整機運が高まったことで、1月には調整を行わなかった地方債も2月にそれまでの+12bpから2bp調整した。

[キャピタルアイ・ニュース 足立 祥子]

 

財投機関債等部門 BEST ISSUER OF 2016

東日本高速道路

「セクターの牽引役」

当年度は5回登場し、総額2800億円を調達。年度を通じて道路会社債全体の円滑な消化を考慮した起債運営でこのカテゴリーを牽引した。

5月の起債では、プラスの利回りが付く中期物高格付け債の旺盛なニーズを支えに、それまでの0.10%から0.06%へと4bpタイトニング。同時に1500億円の需要の創出にも成功した。

9月債は、短中期ゾーンへの強い買いが続いたことで、直近に先行した財投機関債がタイト化を進めたなか、横ばいの0.03%に踏みとどまった。日本銀行による金融政策への不透明感が強まっていた環境下で、後続の道路会社債への影響や今後の円滑な消化を考え、投資家の意向を優先した「無理のない水準」を選択した。

1月の5年債では0.07%と、それまでの0.03%から一気に4bp調整。このカテゴリーでは7月以降、0.03%が踏襲されていたが、トランプ相場以降の金利上昇でマーケットは激変。散逸していた目線を集約し、期初に5年物道路会社債のベンチマークを示す役割を果たした。

条件決定 回号 年限 発行額 償還日 表面利率 主幹事
5月13日 36 5 700億円 2021/6/18 0.060% 野村/みずほ/SMBC日興/大和
7月21日 37 5 800億円 2021/6/18 0.030% みずほ/野村/三菱UFJMS/メリル
9月14日 38 5 500億円 2021/9/17 0.030% 三菱UFJMS/野村/SMBC日興/Gサックス
11月18日 39 5 500億円 2021/12/20 0.030% 野村/大和/みずほ/SMBC日興
1月18日 40 5 300億円 2021/12/20 0.070% みずほ/野村/三菱UFJMS

格付け:AA+(R&I)/ AAA(JCR)/ A1(ムーディーズ)

[キャピタルアイ・ニュース 足立 祥子]

 地方債等部門 

地方債等部門 BEST DEALS OF 2016

1回埼玉県債

主幹事:野村

「埼玉県債25年債、日本初の年限」

条件決定 2016年10月19日
年限 25年
発行額 150億円
表面利率 0.543%
国債対比 +9bp
格付け AA+(R&I)

初めての25年債。満期一括償還の地方債で2年ぶりに新たな年限を供給し、市場の拡大に貢献した。公募満期一括一般債市場でも日本初の年限だった。当時0.4%台だった20年債に利回りの不足感を持つ一方、30年までの年限リスクを取れない投資家から、0.5%を超える利回りが歓迎された。

日本銀行がイールドカーブ・コントロール政策を導入したことで超長期の金利動向に不透明感があったなか、2日間のサウンディングでつかんだ0.5%以上、国債+2ケタ以上という目線をもとにマーケティングし、それぞれ0.543%、+9bpで条件決定した。

従来呼び込めなかった投資家層を取り込んで基盤が拡大され、調達年限の多様化や償還管理の観点で発行体にも意義ある案件となった。

[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]

 

 

地方債等部門 BEST DEALS OF 2016

平成28年度第1回北九州市債

主幹事:野村/三菱UFJモルガン・スタンレー

「北九州市10年債、超低金利下の新手法」

条件決定 2016年4月6日
年限 10年
発行額 100億円
表面利率 0.080%
国債対比 +15.0bp(C-EYE算出)

10年物地方債で初めて絶対値プライシングを導入し、超低金利下における起債運営スタイルを示した。年度当初に目線を作ったことが市場に好影響を与え、主幹事方式のみならず交渉方式でも同手法が踏襲された。

10年国債の利回りが10bp台の幅でマイナスに沈み、スプレッドだけでの投資判断が難しくなった状況で、5日間という地方債としては長い期間のヒアリングを実施。絶対値とスプレッドの両睨みで検討する投資家が存在し、0.10%程度の絶対値と前月比横ばいの国債カーブ+14bp(単純対比+14.5bp)の目線を確認。0.08~0.10%と+14bpの両立てでマーケティングを実施し、0.08%が採用され、2倍超の最終需要を創出した。

[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]

 

 

地方債等部門 BEST DEALS OF 2016

平成28年度第16回愛知県債

主幹事:みずほ/三菱UFJモルガン・スタンレー/SMBC日興

「愛知県10年債、悪化の流れに歯止め」

条件決定 2017年2月3日
年限 10年
発行額 250億円
表面利率 0.259%
国債対比 +14.5bp
格付け AA+(R&I)/AAA(JCR)/A+(S&P)

国債スプレッドを前月対比2bpワイド化させて国債カーブ+14bp(単純対比+14.5bp)とし、10年物地方債の需給悪化の流れに歯止めをかけた。

11月の米大統領選後の金利急上昇による国債回帰や、中央大口の脱落などで全体の需要が減退し、流通実勢と発行水準の乖離が広がっていたものの12月債と1月債では発行条件の調整が行われなかった。2月債の先頭を務めた愛知県債が、ようやくこれを実現させた。

流通実勢を踏まえ、最初のマーケティング・レンジから下限で1月債プラス2bpを確保し、下限で条件決定。スプレッド水準を好感した札が順調に積み上がり、250億円に対して360億円ほどの最終需要となった。購入を控えていた大口投資家の復活も見られた。

[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]

 

地方債等部門 BEST ISSUER OF 2016

埼玉県

「幅広い年限」

幅広い年限を供給して市場の拡大に貢献している。当年度は通年事務主幹事制のもとで8本の超長期債を発行。日本の満期一括一般債で初の25年債はBEST DEAL OF 2016を受賞。4月には都道府県初の30年定時償還債を発行し、150億円に増額してなお約2.5倍の需要を集めた。30年定時償還債が5ヵ月ぶりだったことから、ヒアリングでガイダンスを提示して水準感を醸成した。

Brexit決定直後で金利が不安定な環境だった7月には30年満期一括債で絶対値とスプレッドを併用した運営を実施し、超低金利下での手法を示した。絶対値で条件決定し、0.26%という30年物の新たな水準を作った。

11月の米大統領選後の金利上昇という環境下で起債された20年定時償還債は、スプレッドの1本値と絶対値のレンジで運営した。スプレッドでプライシングされたものの、下限利率を0.20%としてそれまでの0.18%から調整した。

15年債は、超低金利の継続によって当年度は地方債全体でそれまで3本しか発行されていなかったが、超長期の金利上昇を受けて投資妙味が増したタイミングで起債。発行額の約2.6倍の積み上がりとなって、この年限の需要復活を印象づけた。

30年満期一括債は7月と2月に起債。この年限を年度で2回発行するのは、東京都以外では埼玉県だけとなっている。7月の30年債と12月の20年債はいずれも1日の起債であり、月の最初に登場して市場の目線を先導する役割を担うことも多い。

交渉方式を含むと、2016年度は18本・3450億円の市場公募債を発行。共同発行市場公募地方債を除くと、大阪府、東京都に次いで3番目の規模となっている。

[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]

 

 

 サムライ債部門 

サムライ債部門 BEST DEALS OF 2016

13回HSBCホールディングス債

ブックランナー:HSBC/みずほ/野村/SMBC日興

「初のTLACで1800億円超」

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 L対比 格付け
9月15日 1 5 581億円 0.450% +49bp A1(ムーディーズ)/A(S&P)
2 7 593億円 0.842% +82bp
3 10 644億円 1.207% +107bp

発行体としてサムライ債市場で初のTLAC適格債は総額1818億円に仕上がり、欧州金融機関として過去最大規模となった。金融危機後のサムライ債としても最も大きい額だった。

6月下旬のBrexit決定で英国物にネガティブな見方が先行するなか、IRでクレジットの説明を丁寧に行ったうえ、マーケットが落ち着いたタイミングで起債に踏み切ったことで幅広い層の関心を引き寄せた。

ディール開始直後には米国の要人による発言で早期利上げ観測が強まり、ドル債がワイドニング。これを踏まえたレンジ設定を行ったうえ、投資家の購入意欲に勢いをつける観点でのレンジ運営が各年限で600億円前後というバランスの取れたオーダーにつながった。高い信用力を強みに海外と同等のプライスを実現した。

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 

 

サムライ債部門 BEST DEALS OF 2016

4512回フランス電力債

ブックランナー:三菱UFJモルガン・スタンレー/みずほ/SMBC日興

「長期・超長期で1370億円」

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 L対比 格付け
1月20日 4 10 1079億円 1.088% +80bp AA(JCR)/A3(ムーディーズ)/A-(S&P)
5 20 31億円 1.870% +115bp
1 12 196億円 1.278% +90bp
2 15 64億円 1.569% +105bp

長期・超長期債のみで1000億円超は、コーポレート物のサムライ債で初の偉業。12年・15年債をグリーンボンド(GB)として組み入れ、欧州最大のGB発行体の実力を発揮して総額1370億円のディールを達成した。

基軸の10年債で1000億円以上のオーダーを取り込むために、常に1%以上の絶対値が見渡せるレンジで運営。年限間のスプレッドバランスを考慮しながら進め、マーケティング最終日にプライスを絞り込んだ。

GBではESG投資家の札を積み上げ、計260億円の買いを呼び込んだ。1000億円超の調達への巧みな戦略が光る案件だった。

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 

サムライ債部門 特別賞

912回CITICグループ債

ブックランナー:大和/三菱UFJモルガン・スタンレー/みずほ/野村/SMBC日興

「中国物過去最大」

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 L対比 格付け
10月20日 9 3 282億円 0.48% +48.6bp* A3(ムーディーズ)/A-(S&P)
10 5 468億円 0.67% +66.9bp*
11 7 200億円 0.85% +81.4bp*
12 10 50億円 1.05% +92.3bp*

*キャピタルアイ・ニュース算出

発行体にとって20年ぶりのサムライ債は、中国物で過去最大の総額1000億円のディールとなった。投資家の声に柔軟に対応した年限設定やプライシングが好感され、大台に対して2000億円近い需要を集めた。

中国のクレジットに慎重な見方があるなか、モノ不足や高い絶対値を拠り所とし、複数回のIRでの投資家への啓蒙が幅広い層からのオーダーにつながった。最後にサムライ債を発行した1996年9月以降も継続開示を行っており、これがタイミングを捉えた起債を可能にした。

さらに、中国政府系であることと、伊藤忠商事による大型出資が安心材料となり、ディールの成功を支えた。

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 

サムライ債部門 BEST ISSUER OF 2016

BPCE

「選択肢提供」

ベストイシュアーは2年連続。当年度は3回登場し、全てのディールでベンチマークサイズとなった。サムライ債市場で年度最大となる総額2563億円を供給し、引き続き市場の牽引役を務めた。

6月のシニア債は7年債を軸に先行銘柄の水準をベースに起債。欧州市場でのコストを勘案しつつ、10年債のクーポンを厚くする一方、5年債は薄く仕上げるという戦略的なプライシングを行い、総額606億円を調達した。

7月には海外発行体で初のリテール向けB3T2劣後債を発行した。マイナス金利の環境で運用難にある個人投資家が多いことに着目。10年ブレット債・10NC5債という選択肢を投資家に与え、邦銀銘柄の0.5%台を優に上回る1%台後半のクーポンを提供した。

12月にフランス国内でTLAC関連法が発効すると、年明け直後にまずドル・ユーロ建てでTLAC債を起債。この成功を受けて、同国ネームとして初のTLAC債でサムライ債市場に登場した。マーケットの基軸年限である5年ゾーンを選択する一方で、この商品を買えない投資家への配慮として7年・10年物の通常シニア債を併せて発行。幅広い選択肢を提供したことがTLAC債・通常シニア債ともに700億円前後のオーダー獲得につながり、フランスの銀行で過去最大となる総額1427億円を実現した。

 

条件決定 回号 年限 発行額 表面利率 L対比 ブックランナー
6月10日 12 5 15億円 0.125% +21.6bp* 大和/三菱UFJMS/ナティクシス/野村/SMBC日興
13 7 400億円 0.280% +31.6bp*
14 10 191億円 0.450% +39.9bp*
6月28日 劣後7(R) 10 173億円 1.800% +180.6bp* SMBC日興
劣後8(R) 10NC5 357億円 1.742% +185.0bp*
1月20日 1 5 696億円 0.640% +50bp 大和/みずほ/ナティクシス/野村/SMBC日興
15 7 646億円 0.380% +19bp
16 10 85億円 0.527% +24bp

※R:リテール債

格付け:第12~16回・A(R&I/S&P/フィッチ)/A2(ムーディーズ)
第1回・A-(R&I)/BBB+(S&P)/A(フィッチ)
劣後第7~8回・A-(R&I/フィッチ)/BBB(S&P)

*キャピタルアイ・ニュース算出

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 証券化部門 

証券化部門 BEST DEALS OF 2016

該当なし

証券化部門 BEST ISSUER OF 2016

住宅金融支援機構

 

年度で2兆5280億円という機構の月次債では最大の額を円滑に消化し、日本の証券化市場を支えている。マイナス金利政策の導入による金利低下を受けて、住宅ローンの申し込みが急増したため、RMBSの発行も大幅に増加した。年度で12回のうち8回が2000億円を超える規模だった。高格付けで高い利回りを得られる商品性と実勢に即したプライシングで毎回のように新規や復活先が見られた。

年度初回の第108回債は、2013年4月の第72回債(2122億円)を超え、2012年4月の第60回債(2755億円)以来の規模。ベース金利の10年国債利回りが初めてマイナスという状況で起債されたが、超過需要を実現し、順調なスタートを切った。

6月の第110回債は、Brexit懸念で金利が日々最低水準を更新するなかで運営された。0.23%というクーポンは前月を13bpも下回ったものの、プレーンの10年物高格付け債が0.1%割れのなかでは相対的魅力があった。翌月の第111回債のクーポンは0.19%と過去最低となって需要の過熱感が一服したものの、次の第112回債では、日本銀行の追加緩和策に対する期待が外れたことによる金利上昇があってクーポンが0.3%を超え、絶対値の魅力が戻った。

第114回債は当年度最大の2529億円だった。9月下旬に打ち出された日銀のイールドカーブ・コントロール政策が導入されてから初めての案件。同政策が効いて長期金利が安定し、購入の検討がしやすい環境となって順調に消化された。

11月の第115回債では国債スプレッドが+40bpを割った。一方で、米大統領選後の金利急上昇によって第116回債のクーポンは年度で最高の0.48%を付けた。イールドカーブ・スプレッドとオプション調整後スプレッドは年度を通じておおむねタイト化が進んだが、最後の第119回債ではワイド化した。年度後半には、米国の金利上昇を受けた国内回帰の投資需要の受け皿にもなった。 

回号 条件決定 発行額 表面利率 国債対比 YCS 前回比OAS 主幹事
108 4月20日 2487億円 0.34% +46bp +37.0bp +3bp みずほ/SMBC日興/Cスイス/大和
109 5月20日 2303億円 0.36% +44bp +36.5bp ±0bp SMBC日興/Gサックス/バークレイズ/
三菱UFJMS
110 6月16日 2235億円 0.23% +43bp +36.4bp +1bp程度 野村/SMBC日興/メリル/MSMS
111 7月22日 2029億円 0.19% +42bp +32.7bp -4bp程度 大和/みずほ/三菱UFJMS/メリル
112 8月19日 2012億円 0.33% +41bp +32.9bp 1bp程度 三菱UFJMS/Cスイス/野村/
バークレイズ
113 9月16日 2436億円 0.37% +41bp +30.8bp -4bp Gサックス/SMBC日興/新生/
三菱UFJMS
114 10月21日 2529億円 0.34% +40bp +30.7bp +1bp 大和/Gサックス/野村/みずほ
115 11月17日 1962億円 0.41% +39bp +27.8bp -4bp程度 メリル/新生/大和/野村
116 12月16日 1880億円 0.48% +39bp +25.4bp -2bp 野村/SMBC日興/大和/三菱UFJMS
117 1月20日 2019億円 0.46% +38bp +24.4bp -1.3bp 三菱UFJMS/Cスイス/野村/みずほ
118 2月17日 1490億円 0.47% +38bp +21.5bp -3bp SMBC日興/みずほ/メリル/MSMS
119 3月17日 1898億円 0.46% +38bp +23.8bp +2.4bp みずほ/Gサックス/大和/バークレイズ

[キャピタルアイ・ニュース 菊地 健之]

 

 外債部門

外債部門 BEST DEALS OF 2016

第一生命保険永久NC10劣後債

ブックランナー:ゴールドマン・サックス/みずほ/モルガン・スタンレー/JPモルガン/シティグループ

「初の4%・史上最大の25億ドル」

条件決定 2016年7月13日
発行額 25億ドル
表面利率 2026年7月24日まで4.00%、
翌日以降3ヵ月Libor+366bp
ローンチ・スプレッド 米国債+252.7bp
L+266bp
格付け A3(ムーディーズ)/A-(S&P)/A- (フィッチ)

本邦生保ハイブリッド債で初の4%、史上最大の25億ドルを同時に達成した。電話会議で確認した目線を踏まえたマーケティングでアジアや米国の強い買いを捉えた。

6月下旬のBrexit決定後のマーケットが荒れたものの、ほどなくして回復。金利の低下傾向も収まり、環境が落ち着いたタイミングを見極めて登場した。本邦生保銘柄がセカンダリーで安定的なパフォーマンスを示していたことに加え、高い利回りが取れる点が好感された。これによって、それまでの最低クーポンだった4.7%を70bp下回り、5%割れから一気に4%へと到達した。

リアルマネーなどの買いを背景に、当初想定の20億ドルから25億ドルへの増額も実現。本邦生保銘柄で過去最大の額に対して8倍近い190億ドル程度の需要を集めた。

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 

外債部門 特別賞

三菱UFJフィナンシャル・グループ債

ブックランナー:モルガン・スタンレー/MUFG/シティグループ

「世界初のTLACグリーンボンド」

条件決定 年限 発行額 表面利率 対米国債 格付け
9月6日 5 15億ドル 2.190% +108bp A1(ムーディーズ)/A(S&P)/A (フィッチ)
7 5億ドル 2.527% +115bp
10 10億ドル 2.757% +123bp
5FRN 10億ドル 3mL+106bp   -

 

基軸の5年・10年債に7年物グリーンボンド(GB)を加えた4本立てで登場し、総額40億ドルに対して140億ドル超の旺盛な需要を集めた。TLAC債でのGBは世界初だった。

レイバーデー明け直後という良好な環境を生かしてクレジットカーブを形成しつつ、企業の社会的責任(CSR)への取り組みもアピールした。発行体は再生可能エネルギーに特化したプロジェクトファイナンスで世界トップクラスの実績を誇り、同カテゴリーでの存在感が高い。こうした環境ファイナンスへの取り組みが欧米のESG投資家から評価され、新規層を開拓した。

日欧でマイナス金利政策が敷かれ、ドル債に資金が流入しやすい追い風の環境下で、高い利回りが取れるベンチマーク債をGBとともに供給したことが強い買いとタイトなプライスにつながった。

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 

外債部門 特別賞

日本たばこ産業債

ブックランナー:メリルリンチ/シティグループ/みずほ/
BNPパリバ/クレディ・アグリコル/ドイツ

「ダブルAのReg.Sオンリー」

条件決定 年限 発行額 表面利率 対米国債 格付け
4月7日 5 7.5億ドル 2.00% +82.5bp Aa3(ムーディーズ)/AA-(S&P)
10 5億ドル 2.80% +107.5bp

米レイノルズ「ナチュラル・アメリカン・スピリット」ブランドの米国外事業の買収に関連した起債。M&Aという前向きな資金調達に加え、ダブルA格のコーポレート物がRegulation Sオンリーで供給されたことで、このカテゴリーとしては驚異的な総額90億ドルという需要の盛り上がりを見せた。

JTのドル債はおよそ3年ぶり、Reg.Sオンリーはおよそ17年ぶり。しかも日本物は世界的に希少性が高く、米国が販売対象外のユーロドル債はアジア・欧州勢にとって絶好の購入機会だった。発行体は英ギャラハーを傘下に収めており、投資家はJTというネームへの親和性が高かった。通称「アメスピ」の大型買収は、グローバル企業としてのさらなる成長が期待された。

これら好材料を拠り所に旺盛な買いを呼び込み、同時にイニシャルプライスソーツから20bp以上もタイトなプライスを実現した。

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 

外債部門 BEST ISSUER OF 2016

国際協力銀行

「日本の先導役」

毎四半期に登場。年度で史上最大となる総額103億ドルを供給した。安定的な起債は健在で、本邦ドル債のベンチマークとしての役割を果たした。2月には7年4ヵ月ぶりとなる3年債を発行した。

 

4月は、既に計70億ドル超の日本物ドル債が先行していたものの、クレジット環境が整ったタイミングでの登場が奏功し、高い知名度も効果を発揮。5年債が約1年ぶりだったことも手伝って旺盛な買いが入り、5年債がミッドスワップ(MS)+75bp、10年債が+80bpと、2015年秋以降続いていた日本物公共(SSA)銘柄のワイドニングに歯止めをかけた。後続案件にも好影響を及ぼした。

 

7月の5年・10年債では、6月下旬の英国のEU離脱決定で一旦荒れたマーケットが落ち着きを取り戻したところで実勢水準に近いMS+58bpと+61bpに仕上げた。Brexit決定でSSA銘柄の供給が途絶えていたうえ、安定の日本物であることが中央銀行・公的などから歓迎された。4月から17~19bpのタイト化を実現する一方で、流通市場での逆イールドを新発債では順イールドへと調整した。

 

年度3回目の10月は、補正予算成立に伴って外債予算が8000億円相当から1兆円に拡大したことへの対応として総額28億ドルで起債。米国の利上げを織り込んだ動きや、大統領選に向けたマーケットのスプレッド調整に合わせ、MS+63bpと+64bpという新たな居所を作った。

 

2月の3年債は2009年10月以来。外債予算が1兆2400億円相当に積み増されたうえ、2017年度には1兆7600億円となることを踏まえ、次年度への試金石としての位置付けだった。将来を見据えた戦略的な年限選択が当たり、良質かつ幅広い投資家の取り込みに成功した。

条件決定 年限 発行額 表面利率 MS対比 ブックランナー
4月12日 5 10億ドル 1.875% +75bp バークレイズ/シティ/HSBC/JPM/みずほ
10 15億ドル 2.375% +80bp
7月13日 5 15億ドル 1.500% +58bp シティ/メリル/BNPP/野村
10 15億ドル 1.875% +61bp
10月27日 5 10億ドル 2.00% +63bp JPM/メリル/みずほ/野村
10 18億ドル 2.25% +64bp
2月14日 3 15億ドル 2.250% +57bp バークレイズ/シティ/大和/JPM
3FRN 5億ドル 3mL+57bp   -

[キャピタルアイ・ニュース 比後 樹宏]

 新規公開株式 公募・売出部門

新規公開株式公募・売出部門 BEST DEALS OF 2016

JR九州

グローバル・コーディネーター:
野村/三菱UFJモルガン・スタンレー/JPモルガン

「年度を象徴するIPO」

 

上場日 2016年10月25日(東証)  2016年10月26日(福証)
売出株数 1億6000万株  国内:1億2000万株  海外:4000万株
売出価格 2600円
売出総額 4160億円

巨大民営化案件として幅広く市場の関心を集めた、当年度を象徴する案件。JR三島会社では最初の株式上場となった。

案件公表の5ヵ月前に熊本地震に見舞われながらも、事態の推移を確認しながら予定通りにIPOを実行。準国有財産の売り出しであることに鑑み、地元の九州を重点地域としつつ全国でリテールマーケティングを行った。

赤字路線の存在から鉄道事業の成長性には疑問が呈されたが、好調に推移する非鉄道事業を中心とした成長ストーリーが支持された。借入金返済や固定資産の減損処理等を進めてIPOに臨んだ点も評価されている。事業の安定感や配当利回り約3%という株主還元から、旺盛な需要を創出。初値は公開価格2600円を19%上回る3100円(東証)と好調なスタートを切り、その後も堅調なパフォーマンスを維持している。

[キャピタルアイ・ニュース 赤司 早規]

 

新規公開株式公募・売出部門 BEST DEALS OF 2016

LINE

グローバル・コーディネーター:

野村/モルガン・スタンレー/ゴールドマン・サックス/
JPモルガン

「工夫が光る日米同時上場」

上場日 2016年7月15日(東証)  2016年7月14日(NYSE)
公募株数 3500万株  国内:1300万株  海外:2200万株
公募価格 3300円
公募総額 1155億円

 

日米市場へほぼ同時に上場するというユニークなオファリング・ストラクチャー。難易度の高い案件にあって主幹事の工夫が光った。東証の流動性基準(1部は35%)は満たさないものの、ニューヨーク証券取引所に浮動株基準がないことを援用する形で上場要件をクリアした。同時上場の実現に向け、募集期間を通常の半分に短縮している。Brexit決定という市場の不安要素となるイベントが発生したが、需要動向を見ながらブックビルディング期間中に仮条件レンジを引き上げるなど、機動的な価格決定プロセスが見られた。

上場時価総額は約7000億円と年度最大で、米国のテクノロジーセクターにおいても年内最大のIPOとなった。メッセンジャーアプリ「LINE」のプラットフォームを活用した収益化というエクイティ・ストーリーで国内外から強い需要を喚起し、IPO市場の活性化に貢献した。

[キャピタルアイ・ニュース 赤司 早規]

 

 既公開株式 公募・売出部門

既公開株式公募・売出部門 BEST DEALS OF 2016

リクルートホールディングス

グローバル・コーディネーター:野村/モルガン・スタンレー

「オーバーハング懸念を払拭」

決議日 2016年8月24日
売出株数 5747万9200株  国内:2109万3400株  海外:3638万5800株
売出価格 3797円
売出総額 2182億4852万2400円

総額2000億円超という当年度最大のPO。上場前から株式を保有する金融機関や取引先など13社の持ち合い株を売り出した。個別の売却による株価への直接的な影響を回避し、オーバーハング懸念を払拭。マーケットに向き合う姿勢が高く評価された。大規模な売り出しによる需給悪化に備え、約300億円の自己株買いを併せて行っている。

リクルートHDの中長期的な成長戦略を理解する投資家層を開拓することが目的で、全体の6割を海外で販売。海外M&Aなどの成長ストーリーが評価された。オファリング中に年初来高値を更新したうえ、売出後のパフォーマンスも右肩上がりに推移し、条件決定日の3915円から、3月末では5680円と45%上昇した。適正な株式評価を実現した案件として支持を得ている。

[キャピタルアイ・ニュース 赤司 早規]

 

 不動産投資信託証券部門

不動産投資信託証券部門 BEST DEALS OF 2016

三井不動産ロジスティクスパーク投資法人

ブックランナー:大和/野村/SMBC日興

「三方良しで市場を魅了」

上場日 2016年8月2日
発行口数 21万2800口
公開価格 27万円
募集額 574億5600万円

豊富なスポンサーパイプライン、首都圏の先進的物流施設に投資、ポートフォリオの平均築年数は2.5年――。投資家を魅了する要素を兼ね備えて登場した。プライシングは想定価格の25万円を8%上回る27万円。上場後の投資口価格は30万円超で安定的に推移しており、当年度のリートのIPOで一人勝ちしている。オファリング総額は当年度のリート案件で最大だった。

抜群のブランド力で当初から市場の期待は高かったが、努力を惜しむことなく成長の具体的な道筋を示した。想定資産規模1500億円(8施設)の優先物件に加え、三井不動産グループのノウハウを活かしたプロパティ・マネジメントやリーシング戦略は投資家の共感を呼んで、ブックビルディングは大盛況。Brexit決定後の不安定な市場環境を物ともせず、全体で13倍の需要を集めた。上場時のLTVを28%に抑えた財務運営も評価されている。

[キャピタルアイ・ニュース 池部 渚]

 

不動産投資信託証券部門 BEST ISSUER OF 2016

オリックス不動産投資法人

「継続は力なり」

 2013年8月期以降、9期連続で公募増資を実施。不動産価格が高止まりし、リートの外部成長が困難となるなか、積極的な運営で市場を活気づけた。

「1回1回検討した結果が9期連続になった」(オリックス・アセットマネジメントの亀本由高社長)。オリックスという強力なスポンサーを持ち、物件の取得機会には恵まれているが、市場環境や投資口価格をその都度慎重に見極めたうえで、1口当たり分配金(DPU)を高め、1口当たりNAVに配慮した増資とすることを心掛けてきた。増資を続ける間にLTVは7.6%下がり、ゼロに近かった内部留保額は1口当たり1024円まで増えた。外部成長と並行して物件の入れ替えや期限前弁済も積極的に実施し、DPUは年率8%のペースで上昇している。

2017年2月末時点の資産規模はJ-REITで5番目の6224億円(109物件)で、時価総額は4年前の3倍に拡大した。「増資を繰り返したことで成長できた。増資をせずに投資主価値の向上とLTVの低減を両立させるのは難しい」(亀本社長)。マーケットリスクを回避するために、増資は頻繁に行う方が確実に成長できると考えている。

当年度は東京ディズニーリゾートのオフィシャルホテル「サンルートプラザ東京」を購入。希少性のある高稼働物件を組み入れることで、収益の安定性を一段と高め、海外の政治リスクなどによる先行き不透明感から、ディフェンシブ志向を強める投資家の期待に応えている。

[キャピタルアイ・ニュース 池部 渚]

 

 転換社債型新株予約権付社債部門

転換社債型新株予約権付社債部門 BEST DEALS OF 2016

スズキ 2本立てユーロ円CB

ブックランナー:野村

「希薄化抑制の限界に挑む」

決議日 2016年3月7日
年限 5年/7年
発行額 各1000億円
転換価格 4120円(共通)

交付株式数に上限を設けた新スキームの「ANSWER(Automatic Net share Settlement With Enhanced Reduction of dilution)」を国内で初めて採用。発行体と既存株主の希薄化抑制ニーズに応えつつ、CB投資家の需要を阻害しない商品に仕上げた。発行総額は2000億円と当年度最大だった。

希薄化率を一般的なCBの半分以下にできるのが特徴。130%転換制限条項に加え、自動行使型取得条項と一括型取得条項(共に交付株数上限型)を併用することで、全期間にわたって確実に希薄化を抑えられる仕組みとした。取得請求時に交付する株式数の上限はパリティ200%(転換価格の2倍)。ブックランナーはおよそ1年かけて投資家が許容できる水準を探った。最大希薄化率は5.5%にとどまり、交付株式には前年に独フォルクスワーゲンから買い取った自己株式(発行済株式の22%)を活用する。

複雑な付帯条項は投資家の抵抗感を招くものの、発行体のネームと自動車セクターの希少性により、合計150社がブックビルディングに参加。総発行額の5倍となる1兆円が積み上がり、両債とも仮条件(30~40%)の上限で条件決定した。調達資金のうち1600億円はインドの四輪車事業に投資し、同国内の乗用車シェアで45%以上を目指す。

[キャピタルアイ・ニュース 池部 渚]

 

 EQUITY特別部門

EQUITY 特別部門 BEST DEALS OF 2016

タカラレーベン・インフラ投資法人

ブックランナー:みずほ

「”20年の壁”に挑戦」

上場日 2016年6月2日
発行口数 4万5166口
公開価格 10万円
募集額 45億1660万円

メガソーラーを主な投資対象とするインフラファンドの1号案件。創設から1年2ヵ月が経過していたインフラファンド市場に命を吹き込んだ。個人投資家にインフラ事業への投資機会を提供したほか、機関投資家のインフラ投資に対する選択肢を私募ファンドから上場商品に拡げる役割も果たした。

現行の制度では、インフラファンドの法人税の非課税期間(導管性要件)と再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)は20年に限定されているうえ、固定買取料金は年々低下している。新商品への期待と不安が入り混じる中で、ストーリーの柱としたのは安定性。FITに基づく売電価格や日照量に影響されない賃料契約に加え、オフィスビルのような空室リスクもなく、長期にわたって一定の分配金を提供できる強みを投資家に訴えた。資産の入れ替えや規模拡大により「20年後の壁」を超えられることも強調した。初物であることを考慮し、ローンチから上場まで約2ヵ月を設けた。

上場時の分配金利回りは5.8%に設定。J-REITの平均利回りや私募ファンドの実績をベースに投資家が納得する水準を探り、後続案件のベンチマークとなっている。先行者メリットにより、初値は公募価格を9.9%上回り、その後も概ね10万円超で推移している。

[キャピタルアイ・ニュース 池部 渚]

 

 

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